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職場(大学卒業後)における非認知能力の重要性と鍛えかた:自己効力感、やり抜く力、意欲

 

職場(大学卒業後)における非認知能力の重要性:自己効力感、やり抜く力、意欲

 

はじめに

 当塾は、大学受験塾なので、大学受験における非認知能力の重要性と鍛え方を解説しました。
 一方、非認知的能力は、社会人が持つ認知能力や技術的スキルを補完するものとして、職場において極めて重要です。非認知能力のうち、コミュニケーション能力、チームワーク、適応力といったものは、大学受験よりも、むしろ、社会に出てから重要になります。
 この記事では、これらの非認知能力が職場で重要視される理由と、その非認知能力の鍛え方について解説しています。

 

自信、自己効力感の重要性と鍛えかた

生産性の向上

 自信のある従業員は、新しい課題や責任を引き受ける可能性が高く、生産性の向上につながる可能性があります。

コミュニケーションの改善

 自信のある従業員は、自分の考えや考えをよりよく伝えることができるため、より良いチームワークとコラボレーションにつながる可能性があります。

より強い関係

 自信のある従業員は、同僚や上司とより強い関係を築く可能性が高く、よりポジティブでサポート的な職場環境につながる可能性があります。

仕事への満足度の向上

 自信のある従業員は、仕事に満足する可能性が高く、定着率の向上と離職率の低下につながる可能性があります。

 

鍛え方

 大学受験のところで、以下の本を紹介しました。

『やる気が上がる8つのスイッチ』(ディスカヴァー)

 この中で、自信を高めるには

「成功体験を積むこと。社会人ならば、職場でのオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)で成功体験を積むこと。」

と述べられています。まさに社会人の話なので、実際に仕事で成功を収めることが、自信の向上につながり、正のスパイラルを生み出します。

 

やり抜く力、GRITと鍛えかた

困難に直面した際の回復力

 職場は、高いプレッシャー、締め切り、様々な障害物などがある、困難な環境である可能性があります。「やり抜く力」を持つ従業員は、モチベーションや決意を失わずにこれらのプレッシャーに耐える可能性が高くなります。

長期的なコミットメント

 「やり抜く力」のある人は、仕事で困難な状況や挫折に直面しても、諦めたり、焦点を切り替えたりする可能性が低いです。これは、離職率を低め、生産性の向上につながる可能性があります。

継続的な成長と学習

 「やり抜く力」を持つ従業員は、自分の仕事に情熱を持っている傾向があります。これは通常、継続的な学習と成長への欲求につながります。これは、さまざまな変化に適応し、役割の中で成長するのに役立ちます。長期的には従業員自身と雇用者を助けます。

イノベーション

 「やり抜く力」のある人は、課題に直面してもあきらめにくいため、問題の革新的な解決策を見つける可能性が高いかもしれません。これは、多くの職種や業界で非常に価値があり、特に創造的な問題解決スキルが必要な場合です。

 

鍛え方

 大学受験のところで挙げた、大学の研究に基づく、『GRIT やり抜く力』『やり抜く人の9つの習慣』(ディスカヴァー)が信頼性が高いでしょう。

 

意欲と鍛えかた

パフォーマンスの向上

 意欲の高さは、生産性の向上につながり、組織はより高いレベルの成果を達成することができます。

創造性とイノベーションの促進

 意欲は人々を創造的に考えるように刺激し、イノベーションを促進することができます。意欲が高い従業員は、新しい仕事の仕方を模索する可能性が高く、これはビジネスプロセスの改善と組織の競争上の優位性につながる可能性があります。

従業員の離職率の低下

 従業員が意欲を高め、仕事を楽しんでいる場合、退職する可能性は低くなります。これは、企業にとって有益です。従業員の離職コストは高額になる可能性があるため、これは採用と新入社員のトレーニング、および生産性の低下にかかる費用の両方に関係します。

リーダーシップ開発

 職場のモチベーションは、将来のリーダーを育成することもできます。意欲的な従業員が成功を目指すとき、彼らは将来のリーダーを引き受けるために必要なスキルと特性を開発することができます。

 

鍛え方

 大学受験のところに書きました。
 『やる気が上がる8つのスイッチ』(ディスカヴァー)を紹介しました。やる気、つまり、意欲ですね。自分の能力を証明するのではなく、成長を目指す。自信をつける。自分が獲得型か回避型かを見極め、強みを活かす。ことを意識しましょう。
 原田隆史先生の目標設定用紙には、「自分がなぜその目標を達成しなければならないのか」の理由を「公私」「物心」をxy軸にした平面にたくさん書き上げる欄があります。理由をたくさん上げることで、目標達成への意欲が高まる、ということだと思います。

 

忍耐力と鍛えかた

関係構築

 同僚と強固で有意義な関係を築くには時間がかかります。忍耐は、これらの関係が自然にそして真に成長するために必要な時間を与えてくれます。

課題への対処

 すべての仕事には独自の課題とストレスがあります。忍耐は、これらの問題をより効果的に処理するのに役立ち、パフォーマンスと全体的な幸福への潜在的な悪影響を減らすことができます。

意思決定

 忍耐はより良い意思決定を可能にします。短気は、すべての潜在的な結果や代替案を考慮せずに、性急な決定を下す可能性があります。

紛争処理

 紛争や意見の相違は、どの職場でも避けられません。これらの状況に対処する鍵は忍耐です。他者の視点を傾聴し、状況を冷静に処理し、全員の利益にかなう解決策を探すことを可能にします。

顧客サービス

 仕事が顧客やクライアントと接することであれば、忍耐は重要です。顧客は耳を傾けてもらうことに感謝しています。そして、忍耐力を示すことは、彼らのニーズをよりよく理解し、したがってサービスの向上につながる可能性があります。

鍛え方

・マインドフルネス瞑想を実践する
 マインドフルネス瞑想はGoogleなどでも取り入れられています。日本の禅から宗教的な要素を排除したもので、脳に様々な変化が生じることが、科学的にわかっています。
世界のエリートがやっている最高の休息法(ダイヤモンド社)という本があります。著者はイェール大学医学部精神神経科卒業の医師の久賀谷亮先生です。日本、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、論文も多数、執筆されているのに加え、臨床医としての経験も豊富のようです。ちゃんとした本だと思います。マインドフルネス瞑想の効果について書かれています。

・共感と理解
 他人の視点を理解してください。同僚や顧客があなたをイライラさせている場合は、彼らの状況や動機を考慮してください。このより広い視点は、忍耐と思いやりを持って応答するのに役立ちます。

・運動と健康的なライフスタイル
 定期的な運動、健康的な食事、十分な睡眠は、全体的な気分とエネルギーレベルを改善し、忍耐力を練習しやすくします。

 

自制心と鍛えかた

衝動的な行動を減らす

 自制心は、しばしば間違いや誤解につながる衝動的な反応を防ぎます。行動する前に考える能力は、早まった決定を下したり、後で後悔するようなことを言ったりする可能性を減らします。

責任と誠実さを促進する

 自制心はしばしば高い責任と誠実さと密接に関係しています。それは人々が約束を守り、期限を守り、職場の倫理基準を守るのを助けます。

 

鍛え方

・マインドフルネス瞑想
 すぐ上の「忍耐力」を参照してください。自分の感情、思考、衝動をより認識できるようになり、自制心を向上させることができます。マインドフルネスはまた、衝動的な行動を引き起こすことがよくあるストレスを軽減することができます。
休息、栄養、運動なども有効です。

・自己監視
 定期的に行動と感情を監視してください。行動や感情を振り返ると、自制に苦労した状況を理解し、改善方法を特定するのに役立ちます。

・フィードバックとコーチングの依頼
 同僚、上司、部下からフィードバックを求め、行動の異なる視点を獲得してください。メンターやコーチと協力することも検討してください。彼らは建設的な批判と実行可能なアドバイスを提供することができます。

 

理解度を把握する、メタ認知と鍛えかた

課題解決

 メタ認知は、課題の特定、分析、解決において重要です。このスキルは、従業員が思考プロセスを認識し、仮定を認識し、結論を評価し、問題解決のアプローチを再考できるようにします。

自己規制

 メタ認知は自己規制スキルの開発を助けます。思考パターンや学習プロセスをより意識している個人は、行動をよりよく制御し、時間管理を行い、タスクを整理し、達成可能な目標を設定できます。

感情的知能

 メタ認知は、自己認識が感情的知能の重要な要素であるため、感情的知能と密接に関連しています。自己認識能力のある個人は、自分の感情を認識および理解できます。これにより、感情をよりよく管理し、他の人とより効果的に作業することができます。

 

鍛え方

・自己認識
 メタ認知への第一歩は、自分の強みと弱みを理解することです。自分のパフォーマンスや意思決定を定期的に振り返り、何がうまくいったか、何を改善できるかを特定します。
 原田隆史先生の目標達成用紙は「心・技・体・生活」について、成功、失敗の原因、問題点、解決策を記入する欄があります。原田隆史先生は公演で、この部分について「自分のこと知っとるか?」とおっしゃっています。

・明確な目標を設定
 明確な目標を設定することで、自分のパフォーマンスを測る基準が得られます。目標を設定する場合、SMART(Specific、Measurable、Attainable、Relevant、Time-bound)の基準を満たすようにしてください。大学受験のところで紹介した、ボーク重子さんの著書『SMARTゴール 「全米最優秀女子高生」と母親が実践した目標達成の方法(祥伝社)』は、SMARTについて、詳しく解説しています。

・フィードバック
 フィードバック(与えることと受けることの両方)は、メタ認知を向上させるために重要です。フィードバックは、自分のパフォーマンスについての異なる視点を獲得し、必要な調整を行うのに役立ちます。

 

社会性と鍛えかた

チームワークとコラボレーション

 ほとんどの職場では、個々の努力だけではなく、チーム全体としての成果が求められます。社会性があることは、他の人々との良好な関係を築き、共通の目標に向かって協力する能力を意味します。これは新しいアイデアを生み出し、問題を解決し、より良い結果を達成するために不可欠です。

コミュニケーション

 効果的なコミュニケーションは、誤解を避け、タスクを円滑に進め、全体の生産性を向上させるために重要です。良好な社会性を持つ人は、思いやりと尊重をもって他人とコミュニケーションを取り、意見やフィードバックを効果的に伝えることができます。

職場環境の改善

 社会性のある人々は、職場でのポジティブな相互作用を通じて、より友好的で助け合いの精神を育むことができます。これは、全体的な職場の雰囲気を改善し、ストレスを減らし、満足度と生産性を向上させます。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

非認知能力とは?:大学受験での重要性、鍛え方、おすすめの本は?

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個別指導塾の一般論:メリット、選びかた、効果的な学習法、集団指導との違い

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

漠然かきっちりか、個別指導塾の生徒と先生の相性を考える

受験にコーチはいたほうがいい?自立、自律とのバランス

与えすぎると教育に失敗する?意欲を奪わない教育

オンラインで学力は上がるのか?

自由(末續慎吾、ダイヤモンド社)個別指導塾の師弟関係を考える

 

個別指導塾の一般論:メリット、選びかた、効果的な学習法、集団指導との違い

 

イントロダクション

 学校の授業でついていけなかったり、自分で勉強しても理解が深まらなかったりすることはありませんか?そんな時は、個別指導塾がおすすめです。個別指導塾では、一人ひとりに合わせたカリキュラムや指導方法で、生徒の理解度や学習スタイルに合わせた指導が受けられます。本記事では、個別指導塾のメリットや、おすすめの選び方などを紹介します。

 

1 個別指導塾のメリット

個別指導塾には、次のようなメリットがあります。

1-1. 一人ひとりに合わせた指導が受けられる

 個別指導塾では、一人ひとりの生徒に合わせた指導が受けられます。教科や学年に合わせたカリキュラムや、生徒の理解度に合わせた指導方法を用いることで、生徒の学習効果が高まります。
 大学受験塾チーム番町では、塾長1人が1度に3人まで指導していますが、その際、学年、科目、震度などはバラバラです。校内でよほどトップレベルでない限り、学校の進度と並行して授業を受けることができます。学校のテストの点が上がれば、自己効力感(自信)が上がり、さらに成績が上がったり(大学の研究で明らかになっています)、志望校を上げたり、ということが起こります。

1-2. 少人数制で質の高い指導が受けられる

 個別指導塾では、少人数制で指導を行うため、教師と生徒との距離が近く、質の高い指導を受けられます。また、集団指導と比較して、生徒の質問にも時間をかけられるため、自分が理解できていない箇所を細かく質問することができます。
 大学受験塾チーム番町では、塾長1人が1度に指導するのは3人まで。主に高校生レベルの内容を扱い、問題を解くのに時間がかかりますから、生徒がなにもせずに待っているような時間は、ほぼありません。

1-3. 自分のペースで学習できる

 個別指導塾では、自分のペースで学習することができます。学校の授業では、進み具合が遅れてしまった場合、他の生徒と一緒に進まなければならず、理解度が落ちてしまうことがあります。しかし、個別指導塾では、自分の理解度に合わせて、進み具合を調整することができます。
 大学受験塾チーム番町では、春、夏、冬など、長い休みのうちに、来学期の予習を行います。その上で、先述のように、学校と並行して授業を行うので、学校の授業の理解度が落ちる、ということは、まずないです。

 

2 個別指導塾の選び方

個別指導塾を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

2-1. 教師の質が高いかどうか

 個別指導塾の最も重要なポイントは、教師の質です。教師の経験や実績、指導方法などを確認し、信頼できる教師が指導を行う塾を選びましょう。
 大学受験塾チーム番町は、経営者である東大卒の塾長のみが個別指導を行っております。学生バイトや自称プロ講師が出てくることはありません!

2-2. カリキュラムが自分に合っているかどうか

 個別指導塾は、教科や学年に合わせたカリキュラムを用意していますが、自分が苦手な教科や理解度の低い部分に特化したカリキュラムを提供している塾もあります。自分の目的に合わせたカリキュラムを提供している塾を選びましょう。
 大学受験塾チーム番町では、高い技術を持つ専門家として、意見を述べることはありますが、おおむね、生徒が望む結果が得られそうであれば、生徒の希望するような指導を受けることができます。

2-3. 料金が適正かどうか

 個別指導塾の料金は、塾によって大きく異なります。安い塾であっても、教師の質や指導内容が十分であるとは限りません。適正な料金を提示し、教師の質や指導内容にしっかりと投資している塾を選びましょう。
 大学受験塾チーム番町には、塾長以外のスタッフはおりません。つまり、授業に関わらない、受付や事務のスタッフに給料を払わないため、その分を授業料に転嫁していません。指導の室の高さに対し授業料が適正であることは、このことからも、おわかりいただけるのではないでしょうか。
 

 

3 個別指導塾の効果的な学習方法

個別指導塾で効果的な学習方法を以下に紹介します。

3-1. 質問を積極的にする

 個別指導塾では、生徒の質問に時間をかけられるため、自分が理解できていない箇所を細かく質問することができます。質問することで、自分の理解度を深めることができます。
 大学受験塾チーム番町では、むしろ、塾長が「それなんで?」「それってそもそも何?」と生徒に質問をすることも多いです。

3-2. 見直しをしっかり行う

 授業で学んだ内容をすぐに忘れてしまうことはよくあります。個別指導塾では、自分が理解できているかどうかを確認するため、定期的にテストを行うことがあります。テストで間違えた部分や、自信がない部分は、しっかりと見直して理解を深めましょう。
 大学受験塾チーム番町では、予習は求めません。一方、ひたすら復習をして、習ったことを定着させてもらいたいと考えています。

 

4 個別指導塾の利用者の声

個別指導塾を利用した人たちからは、一般的に、以下のような声が寄せられます。

4-1. 「学校の授業では理解できなかった内容が、個別指導塾で教わるとスッと理解できた。授業の遅れを取り戻すことができた。」

4-2. 「塾に通い始めてから、成績が上がり、自信がついた。教師の方が、私の性格や学習スタイルに合わせた指導をしてくれるので、安心して通えています。」

4-3. 「授業の進み具合に合わせず、自分のペースで学べるのが良いと思います。また、自分で学習するときには、教科書やノートに目を通すだけでなく、先生に聞きたいことをリストアップしてから教えてもらうことで、効率的に学ぶことができます。」

 

5 個別指導塾と集団指導の違い

個別指導塾と集団指導の違いを以下にまとめます。

5-1. 教師と生徒との距離の違い

 個別指導塾では、教師と生徒との距離が近く、細かい質問や指導を受けることができます。一方、集団指導では、教師と生徒との距離が遠く、個人的な指導は受けにくいです。

5-2. 学習ペースの違い

 個別指導塾では、自分のペースで学習することができます。一方、集団指導では、他の生徒と一緒に進まなければならないため、自分のペースで学習することができません。

5-3. コミュニケーションの違い

 個別指導塾では、教師と生徒とのコミュニケーションがよく取れます。一方、集団指導では、生徒同士のコミュニケーションが盛んに行われるため、教師と生徒とのコミュニケーションは少なくなります。

 

まとめ

 個別指導塾は、一人ひとりに合わせた指導が受けられ、自分の理解度に合わせて学習することができるため、学習効果が高いと言われています。教師の質やカリキュラム、料金などをしっかりと比較し、信頼できる個別指導塾を選びましょう。個別指導塾で自信をつけ、成績アップを目指しましょう!

 

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漠然かきっちりか:個別指導塾の生徒と先生の性格と相性を活かすコツ

 

漠然かきっちりか:個別指導塾の生徒と先生の性格と相性を活かすコツ

 

 世界陸上2001年エドモントン大会、2005年ヘルシンキ大会の400mハードルで銅メダルを獲得された為末大さんがYouTubeチャンネル「為末大学」を開設しています。2022年7月11日に「選手の性格を見極めて効果的に指導するコーチング術」という動画をアップしています。

 

 為末さんは、選手とコーチの相性の大きな問題として、
「大枠を漠然とコーチしたいコーチ」と
「具体的に細部に指導したいコーチ」とがいると言います。

 

大雑把な個別指導塾の先生の場合

 「大枠を漠然とコーチしたいコーチ」が「大枠が漠然と行きたい選手」と合うかというと、そうでもないそうです。むしろ、「細かいところを緻密に行きたい選手」のほうが「大枠を漠然とコーチしたいコーチ」と相性が良かったりするそうです。なぜなら、たとえば2人での共同生活をイメージするとわかりやすいですが、きっちりしたい人同士だと、物を置く場所1つをとっても、衝突が生じやすいからです。
 受験だと、特に、進学校の成績が半分より上くらいの女子は、非常にきっちりしていることが多く、テスト勉強も、細部まで詰めるのが得意なことが多いです。この場合、細部を詰めるのは、彼女たちに任せておいて、ただ、それが大局観を失っている場合に、軌道修正する、大枠を意識させてあげると、受験がとてもうまくいきます。

 

きっちりの個別指導塾の先生の場合

 逆に、選手が漠然と行きたいが、コーチがきっちりやりたいタイプ、というのが生じるはずですね。為末さんによると、これもうまくいかない場合が多いそうです。これが上手くいく場合は、コーチが、具体的な指示を出すものの、選手は漠然と行きたいので、半分くらいは無視して(笑)、半分くらいは参考にしてやる、というパターンだそうです。
 そして、きっちりやりたいタイプのコーチが、きっちりやらないといけないと思っている場合、だいたいダメになるそうです。選手は自我があるのに、コーチが押し付けるので、関係が破綻するからだそうです。

 もう1つ、選手もコーチも具体的にきっちりやりたいタイプというパターンが生じるはずですが、これはすでに、上で、2人での共同生活をイメージして論じていますね。衝突が生じてうまく行きにくいようです。

 つまり、生徒が、具体的にきっちり行きたいタイプであれ、漠然と行きたいタイプであれ、個別指導塾の先生が、具体的にきっちりやらないといけないと思っている場合、上手くいかない、ということになります。
 個別指導塾の先生のパターンは、「漠然と大枠を指導する型」に限られる、ということになりそうです。

 

「管理型」の個別指導塾?

 あれ、世の中には、「管理型」、「計画を塾が立てててあげる」ことをウリにしている個別指導塾がありますよね。今まで論じてきたことからすると、このような個別指導塾は、「具体的にきっちりやりたい生徒」とも「漠然と行きたい生徒」とも上手くいかないことになりそうです。そういう塾でたまたま大学に合格するのは、おそらく、主体性を失った、誰かの言いなりで生きていくことに疑問を感じない人達なのでしょう。そして「管理型」の塾に自分のお子さん通わせる保護者の方々は、どのようなお考えなのでしょうか。恐ろしいですね。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 東大卒の塾長による個別指導

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受験にコーチはいたほうがいい?:個別指導と受験生の自立のバランスが鍵!

 

受験にコーチはいたほうがいい?:個別指導と受験生の自立のバランスが鍵!

 

 世界陸上2001年エドモントン大会、2005年ヘルシンキ大会の400mハードルで銅メダルを獲得された為末大さんがYouTubeチャンネル「為末大学」を開設しています。2021年9月3日に「コーチはいたほうがいい?」という動画をアップしています。

 

個別指導塾のコーチの重要性

 まず、コーチがいることのメリットは「全体的なバランスを把握できる」ことだと述べています。
 たとえば、受験で例えると、なんとなく学校に通って良い成績を取り、なんとなく塾に通っていたら、志望大学レベルの成績になり、なんとなく受かってしまう。結果合格すれば、なぜ自分は合格レベルの成績に達していたのかをわからなくてもいいでしょう。しかし、多くの場合、そうではないわけです。自分はなぜ、志望大学レベルの成績に足りないのか。それがわからなければ、技術的にも、精神的にも、厳しいです。誰か、全体像を把握していなければ。

 コーチングの教科書には、有名な図があるそうです。選手が不調のとき、栄養士は、「これは栄養の問題だ」と言う。ストレングストレーナーは「筋力が足りていない」と言う。バイオメカニクス(動き)の先生は「技術的な課題」と言う。メンタルサポートの人は「最近、メンタルの調子が良くない」と言う。といった図だそうです。それぞれの職業からはそう見えるが、結局、それらを全体的にマネージする存在がいて、バランスを取らなければなりません。

 これは受験も同じで、たとえば、国立文系志望の場合、英語や社会は成績が足りているが、数学が全く足りていない、という人はとても多いでしょう。普通の個別指導塾の場合、英語と数学の先生は異なるでしょう。英語の先生は、英語の宿題を出し、社会の授業も受け続けなければならず、結局、時間や集中力は有限な資源なので、数学に回す十分な時間や集中力が足りず、国立大学に不合格になる。

 大学受験塾チーム番町は、塾長が全科目を指導する個別指導塾なので、全科目の全体的なバランスを考えた上で、そのバランスまで、個別指導をしております。ある東大に行った生徒が「先生が全部見ているから強いんだと思うんですよね」と言っていました。そのあたりを理解できるから、東大に合格できるのですね。

 次に、コーチがいることのメリットは、客観性だと述べています。
 たとえば、上記のように、明らかに数学の成績が足りていないのに、客観的、冷静に、的確な対策を取れないまま、受験に不合格になる人は、とても多いと思います。チーム番町は、塾長だけが指導する個別指導塾なので、客観的に冷静に、なんのしがらみもなく、ひたすら合格に向けて、最善の対策を尽くすことができます。

 次に、メリットは、コーチは経験を持っているので、間違えにくい、と述べています。
 特に、受験は期限がありますから、失敗から学ぶということが許されにくい状況です。個別指導をしていれば、このような生徒、家庭は、こうなる、というのが、おおむね見通せます。チーム番町では、そのあたりまで含めて、個別指導をしております。

 

受験生の自立の重要性

 コーチがいることのデメリットは、独りに弱くなることだと述べています。
 為末さんの勝手な見立てでは、独りで何回か遠征したことがない、それがフィットしない人間は、だいたい勝負弱い、と述べています。最後の最後、自分しかいない、という状況に慣れていない。
 高校受験の時、校門の前まで、親が付き添うケースが増えているようです。しかし、校門の中に入れば、受験生1人で戦わなければならないわけです。果たして、親が付き添うことは、本当にプラスなのでしょうか?親の自己満足なのではないでしょうか?高校受験までに、独りで強く戦えるよう、教育をすべきなのではないでしょうか?
 大学受験塾チーム番町は、個別指導塾ですが、生徒を依存させるようなことはせず、自立してもらうことを目的に指導しております。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 東大卒の塾長による個別指導

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与えすぎると教育に失敗する?:個別指導塾と意欲を奪わない教育

 

与えすぎると教育に失敗する?:個別指導塾と意欲を奪わない教育

 

 世界陸上2001年エドモントン大会、2005年ヘルシンキ大会の400mハードルで銅メダルを獲得された為末大さんがYouTubeチャンネル「為末大学」を開設しています。2021年9月29日に「与えすぎて弱くなるってどういうことですか?」という動画をアップしています。

 

意欲を奪わない教育と個別指導塾

 為末さんは家訓を決めたそうです。「与えすぎて奪わぬように」。為末さんは「教育が陥る一番厄介なプロセス」と述べています。指導者側が、良かれと思って、相手に深く関わりすぎてしまい、いちばん重要なものを奪ってしまう。

 「いちばん重要な奪うもの」とは何か。それは、「自分が自分の人生を生きているんだという感覚」で、いちばん後天的に与えにくいもの、と述べています。意欲、継続する気持ち、好奇心。

 個別指導塾というものは「懇切丁寧に教えてくれる」と思われがちかもしれません。しかし、それは、ややもすると「与えすぎ」て「奪う」ことになりかねません。たとえば、生徒の質問に対して、すぐに正解を教えてしまう。生徒の間違った答案に対し、すぐに間違いを指摘してしまう。

 大学受験塾チーム番町の塾長は、なるべく与え過ぎぬよう、質問されても、一段階だけ正解に近づくヒントを与える。生徒が間違った答案を書いても、「どこが違うかわかる?」と聞く。その他、日頃から「なぜこうなると思う?」「そもそもそれって何?」とこちらから質問する、など、工夫しております。

 

与え過ぎると教育に失敗する

 これは、親子の関係でも同じです。本人が中学受験に乗り気でないのに、親主導で早くから塾に通わせ、本人から学ぶ意欲、継続する気持ち、好奇心を「奪い」、入学後の学校では下位層になり、また親が本人を塾に連れてくる。

 為末さんは、オーバーコーチングで指導された選手の特徴を述べています。それは、「自己評価ができない」「自分が今、いいかどうかを、全て他者に決めてもらう」「試合の後、最初に見るのはコーチの顔」といったことです。

 塾に親に連れてこられるような生徒も同じです。
 自分の状況を自分で把握する力が弱い。これは、近年、非認知能力のうちのメタ認知と言われるものと同じようなものです。
 テストで悪い点を取った時、「お母さんに怒られる」と言う。などです。

 世の中の大学受験の塾には、細かい自習のスケジュールまで、塾側が立てることを売りにしている塾があるようです。そんな塾は、本当にうまくいっているのでしょうか?たとえば、全寮制で自習の時間まで決まっている学校が、開成、灘あたりに迫った、という話は聞かないですよね。

 「与えすぎ」ると、究極的には、学ぶことが楽しい、結局、自分が学んでいる意味は何か?まで失ってしまうでしょう。

 近年、科学的根拠に基づいた教育の書籍、たとえば、『GRIT やり抜く力』(ペンシルベニア大学心理学部、アンジェラ・ダックワース教授)や『SMARTゴール 「全米最優秀女子高生」と母親が実践した目標達成の方法』(ボーク重子さん。大学の研究などに基づいて書かれている。)などが出ています。いずれも、子供の主体性、民主的といったことが重視されています。

 「与えすぎ」。やっているほうは「良かれ」と思ってやっているので、厄介な問題ですね。ただ、進学校の下位層の家庭は「与えすぎ」の結果、大切なものを奪ってしまっているようなケースが多いと思います。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 東大卒の塾長による個別指導

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オンラインで学力は上がるのか?: オンラインのデメリットと個別指導の重要性

 

オンラインで学力は上がるのか?: オンラインのデメリットと個別指導の重要性

 

 世界陸上2001年エドモントン大会、2005年ヘルシンキ大会の400mハードルで銅メダルを獲得された為末大さんがYouTubeチャンネル「為末大学」を開設しています2021年9月14日に「結局インターネットで足は速くなりますか?」という動画をアップしています。

 

 

 特に、新型コロナウイルス感染拡大の状況下、「オンライン指導」が注目されました。果たして、「オンライン」で学力は上がるのでしょうか。
 結論は、上がる人と上がりにくい人がいる、ということでしょう。

 

オンラインのメリット

 為末さんは、インターネットのメリットを、好きな時に好きな動画を見られること、と述べています。

 

オンラインのデメリットと個別指導の重要性

 一方、デメリットは、「同じ情報でも、その人が持っている前提知識と抽象的なものを理解する能力によって、全然意味が違う。」と述べています。
 ソクラテスは本や論文を書きませんでした[1]。1つの考え方として、ソクラテスは「産婆術」、つまり、出産を助けるように、質問をしたり、返ってくるものに対し追いかけたりして、対話を通して相手の理解を深める、ことを大切にしていたから、というものがあります。逆に、文章には対話がない。一方的に読むことしかできない。一方的に読むと、人は必ず読み間違える。
 これは、文章のみならず、オンラインで流される授業なども同じです。受け手が何を受け取っているかを、発信者はコントロールできない。

 大学受験塾チーム番町は個別指導塾です。
 もちろん、東大卒の塾長が授業を行いますが、それよりも、生徒からの発信が大切だと考えています。たとえば、問題を解いた答案や、私の質問に対する生徒の返答です。
 問題を解いた答案が間違っていれば、生徒が理解できていないことがわかります。
 そして、答案が、見た目は合っていたとしましょう。それでも、さらに、「理解はしていないが、なんとなく、まねをしたら合っていた」という場合が生じます。このレベルは東大に数十人合格するような学校の下位層でも多く生じます。
 一方、東大模試の反省といった、かなり高いレベルにおいても、論述式の答案などで、当塾で指導した「型」を外れている、といった場合が生じます。これも、実際に生徒の答案、発信したものを見て、個別指導をすることでしか、指導者は状況を把握できません。

 したがって、おおむね、トップ進学校の中、上位層あたりなら、オンライン授業でも、発信者が発したことを適切に受信し、学力を伸ばす可能性がある、一方で、その他大勢の人は、一方的なオンライン授業では、学力を伸ばすことが難しいケースが多い、ということになると思います。

 

出典

1.NHK. 100分de名著. 納富信留(慶應義塾大学文学部教授)

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 東大卒の塾長による個別指導

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お子さんが主体的に東大・医学部受験に挑む秘訣:自主性を引き出す方法

 

お子さんが主体的に東大・医学部受験に挑む秘訣:自主性を引き出す方法

 

 世界陸上2001年エドモントン大会、2005年ヘルシンキ大会の400mハードルで銅メダルを獲得された為末大さんがYouTubeチャンネル「為末大学」を開設しています。2020年6月6日に「子供が自ら挑戦するようになる接し方」という動画をアップしています。

 

子どもが自主性、主体性を失うとき

 為末さんは、かつて、子供にハードルを教える時、1つのレーンにハードルを置き、1人ずつ跳んでもらって、ゴールまで行ったらみんなで拍手する、というようにしたそうです。すると、転ぶ子が出て、周りの大人が「大丈夫?」と駆け寄り、子供は泣き出し、その後の子は跳ばなくなったそうです。

 「1人だと注目されて良くないのでは」と反省し、次は、5つのレーンにハードルを置き、1レーンに1人ずつ跳んでもらい、ゴールまで行ったらみんなで拍手する、というようにしたそうです。すると、1人の子がまた転び、大人たちが駆け寄り、子供たちは、高いハードルへの挑戦を避け、低いハードルのレーンに長い列ができたそうです。たとえるならば、主体的な、東大、医学部受験へのチャレンジを避けたということですね。

 

子どもの自主性を引き出す方法

 そして、次は、5つのレーンにハードルを置き、前の子が途中まで行ったら、次の子がスタートするようにしたそうです。すると、転んだ子も、注目されないし、次にもう他の子が来るので、再び走り出すようになったそうです。たとえるならば、主体的に、東大、医学部受験にチャレンジするようになった、ということですね。

 為末さんは、「子供は、周りに心配されることや、見られることが痛い」。だから、主体性を育むためには、「良かれと思って介入する所をぐっとこらえて、視線をそらし気味にする」ことが大切なのではないかと結論づけています。

 麹町中(当塾から1.3km)の前校長の工藤勇一先生は、著書などで「子供に手をかけすぎる大人たち」というようなことを、よくおっしゃっています。おおむね、為末さんの主張と同じようなことだと思います。

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お子さんが主体的に東大・医学部受験に挑む秘訣

 よく、医師の方の家庭が、お子さんに「医学部に入れ」と言い続け、お子さんのほうは、すっかりやる気を無くす、と言う話を聞きます。主体性を失ってしまった、ということですね。一番いいのは、保護者の医師の方が、医師として、社会貢献している姿を見せることなのでしょうね。

 大人として、子どもの自主性を如何に育むか、またその自主性を高等教育に対する挑戦につなげるかというテーマは、非常に重要な議題であります。この問いを解き明かすための示唆を多く持つ情報源として、為末大さんの動画に深く感銘を受けました。

 彼のビデオでは、子供達にハードル跳びを教えるための試みが詳細に説明されています。しかし、それは単なるアスレティックな指導ではなく、子供たちが自分自身の能力に挑戦し、それを克服するための自主性を培う方法として提示されています。彼の最初の試みでは、ハードルが一列に配置され、各子供が順番にハードルを跳ぶスタイルが試されました。しかし、一人が転ぶと、周囲の大人たちがすぐに駆け寄るという現象が生じました。これは結果として子供たちの自主性を奪い、自己主導の挑戦を躊躇する状況を生み出してしまったのです。

 この経験から、彼は次に、複数のハードルレーンを設け、一人ずつが同時に跳ぶというスタイルを試みました。しかし、この場合も一人が転ぶと大人たちが駆け寄る現象が生じ、子供たちは再び、挑戦を避ける傾向にありました。これは東大、医学部受験へのチャレンジを避ける様子に似ていました。

 しかし彼の最後の試みでは、彼が前の子供がまだ途中のハードルに挑んでいる間に、次の子供がスタートするという方法をとりました。これにより、一人の子供が転んでも他の子供がすでにスタートしているため、大人たちはその子供に集中せず、転んだ子供は自己主導で再度挑戦を始めるようになりました。

 このアプローチは子供たちの自主性を助長することに成功し、彼は結論として、子供たちは周りに心配されたり注目されたりすることが心地よくないと述べました。そして、親や大人が主体性を育てるためには、自分たちの介入を控えめにし、視線をそらすことが重要であると指摘しました。

 この視点は、自主性を培うための一つの方策として非常に有益であり、麹町中の前校長の工藤勇一先生が主張している「子供に手をかけすぎる大人たち」の考え方とも響き合います。

 このビデオから得た洞察を東大や医学部受験への挑戦に置き換えると、親が子供に対して過度に干渉したり、特定の道を強制したりするのではなく、子供自身が見本となる社会的な役割や価値を見つけて自らその道を選ぶことが重要だと思われます。

 まとめると、親や大人が子供の自主性を尊重し、子供が自らの挑戦に立ち向かうためのスペースを提供することで、子供は自分自身の進むべき道を見つけ、その道に挑戦する力を持つことができるということです。これは、教育の現場だけでなく、我々の日常生活においても、子供たちが自立し、自分の道を見つける力を育むための重要な考え方であると感じました。

 

主体的な挑戦とフーコー

 この文章が前提とする「自主性」や「主体性」という概念自体が、特定の歴史的・社会的文脈の中で形成された言説の産物だと言えます。「自主性」や「主体性」は、近代以降の西洋社会において、理想的な人間像として称揚(その価値を認めて、ほめたたえること)されてきた価値観であり、教育の目的を規定してきました。

 為末さんの事例は、子どもの行動が周囲の大人の反応によって大きく左右されることを示しています。大人の「心配」や「注目」は、子どもの行動を抑制し、挑戦を避けさせる効果を持ちました。これは、フーコーが指摘した規律訓練社会の一形態として捉えることができるでしょう。大人の視線や介入は、子どもを監視し、規範化する働きを持っているのです。

 しかし、為末さんは、大人が「視線をそらし気味にする」ことで、子どもの自主性を引き出すことができたと述べています。これは、規律訓練の緩和が、子どもの主体的な行動を促すという逆説的な効果を示唆しています。フーコーの権力論からすれば、権力関係は常に抵抗の可能性を内包しており、支配的な言説に対抗する Alternative な実践が生まれる余地があります。

 この文章が示唆する「自主性」や「主体性」の育成方法は、一定の積極的な意義を持ちつつも、常に批判的に吟味される必要があります。大人の介入を控えることが、常に子どもの主体性を保証するとは限らないでしょう。時には、子どもの安全や成長のために、大人が積極的に関与することも必要です。重要なのは、子どもの主体性を一つの固定的な理想像に還元するのではなく、多様な可能性を認め、支えていくことだと言えます。

 子どもの自主性や主体性をめぐる言説は、常に権力関係の文脈の中で捉え直される必要があります。この文章が提起する問題は、教育における規律訓練の在り方や、「主体性」概念の再検討を促すものだと言えるでしょう。フーコーの思想は、支配的な教育言説を問い直し、より開かれた教育の可能性を探るための重要な示唆を与えてくれます。私たちは、子どもの主体性を固定的なモデルに当てはめるのではなく、一人一人の個性や可能性を尊重し、ともに成長していくことが求められているのです。

 

主体的な挑戦とハイデガー

 人間は「世界内存在」として、常にすでに他者や事物とのつながりの中で生きています。子どもたちがハードルを跳ぶという状況もまた、こうした「世界」の一つの現れだと言えるでしょう。そこには、ハードルという物理的な対象だけでなく、周囲の大人たちや他の子どもたちとの関係性も織り込まれているのです。

 最初の事例では、一人ひとりがハードルを跳ぶ際に、周りの注目を浴びてしまったために、子どもたちは跳ぶことを躊躇するようになったとのことです。これは「非本来的」な在り方だと言えるかもしれません。子どもたちは、自分自身の可能性に向き合うのではなく、他者の視線を気にするあまり、チャレンジを避けてしまったのです。

 続く事例では、複数のレーンを用意し、子どもたちが同時にハードルを跳ぶようにしたところ、やはり躊躇が見られたそうです。ここでは、ハードルの高さという難易度が、子どもたちの主体性を阻んでいると考えられます。ハイデガーならば、このような状況を「現存在の頽落(たいらく)」(人間が本来のあり方から堕落している状態)と表現するかもしれません。子どもたちは、自分の能力に不安を感じ、低いハードルへと逃避してしまったのです。

 しかし最後の事例では、子どもたちが次々とハードルを跳ぶことで、転んでも再び立ち上がり、走り出すようになったと言います。これは、「本来的」な在り方に近いのではないでしょうか。一人ひとりが、他者の視線を意識することなく、自分自身の可能性に向かって突き進んでいるのです。

 ここで、為末さんが述べている「視線をそらし気味にする」という指摘は示唆的です。ハイデガーもまた、「非本来的」な在り方から「本来的」な在り方へと移行するためには、「良心の呼び声」に耳を傾ける必要があると説いています。子どもたちが自主性を発揮するためには、周囲の大人たちが過剰に介入するのではなく、さりげなく見守ることが大切なのかもしれません。

 もちろん、これは教育の難しさを示してもいます。子どもたちの自主性を尊重しつつ、同時に適切な助言や支援を提供することは、簡単ではありません。しかし重要なのは、一人ひとりが自分自身の存在可能性に向き合える場を作ることだと言えるでしょう。

 確かに、受験もまた、子どもたちの主体性が問われる場面だと言えます。ただし、ハイデガーならば、そこで目指されるべきは、単なる合格ではなく、自己と世界との本来的な関わりを取り戻すことだと述べるかもしれません。

 私たちが子どもたちに求めるべきは、外的な基準に合わせることではなく、自分自身の存在の意味を探究することなのです。その過程では、時に挫折や困難も経験するでしょう。しかし、そうした試練に真摯に向き合うことこそ、本来的な在り方への第一歩なのかもしれません。

 大人たちができることは、子どもたちがみずからの可能性に気づき、それを追求していけるよう、さりげなく見守ることです。過度な期待や介入は、かえって子どもたちの主体性を損ないかねません。大切なのは、一人ひとりの個性や興味関心を尊重し、その成長を信じることなのです。

 そのためにも、私たち大人自身が、「本来的」に生きるとはどういうことかを問い直す必要があるでしょう。子どもたちに自主性を求める前に、まずは私たち自身が、みずからの存在の意味を探究し続けなければなりません。そうした姿勢こそが、子どもたちにとって最良の手本となるはずです。

 

主体的な挑戦とデリダ

 まず、「主体性」や「自主性」という概念自体が、ある種の形而上学的な前提に基づいていると言えるでしょう。デリダが批判したように、西洋の思想史では、自律的で統一的な主体が想定されてきました。しかし、主体とは、言語や文化、他者との関係性の中で構築されるものであり、決して自明の存在ではありません。子どもの「主体性」や「自主性」も、大人の期待や社会的な規範の中で形作られるものであり、純粋に子ども自身に由来するものではないのです。

 また、ハードル走という行為自体も、脱構築の対象となり得ます。ハードルの高さや間隔、ゴールの設定など、全てが恣意的な規則の産物だと言えます。そして、その規則に従うことが「主体的」だとみなされる点にも、ある種の権力関係が働いていると考えられます。つまり、大人の定めたルールに従って競争することが、子どもの自主性の表れだと見做されているのです。

 さらに、為末さんの介入方法にも、脱構築の余地があります。「視線をそらし気味にする」ことで子どもの主体性を引き出そうとする試みは、ある種の戦略的な不在の効果を狙ったものだと言えます。しかし、そもそも大人の視線を意識せざるを得ない状況自体が、子どもの主体性を制約しているとも考えられます。大人の期待を内面化した子どもは、たとえ直接の介入がなくても、自ら規範に従おうとするでしょう。

 ここで、高いハードルへの挑戦が主体的だとみなされ、低いハードルを選ぶことが消極的だと捉えられていることも問題です。これは社会的な成功の基準を無批判に受け入れた価値観だと言えます。デリダの贈与論の観点からすれば、他者(社会)の期待に応えることが自主性だとするのは、真の贈与(自発的な行為)を否定することにもなりかねません。

 とはいえ、だからと言って、為末さんの実践が無意味だというわけではありません。「pharmakon(ファルマコン)」の概念が示すように、ある行為は同時に毒にも薬にもなり得るのです。大人の視線を意識せざるを得ない状況は、主体性の制約である一方で、他者との関係性の中で自己を形成する機会でもあります。ハードルの高さを選ぶことも、社会的規範への従属であると同時に、自分なりの判断を下す主体的な行為でもあり得るのです。

 重要なのは、こうした二重性や矛盾を認識し、常に自明視された前提を問い直すことでしょう。子どもの主体性や自主性を育むために、大人は戦略的に不在であろうとします。しかし、その不在もまた、一つの介入であることを忘れてはなりません。私たちは、子どもの主体性を尊重しつつも、その主体性が構築されるプロセスに無自覚であってはならないのです。

 為末さんの事例は、主体性や自主性をめぐる問題の複雑さを浮き彫りにしています。私たちは、子どもの主体性を育むために、絶えずその前提を問い直し、固定化された意味を解体していく必要があるでしょう。そうした脱構築の営みを通して、子どもの主体性は、単なる社会的規範への従属ではなく、他者との関係性の中で絶えず更新される創造的なプロセスとなるのではないでしょうか。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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東大・医学部受験のための最適な道しるべ:「普遍」と「個別」、そして「守破離」

 

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東大・医学部受験のための最適な道しるべ:「普遍」と「個別」、そして「守破離」

 

 あなたは、大学受験に向けた勉強を始める前に、どんな準備をしていますか?どのような教科書や資料を選んでいますか?一体どんなアプローチが最も効果的なのでしょうか?これらはどんな受験生でも持つ疑問であり、特に厳しい競争が予想される東大や医学部の受験においては、どういった方法で学習に取り組むべきかが重要となります。
 世界陸上2001年エドモントン大会、2005年ヘルシンキ大会の400mハードルで銅メダルを獲得された為末大さんがYouTubeチャンネル「為末大学」を開設しています。「なぜトップ選手の真似をすると競技力が低下するのか」の中で「個別と普遍」という話をされています。

 

 

普遍と個別、守破離

 陸上選手の成長の過程。選手たちはまず「普遍」、すなわち一般的な「型」を目指します。これは、理想的な走り方があり、それを目指して訓練を重ねることで、その技能は向上します。これはまさに「守」のステップで、基本的な型を守りつつ、その型を追い求めて行くことで技能の向上が見込めます。
 一方、100m9秒台のような選手を見ると、「型」を押さえているようにも見えるが、実際には教科書とは異なる独自の技術を用いています。つまり、彼らは「普遍性」を突き抜けて「個別性」の世界に足を踏み入れているのです。これがまさに「破」のステップで、普遍的な型を破り、独自の技術や戦略を導入することでさらなる向上を図っているのです。

 選手の成長段階によっては、この「個別性」の追求が逆効果になる場合もあります。まだ「普遍」に至っていない選手に対して、「個性が大切だから自由にやれ」と指導すると、選手は混乱し、方向性を見失うことがあります。この段階では、型に基づいた訓練を徹底することが最も有効です。
 一方、すでに「型」を身につけている選手に対して、「型」に固執するよう指導すると、選手は「普遍性」から進歩しようとせず、成長が止まってしまうことがあります。ここでは、一歩踏み出して自身の「個別性」を追求することが求められます。

 この考え方は、日本の伝統的な思考法である「守破離」と深く結びついています。「守破離」という言葉は、能楽の創始者とされる世阿弥が提唱したもので、まず基本的な「型」を学び(守)、次にその「型」を突き抜けて新たな技術や方法を導入する(破)、そして最終的には型から自由になり、自分だけのスタイルを作り上げる(離)というステップを表しています。学問やビジネス、芸術の世界でも広く活用されている考え方です。

 この文脈で考えると、「普遍」は「守」に該当し、普遍を突き抜けて「個別」に進むのが「破」、そして最終的に自分だけの世界を作り出すのが「離」です。

 為末さんは、多くの選手や人々がまだ「普遍」の段階にいると主張しています。そして、この段階の人々にとっては、「個別」の分析をする必要はなく、ひたすら「型」を追い求めることで技能や知識が向上すると説いています。

 

東大、医学部対策の前に

 この「普遍」と「個別」、「守破離」の考え方は、東大、医学部受験にも応用することができます。進学校の下位層の特徴の1つに、「型」に弱い、というものがあると思います。たとえば、数学の答案で、教科書にない表現を勝手に自分で作ってしまう。2×(-3)と書くべきところを、2×-3と、負の数をかけるときにカッコをつけない、などです。これは、独創性や個別性を追求する「トップの世界」とは全く異なる次元の問題です。「普遍」や「型」から、大きく逸脱した場所に位置してしまっていることを意味します。

 また、やたら「東大対策」「医学部対策」といったものをありがたがる人がいます。もちろん、最終目標としての東大入試、医学部入試がどのようなものかを初めに理解して、勉強を始めることは大切です。しかし、過度に「東大」「医学部」といった「個別」を求める前に、まず、「普遍」、たとえば数学だと、教科書の理解とチャート式などをマスターし、ベネッセ模試や河合全統記述模試などの「普遍」的な模試で、東大や医学部レベルの成績を出すことが大切だと思うのです。合格者の多くは、普通に学校に通う過程で、「普遍」をクリアしています。

 そして、普遍的な模試で、東大レベルの成績に達し、東大対策を始めたとしましょう。それはそれで、東大二次という「型」にあてはめる、という、皮肉な話になります。たとえば、東大模試の検討をする場合、文系だと、社会2科目も論述が多いので、1時間ほどかかります。その検討の内容はというと、東大二次という「型」にはめられなかった部分に対する反省であるわけです。たとえば、東大入試の現代文の論旨の追い方、答案の書き方は、当塾配布のB5用紙1枚以上のものではありませんが、塾生の答案と採点基準を見て、B5用紙に書いてあることから外れていることを指摘し、修正するよう指導するわけです。
 また、東大入試の数学や理科というものは、せいぜい「普遍」の組み合わせ、ひとひねり程度で合否が分かれていて、「普遍」から外れるものではありません。

 結局、学問の世界で、「型」から外れる、「破」が許されるのは、学部生だと卒論、または大学院に進学してから、まだ教科書や論文にかかれていないことを研究する時、という場合が多いのでしょう。大学受験エリートが、研究の世界でもう1つ成果を残せていない、と言われるのも、「守」から「破・離」への突き抜けが上手くいっていない、ということでしょうか。

 さらに普遍的なことを言うと、身の回りの日常的なこと、という普遍的なことを自分でできないのに、学校のテストや入試という個別的なことを自分でしろ、というのは、無理ですよねえ。

 

まとめ

 この記事では、為末大さんが提唱する「普遍と個別」、そして日本の古代の哲学である「守破離」について、東大や医学部への受験対策と絡めて解説しました。

 大事なのは、「普遍」をきちんと理解し、それに基づいて学習を進め、そこから「個別」へと進むことです。そして、最終的には自分だけの世界を作り上げるための戦略を練るのです。

 東大や医学部への受験は、きわめて厳しい競争を伴います。しかし、上記の考え方を採用すれば、自分の学習方法や受験対策を明確にすることができ、その結果、目標に一歩近づくことができるでしょう。

 

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大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
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靖国神社に大村益次郎像があるのはなぜ?:戊辰戦争と近代国家の出発点

 

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大学受験合格への鍵:大村益次郎が示す「戦術」と「戦略」の違い

アームストロング砲(講談社文庫、司馬遼太郎)

番町と幕末のSTEM教育

 

靖国神社に大村益次郎像があるのはなぜ?:戊辰戦争と近代国家の出発点

 

 靖国神社(千代田区九段、大学受験塾チーム番町から800m)には、大村益次郎という人の銅像が立っています。

 

大村益次郎って誰?

 大村益次郎は、元々は江戸時代末期の長州の村医者です。

 緒方洪庵の大坂適塾(大阪大学医学部の前身)の塾頭として頭角を現します。オランダ語の本で医学の他にも、数学、物理学、化学、兵学などを勉強していたようです。

 宇和島藩に在籍したこともあります。技術者として洋式軍艦(いわゆる黒船ですね)を作リました。そして、宇和島藩主伊達宗城の参勤交代に伴い、江戸に出てきます。

 江戸で大村益次郎は、現在の大村益次郎像から番町方面にしばらく南下したあたりで、「鳩居堂」という蘭学の塾を開きます。オランダ語、数学、物理学、化学、生理学、兵学などを教えていたようです。幕府の学問所の教授も務めていましたが、それにもかかわらず、この頃、長州藩にスカウトされ、長州藩に出仕するようになります。

 京都では、八月十八日の政変で京都を追われた長州は暴発し、御所に向かって攻め込み、潰走します(禁門の変、蛤御門の変)。大村益次郎も江戸にいられなくなり、長州に帰ります。

 長州は、一度は、幕府に恭順しますが(第一次長州征伐)、高杉晋作の挙兵(この時、真っ先に駆けつけたのが、初代総理大臣伊藤博文)により、反幕府派が政権を握り、幕府を迎え撃ちます(第二次長州征伐)。大村益次郎は、オランダ語で読んだ兵学を長州藩の将校に教育します。また、第二次長州征伐では、石州口方面で指揮に出向き、幕府軍を押し返します。

 その成り行き上、戊辰戦争でも、江戸で総指揮をとります。

 明治2年、京都で襲撃され、亡くなります。

 

靖国神社に大村益次郎像がある理由は?

 以下、主に、『この国のかたち』(司馬遼太郎、文春文庫)第4巻「招魂」から引用します。

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戊辰戦争戦争と近代国家の出発点

 結論を先に言うと、戊辰戦争の死者を弔うために、靖国神社の前身である「招魂社」の創設を提案したのが、大村益次郎でした。

 戊辰戦争での戦死は、それまでの「藩」「藩主」のためではなく、新しく誕生しようとしている新国家のためでした。新国家としては、新国家が「公」であるためには、戊辰戦争の戦死者を「公死」とする必要がありました。靖国神社の前身である招魂社ができたのは、そのような事情でした。招魂社は、日本における近代国家の出発点だったと言えます。

 一番最初に書いたように、大村益次郎は、元々は「村医者」、つまり農民でした。上記のように、招魂社は、「藩」を否定し、日本が近代国家になる出発点でもありましたが、もともとは武士ではなく農民の大村益次郎であればこそ、推進できた構想でもあったでしょう。

 10年後の明治12年に招魂社は靖国神社になり、「神道」によって祭祀されることになります。現在も、政治家の靖国神社への参拝は、憲法の政教分離原則との関係で問題になりますね。しかし、大村益次郎が発案した前身の招魂社は、神道でも仏教でもありませんでした。明治2年という時代に、藩も宗教も超えていた。現在の靖国神社をめぐる問題を見て、天国の大村益次郎は、何を思うでしょうか?

 

 大村益次郎を描いた小説に、司馬遼太郎さんの『花神』があります。1977年には、NHK大河ドラマにもなっています。

 

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【使い方】中学入試塾技算数100(文英堂) レベル、偏差値は?:必要な技法をほぼ網羅

 

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中学入試塾技算数の難易度、レベル

・小学校の教科書の説明を理解していて、問題をスラスラ解ける。
 ↓
・『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズで、中学受験によく出る技法を理解し、マスターしている。または、通塾していて、中学受験によく出る技法を理解し、マスターしている。
 ↓
『塾技』の左ページの説明を理解でき、右ページの問題の解説も理解できると思います。

 

中学入試塾技算数の使い方

 入試によく出る技法が、ほぼ網羅されている参考書、問題集です。大学受験の数学で言うと『チャート式』(数研出版)に例えられると思います。

 左ページの説明を理解し、右ページの問題を解けるようにしましょう。右ページの問題は、1度目は解けなくても構いません。解説を読み、理解して、✓をつけ、後日、全問解けるまでくり返しましょう。

 ただし、左ページの説明が、簡潔すぎて、中学入試の初級者が理解するのは難しいと思います。「理解」のための参考書というよりは、「中学入試算数の範囲を高速回転して穴をなくす」ための参考書だと思います。「理解」は上記のように、『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズなど、わかりやすいものがおすすめです。

 『塾技』を高速回転すれば算数は仕上がるので、「塾で配られる大量のプリントは意味がないなあ」と思うようになるかもしれません。

 

中学入試塾技算数で偏差値はどこまで伸びる?

 大学受験塾チーム番町のサイトでは、『塾技』が中学入試にどれだけ通用するのかを分析しています。

開成中学校

女子学院中学校(当塾から600m)

白百合学園中学校(当塾から1.1km)

 まず大前提として、入試というのは、満点が必要なわけではなく、一部解けない問題があってもいいということです。
 女子学院、白百合あたりは、『塾技』にほぼ似たような問題が載っている、または、せいぜい、ひとひねり、くらいの問題を解き切れれば、合格点に達します。
 開成は、『塾技』と「教科書の根本からの理解」を「組み合わせる」ことができるかで、合格点を取れるかどうかが決まっています。
 ただし、『塾技』には載っていないが、実際にその場で試してみると難しくない、たとえば「規則性」と言われる問題には、注意しましょう。
 また、図形問題は、性質上、いろいろな問題を量をこなして、「見える」ようにすることが大切だと思います。
 結論としては、『塾技』を全問スラスラ解けるようにして、実際の入試問題に慣れれば、御三家レベルの偏差値には達すると思います。

 

『中学入試塾技算数』のレイアウト

 見開きで1つの塾技になっています
 左ページに、その塾技の解説がされています。ただし、この部分が、初見だと、解説が不親切に感じる場合が多いと思うので、先述のように、「中学入試算数の範囲を高速回転して穴をなくす」ような使い方で使い、初めての理解は『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズなどがいいと思います。
 右ページの上に「入試問題で塾技をチェック!」というコーナーがあります。このページの塾技を使った入試問題と解き方が載っています。
 右ページの下に「チャレンジ入試問題」というコーナーがあります。入試問題だけが載っています。東大あたりにそれなりに受かる中学校の場合が多いですが、そのような中学校でも標準的な問題は出題されますから、中学校の名前だけで問題を判断することはできません。この部分の解答は、切り離し可能な別冊に載っています。カラフルで見やすいと思います。解説は、決して不親切ではありませんが、この本の性質上、そこまで詳しくはないと思います。

 

『中学入試塾技算数』の出版社の信頼性と実績

 『中学入試塾技算数』の出版社は文英堂です。まず、高校の英語と国語の検定教科書を出版しています。これだけで、ちゃんとした出版社ですね。
 中学入試向けには、本ページでも度々出てくる『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズや、『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズ。『最高水準問題集』など、数多くの有名な参考書、問題集が出ています。レベル、難易度は幅広いですが、特に、『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズなど、解説が詳しい参考書に定評があると思います。また、本書、『中学入試塾技算数』のように、斬新なコンセプトの参考書も多いと思います。
 中学生、高校受験、高校生、大学受験向けにも、同様に、解説が詳しかったり、コンセプトが斬新だったりして、評価の高い参考書、問題集が多いです。

 

中学入試塾技算数の目次

大きな分野わけとしては
・式と計算
・文章題
・割合
・速さ
・平面図形
・立体図形
・比
・相似
・数の性質
・規則性
・場合の数
となっています。
その中で、たとえば、仕事算、ニュートン算、転がる図形、など、中学入試によく出る技法は、ほぼ網羅されています。よほど、たとえば御三家レベルですでに合格点レベルにあるような人でない限り、欲しい物が得られる参考書だと思います。

 

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指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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