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【レベル・難易度】青チャート 数学(数研出版) :個別指導塾で使えるが、独学だと挫折の可能性も

 

【難易度・レベル】青チャート 数学(数研出版):個別指導塾で使えるが、独学だと挫折の可能性も

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青チャートの正確な名前は?

 『チャート式基礎からの数学○○』です。ただし、下記で述べるように「基礎」という言葉に惑わされると、挫折する教材です。

 

青チャートのレベル・難易度

 高校生、大学受験向けの数学の参考書です。今現在、東大、京大、国立医学部あたりに合格しそうな校内順位でないと、使いにくいと思います。
 青チャートを「使いこなす」とは、本文(章末除く)の問題を、全問解けるようにすることです。他の参考書も、おおむね、そのようにマスターしなければなりません。
 青チャートは、東大、京大、国立医学部の入試数学で合格点を超えるための「技法」が、ほぼ網羅されています。さらに、入試数学でそこまで出題頻度が高くないだろう、という技法も載っています。
 したがって、今現在、東大、京大、国立医学部あたりに、遠く届かなそうな人には、かなり負担が大きい教材です。このような人は、まずは、教科書をマスターした上で、「黄チャート」を網羅するか、わかりやすい「坂田アキラ」シリーズを網羅すると、かなり、入試数学で使う「技法」をマスターすることができます。

 

青チャートの使い方

 まずは、教科書の説明を理解し、本文(章末除く)の問題を全問解けるようにしましょう。教科書には、「チャート式」などには載っていない、問題以前の基本の「理解」の部分が、きちんと書いてあります。青チャートを使う大前提です。
 その後、青チャートの「例題」の解説を理解し、下の「練習」の問題を、一度は手を動かして解いてみるといいでしょう。「例題」と「練習」は、数値が違うくらいで、ほぼ同じ問題であることが多いです。
 青チャートの次は、東大、京大、国立医学部、東工大、早稲田、慶応あたりで合否を分けるレベルの入試問題演習をすれば、これらの大学で合格点を超えることができます。

 

青チャートは個別指導塾で使える?

 青チャートは「例題」と「練習」が、数値が違うくらいで同じような問題なので、個別指導で「例題」を先生が解説し、その後、生徒が「練習」を解くことによって、効率的に、東大、京大、国立医学部レベルに引き上げることができます。

 

青チャートは例題だけでもいい?

 例題だけでも、全問、問題を見て、パッと解き方が思い浮かぶようになれば、ほぼ、東大、京大、国立医学部レベルで合格点を超えるための技法をマスターできます。

 

青チャートの章末問題、エクササイズは解くべき?

 まずは、本文の例題を、全問、問題を見て、パッと解き方が思い浮かぶようにしましょう。それだけで、ほぼ、東大、京大、国立医学部レベル合格点を超えるための技法をマスターできます。
 青チャートの章末のエクササイズは、分野にもよりますが、上位国立大学でよく出題される分野の場合、たとえば、微分積分などは、適切に、上位国立大学で合否を分けそうなレベルの問題が多いです。先述のように、例題をマスターした後なら、例題でマスターした技法を、生の入試問題で使いこなす練習として、適切です。
 一方で、上位国立大学で、あまり出題されない分野については、例題からしてそうなのですが、章末のエクササイズも、私大のマーク型でしか出題されなそうな問題が多いです。

 

青チャートは文系にも使える?

 今現在、東大、京大、一橋あたりに合格しそうな校内順位の人は、使うことができますし、とても有効でしょう。
 一方で、成績がそこまで至ってない、あるいは、東大、京大以外の旧帝大、その他の国立大学志望の人は、青チャートではなく、黄チャートや「坂田アキラ」シリーズで、技法をマスターしたほうが、効率的に、合格に近づけると思います。

 

青チャートの解説がわからない場合は?

 まずは、教科書の説明を理解し、本文(章末除く)の問題を全問解けるようにしましょう。教科書には、「チャート式」などには載っていない、問題以前の基本の「理解」の部分が、きちんと書いてあります。
 それでも、青チャートの解説を理解できない場合、「黄チャート」や、よりわかりやすい「坂田アキラ」シリーズで技法をマスターしたほうが、効率的に、合格に近づけると思います。

 

青チャートと黄チャートとの違いは?

 本文(章末除く)でマスターできる技法は、実は、黄チャートも青チャートも、それほど変わりません。したがって、青チャートが難しく感じる人は、気軽に黄チャートに乗り換えることをおすすめします。
 ただし、本文の問題で使われている技法は同じでも、黄チャートより、青チャートのほうが、数値が複雑で、解きにくいことも多いです。したがって、数学の成績が足りておらず、純粋に技法のみをマスターしたい人は、黄チャートのほうが勉強しやすいです。
 章末のエクササイズは、黄チャートは、やや、私大で出そうな入試問題が多く、青チャートは、上位国立大学でよく出題される分野、たとえば微分積分などは、上位国立大学で、ちょうど合否を分けれレベルの適切な問題が載っていることが多いです。

 

青チャートと赤チャートとの違いは?

 これも、本文(章末除く)でマスターできる技法は、実は、赤チャートも青チャートも、それほど変わりません。
 赤チャートのほうが、章末問題のレベルが高いです。

 

青チャートとFocus Gold、フォーカスゴールドとの違いは?

 本文でマスターできる技法は、ほとんど変わりません。
 何年か前までは、Focus Gold(啓林館)のほうが、入試によく出る技法の網羅性や解説の詳しさで優れていると思われる時期があったように思いますが、現在は、ほとんど変わらないです。
 ただ、Focus Goldのほうが、すこし、東大、医学部あたりによく出る技法の網羅性が高いです。

 

青チャートと基礎問題精講との違いは?

 基礎問題精講に載っている問題は、ほぼ類題が、青チャートに載っています。したがって、時間がある人は青チャート。時間がない人は基礎問題精講でしのぐ、という戦略がいいかと思います。

 

青チャートと標準問題精講との違いは?

 標準問題精講には、青チャート本文よりも入試実戦的な問題が載っています。バラの技法の網羅度は青チャートのほうが上です。青チャート→標準問題精講という道順はアリかと思いますが、重複する問題も多いので、青チャート本文に載っていないような問題のみこなすといいかもしれません。

 

青チャートはコンパス、レベルいくつまでやればいい?飛ばしていい?

 このように考えている時点で、青チャートを「使いこなす」実力が足りていないことになります。素直に「黄チャート」や、よりわかりやすい「坂田アキラ」シリーズで技法をマスターしたほうが、効率的に、合格に近づけると思います。

 

青チャートの出版社の実績と信頼性

 数学の『青チャート』の出版社は数研出版です。
 まず、高校数学の検定教科書の進学校での採用率は圧倒的だと思います。その他、各科目の検定教科書を出版しています。高校理科あたりは、比較的有名だと思います。
 そもそも、その数研出版の代名詞が『チャート式』で、数学界では超定番です。他に知名度の面からは、『チャート式』が最も有名でしょう。
 数研出版の実績と信頼性は絶大といえます。
 一方、出版社としての数研出版の実績と信頼性は揺るがないものの、青チャート単体で見ると、後発の『Focus Gold』(啓林館)や『NEW ACTION LEGEND』(東京書籍)などの類書は、収録問題はほぼ同じながら、随所に、チャート式を上回る心配りが見られます。数研出版も、老舗の実績にあぐらをかくことなく、企業努力を続けることが大切でしょう。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 東大卒の塾長による個別指導

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【レビュー・目次】微分積分キャンパス・ゼミ(マセマ):親切な説明と具体例でわかりやすい!

 

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『微分積分キャンパス・ゼミ』はこんな人におすすめ

・数Ⅲの教科書の微積分を理解し、大学の微分積分をかじってみたい人。
・大学1年生レベルの微分積分を理解したい大学生

 

『微分積分キャンパス・ゼミ』のレビュー、評判

 『微分積分キャンパス・ゼミ』は、大学受験数学の解説が親切な参考書で有名なマセマが出している、大学の数学の参考書です。ε-N論法、ε-δ論法から、2変数関数の微分、重積分まで載っています。

 マセマの大学受験向けの参考書と同様に、副文、吹き出しによる親切な説明、式変形の途中経過の説明、などが特徴的です。論理だけでなく、具体例や直感に訴えた説明も豊富です。
 偏微分、全微分、重積分の図形的イメージなども載っています。
 そして、概念的なことだけではなく、問題とその解説も充実しています。それでいて、定理や公式の証明もされており、まずまずちゃんとしていると思います。

 『微分積分キャンパス・ゼミ』は学者の先生が書いた本ではありませんが、東大や京大の生協でも売れているそうですし、そもそも、東大や京大の学生の大半も、受験では、学者の先生が書いたわけではない教材をありがたがってきたわけですし、わからないよりはわかったほうがマシなので、大学の数学がわからない、イメージが持てないようだったら、マセマシリーズを読むといいのではないでしょうか。

 文系で、高校で数学Ⅲを履修していない人も読めることは読めると思いますが、高校の数学Ⅲの検定教科書と数学Ⅲの微分積分の計算を解説したような本を先に理解したほうがいいと思います。

 

『微分積分キャンパス・ゼミ』のレイアウト

 2色刷りなので、勉強をするモチベーションが上がると思います。
 まず、高校の教科書のように、問題以前の基本の理解の部分の解説が書かれています。このコーナーも、副文による解説が充実し、理解しやすいです。根本から理解をすることができ、丸暗記数学を避けることができます。
 次に、問題のコーナーは、見開きに2題載っています。
 左ページは「演習問題」。一番上に問題が書いてあり、その下に、解答、解説が書いてあります。ここも副文による解説が充実し、わかりやすいです。
 右ページは「実践問題」。左ページの「演習問題」と同じように考えれば解ける類題が、解答、解説の一部が空白になっています。解答はすぐ下に載っています。
 大学受験で言う『チャート式』や『Focus Gold』のように、「例題を理解して、数値が違うくらいの類題を解くことが出きる」という勉強ができるので、壁を超えやすいです。大学生向けの個別指導塾の教材にはぴったりですね(笑)。

 

『微分積分キャンパス・ゼミ』の目次

講義1 数列と関数の極限
1.数列の極限とε-N論法
2.正項級数とダランベールの判定法
3.三角関数と逆三角関数
4.指数・対数関数と双曲線関数
5.関数の極限とε-δ論法

講義2 微分法とその応用(1変数関数)
1.微分係数と導関数
2.微分計算
3.ロピタルの定理と関数の極限
4.微分法と関数のグラフ
5.テイラー展開とマクローリン展開

講義3 積分法とその応用(1変数関数)
1.不定積分
2.定積分
3.定積分のさまざまな応用

講義4 2変数関数の微分
1.2変数関数と偏微分
2.偏微分の計算と高階偏導関数
3.接平面と全微分
4.テイラー展開と極値

講義5 2変数関数の重積分
1.重積分
2.変数変換による重積分

 

『微分積分キャンパス・ゼミ』の著者、出版社の実績と信頼性

 『微分積分キャンパス・ゼミ』の著者は馬場敬之さんです。マセマの参考書のほぼ全てに関わっていると思います。マセマ社の代表取締役社長でもあります。東京大学工学部卒。博士課程終了。工学博士。理論解析、応用数学の専門家だそうです。
 『微分積分キャンパス・ゼミ』の出版社はマセマ社です。ほぼ、高校生、大学受験生、大学生向けの参考書に限られますが、解説の詳しさから、高い支持を集めています。また、高校生、大学受験生向けには、競合も多いですが、大学生向けの数学、物理のわかりやすい教材としては、おそらくトップと言って過言ではなく、東大の生協書店でも売れているようです。
 著者、出版社ともに、実績と信頼性は高いといえます。

 

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 東大卒の塾長による個別指導

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【使い方】大学への数学増刊 入試の軌跡 私大医学部(東京出版):医学部数学の難易度は?

 

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 月刊『大学への数学』で有名な東京出版が出している、慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学医学部の5年分の数学の入試過去問集です。

 

『入試の軌跡 私大医学部』の使い方は?

 『大学への数学』誌は数学マニア向けの本(?)なので、決して、解説が親切とは言えません。
 『入試の軌跡 私大医学部』の一番の特徴は、大問ごとにA(易)~D(難)の難易度のレベル分けをしていることだと思います。
 Bが『Focus Gold』『青チャート』などの本文(章末問題や巻末問題ではないという意味)の解法の組み合わせ、ひとひねりで完答でき、発想、センス、といったものは要らない問題です。東大入試は成績を開示していて、東大新聞は合格者の平均点を調査しています。東大理系もBを完答、Cで部分点、くらいで、十分、合格者平均に達します。
 『大学への数学』誌は数学マニア向けの本(?)で、数学についてはレベルが高めのコメントが多いですが、『入試の軌跡 私大医学部』の4私大医学部についてのコメントは、「B問題で完答し、C問題にどのくらい食いつけるか」といった趣旨のものが多いです。
 B問題を完答できないのなら、私大医学部の傾向と対策の前に、教科書~『Focus Gold』本文に抜けがある、という問題意識を持ったほうがいいと思います。
 C、Dについては、部分点の稼ぎ方、捨て問の見抜き方、のトレーニングにするといいでしょう。

 大学受験の数学は、他の難関大もそうですが、大問ごとに難易度の波が大きく、満点近く狙うことは難しい場合が多いです。上記のようにB問題完答、C問題部分点を達成できそうなら、数学はそのあたりにしておいて、英語や理科を強化するのがいいと思います。英語や理科は、標準レベルの網羅度を高めれば、高得点を狙える場合も多いと思います。

 他にも「医学部の数学」といった本、受験産業の用意する授業はたくさんあります。もちろん、ある程度、私大医学部の出題に傾向はあると思います。しかし、医学部受験に成功しない人は、多くの場合、傾向と対策の前、教科書~『Focus Gold』本文あたりに抜けが多いのだと思います。

 

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大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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【使い方】Focus Gold(啓林館):売っている場所、書店は?個別指導塾で使える?

 

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『Focus Gold』を売っている場所、書店は?

 Focus Goldは、基本的には学校採用専用教材です。しかし、人気があるため、大書店では売っていることがあります。東京だと、丸善丸の内本店、お茶の水店、ジュンク堂書店池袋店、など、大きめの書店に売っています。小さめの書店だと、チャート式は売っていてもFocus Goldは売っていないことが多いと思います。
 また、出版元の啓林館のWebショップでも買うことができます。

 

『Focus Gold』の最新版(5th)と旧版(4th)の違い

 『Focus Gold』は、現在、4th Editionと5th Editionが売られています。4thは2021年以前高校入学の旧課程の人向けです。5thは、2022年以降高校入学の新課程の人向けです。書店やECサイトでは、必ず確認しましょう。

 

『Focus Gold』はこんな人におすすめ

教科書本文の問題をほぼ全問解けるようになり、
 ↓
定期テストなどで東大、京大、国立医学部あたりに合格しそうな数学の成績の人

 

『Focus Gold』の使い方、レベル、難易度は?

 Focus Goldは本文の問題の受験に出そうな技法の網羅性が素晴らしいです。
 教科書を理解し、教科書の本文の基本問題を解けるようになったら、Focus Goldの本文の問題を、できない問題に✓マークをつけつつ、全問解けるようにするといいでしょう。
 ここまでで、学校の定期テストでは東大レベルの順位に入れると思いますし、河合全統記述、進研模試などの標準レベルの記述模試でも東大レベルの成績になると思います。

 Focus Goldの章末問題や巻末のほうの入試問題は、やや難易度に波があるように思うので、よほど余裕がある人以外は、とりあえず後回しでもいいかなと思います。
 入試標準レベルを的確に集めた教材が他に存在します。

 対象に「定期テストなどで東大、京大、国立医学部あたりに合格しそうな数学の成績の人」と書きました。
 現在そうでない人でも、塾長が指導し、問題を厳選すれば、十分使えると思います。
 そうでない人で独学の人には、ちょっと内容が重たいかなという気がします。もう少し内容が軽いもの、たとえば黄チャート(数研出版)を完璧にしたほうが、成績が伸びやすいと思います。

 

『Focus Gold』は個別指導塾で使える?

 Focus Goldは例題と問題が、数値が違うくらいで対応しているので、先生が例題を解説し、生徒が問題を解く、という形式で、個別指導塾でとても使いやすいです。それでいて、東大、京大、国立医学部レベルの、低く見積もっても、一歩手前くらいまでは連れて行っていってくれる教材で、個別指導塾で使う教材として、非常に優れていると思います。

 

『Focus Gold』の優れている所、ダメな所は?

 チャート式などに比べ、Focus Goldが特に優れているのは、
・数列、漸化式と場合の数、確率の融合問題が東大レベルまで収録されており、例題→類題と勉強できるのは、入試の壁を超えやすい。
・数3の微積分の入試に出る技法の網羅度が素晴らしい。特に、体積の難しめの問題の例題と類題の対応度が素晴らしい。(青チャートあたりは、例題と類題の対応、難易度が雑。)

 Focus Goldのダメなところは
・数1Aの『整数』が、悪くはないが、青チャートあたりに比べ、収録問題の安定感に欠ける気がする。
・数2Bの『図形と方程式』の「直線群の通過領域」の基本問題が載っておらず、いきなり入試レベルの問題が出てきて、おそらく面食らう。青チャートには、説明、基本問題から載っている。
・チャート式型の参考書全体に言えるが、『確率』が弱く、上位大学に通用しない。『合格る確率』(文英堂)などで補う必要あり。
・チャート式型の参考書全体に言えるが、『図形』『データ』が、共通テストの出題傾向との相性がかなり悪い。共通テスト型問題集で補う必要あり。
・チャート式型の参考書全体に言えるが、国立二次でよく出る技法と、私大マーク型でよく出る技法は、相反していて、お互いに出ないことが多いが、両方載っているので、量が膨大になりがち。大学受験塾チーム番町では、塾長が問題をランク分けしています。

 

『Focus Gold』のレイアウト

 おおむね、1ページに1問の例題が解説されています。一番上に、例題が載っています。次に、その例題を解くための着眼点、コツのようなものが書かれています。次に、その例題の解答が載っています。横には、式変形がわかりにくい部分などに、副文の解説が載っていることがあります。一番下に、例題と数値が違うくらいで、同じように考えれば解ける、類題が載っています。
 紙面は2色刷りです。ただの白黒よりは、見た目も良いので、かわいいものが好きな女子などは、勉強するモチベーションが上がる可能性もあります。

 解答は別冊冊子です。こちらも2色刷りです。チャート式と違って、本冊の章末問題には、解答が、解答冊子の何ページに載っているかが書かれています。このような細かい心配りが、チャート式を猛追している要因の1つなのだと思います。数研出版は見習ったほうがいいですね。

 

『Focus Gold』の出版社の信頼性と実績

 『Focus Gold』の出版社は、啓林館です。小中高の英語、数学、理科の検定教科書を出版しています。この時点で信頼性は絶大ですね。高校英語の『Vision Quest』シリーズは、進学校では、かなりのシェアなのではないでしょうか。
 また、学校採用の副教材も充実しています。最も有名なのが本書『Focus Gold』です。その他、『Vision Quest』の問題集や、理科の問題集『センサー』などが学校採用されていることが多いです。
 一般書籍は、小学校、中学校の教科書ワークが「新興出版社」という出版社名で、普通の書店で販売されています。
 したがって、啓林館の信頼性と実績は抜群と言えます。

 

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大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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【難易度】今年の入試で合否を分けたこの1題(東京出版) :合否を分けるレベルを体感

 

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定価は1,750円です。注意しましょう。

 

『今年の入試で合否を分けたこの1題』のレベル、難易度

・『Focus Gold』『青チャート』などで受験によく出る技法をほぼマスターし、標準レベルの記述模試では東大レベルの成績が取れる人
・旧帝大、医学部あたりで合否を分けるレベルがどの程度かを体感したい人
・入試前に実戦問題演習をしたい人

 

『今年の入試で合否を分けたこの1題』の使い方

 『今年の入試で合否を分けたこの1題』は、『月刊大学への数学』誌で有名な東京出版から毎年7月頃に発売される、臨時増刊号です。
 その年の有名大学の入試で合否を分けたであろうレベルの問題を1題取り上げています。
ただし、『月刊大学への数学』誌は数学マニア(?)向けの本なので、やや、レベルが高めに設定されていると思います。

 大学受験の数学の勉強法でも述べていますが、東京出版の参考書は、入試問題の難易度をA(易)~D(難)で評価しています。Bは教科書を理解した上で『Focus Gold』『青チャート』などの問題を使いこなせれば完答できる、発想力といったものは要らない問題です。Cは、東大理Ⅰの合格者平均程度だと、完答できないことが多いと思います。
 東大は入試の成績を開示しており、東大新聞は合格者平均点を調査しています。東大入試の数学は、Bを完答、Cで部分点、くらいで、十分に合格者平均点に達します。
Cの部分点もBレベルで十分です。

 まず最初に「問題編」として、問題だけが、分野別に収録されています。その後、「解説編」として、分野別ではなく、北海道大学から南下して熊本大学までの順で、その年のその大学の各問題の難易度、全体の出題セットの講評、なぜこの1題か、「合否を分けた1題」の解説、が収録されています。巻末には、「難易度表」として、各大学の過去5年の難易度について、横軸に「量」、縦軸に「質」をとった座標平面が載っています。

 受験の全範囲について、『Focus Gold』『青チャート』といった教材がおおむね仕上がったと思ったら、本書のB難易度の問題にどれだけ通用するか、試してみるといいかと思います。

 「この1題」だけでなく、その大学の問題全てについて、A~Dの評価だけは載っています。塾長は一応、合否を分けるレベルの問題くらいは見抜けますが、第三者の評価も加え、塾生に納得してもらうために、この本を毎年購入しています。

 世の中には、平均的な東大合格者にも解けないような難問に取り組みつつも、標準レベルの内容に抜けが多く、大学受験に成功しない人も多いようです。注意したいものです。

 

『今年の入試で合否を分けたこの1題』の問題数、どの大学が載っている?

・北海道大学理系
・東北大学理系
・筑波大学医学群
・千葉大学理系
・横浜市立大学医学部
・東京医科歯科大学医学部
・東京大学理系
・東京大学文系
・一橋大学
・東京工業大学
・東京農工大学
・慶應義塾大学理工学部
・慶應義塾大学薬学部
・慶應義塾大学医学部
・早稲田大学理工系
・上智大学理工学部
・東京慈恵会医科大学医学部
・日本医科大学
・防衛医科大学校医学科
・山梨大学医学部(後期)
・新潟大学理系
・名古屋大学理系
・金沢大学理系
・京都大学理系
・京都大学文系
・京都府立医科大学
・同志社大学理系
・京都薬科大学
・近畿大学医学部
・大阪医科薬科大学
・大阪大学文系
・大阪大学理系
・大阪公立大学理系(前期)
・大阪公立大学工学部(中期)
・神戸大学理系
・岡山大学理系
・広島大学理系
・徳島大学医、歯、薬学部
・産業医科大学
・九州大学理系
・熊本大学医学部

以上41問。

 

 

この問題が合否を決める!(東京出版)

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 上記の『合否を分けたこの1題』の3年分を再編集し、問題を厳選したものです。受験生は年度別『合否を分けたこの1題』と同じような使い方ができると思います。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

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【レベル】合格る確率(文英堂):東大や京大や医学部に受かる?優先問題は?

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

 

【レベル】合格る確率(文英堂):東大や京大や医学部に受かる?優先問題は?

 

数学の確率で悩んでいる人へ

 数学の確率で、教科書レベルの基本や、青チャート、Focus Gold(啓林館)あたりをマスターしたのに、難しい模試や上位大学の過去問の確率に全く歯が立たず、悩んでいませんか?
 実は、確率は、他の代数系の分野とは異なり、上位大学では、青チャート、Focus Gold(啓林館)あたりの技法では対応しにくい問題が出題されることが多いです。
 この記事を読むと、『合格る確率』のどの問題を優先してマスターすれば、上位大学の確率に対応できるのか、『ハッと目覚める確率』(東京出版)とどちらをこなせばいいのか、などを知ることができます。

 

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正しい書名は『受かる確率』ではなく『合格る確率』

 間違えている人が多いです。注意しましょう。

 

2024年一橋大学数学で的中!

 2024年一橋大学数学第5問は、「円に内接する正n角形の頂点から、無作為に相異なる3点を選んだとき、その3点を頂点とする三角形の内部に円の中心が含まれる確率を求めよ」という出題でした。
 鋭角三角形になればいいわけですが、余事象をとって、鈍角三角形の確率のほうが求めやすいです。
 そのような問題が『合格る確率』の問題番号68の例題に載っています。ほぼ的中と言っていいでしょう。
 ちなみに、2024年東京大学文系数学第4問は、一橋の「3点」が「4点」になっただけと言って良い出題でした。本問も、『合格る確率』の68番をやっていると、かなり見通しが良かったと思います。
 

 

2023年京都大学数学で的中!

 2023年京都大学理系数学第3問は(1)は、文系第1問(1)と共通で「サイコロをn回投げた時の積が5で割り切れる確率」。(2)は「サイコロをn回投げた時の積が15で割り切れる確率」と、『合格る確率』の138ページ、ITEM55と全く同じように解けばいい問題が出題されました!
 『合格る確率』の難しめの問題は、もともと、京都大学の過去問が多く載っています。

 

『合格る確率』の対象は?

教科書の場合の数、確率の分野を理解し、問題を全部解けるようになり、
 ↓
チャート式、Focus Gold(啓林館)あたりの場合の数、確率の分野の本文の問題を全部解けるようになった人。

 

『合格る確率』の使い方、レベル、難易度は?

 確率の分野は、大学入試でよく出題されます。
 しかし、代数分野は教科書の理解とチャート式、FocusGoldあたりの技法の組み合わせ、ひとひねりで対応できるのに対し、確率は実際に入試レベルの問題をマスターしておかないと、対応できないことが多いです。ですが、入試で合否を分けているレベルの類型を適切に網羅している確率の問題集は、ほとんどありません。
 この『合格る確率』は、「入試で合否を分けているレベルの類型を適切に網羅している確率の問題集」として適切だと思います。

 ステージ1からステージ5にわかれていて、徐々にレベルが上がります。ステージ1は教科書レベルの話が多く、その後も、チャート式、Focus Goldあたりと、かなり重複します。ほぼ知識ゼロから『合格る確率』を読むことも不可能ではないですが、塾長は、上記のように、教科書とチャート式、FocusGoldに載っている話は、まずはそちらでマスターすることをオススメします。なんだかんだ言って、検定教科書は、いちばん大切な一番基本の部分を、しっかり説明してくれています。
 ステージ3の途中辺りから、教科書やチャート式、Focus Gold本文には載っていないが、入試にはよく出る類型の問題が多く出てきます。『合格る確率』の真骨頂はこの部分だと思います。
 解けなかった問題に✓をつけ、全問解けるまでくり返しましょう。

  『合格る確率』では「カルノー図」という、少し珍しい図が多用されています。2つの集合であれば、たしかに、ベン図より少しだけ便利ですが、集合が3つになると、結局ベン図を使っています。

 

『合格る確率』の優先問題は?

1.Focus Goldレベル
2.教科書レベル
3.教科書レベル
4.教科書レベル
5.教科書レベル
6.Focus Goldレベル
7.教科書レベル
8.教科書レベル
9.Focus Goldレベル
10.教科書レベル
11.教科書レベル
12.教科書レベル
13.Focus Goldレベル
14.教科書レベル
15.教科書レベル
16.Focus Goldレベル
17.Focus Goldレベル
18.Focus Goldレベル
19.Focus Goldレベル
20.Focus Goldレベル
21.Focus Goldレベル
22.Focus Goldレベル
23.教科書レベル
24.Focus Goldレベル
25.Focus Goldレベル
26.教科書レベル
27.Focus Goldレベル
28.Focus Goldレベル
29.Focus Goldレベル
30.教科書レベル
31.Focus Goldレベル
32.Focus Goldレベル
33.本書特有(優先度高)サイコロの積が◯の倍数、といった問題(後述)にも応用できる。
34.本書特有(優先度中)
35.本書特有(私大向け)碁盤の目状の道順の場合の数を書き込んで求める。
36.本書特有(優先度中)碁盤の目状の道順の典型問題にひとひねり。入試でもひとひねりはありがち。
37.本書特有(優先度高)推移グラフ+道順の場合の数を書き込む。国立二次でも出そう。
38.Focus Goldレベル
39.Focus Goldレベル
40.本書特有(優先度低)
41.Focus Goldレベル 私大向け。
42.Focus Goldレベル
43.Focus Goldレベル+α
44.Focus Goldレベル+α 42~44は、例の部屋分け、空き部屋があっていい、ダメの話。
45.本書特有 トーナメント。
46.Focus Goldレベル+α n人じゃんけん。
47.Focus Goldレベル
48.Focus Goldレベル
49.Focus Goldレベル
50.Focus Goldレベル
51.Focus Goldレベル
52.教科書レベル
53.本書特有(優先度高) 3勝リードで優勝。推移グラフを書き、場合の数を書き入れる。
54.本書特有(優先度高) 2勝リードで優勝。2回の試行を1単位として考える。偶奇での場合分け基本編。
55.本書特有(優先度高) 「積が◯の倍数」は頻出
56.本書特有(優先度高) 積が12の倍数がやや難しい
57.Focus Goldレベル
58.Focus Goldレベル+α サイコロをn回投げたときの最大値と最小値の差。難しくはない。
59.本書特有(優先度高) 少し複雑な反復試行。
60.本書特有(優先度高) 文字を含む少し難しめの確率。
61.教科書レベル
62.教科書レベル
63.教科書レベル
64.本書特有(優先度高) 入試実戦的な条件付き確率はFocus Gold本文などは弱い。
65.教科書レベル+α 抽象的な条件付き確率。
66.本書特有(優先度低) 2事象の独立を示すという、あまり見ない問題。
67.Focus Goldレベル
68.本書特有(優先度高) 円に内接する三角形という、ありがちな設定。Σも使う。
69.本書特有(優先度中) 場合の数を格子点で考える。格子点は先にFocus Goldなどで。
70.本書特有(優先度高) 2連勝で優勝。偶奇で場合分けする問題は、わりと出る。
71.本書特有(優先度中) n回目に初めて◯◯する確率。
72.本書特有(優先度高) Σを使う王道問題。
73.教科書レベル
74.教科書レベル
75.Focus Goldレベル
76.教科書レベル
77.本書特有(優先度高) 2回の試行を1単位として考える+確率漸化式+偶奇で場合分け。
78.Focus Goldレベル
79.Focus Goldレベル やや複雑な確率漸化式。
80.Focus Goldレベル 3項間になる確率漸化式。
81.本書特有(優先度高) すごろく。難しくない。
82.Focus Goldレベル+α 3項間になる確率漸化式。場合の数版がFocusに載っている。
83.教科書レベル ただし、漸化式を立てる難しめの問題。
84.本書特有(優先度高) 2回の試行を1単位として考える+偶奇で場合分け。
85.Focus Goldレベル+α 確率漸化式+条件付き確率。
86.本書特有(優先度高) Σ+条件付き確率。
87.Focus Goldレベル理系 区分求積法との融合。
88.本書特有(理系優先度中) e(ネイピア数)に収束。
89.本書特有(優先度高) 期待値+Σ。
90.本書特有(優先度高) 期待値+Σ+二項定理。

 

『合格る確率』で東大、京大、医学部で合格点を取れる?

 東大、京大、医学部あたりも、『合格る確率』の技法を根本から理解し、使いこなせれば、合格者の平均レベルには達するでしょう。東工大、一橋大、大阪大、早稲田、慶應あたりならなおさらです。
 『合格る確率』は、このあたりの大学で合否を分ける、あるいは、難しすぎないが他の受験生に差をつけることができる、ような問題を、的確に収録しています。

 

『合格る確率』は文系にも使える?

 東大、京大、一橋あたりなら、文系の範囲は、全問こなしたいです。『合格る確率』は、このあたりの大学で合否を分ける、あるいは、難しすぎないが他の受験生に差をつけることができる、ような問題を、的確に収録しています。
 それ以外の旧帝大文系あたりも、『合格る確率』をできれば全問こなしたいですが、難しい方からある程度省いても、合格点を超えると思います。地方旧帝国大学は『合格る確率』的な問題の出題頻度がかなり下がります。まずは『年度別入試問題集』(数研出版)の*問題(頻出標準問題)前後あたりを解けるようにしたほうがいいかと思います。
 それ以外の文系大学の場合、『合格る確率』は適切ではないです。適切なレベルで、解説の詳しい問題集を使うべきです。

 

『合格る確率』と『ハッと目覚める確率』どっち?

 同じ確率系の参考書として、『ハッと目覚める確率』(東京出版)と比較されることが多いようです。『ハッと目覚める確率』のほうが難しいです。東大や医学部入試で、まだ合格ラインに達していない人は、『合格る確率』をオススメします。合否を分けるレベルの技法は、ほぼ網羅されており、ここに載っていない技法が必要な問題は、合否を分けるレベルより上である可能性が高いです。
 ただ、『合格る確率』の特徴は、上位国立大学でよく出題される、nなどの文字が入った抽象的な問題に対応できることにあります。具体的な数値の問題の難しめの問題はほとんど収録されていません。そのような問題に取り組みたい場合、『ハッと目覚める確率』を選ぶことになります。また、たとえば、『年度別入試問題集』(数研出版)の*問題(頻出標準問題)前後あたり、など、他の入試問題集で、そのような問題に取り組む、という選択肢もあると思います。

 

『合格る確率』は個別指導塾で使える?

 例題を先生が解説し、似たような問題を実際に生徒に解いてもらう、という授業形式で、ほぼ、東大、京大、国立医学部レベルの、低く見積もっても一歩手前くらいまでは連れて行ってくれる教材です。個別指導塾との相性は、非常にいいと言えます。

 

『合格る確率』のレイアウト

 見開きで1問が解説されています
 左ページ上に問題が載っています。その後、その問題の解答、解説、関連事項の解説などが載っています。右ページの下に、同じような考え方で解ける類題が載っています。類題の解答解説は、切り離し可能な別冊になっていて、勉強しやすいと思います。この別冊解答は、解説がそう親切ではありませんが、本文の問題の解説を理解できていれば、この程度の解説で十分でしょう。

 

『合格る確率』を使うのが不適切な志望校は?

 『合格る確率』は、先述のように、大半の問題が、教科書、Focus Gold(チャート式)と重複します。残りの20問ほどが、東大、京大、上位国立医学部、一橋、あたりの確率の問題でよく出る技法を扱っているのが貴重なのです。
 『合格る確率』を使うかどうかを見極める1つの方法が、「志望校の過去問の確率が、nが出てくるような抽象的な問題か」ということです。抽象的で、かつ、難しい問題は、『合格る確率』を使う価値が高いです。
 一方、具体的な数値しか出てこない確率の問題の場合、同じ「確率」の分野でも、『合格る確率』の収録問題とは、かなり傾向が異なります。上位ではない国立大学、ほとんどの私立大学は、こちらのタイプだと思います。その場合、たとえば、『年度別入試問題集』(数研出版)の「場合の数・確率」の前半の方の問題、などに取り組むと、具体的な数値を扱う確率の問題に、対応できるようになるでしょう。共通テスト型の問題でも、かなり具体的な数値を扱う確率に強くなれると思います。

 

『合格る確率』の出版社の信頼性と実績

 『合格る確率』の出版社は文英堂です。まず、高校の英語と国語の検定教科書を出版しています。これだけで、ちゃんとした出版社ですね。
 高校生、大学受験生向けには『高校これでわかる』シリーズが各科目から出ています。教科書より、少し記述が削らたり、厳密さを緩和したりして、わかりやすさを追求し、定評があります。また、各科目で出ている『高校これでわかり基礎問題集』『シグマ基本問題集』は、教科書レベルの基本的な市販の参考書で迷った時、無難にオススメできます。
 さらに、『大学受験の得点源』のように、まとめノートのような、斬新なコンセプトの本も特徴的です。本書『合格る確率』も、大学受験の確率の基本技法をほぼ網羅してしまおうという、斬新なコンセプトの本と言えます。同筆者の『合格る計算』も、高校数学の計算に特化した、斬新なコンセプトの本と言えます。
 高校生、大学受験生向けの参考書、問題集の出版社としては、信頼性、実績は抜群と言えます。
 中学入試向けには、『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズや、『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズ。『最高水準問題集』など、数多くの有名な参考書、問題集が出ています。レベル、難易度は幅広いですが、特に、『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズなど、解説が詳しい参考書に定評があると思います。また『中学入試塾技算数』のように、中学入試算数の基本技法をほぼ網羅してしまおうという、斬新なコンセプトの参考書も多いと思います。

 

他のレビューへの疑問

 

難易度が教科書基礎レベル中心?

 上記で私が実際に、『合格る確率』の問題番号とレベルを対応させたところ、どう見ても「教科書基礎レベル中心」の本とは言えないと思います。中央値は、教科書を超え、Focus Goldと重複しているレベルの問題あたりです。

 

目標偏差値は60前後?

 そもそも「どこが主催する何模試の偏差値」でしょうか?偏差値とは、母集団の平均点を偏差値50としたもので、たとえば、駿台全国模試の偏差値60と進研模試の偏差値60とでは、全くレベルが異なります。したがって単に「偏差値◯◯」という記述自体が、全く意味をなしません。
 『合格る確率』の後半の漸化式絡みやΣを使う問題には、文系だと京大、一橋あたり、理系でも地方旧帝大あたりでそのまま出題されてもいいような問題も含まれます。普通、このあたりを「目標偏差値は60前後」と表現するでしょうか?

 また、あるレビューには「ステージ3までの内容は多くの高校の定期テストでも出題されますし、偏差値55以下の大学入試でも出題されます。」とあります。
 しかし、「多くの高校の定期テストで」ステージ3の「推移グラフを書く」「2回の試行を1セットと考える」「積が12の倍数になる確率」といった問題が出題されるでしょうか?また、先述のように、「偏差値55」が「どこが主催する何模試の」偏差値55なのかが不詳ですが、一般的に、偏差値55というのは、それほど高レベルを意味しているとは思えません。そのようなレベルを目指すのであれば、「推移グラフを書く」「2回の試行を1セットと考える」「積が12の倍数になる確率」といった問題に取り組む必要はないはずです。
 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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大学受験の数学の勉強法・参考書:教科書+黄チャート+合否を分ける入試問題が合格の鍵

 

大学受験の数学の勉強法・参考書:教科書+黄チャート+合否を分ける入試問題が合格の鍵

 

数学の受験勉強の流れ

教科書本文
基本の理解、基本問題
 ↓
『黄チャート』本文など
入試によく出る技法
(ここまでで、学校のテストは東大レベルの順位になり、標準的な記述模試では東大レベルの成績になると思います。)
 ↓
入試で合否を分ける問題

という流れになります。
東大、京大、国立医学部で合否を分けるレベルも、せいぜいこの組み合わせ、ひとひねりです。
平均的な合格者はこれ以上の問題は解けません。

 

合否を分ける問題の見分けかた

 「月刊大学への数学」の東京出版が出している参考書は、難易度をA~Dに分類しています。Bは入試標準問題、だいたい、入試によく出る技法の組み合わせ、ひとひねりで解け、「発想力」といったものは不要です。

 東大は入試の成績開示をしており、東大新聞は合格者の平均点を調査しています。東大理系は、Bを完答、Cで部分点くらいで十分合格点に達します。

 大学入試の数学は、大問ごとに難易度の波が大きいことが多いです。東大も合否を分けているのは標準的な問題ですし、東大よりずっと難易度の低い○○大でも、東大で合否を分けている問題よりもずっと難しい問題が出ます。(もちろん、ほとんどの合格者が解けなかったでしょう。)(数学に対して、物理や化学は、標準レベルの参考書をこなせば、満点近く取れることも多い科目です。)

 平均的な東大合格者でも解けないような難問に取り組みつつも、合否を分ける標準レベルの内容に抜けが多く、受験に成功しない人も多いようです。気をつけたいものです。

 

すべての基本は教科書

学校の教科書+教科書ガイド
体系数学3~5(数研出版)
(章末問題はやらなくていいです)

 

 

 『体系数学』は中高一貫校で採用されることが多い教科書です。問題の答もついてくるのがプラスです。

 教科書には、数学の「理解」の部分がしっかり書かれています。教科書を「理解」すると、数学の「意味」がわかるので、下記の「受験によく出る技法」を入試で合否を分ける問題について、使いこなせるようになります。
 また、東大を始め、上位の大学ほど、参考書にそのまま載っているような有名問題というよりは、初めて見るような問題だけど、問題文を読み取って、教科書レベルの式を立てていけば解ける、といった問題を出題することが多いです。
 教科書レベルの内容を組み合わせて作ることができる問題の数は、おそらく無限に近いので、予備校の授業などで解説を受けた問題でカバーするのは無理です。
 いちばん大切なのは教科書なのです。

 復習の方法は、問題は、勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。用語や公式は(3)単語カード型がいいでしょう。

 

教科書をわかりやすく理解できます

やさしい高校数学1A、2B、3(学研)

 

 教科書レベルの基本をとても親切な解説で理解できます。上記リンクから「クリックなか見!検索」で見本を見れば、その親切さが実感できると思います。教科書を読んでも、意味がわからない人におすすめです。
 少し、教科書を超える内容も含まれます。

 

入試によく出る技法をマスター!

黄チャート(数研出版)
(章末問題はやらなくていいです)

 

 ここで、いわゆる『チャート式』型の総合参考書を何にするかは、悩ましい所です。
 現在、東大あたりに受かりそうな校内順位、偏差値の人は、『Focus Gold』(啓林館)が、東大入試の1歩手前くらいまで連れて行ってくれるほど、本文が、入試によく出る技法の網羅度が高いので、オススメです。ただし、それ以外の人には、本文だけでも、かなりきつい本だと思います。
 それ以外の人には、1冊の完全マスターを目指すという意味で、黄チャートをオススメします。
 教科書本文の次は、黄チャートの本文(章末除く)を全問解けるようにすると、入試によく出る技法をマスターできます。
黄チャート本文を完璧にすれば、進研模試や河合全統記述模試など、標準レベルの記述模試なら、東大級の成績になります。標準レベルの記述模試でできなかった問題は、黄チャートに類題が見つかることがほとんどのはずです。

 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 章末問題はやらなくていいと書きましたが、章末問題も、本文をマスターした後は、いい標準問題演習になるレベルです。
 大学入試で合否を分ける問題は、だいたい、黄チャート本文の組み合わせ、ひとひねりです。
それ以外の問題は、並の合格者は解けません。

 『青チャート』を使う人は多いと思いますが、やはり、東大、京大あたりに受かりそうな成績でないと挫折する危険性も高いと思います。難しい本を中途半端にこなすよりは、より基本的なものを完璧にしたほうが、成績は上になります。基本的なもののほうが多く出題され、また、点差が開く要因でもあるからです。

 

黄チャートレベルをわかりやすく!

面白いほどわかる本(中経出版)

 

 

 

 

 

 黄チャートを難しく感じる人の代用に。
 坂田アキラさんのシリーズは、問題の解説がとても詳しいのでスムーズに理解することができます。教科書レベルから黄チャートレベルまで
対応できます。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 

入試標準問題演習!

年度別入試問題集(数研出版)

 

 前年の入試で出題された問題が載っています。
 *問題は頻出標準問題で、だいたい、このレベルをどれだけ解けたかで合否が分かれています。*問題だけこなすと、効果的に、黄チャートでマスターした技法を入試で使いこなせるようになり、地方旧帝大あたりで
合格点を取れるでしょう。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 

わかりやすい解説で標準問題演習!

合格!(マセマ)
実力UP!問題集(マセマ)
頻出(マセマ)
ハイレベル(マセマ)

 

 

 

 

 マセマシリーズは、基本の解説や、答案の吹き出しによる解説がとても親切なので、スムーズに理解できます。
 黄チャートで技法をマスターした後、マセマで組み合わせ、ひとひねりに慣れると、『合格』で国公立大学の標準問題、『実力UP!』でほとんどの大学で合格点を取れると思います。早慶、旧帝大レベル以上を目指す場合、『頻出』『ハイレベル』あたりをこなしてもいいでしょう。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 

東大レベルの問題演習!

理系数学良問のプラチカ1A2B(河合出版)
文系数学良問のプラチカ1A2B(河合出版)

 

 難関大学向けの入試実戦問題集です。黄チャートで技法をマスターした後、『プラチカ』で組み合わせ、ひとひねりに慣れると、特に文系の場合、東大、京大を含む、トップ大学で合格点を取れるでしょう。
 1A2Bは、意外にも『理系プラチカ』よりも『文系プラチカ』のほうが難易度が高いので、注意しましょう。『理系プラチカ』は半分ほどは、Focus Gold本文と重複します。『文系』は、東大文系、京大文系、一橋対策として、特に貴重でしょう。
 ハイレベルながら、解説は親切で、スムーズに理解できます。
 ただ、数Ⅲはちょっと、東大あたりで合否を分けているレベルを超えているので、外してあります。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 

東大レベルの上積みに

ハイレベル数学の完全攻略(駿台文庫)1A2B+3

 

 1A2Bは44問、3は41問収録されています。レベルは、並の東大合格者では完答できないであろうものも含まれます。
 ただし、解説の中に、まず、問題を解くための「アプローチ」が書かれています。また、「フォローアップ」として、やはり詳しい補足や、時には1問の中に、関連する問題が複数載っていたりします。したがって、世間の評価は高いようです。東大合格レベル前後からの上積みには、おすすめできるシリーズです。
 復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。

 

まとめ

 冒頭で「合否を分ける問題の見分けかた」を書きました。
 世の中には、平均的な東大合格者は解けていないであろう問題を扱う参考書、予備校の授業が存在しますが、その存在意義はどこにあるのでしょうか。そのような問題に取り組んでいる受験生は、まず、数学は合格レベルにあるのでしょうか。数学でそのレベルで全く別の発想が必要な問題が出題されたとき、解けるのでしょうか。他の教科は合格レベルにあるのでしょうか。十分な合格レベルにあるならば、大学の勉強をしたほうが、建設的ではないでしょうか。
 そんなことを考えます。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

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