東大・医学部に合格する共通テストの勉強法:くり返される過去問の出題が鍵!

 

東大、医学部に合格する勉強法
 東大・医学部受験の英語の勉強法
 東大・医学部受験の数学の勉強法

 東大・医学部受験の物理の勉強法
 東大・医学部受験の化学の勉強法
 東大・医学部受験の生物の勉強法
 東大・医学部受験の現代文の勉強法
 東大・医学部受験の古文・漢文の勉強法
 東大・医学部受験の日本史の勉強法
 東大・医学部受験の世界史の勉強法
 大学入試共通テストの勉強法
 英検準1級、その先へ

 

東大・医学部に合格する共通テストの勉強法:くり返される過去問の出題が鍵!

 

共通テストの日程、時間割は?

2024年1月13日(土)、14日(日)に行われます。

1日目
09:30~11:40 地理歴史・公民
13:00~14:20 国語
15:00~16:30 英語リーディング
17:10~18:10 英語リスニング

2日目
09:30~10:30 文系理科
11:20~12:30 数学1
13:50~14:50 数学2
15:40~17:50 理系理科

 

Q、過去問(赤本)はやった方がいい?おすすめは?いつから?

 数学、理科、社会は似たような出題がくり返されるので、過去問中心の勉強が効果的です。
 ただし、いわゆる赤本の前に、下記のように、過去問を分野別に再編集したような教材が市販されているので、そちらを解けるようにしたほうが、効果的に成績が上がります。
 国語は、選択肢の引っ掛け方が、本試験と過去問とで、微妙に異なるので、実戦的な対策は本試験の過去問を使うといいです。
 英語は、過去問は、形式になれる程度で、5教科の中では最も重要度が低いかもしれません。
 英語と国語の過去問は、どこのものでもいいと思います。

 過去問、対策をいつから始めるべきかは、共通テストと国立二次の配点の比率次第だと思います。
 ほぼ共通テストで決まる場合、1年中または高校入学からずっと考えるべきでしょう。地方の国立医学部も共通テストの配点が高いことが多いので、1年中考えておいたほうがいいでしょう。東大、京大など配点が低い場合は、普段は二次試験中心の勉強で、秋の大学別プレ模試が終わってから本格的に共通テスト対策をする、ということになると思います。

 

共通テストの英語の勉強法

基本的に、
東大・医学部受験の英語の勉強法
で述べたように国立二次対策をして、少し対策問題集や模試で形式や選択肢のひっかけなどに慣れれば、満点近く取れると思います。

 注意点として、共通テストの英語のリーディングは、英文はSVOC+修飾も単語レベルも非常に簡単な一方で、総語数は6,000語を超えます。成績が足りない人は、時間が足りないことが多いのではないでしょうか。対策としては、公立高校入試~共通テストレベルのSVOC+修飾、単語などの解説が詳しい教材の英文を毎日5,000語程度読み続けます。本番が5,000語を超えるのですから、それに適応するための対策がこのようになるのは当然です。試験中は、先に設問を見て、回答に必要な部分だけ迎えに行く、という姿勢も有効だと思います。時間配分は、必ず最後まで解き切れるように配分してください。
 リスニングの成績が足りない人は、共通テスト用のリスニング教材を、毎日ディクテーション(聴いて、書き取る。数語で止めて良い。)し続けましょう。

 

共通テストの数学の勉強法

 共通テストの数学は、マーク式ゆえの独特の誘導形式が特徴です。
 また、旧センター試験から新共通テストの変更点として、より、原理、本質的な事柄がマーク式で問われたり、日常生活と絡めて出題されたり、ということが挙げられます。学校の授業と並行して、教科書の説明を理解することが望ましいです。
 二次、私大とは、かなり傾向が異なります。得意な人でも、かならず対策をしましょう。
 対策問題集を最低10年分ほどはこなし、目安としては、各大問の最後の1問(難しいことが多い)以外は正解できるまでくり返しましょう。
 データと図形は、特に、いわゆる『チャート式』『Focus Gold』のような教材との相性が悪いです。この分野は、教科書を理解したら、ひたすら共通テスト型の問題に取り組むといいでしょう。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 「年度別」ではなく「分野別」に取り組んだほうが、「くり返し」をしているので効率よくマスターできると思います。

 形式は特殊ですが、基本となる知識は、教科書の理解、受験によく出る技法など、二次試験とそう変わらないです。

 医学部などで共通テストのの高得点が必要な場合、学校の授業と並行して、分野別に対策問題集を解けるようにしてもいいでしょう。

 

共通テストの国語の勉強法

 共通テストの国語は選択肢のひっかけが激しいです。必ず、本物の過去問(プレテスト)で対策をします。
 そのような特性なので、全体で9割を狙う人でも、国語は8割で万々歳、ということも多いでしょう。国語の平均点が低い年は、たとえば東大合格者の平均を見ると、他科目では満点近く取っていても、国語は8割程度、という傾向が見られます。
 普通、漢文→古文→現代文の順番で解きます。時間配分は、右に行くに連れて増えます。

 たとえば、古文は、共通テストの問題文が東大の問題文に比べ、簡単かと言うと、全くそんな事はありません。マーク式で受験生をふるいにかけるという性質上、共通テストの古文は、かなり難しいことも多いです。並の東大合格者程度では、全文を正確に解釈できていない人がほとんどだと思います。
 そのような共通テストの古文(漢文も)ですが、「文脈判断」が非常に有効です。傍線部はよくわからないのですが、前後は分かりやすくて、設問に答えられる、ということが多いです。
 また、設問に関係ない部分の問題文が、非常に難しいことがあります。ここで、心を折らさないで、なんとなく全体の流れをつかもうと努力するのが大切です。また、入試は満点を取る必要はないのですから、前述のように、国語は8割程度で万々歳として、問題文全体の理解を問うような設問は、ある程度あきらめる、という姿勢も大切だと思います。大学受験は、総合点で合否が決まるので、大切なのは、部分最適よりも全体最適です。

 地力をつける勉強法は
東大・医学部受験の現代文の勉強法
東大・医学部受験の古文・漢文の勉強法
へ。共通テストについても、こちらでも触れています。

 

共通テストの理系の理科の勉強法

 似たような出題が繰り返されるので、対策問題集、センターの過去問を再編成した問題集を中心に、できない問題にチェックを付け克服しつつ、全問解けるように勉強すると、効果的に点数が上がります。
 ただし、物理は、定性的理解(数値を求めるのではなく、性質を理解する)を求めるような出題が増えました。学校と並行して、教科書の説明を理解することが望ましいです。
 生物は、2023年現在、考察問題が難しく、大変です。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

大学受験の物理の勉強法
大学受験の化学の勉強法
大学受験の生物の勉強法
↑↑↑を参考に勉強し、物理は『エッセンス』、化学は『新標準演習』が完璧なら、80点は超えるでしょう。その上で、やはり、図表問題など、共通テスト独特の角度から問うてくる問題もあるので、対策問題集で慣れるといいでしょう。生物は『リードLightノート』を完璧にしたあとで、過去問、対策問題集で考察問題の対策をしましょう。

 

共通テストの文系の理科の勉強法

 物理がよほど得意でない限り、「物理基礎」は選択しないほうがいいと思います。

 似たような出題が繰り返されるので、対策問題集やセンターの過去問を再編成した問題集を中心に、できない問題にチェックを付け克服しつつ、全問解けるように勉強すると、効果的に点数が上がります。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 

教科書
リードLightノート(数研出版)
化学基礎、生物基礎、地学基礎

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 リードLightノートの暗記物の部分にオレンジペンで書き込み、赤シートで隠してできるようにしましょう。わからない所は、教科書で調べましょう。
 この方法で残る課題は、化学の計算問題でしょうか。
 それ以外の基礎は、ほぼ完成すると思います。

 

共通テスト対策問題集(実教出版)
化学基礎、生物基礎
共通テストスマート対策(教学社)
化学基礎+生物基礎
生物基礎+地学基礎
大学入試の得点源(文英堂)
化学基礎、生物基礎

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実教出版
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 上記のように似たような出題がくり返されるので、対策問題集やセンターの過去問を分野別に再編成した問題集を使った勉強が効果的に点数を上げることができます。まずまず点数が取れるなら、いきなりこれらの問題演習から始め、わからないことがあったら、教科書やわかりやすい参考書で調べる、という流れがいいでしょう。

 実教出版、赤本の教学社の上記の対策問題集は、過去問が分野別に再編集されています。教科書、参考書を読んだ分野から、実際にセンター試験で出題された問題を解くことができます。
 センター試験で高得点を取りたい人は、学校の授業と並行して、これらの問題集を解けるようにするといいと思います。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 「大学入試の得点源」は、入試に出やすい知識がまとまっていて、暗記を助けてくれます。

 

共通テスト満点のコツ 生物基礎(教学社)

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 共通テストになり、生物基礎、生物は考察問題が難しくなり、平均点が下がりました(やりすぎなので、5割強あたりには収束させると思いますが)。もともと、医学部など難関大の生物は考察問題が合否を分けていましたが、文系の共通テストも、もはや、安易に「暗記科目だから」と考えて生物基礎を選ぶと、痛い目に遭う時代だと思います。
 『満点のコツ』は、共通テストの生物基礎に絞って、考察問題対策をわかりやすく解説しています。

 

共通テストの日本史、世界史の勉強法

東大・医学部受験の日本史の勉強法
東大・医学部受験の世界史の勉強法
↑↑↑
こちらに共通テスト対策も書いてあります。

 二次、私大で世界史を使わない人は、世界史はおすすめしません。ヨコ(世界地図、同時代の他地域)の理解が大変すぎるからです。
 知識問題ではなく、資料読み取り問題も出始めました。

 

共通テストの地理

 似たような出題が繰り返されるので、対策問題集やセンターの過去問を分野別に再編成した教材を中心にできない問題にチェックを付け克服しつつ、全問解けるように勉強すると、効果的に点数が上がります。
 地理は図表を使った問題が多いです。それも、あらかじめその図表を知識として学習しておくことを求めるというよりは、高校地理の基本的な知識から考察させるような問題が多いと思います。また、共通テストでは勉強しにくい、常識を必要とする問題も多いです。
 したがって、ある程度までは取りやすいですが、考察する論理に欠ける人、日頃から世の中に目を向けていない人は8割以上は取りにくいと思います。
 逆に、論理力と常識がある人は、ちょっと対策すると9割ほどになると思います。

 医学部など、社会で9割ほど取りたい場合、よほど世界史が好き、あるいは、日頃から世の中に目を向けている、人以外は、共通テスト社会は「日本史」「倫理政経」が無難と言えそうです。

 

共通テスト対応地理ノート(山川出版社)

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 書き込み式のノートです。基本ができていない人は、オレンジペンで書き込み、赤シートで隠して正解できるようにすると、この後の学習がスムーズに進むでしょう。

 

共通テスト地理Bの超重要問題の解き方(KADOKAWA)系統地理・地誌

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KADOKAWA
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 共通テスト型の問題がテーマ別に載っている問題集です。問題集ですが、問題の前のまとめや問題の解説が非常に丁寧なので、少しくらい知識があやふやでも、本書を通してマスターしやすいと思います。
 分厚く、たしかに問題数も多いですが、上記のように、解説が詳しいことも厚い原因なので、見た目ほどではないです。とにかく、問題を全問解けるようにしましょう。この2冊をほぼ完璧にすれば、地理という科目の性質上、その人の持っている常識にもよりますが、85点ほどにはなるのではないでしょうか。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

共通テスト地理B超重要問題の解き方

 

共通テストの倫理政経

 似たような出題が繰り返されるので、対策問題集やセンターの過去問を分野別に再編成した教材を中心にできない問題にチェックを付け克服しつつ、全問解けるように勉強すると、効果的に点数が上がります。
 倫理政経も知識問題ではなく、資料読み取り問題も出始めました。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 

共通テスト 倫理、政治・経済集中講義(旺文社)

 共通テストに必要なことが、簡潔に説明され、赤シートで隠してチェックすることができます。また、「共通テストのツボ」というコーナーがあり、共通テストのために覚えるべきことが簡潔にまとまっています。テーマごとに「基礎力チェック問題」と共通テスト型の「チャレンジテスト」が載っています。別冊で、共通テストに必要な知識をチェックできる一問一答問題集が付属しています。
 これ1冊を赤シート、問題部分を完璧にすれば、そうまずくない点数になると思います。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 

共通テスト点数が面白いほどとれる一問一答(KADOKAWA)
共通テストへの道(山川出版社)

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共通テストへの道

 上記のように似たような出題がくり返されるので、対策問題集やセンター過去問を分野別に再編集した問題集を使った勉強が効果的に点数を上げることができます。上記の『集中講義』の補強として仕上げれば、9割近くが見えてくるでしょう。

 『一問一答』は、センターの過去問の選択肢を利用しています。
 『共通テストへの道』は、センター試験の過去問が分野別に再編成されています。
 学習を終えた分野から過去問を解くことができますし、実際にどんなことが問われているのかを知ることができます。
 医学部などで、センターの高得点が必要な場合、学校の授業と並行して、このあたりまでこなしてもいいでしょう。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 わからないことが出てきたら、下記の『面白いほど分かる本』で調べ、理解するといいでしょう。

 

共通テスト面白いほど点数がとれる本(KADOKAWA

 共通テストに必要な知識をわかりやすい解説で理解することができます。
 通読するのは大変なので、上記の『一問一答』『道』を中心にして、
わからないことがあったらこちらを見る、という使い方がいいでしょう。
 ざっと読んで、赤い字を赤下敷きで隠し、正解できるようにすると、効果的に知識が定着するでしょう。
 9割前後からの上積みを狙うなら通読してもいいでしょう。

 

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大学入試共通テストとハイデガー

 ハイデガーにとって、教育とは単なる知識の伝達ではなく、人間の本来的な在り方を開示する営みでした。彼が理想とした教育は、学問の自由と真理への献身に基づくものです。しかし、大学入試共通テストに象徴される現代の教育システムは、果たしてこのような理想に適っているのでしょうか。

 共通テストは、効率性と公平性を重視する現代社会の価値観を反映しています。それは、多様な学生の能力を一律の基準で測定し、選抜するための装置だと言えます。しかし、このようなシステムは、教育の本質的な意味を見失わせる危険性を孕んでいます。

 ハイデガーが警鐘を鳴らしたように、現代社会は「das Man(世人)」の支配する時代です。人々は自らの本来的な在り方を忘れ、ただ画一的な価値観に従って生きています。教育もまた、このような世人の論理に組み込まれてしまっているのではないでしょうか。

 共通テストは、知識の量的な側面のみを重視し、学ぶことの質的な意味を見落としてしまいます。受験生たちは、自らの興味や関心ではなく、テストで求められる知識や技能を機械的に習得することを強いられます。そこには、ハイデガーのいう「本来的な自己」を育むような教育の姿は見られません。

 また、共通テストは、大学教育を入口で規定してしまう側面もあります。つまり、大学はテストの結果によって学生を選抜するため、その教育内容もテストに適合したものにならざるを得ないのです。これは、大学の自治と学問の自由を脅かす要因となり得ます。

 ハイデガーは、大学を「学問共同体」と呼びました。それは、真理への奉仕を通して、人間の本来的な在り方を探究する場だったのです。しかし、共通テストに支配された現代の大学は、このような理想からは程遠いと言わざるを得ません。

 もちろん、公平な選抜の必要性や、多様な学生に門戸を開く意義を否定するつもりはありません。しかし、そのために教育の本質が犠牲にされてはならないでしょう。私たちは、効率性や画一性の論理に抗して、一人ひとりの個性と可能性を尊重する教育の在り方を模索する必要があります。

 ハイデガーが説くように、教育の目的は「自由への自由」を育むことです。それは、既存の価値観に縛られることなく、自らの存在の意味を問い直す勇気を持つことを意味します。共通テストに象徴される現代の教育システムは、果たしてこのような自由を保障しているのでしょうか。

 大学入試共通テストの問題は、単に制度の設計や運用の次元にとどまるものではありません。それは、現代社会全体の病理を反映しているのです。私たちは、このような状況に抗して、教育の本来的な意味を取り戻す努力を続けなければなりません。

 そのためには、画一的な基準による選抜ではなく、一人ひとりの個性と可能性を尊重する入試制度が求められます。また、大学教育もまた、専門知識の伝達だけでなく、学生の主体的な思索を促すものでなければなりません。

 ハイデガーの思想は、私たちに教育の根本的な意味を問い直すことを促しています。大学入試共通テストという制度もまた、このような問いかけの対象となるべきでしょう。私たちは、効率性や画一性の論理に抗して、人間の本来的な在り方を開示する教育の可能性を探究し続けなければならないのです。

 それは、容易な道のりではありません。しかし、このような思索こそが、現代社会の閉塞状況を打ち破る一つの希望となるはずです。ハイデガーが説くように、「思索の貧しさ」を克服することが、私たち一人ひとりに課された課題なのかもしれません。

 大学入試共通テストの問題は、単なる教育制度の問題ではなく、現代社会そのものへの問いかけなのです。

 

大学入試共通テストとデリダ

 「大学入試共通テスト」というテーマは、一見すると教育制度の技術的な問題に見えますが、デリダ的な視点から考察すると、知をめぐる権力の複雑な様相が浮かび上がってきます。

 まず、「共通テスト」という名称そのものが、ある種の均質化の理念を体現していると言えるでしょう。デリダは「ロゴス中心主義批判」において、西洋思想が「ロゴス(言葉・理性)」の優位性を前提としてきたことを問題視しました。共通テストもまた、知識や能力を一律の基準で測定・序列化しようとする発想に基づいています。そこには、多様な学びの形態を単一の尺度に還元してしまう暴力性が潜んでいるのです。

 また、共通テストは、大学教育へのアクセスを規制する「敷居」としても機能します。デリダの「ホスピタリティ(歓待)」の思想は、他者を無条件に受け入れることの不可能性と、それでもなお他者に開かれようとする倫理的要請を説きました。しかし、共通テストは、一定の基準を満たした者だけを大学という「家」に迎え入れる条件付きの歓待を体現しているのです。

 さらに、共通テストの背後には、知識を管理・統制しようとする権力の欲望が潜んでいると言えるでしょう。デリダは「アーカイブ」の概念を通して、権力が記憶や知識を支配しようとする動きを分析しました。共通テストは、大学という知の制度に参入するために必要な知識を選別し、規格化する装置なのです。

 ただし、共通テストが持つ「脱構築」の契機も見逃すことはできません。デリダの脱構築戦略は、テクストに内在する矛盾や亀裂を明らかにし、既存の秩序を解体していくことを目指しました。共通テストもまた、その均質化の理念とは裏腹に、多様な知のあり方を浮き彫りにする可能性を秘めているのです。受験生たちは、共通テストへの対応を通して、知識の構造や自らの学びの意味を問い直すことになるでしょう。

 そして、共通テストをめぐる議論そのものが、教育という営為の不確定性や脆弱性を露呈させずにはおきません。デリダの「pharmakon(ファルマコン)」の概念が示すように、共通テストは、教育を標準化・効率化する「薬」であると同時に、多様な学びを抑圧する「毒」でもあるのです。私たちは、この両義性を認識しつつ、共通テストの意味を絶えず問い直していく必要があります。

 デリダの思想に照らせば、「大学入試共通テスト」は、知をめぐる権力が交差する場であると同時に、その権力を揺るがす契機でもあると言えるでしょう。私たちに求められるのは、共通テストを所与のものとして受け入れるのではなく、その前提や影響を批判的に吟味していくことです。そうした脱構築の実践を通して、私たちは教育の意味を問い直し、より豊かな学びの可能性を切り拓いていくことができるのではないでしょうか。共通テストの「敷居」に佇みつつ、その向こう側にある知の地平を想像すること。それこそが、デリダの思想が「大学入試共通テスト」に投げかける問いなのかもしれません。