大学受験の勉強法の本:超一流になるのは才能か努力か?(文藝春秋)

 

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大学受験の勉強法の本:超一流になるのは才能か努力か?(文藝春秋)

 

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『超一流になるのは才能か努力か?』の感想・書評

2016年7月29日発売。
フロリダ州立大学心理学部のアンダース・エリクソン教授の著書です。

巻末に引用した論文、文献などがたくさん載っている、ちゃんとした本です。
エリクソン教授の研究は、他の本でも引用されています。

 

東大、医学部に合格する超一流の脳の回路を構築

 物事が上達する、勉強すれば大学受験で点数を取れる、超一流になれるメカニズムはこれだと思います。

 かつては、脳に絶対音感の回路があるかないかはすでに決まっており、変えようにも変えられない、と考えられていました。
 しかし、1990年代以降、脳には、たとえ成人でも、それまでの想定をはるかに超える適応性があり、脳の能力を自らの意思でかなり変えられる、ということが明らかになってきました。脳は適切なきっかけに反応し、自らの回路を書き換えていく。ニューロン(神経単位)の間に新たな結びつきが生じる一方、既存の結びつきは強まったり弱まったりし、脳の一部では新たなニューロンが育つこともある。
 生まれ持った才能と思われていた、絶対音感が、大人でも習得できることがわかりました。
そして、これは、絶対音感だけではなく、他の能力にも当てはまります。

 ロンドン大学の研究では、ロンドンのタクシー運転手とバス運転手の脳を比較しました。タクシー運転手は、常に、最適なルートを考える必要があるのに対し、バス運転手は、同じルートを繰り返し走るだけ、という違いがあります。
 タクシー運転手のほうが、空間把握にかかわるとされる、脳の海馬がはるかに大きかったそうです。

 東大・医学部受験生も、『超一流になるのは才能か努力か?』に書かれているような方法で、適切に、脳の神経回路を形成するようなトレーニングをすることが、超一流の大学受験生になるための努力だと思います。

 

東大、医学部に合格する超一流の最強の努力は?

 『超一流になるのは才能か努力か?』で筆者(翻訳者)は「限界的練習」と名付けています。限界を少し超える負荷を自分にかけ続けるこれが超一流になるための努力であると。

 短期記憶では数字を7ケタほど覚えるのが限界、とよく言われます。
しかし、筆者が行った実験で、被験者に、ちょうどできるかできないかの境界あたりの数を与えるトレーニングセッションを続けたところ、82ケタまで覚えられるようになったとのことです。

 東大・医学部受験生も、「現在の自分よりも少し上」の内容を適切に把握し、勉強すれば、効果的に成績を上げることができると思います。極端に言えば、数学、理科は小学校の教科書から用意し、理解していなかった部分にチェックをつけ、ひたすら復習してマスターする、という方法が超一流への努力だと思います。
 教科書が完璧になったら、入試によく出る技法がほぼ網羅されている教材に進む、限界を少し超える負荷を自分にかけます。数学なら『Focus   Gold』。物理なら『物理のエッセンス』。化学なら『化学の新標準演習』。これらが完璧になれば、進研模試や河合全統記述模試などの標準的な模試では、東大、国立医学部級の偏差値になり、実際に合格する一歩手前くらいにはなっています。
 仕上げに、実際の入試で合否を分けているレベルの入試問題で、上記の技法を使いこなす練習をする、限界を少し超える負荷を自分にかければ、合格点に達します。
 英語も、文法なら、中学レベル→高校基礎→高校標準などと限界を少し超える負荷を自分にかけ続けることができます。長文も、公立高校入試レベル→高校基礎レベル→共通テストレベル→地方国公立大レベル→東大レベルなどと、限界を少し超える負荷を自分にかけ続けることができます。
 現代文も、最初は、中学国文法の参考書の例文の音読から初め、公立高校入試レベル→共通テストレベル→地方国公立大レベル→東大レベルなどと、限界を少し超える負荷を自分にかけ続けることができます。

 ここで注意したいのは、大学受験などの受験勉強の場合、トレーニング強度が低すぎるゆえの失敗というよりは、限界を「大きく」超える負荷をかけてしまうことで、トレーニングの強度として適切さを欠く失敗のほうが、はるかに多いようです。
 数学で言うと、検定教科書が完璧でないなら完璧にすべきですし、チャート式、Focus Goldのレベルが完璧でないなら、完璧にすべきです。
 チャート式、Focus Goldのレベルに抜けが多いのに、入試で合否を分ける問題どころか、それを超えて、東大合格者も解けていないような問題の解説を予備校で聞き、数学が全くできるようにならない、という人が世の中にはとても多いのだと思います。限界を「少し」越えるのがコツです。

 また、英語の音声の倍速再生のスピードを少しずつ上げる、なども、限界を少し超える負荷を自分にかけ続ける方法としていいですね。

 

個別指導塾の強み、超一流になる目的のある努力

 『超一流になるのは才能か努力か?』では、音楽の先生が、練習していると言っているにも関わらずどうも上達していない生徒に対し、理由を把握しようとする、架空の会話があります。
 先生「何回練習したのかな。」
 生徒「10回か20回です。」
 先生「正確に弾けたことは何回あったかな?」
 生徒「そうですね、わかりません。1~2回でしょうか。」
 先生「どうやって練習したんだい?」
 生徒「えーと、ただ弾いただけです。」

 大学受験の勉強も同じです。結局、できないことをできるようにした時に、成績が上がるわけです。よく「参考書を◯周」という表現をする指導者、生徒がいます。それは、上記の生徒の「10回か20回です。」と同じで、塾長は、ほぼ意味がないと思います。出来ている部分は、ほぼやらなくてもいいです。出来ていない部分は、チェックをつけ、翌日も、翌々日も、1週間後も復習して、ひたすらできるようにする。それが、成績を上げるための、目的のある練習、学習です。
 また、本書では、「目的のある練習」には「フィードバックが不可欠」としています。上記の会話では、
 先生「正確に弾けたことは何回あったかな?」
 生徒「そうですね、わかりません。1~2回でしょうか。」
と、生徒は練習中に、指導者からフィードバックを受けることができず、どこが間違っているのかを把握できなかかったことも、練習がうまく行っていない原因ではないか、としています。
 大学受験塾チーム番町は、個別指導塾なので、生徒が答案を書いている最中に、塾長である私から、どこが間違っているのか、フィードバックを受けることができ、「目的のある練習」を実現できているのだと思います。超一流になるための適切な努力を心がけております。

 

超一流になる心的イメージ:東大、医学部受験の全体像

 「心的イメージ」とは、たとえば、超一流のチェスプレイヤーが駒の配置、相互関係を5万個ほど蓄積している、超一流のピアニストが曲全体をどんなふうに演奏するかというイメージを持ちつつ、細部についても明確なイメージを持っている、など、「木」と「森」の両方に目配りができることです。

 東大、医学部受験の数学(物理や化学はほぼ同じですし、他科目も似たようなものです)に当てはめましょう。
 生徒側は、今習っている事柄(木)を理解することも大切ですが、大学受験のためには、高校数学の体系(まずは数学の検定教科書、次に教科書を軸としてチャート式やFocus Goldなどの学校採用教材)のどこに何が載っているか(森)を把握することも大切です。
 森を把握することにより、大学入試で他分野にまたがる出題があっても、「問題文のこの部分はこれをつかい、この部分はあれを使えばいい」といった思考で解くことができます。
 指導者側も、大学入試の過去問や模試で、合否を分けるレベルなのに生徒ができていない部分があった場合、その問題自体を解説する(木)というよりは、「この教材のここに載っているよね」と、大学受験数学の体系の中のどこに抜けがあるのか(森)を示すことが大切でしょう。

 また、超一流のチェスプレイヤーともなれば、創造性が必要な新手を繰り出さなければ勝てません。しかし、そういう人ですら、駒の配置、相互関係を5万個ほど蓄積しているのです。「暗記数学」を批判する人がいますが(「暗記数学」という言葉も解釈が必要で、一般的には、意味もわからず丸暗記するのではなく、理解した上で、Focus Goldなどの技法を覚える、という解釈だと思われる。)東大、医学部受験生が数学の『チャート式』や『Focus Gold』の技法を覚えることは、超一流への適切な努力と言っていいのではないでしょうか。(ただ、Focus Goldなどの技法の暗記を必要とする日本の大学受験数学の是非には、疑問を残すところだと思いますが。)

 

浪人しても東大、医学部に合格するわけではない理由

 上記のように、上達のコツは、限界を少し超える負荷を自分にかけ続けることです。
 逆に言うと、自分の能力の範囲のことをこなし続けても、成長はしません。むしろ、改善に向けた意識的な努力をしないと、徐々に劣化します。
 大学受験界でも
、指導歴○○年、といった文言を見ることがあります。しかし、長いこと携わっていたところで、改善に向けた意識的な努力をしないと、むしろ、その人は劣化して、うすらボケた人である可能性も高いです。超一流への努力を怠っているからです。
 また、浪人としたところで、東大や医学部に受かるわけではありません。大きな理由としては、脳の回路は、自分の限界を少し越える負荷をかけ続けないと劣化するから、ということもあるでしょう。先述のように、予備校の授業は、東大合格者も解けないような問題の解説のことも多く、「自分の限界を少し越える負荷」にはあてはまらない事が多いでしょう。一生懸命、予備校の授業に出席しても成績が上がらない、ということは、超一流への努力からも外れている、ということなのです。

 

東大、医学部に合格する英作文の超一流への努力

 秋元康さんは、スタッフに「カルピスの原液を作れ」と言うそうです。その原液があれば、色々なところがそれを使ってアイスクリームやキャンディーなどを作りたいと言って来る。
 『超一流になるのは才能か努力か?』も「カルピスの原液」のようなもので、「限界的練習」を各分野に応用すれば、東大や医学部にも合格できるし、スポーツも上達するし、文章も上手に書けるようになるはずです。
 受験英語の神様と呼ばれた、故伊藤和夫先生の名著『ビジュアル英文解釈』(駿台文庫)には、ベンジャミン・フランクリンが、兄の印刷所で働いていた時に、独学し文章を書いていた話が載っています。
 余談ですが、ベンジャミン・フランクリンは、雷雨の日に凧を上げ、雷が電気であることを証明した人であり、アメリカ独立宣言の起草委員であり、アメリカ独立戦争中は外交で活躍し、現在は、100ドル紙幣の肖像の人です。
 本書には、ベンジャミン・フランクリンの文章独学法が書いてあります。
 フランクリンは、あるイギリスの雑誌の文章の筆者と同じくらいの文章をかけるようになりたいと思ったそうです。そこで、文章の内容を思い出せる程度に最低限メモし、雑誌と同じくらい質の高い文章を書くことを目指し、書いた後に元の記事と照らし合わせ、必要があれな自分の記事に修正を加える、という方法を採ったそうです。まさに、「限界的練習」を文章力に応用したわけですね。
 普通の学生であれば、中学国文法の参考書の例文→小学校の教科書レベルの文章→中学校の教科書レベルの文章→自分の好きな作家の文章、などと、限界を少し超える負荷を自分にかけ続け、フランクリンのように超一流への努力をすれば、確実に文章力は上がるでしょう。
 東大・医学部受験の英作文も同じです。中学文法の例文→高校文法基礎、高校英作文基礎レベルの英文→受験標準レベルの英文→東大・医学部レベルの英文と、限界を少し超える負荷を自分にかけ続け、日本語を見て英文を書けるようにし、超一流への努力をすれば、確実に英作文の実力は向上するはずです。
 ちなみに、本書によると、フランクリンはチェスが大好きで、文章よりもチェスに多くの時間を掛けたそうですが、チェスはそれほど上達しなかったそうです。本書では、それは、チェスについては、限界を少し超える負荷を自分にかけ続ける「限界的練習」をせず、自分の実力の範囲にとどまっていたからだろう、としています。将棋や囲碁を上達したい人は、現在の自分より少しだけ上のレベルの問題集を買ってきて(ただ、現在の自分までのレベルの本にも意外と抜けは多いと思う)、問題を解けるようにする、限界を少し超える負荷を自分にかけ続ける「限界的練習」をすることが、超一流への努力だと思います。

 

創造性も限界的練習から生まれる

 創造性、クリエイティビティが話題になることが多いです。創造性はどうすれば育めるのでしょうか?
 『超一流になるのは才能か努力か?』では、創造性も限界的練習の結果だとします。
 ピカソも、初期は、古典的な作風だった。その上で、さまざまな芸術的スタイルを探求した。つまり、限界を少し超える負荷を自分にかけようとした、「限界的練習」をした、超一流への努力をした、ということですね。
 ノーベル賞受賞者は、誰よりも多く論文を書いている。これも、限界を少し超える負荷を自分にかけようとした、「限界的練習」をした、超一流への努力をしたということですね。
 最先端に到達した人が、限界を少し超える負荷を自分にかけようとした、限界的練習によって、超一流への努力をし続けた結果が、創造性なのでしょう。

 

こういう人は『超一流になるのは才能か努力か?』を読むべき

 勉強、スポーツ、楽器、などなど、なんでも、上達したい人。先述のように、アイスにもキャンディーにもなれる、「カルピスの原液」のような本。

 

『超一流になるのは才能か努力か?』の目次

序.絶対音感は生まれつきのものか?
1.コンフォート・ゾーンから飛び出す「限界的練習」
2.脳の適応性を引き出す
3.心的イメージを磨きあげる
4.能力の差はどうやって生まれるのか?
5.なぜ経験は役に立たないのか?
6.苦しい練習を続けるテクニック
7.超一流になる子供の条件
8.「生まれながらの天才」はいるのか?
終.人生の可能性を切り拓く

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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「学力」の経済学(ディスカヴァー)

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著者は、慶應義塾大学総合政策学部教授の中室牧子先生です。
ご専門は教育経済学とのことです。
巻末に、引用した論文などがたくさん載っている、ちゃんとした本だと思います。

日本の教育には科学的根拠(エビデンス)が欠けている。
他人が子育てに成功したからといって、同じことをしても自分の子供が成功するとは限らない。
非認知能力学歴も大きく左右する。
「専門家の意見や考え」は科学的根拠(エビデンス)の信頼性の階層の最下層。

といった内容です。

塾長による書評

 

なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える(講談社現代新書)

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著者は慶應義塾大学文学部の安藤寿康先生です。
ご専門は教育心理学、行動遺伝学、進化教育学だそうです。
慶應義塾双生児研究のサイトに、本書で引用した論文などがたくさん載っている、おおむね、大学での研究に基づいた、ちゃんとした本だと思います。

前半は、教育とはなにか、といった、原理的な話が多いです。
本書のクライマックスは、第二部「教育の遺伝学」ではないでしょうか。
テストの点数などの能力が、どの程度遺伝によるもので、どの程度環境によるものか、双子による研究が述べられます。
このような行動遺伝学の研究によると、テストの成績などは、遺伝50%、遺伝に還元されない家庭環境30%、教え方や本人の変化20%だそうです。

塾長による書評

 

GRIT やり抜く力(ダイヤモンド社)

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ペンシルベニア大学心理学部のアンジェラ・ダックワース教授の著書です。
大学での研究、調査に基づく話がたくさん出てくる、ちゃんとした本です。
アンジェラ・ダックワース教授の研究は、他の多くの本で引用されています。

非認知能力の内容に「やり抜く力」が挙げられます。
まさに、「やり抜く力」の重要性、どのように育むか、などが述べられます。

「賢明な子育て」の科学的結論は「要求は厳しいが、暖かく支援し、子供の自主性を尊重する」だそうです。

塾長による書評

 

成功の教科書(小学館)

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普通の公立中学の陸上部で7年間で13回の日本一を達成された、元中学校の先生の原田隆史先生の著書です。
大学教授ではありませんが、大学で講師をされていたこともあり、様々な家庭環境の生徒を日本一に導き、生徒や成功者を分析したということは、学術論文に近いものがあると思います。
「非認知能力」という言葉こそ使われていませんが(流行る前から現場で実践していたからでしょう)、現在、「非認知能力」とされているものを育むための具体的な方法が語られています。

古今東西の成功者を分析して指導に生かされたそうです。

成功は、人間の生まれ持った質ではなく、つくるものである。
物事の結果を決める要因は「心・技・体・生活」で、特に「技」の前に「心」が大切だとおっしゃいます。
「心」の内容として「やり抜く力」「意欲」「自信」といった「非認知能力」のかなりの部分がカバーされています。
日誌(その日すべき事の予定と実績)をつけ、毎日少しづつ、目標への階段を登る、といった目標達成の技法も、「やり抜く力」「自分の現在の状況を把握する力」などを育む方法と言ってもいいでしょう。

 

子供の夢を叶える家族の教科書(学研)

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上記の原田隆史先生の著書です。

上記の『なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える』では、テストの点数などの要因は、遺伝に還元されない家庭環境30%であると述べられます。
また、上記の『GRIT やりぬく力』では、「賢明な子育て」の科学的結論が述べられます。
家庭環境はテストの点数に非常に大切です。
その実践編、という位置づけでいいのではないでしょうか。

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 東大卒の塾長による個別指導

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大学受験塾チーム番町オススメ 勉強法の本5選:科学的根拠に基づき脳を鍛える

 

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受験脳の作り方(新潮文庫、池谷裕二)

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 東大で脳科学を研究している池谷裕二教授の著書です。巻末に引用した論文などが載っている、ちゃんとした本です。

 大命題として、本書にある「脳は生きるのに不可欠な情報以外は忘れる」というものを掲げたいと思います。勉強した内容を忘れる、いや、ある内容を勉強したこと自体を忘れるので、大学受験の成績が上がらない人が多いのです。
 すると、大学受験の勉強のコツは、いかに、脳に「生きるのに不可欠」と判断させるか、ということになりそうです。
 本書に「くり返しが大切」とあるように、くり返しの回数を多く取れば、脳は「生きるのに不可欠」と判断するでしょう。これに関し、有名な「エビングハウスの忘却曲線」が紹介されています。
 また、本書には「脳は出力を重要視する」ともあります。インプットの目的としてアウトプットを行うと、脳が「こんなに使う大切な情報なのか」と判断しやすい、ということのようです。
 そして、下記の『超一流になるのは才能か努力か』の「限界的練習」とも通じますが、少しずつ難度を上げたほうが、遅いようで速いという「スモールステップの法則」(段差の小さい階段を登り続ける)も紹介されています。たとえば、東大入試の数学で合格点を取ろうと思った場合でも、まずは、教科書の解説を理解するところから、一歩一歩、階段を登っていくのです。

勉強法の基本(当塾のサイト)

 

超一流になるのは才能か努力か?(文藝春秋)

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 フロリダ州立大学心理学部のアンダース・エリクソン教授の著書です。巻末に引用した論文、文献などがたくさん載っている、ちゃんとした本です。アンダース・エリクソン教授の研究は、他の多くの本で引用されています。『GRIT やり抜く力』のアンジェラ・ダックワース教授とも共同研究をしていて、その内容が『GRIT やり抜く力』でも述べられます。

 物事の上達のメカニズムは、脳に神経回路が構築されること。そして脳は、かつて考えられれていたよりも、はるかに成長させることができることが、明らかになっています。
 そのために、限界を少し超える負荷を自分にかけ続けることが有効だ、ということが述べられます。本書では「限界的練習」と訳されています。
たとえば、大学受験数学だと、「教科書→Focus Gold(啓林館)→入試で合否を分けるレベルの問題演習」といった段階を踏む、といったことでしょう。そして、これは、大学受験のあらゆる科目に応用できます。

 大学受験生の間では「参考書を何周」という表現が聞かれます。復習の重要性が浸透してきたのは良いことです。一方、本書では、音楽の先生と練習しても上達しない生徒の架空の会話が紹介されます。生徒は練習したのは10回か20回だが、ただ弾いただけ、と話します。
 できている問題は、そんなにくり返さなくてもいいです。逆に、できていない問題は、次の日も復習しなくてはいけません。「何周」という勉強は、あまり効率は良くないのだと思います。できていない問題にチェックをつけ、ひたすら復習してできるようにする、といった取り組みが大切だと思います。
 これが「目的のある努力」です。

塾長による書評

 

成功する練習の法則 最高の成果を引き出す42のルール(日本経済新聞出版)

 著者は、大学の先生ではありませんが、全員、アメリカの学校の先生の経験者で、その後、他の教育関係の職に移った方もいます。現場の専門家と言えます。
 著者の面々も、引用している文献も、科学的根拠(エビデンス)という面では薄弱ですが、当塾のブログで挙げているような、大学での研究に基づいた本の実践編と捉えることができるような内容ですし、「まあ、そうだよね」ということも多いです。
 本書では、効果的な練習方法を紹介しています。練習の質を向上させるための実践的な方法が述べられています。

 「パレートの法則」と呼ばれる法則があります。パレートという経済学者が「世界の富の80%は上位20%の人に偏在している」といったことを言いました。これは、他の様々な現象に当てはまります。大学受験の勉強についても、おおよそ「重要なほうから20%をこなせば、全体の80%が済んでいる」と言えます。
 「無意識にできるようになるまで徹底する」は、上記の池谷裕二教授の「スモールステップの法則」やアンダース・エリクソン教授の「限界的練習」に通じると思います。大学受験でも、簡単なことを、無意識にできるようになるまで徹底すると、そのことに脳のワーキングメモリを使わなくなるので、より高度なことに脳のワーキングメモリを割き、できるようになる、ということだと思います。
 「実践練習ではなく反復練習でこそ上達する」も同様です。大学受験でも、難しいことを要素に分割して(困難は分割せよ)、1つ1つを「無意識にできるようになるまで徹底する」ことにより、驚くほど高度なことができるようになるのだと思います。
 「手本をそのまままねさせる」は、個別指導塾の数学の授業で、教科書やFocus Gold(啓林館)を使って、「例題の解説」→「生徒が数値が違う程度の類題を解く」ことにより、東大レベルにまで連れていけることなどから、有効な練習の法則と考えます。
 さて、塾で行われている「フィードバック」は、どの程度のものでしょうか。ある時、ある有名予備校が、スタッフが、生徒のタブレット上の成績表を見ながらコメントをしているCMを流していました。この予備校としては、面倒見の良さをアピールしたのでしょうが、塾長は「ふわふわしてんなあ」と思いました。大学受験塾チーム番町では、模試を受けたら、一問一問検討し、「この教材のこのページに載っているからできるよね」といった反省をしています。

塾長による書評

 

運の方程式 チャンスを引き寄せ結果に結びつける科学的な方法(アスコム)

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 著者は鈴木祐さんという、論文マニアの方です。1976年生まれ。慶應義塾大学SFC卒業。出版社勤務を経て独立されたそうです。近年、大学などの研究論文、エビデンスに基づいた書籍を何冊も出しています。

 本書には、2021年にウィスコンシン大学などで行われた、天才に特有のパーソナリティを調べる研究が載っています。この調査で、「天才」とは、数学や語学といった学問の成績に加え、斬新なアートを生む想像力、他者をまとめるリーダーシップ、哲学的な思考の深さなど、あらゆる知的ジャンルで突出した存在、と定義しています。もちろん、大学受験で突出する能力も含まれますね。
 結論は、「好奇心の有無」でした。
 上記の池谷裕二教授によると、「脳は生きるのに不可欠な情報以外は忘れる」のでしたね。好奇心の薄い人にとって、大学受験の勉強は、「生きるのに不可欠」でない情報となってしまっているはずなのです。好奇心を高めることも、大学受験の成績を上げる上で、有効な手段なのではないかと思います。
 本書には、南メソジスト大学の実験によると、アクションリストから選んだいくつかのミッションを実行することにより、4ヶ月ほどで好奇心が高まったことが書かれています。たとえば

・最新の科学的発見や技術に関するニュース番組を読む
・いままで見たことがない新しい映画を見る

といったものです。アクションリストは、おおむね、今まで自分がやったことがないことを、やってみよう、といった内容のものが多いです。
 ぜひ、好奇心を高め、大学受験の勉強を「生きるのに不可欠」な情報にして、成績を上げ、大学受験に成功しましょう!

塾長による書評

 

勉強の哲学 来たるべきバカのために(文藝春秋、千葉雅也)

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 著者の千葉雅也先生は立命館大学の准教授(その後教授になりました)です。東大卒。フランスにも留学し、哲学、表象文化論を専攻され、フランス現代思想の研究と美術、文学、ファッションなどの批評を連関して行っているそうです。他に『現代思想入門』(講談社現代新書)などの著書があります。
 本書は、東大、京大でも売れたそうです。一言で言えば、自己啓発と自己破壊の間で揺れ動く、普遍的な「勉強」の問いを提示してくれる作品です。

 千葉雅也先生は「勉強とは自己破壊である」とおっしゃいます。
 環境の中で「こうするもんだ」という「ノリ」に合わせていた「ただのバカ」から、別の考え方=言い方をする環境へ引っ越し、「来たるべきバカ」になることであると。「ノリが悪い」「キモい」「周囲から浮いている」人だと思われるほどに語れるようにする。本書では、そうなることが「勉強」だとしています。
 いやあ、レベルが高い「勉強」ですね。周囲から浮いて、変なやつだと思われる覚悟が必要ですね。勉強とは恐ろしいものですね。

 『メイキング・オブ・勉強の哲学』のほうでは「勉強しなさい」という言葉について、少し語られています。世間一般の「勉強しなさい」は、「そこそこ稼ぎのある勤め人になってくれればいい」という程度であって、逆に、深くものを考えてヤバいこというやつになっちゃ困ると思っている、としています。勉強は恐ろしいことであると。さて、それでも、世間の保護者は子供に「勉強しなさい」という勇気があるでしょうか?

 さて、世の中には、様々な教育、勉強法の本が存在します。
 お子さん4人を東大理Ⅲに「入れた」ママの教育論。東大法学部卒、元財務官僚で現在は弁護士の「7回読み勉強法」。などなど。
 大学受験生、保護者は、何を信じればいいのでしょうか?
 『勉強の哲学 来たるべきバカのために』では、「信頼に値する他者は、粘り強く比較を続けている人である」「「勉強するにあたって信頼すべき他者は、勉強を続けている他者である」とします。つまり、その人たちは、「研究」「学問」に属している人、ということになります。
 つまり、勉強の足場とすべきは「ネット」や「一般書」ではなく、「専門書」「研究書」であるとします。「専門書」「研究書」は、専門分野の業界や学問の世界に直接・間接の関わりがあり、同種のテーマに関する他者との建設的な議論が背景にあるから信頼性の根拠がある、とのことです。
 したがって、大学受験生が教育論や勉強法について、信頼すべきは、大学の研究に基づく本ということになります。
 大学受験塾チーム番町では、教育論、勉強法について、上記のように、なるべく、大学の研究に基づく本、または、それに準ずるサンプル数のある本、をおすすめしています。
 また、大学受験塾チーム番町では、数学、物理、化学の授業で、一番基本の部分の理解に検定教科書を使います。その理由の1つに「共著であり、文科省の検定を通っている」があります。著者の言う「信頼性の根拠」に近いのだと思います。
 トップレベルの中学、高校に合格した人が、高校や大学受験の数学や理科で挫折する、というのは非常に多い話です。塾長は、この原因の1つは、検定教科書を軽視し、「信頼性の根拠」に欠ける場所に学習の足場を置いたため、教科書に書いているような「なぜそうなる」という理解をせずに、問題の解き方だけを覚えるような悪いクセが身についてしまうからではないかと思います。

塾長による書評

 

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職場(大学卒業後)における非認知能力の重要性と鍛えかた:自己効力感、やり抜く力、意欲

 

職場(大学卒業後)における非認知能力の重要性:自己効力感、やり抜く力、意欲

 

はじめに

 当塾は、大学受験塾なので、大学受験における非認知能力の重要性と鍛え方を解説しました。
 一方、非認知的能力は、社会人が持つ認知能力や技術的スキルを補完するものとして、職場において極めて重要です。非認知能力のうち、コミュニケーション能力、チームワーク、適応力といったものは、大学受験よりも、むしろ、社会に出てから重要になります。
 この記事では、これらの非認知能力が職場で重要視される理由と、その非認知能力の鍛え方について解説しています。

 

自信、自己効力感の重要性と鍛えかた

生産性の向上

 自信のある従業員は、新しい課題や責任を引き受ける可能性が高く、生産性の向上につながる可能性があります。

コミュニケーションの改善

 自信のある従業員は、自分の考えや考えをよりよく伝えることができるため、より良いチームワークとコラボレーションにつながる可能性があります。

より強い関係

 自信のある従業員は、同僚や上司とより強い関係を築く可能性が高く、よりポジティブでサポート的な職場環境につながる可能性があります。

仕事への満足度の向上

 自信のある従業員は、仕事に満足する可能性が高く、定着率の向上と離職率の低下につながる可能性があります。

 

鍛え方

 大学受験のところで、以下の本を紹介しました。

『やる気が上がる8つのスイッチ』(ディスカヴァー)

 この中で、自信を高めるには

「成功体験を積むこと。社会人ならば、職場でのオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)で成功体験を積むこと。」

と述べられています。まさに社会人の話なので、実際に仕事で成功を収めることが、自信の向上につながり、正のスパイラルを生み出します。

 

やり抜く力、GRITと鍛えかた

困難に直面した際の回復力

 職場は、高いプレッシャー、締め切り、様々な障害物などがある、困難な環境である可能性があります。「やり抜く力」を持つ従業員は、モチベーションや決意を失わずにこれらのプレッシャーに耐える可能性が高くなります。

長期的なコミットメント

 「やり抜く力」のある人は、仕事で困難な状況や挫折に直面しても、諦めたり、焦点を切り替えたりする可能性が低いです。これは、離職率を低め、生産性の向上につながる可能性があります。

継続的な成長と学習

 「やり抜く力」を持つ従業員は、自分の仕事に情熱を持っている傾向があります。これは通常、継続的な学習と成長への欲求につながります。これは、さまざまな変化に適応し、役割の中で成長するのに役立ちます。長期的には従業員自身と雇用者を助けます。

イノベーション

 「やり抜く力」のある人は、課題に直面してもあきらめにくいため、問題の革新的な解決策を見つける可能性が高いかもしれません。これは、多くの職種や業界で非常に価値があり、特に創造的な問題解決スキルが必要な場合です。

 

鍛え方

 大学受験のところで挙げた、大学の研究に基づく、『GRIT やり抜く力』『やり抜く人の9つの習慣』(ディスカヴァー)が信頼性が高いでしょう。

 

意欲と鍛えかた

パフォーマンスの向上

 意欲の高さは、生産性の向上につながり、組織はより高いレベルの成果を達成することができます。

創造性とイノベーションの促進

 意欲は人々を創造的に考えるように刺激し、イノベーションを促進することができます。意欲が高い従業員は、新しい仕事の仕方を模索する可能性が高く、これはビジネスプロセスの改善と組織の競争上の優位性につながる可能性があります。

従業員の離職率の低下

 従業員が意欲を高め、仕事を楽しんでいる場合、退職する可能性は低くなります。これは、企業にとって有益です。従業員の離職コストは高額になる可能性があるため、これは採用と新入社員のトレーニング、および生産性の低下にかかる費用の両方に関係します。

リーダーシップ開発

 職場のモチベーションは、将来のリーダーを育成することもできます。意欲的な従業員が成功を目指すとき、彼らは将来のリーダーを引き受けるために必要なスキルと特性を開発することができます。

 

鍛え方

 大学受験のところに書きました。
 『やる気が上がる8つのスイッチ』(ディスカヴァー)を紹介しました。やる気、つまり、意欲ですね。自分の能力を証明するのではなく、成長を目指す。自信をつける。自分が獲得型か回避型かを見極め、強みを活かす。ことを意識しましょう。
 原田隆史先生の目標設定用紙には、「自分がなぜその目標を達成しなければならないのか」の理由を「公私」「物心」をxy軸にした平面にたくさん書き上げる欄があります。理由をたくさん上げることで、目標達成への意欲が高まる、ということだと思います。

 

忍耐力と鍛えかた

関係構築

 同僚と強固で有意義な関係を築くには時間がかかります。忍耐は、これらの関係が自然にそして真に成長するために必要な時間を与えてくれます。

課題への対処

 すべての仕事には独自の課題とストレスがあります。忍耐は、これらの問題をより効果的に処理するのに役立ち、パフォーマンスと全体的な幸福への潜在的な悪影響を減らすことができます。

意思決定

 忍耐はより良い意思決定を可能にします。短気は、すべての潜在的な結果や代替案を考慮せずに、性急な決定を下す可能性があります。

紛争処理

 紛争や意見の相違は、どの職場でも避けられません。これらの状況に対処する鍵は忍耐です。他者の視点を傾聴し、状況を冷静に処理し、全員の利益にかなう解決策を探すことを可能にします。

顧客サービス

 仕事が顧客やクライアントと接することであれば、忍耐は重要です。顧客は耳を傾けてもらうことに感謝しています。そして、忍耐力を示すことは、彼らのニーズをよりよく理解し、したがってサービスの向上につながる可能性があります。

鍛え方

・マインドフルネス瞑想を実践する
 マインドフルネス瞑想はGoogleなどでも取り入れられています。日本の禅から宗教的な要素を排除したもので、脳に様々な変化が生じることが、科学的にわかっています。
世界のエリートがやっている最高の休息法(ダイヤモンド社)という本があります。著者はイェール大学医学部精神神経科卒業の医師の久賀谷亮先生です。日本、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、論文も多数、執筆されているのに加え、臨床医としての経験も豊富のようです。ちゃんとした本だと思います。マインドフルネス瞑想の効果について書かれています。

・共感と理解
 他人の視点を理解してください。同僚や顧客があなたをイライラさせている場合は、彼らの状況や動機を考慮してください。このより広い視点は、忍耐と思いやりを持って応答するのに役立ちます。

・運動と健康的なライフスタイル
 定期的な運動、健康的な食事、十分な睡眠は、全体的な気分とエネルギーレベルを改善し、忍耐力を練習しやすくします。

 

自制心と鍛えかた

衝動的な行動を減らす

 自制心は、しばしば間違いや誤解につながる衝動的な反応を防ぎます。行動する前に考える能力は、早まった決定を下したり、後で後悔するようなことを言ったりする可能性を減らします。

責任と誠実さを促進する

 自制心はしばしば高い責任と誠実さと密接に関係しています。それは人々が約束を守り、期限を守り、職場の倫理基準を守るのを助けます。

 

鍛え方

・マインドフルネス瞑想
 すぐ上の「忍耐力」を参照してください。自分の感情、思考、衝動をより認識できるようになり、自制心を向上させることができます。マインドフルネスはまた、衝動的な行動を引き起こすことがよくあるストレスを軽減することができます。
休息、栄養、運動なども有効です。

・自己監視
 定期的に行動と感情を監視してください。行動や感情を振り返ると、自制に苦労した状況を理解し、改善方法を特定するのに役立ちます。

・フィードバックとコーチングの依頼
 同僚、上司、部下からフィードバックを求め、行動の異なる視点を獲得してください。メンターやコーチと協力することも検討してください。彼らは建設的な批判と実行可能なアドバイスを提供することができます。

 

理解度を把握する、メタ認知と鍛えかた

課題解決

 メタ認知は、課題の特定、分析、解決において重要です。このスキルは、従業員が思考プロセスを認識し、仮定を認識し、結論を評価し、問題解決のアプローチを再考できるようにします。

自己規制

 メタ認知は自己規制スキルの開発を助けます。思考パターンや学習プロセスをより意識している個人は、行動をよりよく制御し、時間管理を行い、タスクを整理し、達成可能な目標を設定できます。

感情的知能

 メタ認知は、自己認識が感情的知能の重要な要素であるため、感情的知能と密接に関連しています。自己認識能力のある個人は、自分の感情を認識および理解できます。これにより、感情をよりよく管理し、他の人とより効果的に作業することができます。

 

鍛え方

・自己認識
 メタ認知への第一歩は、自分の強みと弱みを理解することです。自分のパフォーマンスや意思決定を定期的に振り返り、何がうまくいったか、何を改善できるかを特定します。
 原田隆史先生の目標達成用紙は「心・技・体・生活」について、成功、失敗の原因、問題点、解決策を記入する欄があります。原田隆史先生は公演で、この部分について「自分のこと知っとるか?」とおっしゃっています。

・明確な目標を設定
 明確な目標を設定することで、自分のパフォーマンスを測る基準が得られます。目標を設定する場合、SMART(Specific、Measurable、Attainable、Relevant、Time-bound)の基準を満たすようにしてください。大学受験のところで紹介した、ボーク重子さんの著書『SMARTゴール 「全米最優秀女子高生」と母親が実践した目標達成の方法(祥伝社)』は、SMARTについて、詳しく解説しています。

・フィードバック
 フィードバック(与えることと受けることの両方)は、メタ認知を向上させるために重要です。フィードバックは、自分のパフォーマンスについての異なる視点を獲得し、必要な調整を行うのに役立ちます。

 

社会性と鍛えかた

チームワークとコラボレーション

 ほとんどの職場では、個々の努力だけではなく、チーム全体としての成果が求められます。社会性があることは、他の人々との良好な関係を築き、共通の目標に向かって協力する能力を意味します。これは新しいアイデアを生み出し、問題を解決し、より良い結果を達成するために不可欠です。

コミュニケーション

 効果的なコミュニケーションは、誤解を避け、タスクを円滑に進め、全体の生産性を向上させるために重要です。良好な社会性を持つ人は、思いやりと尊重をもって他人とコミュニケーションを取り、意見やフィードバックを効果的に伝えることができます。

職場環境の改善

 社会性のある人々は、職場でのポジティブな相互作用を通じて、より友好的で助け合いの精神を育むことができます。これは、全体的な職場の雰囲気を改善し、ストレスを減らし、満足度と生産性を向上させます。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

非認知能力とは?:大学受験での重要性、鍛え方、おすすめの本は?

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個別指導塾の一般論:メリット、選びかた、効果的な学習法、集団指導との違い

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

漠然かきっちりか、個別指導塾の生徒と先生の相性を考える

受験にコーチはいたほうがいい?自立、自律とのバランス

与えすぎると教育に失敗する?意欲を奪わない教育

オンラインで学力は上がるのか?

自由(末續慎吾、ダイヤモンド社)個別指導塾の師弟関係を考える

 

個別指導塾の一般論:メリット、選びかた、効果的な学習法、集団指導との違い

 

イントロダクション

 学校の授業でついていけなかったり、自分で勉強しても理解が深まらなかったりすることはありませんか?そんな時は、個別指導塾がおすすめです。個別指導塾では、一人ひとりに合わせたカリキュラムや指導方法で、生徒の理解度や学習スタイルに合わせた指導が受けられます。本記事では、個別指導塾のメリットや、おすすめの選び方などを紹介します。

 

1 個別指導塾のメリット

個別指導塾には、次のようなメリットがあります。

1-1. 一人ひとりに合わせた指導が受けられる

 個別指導塾では、一人ひとりの生徒に合わせた指導が受けられます。教科や学年に合わせたカリキュラムや、生徒の理解度に合わせた指導方法を用いることで、生徒の学習効果が高まります。
 大学受験塾チーム番町では、塾長1人が1度に3人まで指導していますが、その際、学年、科目、震度などはバラバラです。校内でよほどトップレベルでない限り、学校の進度と並行して授業を受けることができます。学校のテストの点が上がれば、自己効力感(自信)が上がり、さらに成績が上がったり(大学の研究で明らかになっています)、志望校を上げたり、ということが起こります。

1-2. 少人数制で質の高い指導が受けられる

 個別指導塾では、少人数制で指導を行うため、教師と生徒との距離が近く、質の高い指導を受けられます。また、集団指導と比較して、生徒の質問にも時間をかけられるため、自分が理解できていない箇所を細かく質問することができます。
 大学受験塾チーム番町では、塾長1人が1度に指導するのは3人まで。主に高校生レベルの内容を扱い、問題を解くのに時間がかかりますから、生徒がなにもせずに待っているような時間は、ほぼありません。

1-3. 自分のペースで学習できる

 個別指導塾では、自分のペースで学習することができます。学校の授業では、進み具合が遅れてしまった場合、他の生徒と一緒に進まなければならず、理解度が落ちてしまうことがあります。しかし、個別指導塾では、自分の理解度に合わせて、進み具合を調整することができます。
 大学受験塾チーム番町では、春、夏、冬など、長い休みのうちに、来学期の予習を行います。その上で、先述のように、学校と並行して授業を行うので、学校の授業の理解度が落ちる、ということは、まずないです。

 

2 個別指導塾の選び方

個別指導塾を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

2-1. 教師の質が高いかどうか

 個別指導塾の最も重要なポイントは、教師の質です。教師の経験や実績、指導方法などを確認し、信頼できる教師が指導を行う塾を選びましょう。
 大学受験塾チーム番町は、経営者である東大卒の塾長のみが個別指導を行っております。学生バイトや自称プロ講師が出てくることはありません!

2-2. カリキュラムが自分に合っているかどうか

 個別指導塾は、教科や学年に合わせたカリキュラムを用意していますが、自分が苦手な教科や理解度の低い部分に特化したカリキュラムを提供している塾もあります。自分の目的に合わせたカリキュラムを提供している塾を選びましょう。
 大学受験塾チーム番町では、高い技術を持つ専門家として、意見を述べることはありますが、おおむね、生徒が望む結果が得られそうであれば、生徒の希望するような指導を受けることができます。

2-3. 料金が適正かどうか

 個別指導塾の料金は、塾によって大きく異なります。安い塾であっても、教師の質や指導内容が十分であるとは限りません。適正な料金を提示し、教師の質や指導内容にしっかりと投資している塾を選びましょう。
 大学受験塾チーム番町には、塾長以外のスタッフはおりません。つまり、授業に関わらない、受付や事務のスタッフに給料を払わないため、その分を授業料に転嫁していません。指導の室の高さに対し授業料が適正であることは、このことからも、おわかりいただけるのではないでしょうか。
 

 

3 個別指導塾の効果的な学習方法

個別指導塾で効果的な学習方法を以下に紹介します。

3-1. 質問を積極的にする

 個別指導塾では、生徒の質問に時間をかけられるため、自分が理解できていない箇所を細かく質問することができます。質問することで、自分の理解度を深めることができます。
 大学受験塾チーム番町では、むしろ、塾長が「それなんで?」「それってそもそも何?」と生徒に質問をすることも多いです。

3-2. 見直しをしっかり行う

 授業で学んだ内容をすぐに忘れてしまうことはよくあります。個別指導塾では、自分が理解できているかどうかを確認するため、定期的にテストを行うことがあります。テストで間違えた部分や、自信がない部分は、しっかりと見直して理解を深めましょう。
 大学受験塾チーム番町では、予習は求めません。一方、ひたすら復習をして、習ったことを定着させてもらいたいと考えています。

 

4 個別指導塾の利用者の声

個別指導塾を利用した人たちからは、一般的に、以下のような声が寄せられます。

4-1. 「学校の授業では理解できなかった内容が、個別指導塾で教わるとスッと理解できた。授業の遅れを取り戻すことができた。」

4-2. 「塾に通い始めてから、成績が上がり、自信がついた。教師の方が、私の性格や学習スタイルに合わせた指導をしてくれるので、安心して通えています。」

4-3. 「授業の進み具合に合わせず、自分のペースで学べるのが良いと思います。また、自分で学習するときには、教科書やノートに目を通すだけでなく、先生に聞きたいことをリストアップしてから教えてもらうことで、効率的に学ぶことができます。」

 

5 個別指導塾と集団指導の違い

個別指導塾と集団指導の違いを以下にまとめます。

5-1. 教師と生徒との距離の違い

 個別指導塾では、教師と生徒との距離が近く、細かい質問や指導を受けることができます。一方、集団指導では、教師と生徒との距離が遠く、個人的な指導は受けにくいです。

5-2. 学習ペースの違い

 個別指導塾では、自分のペースで学習することができます。一方、集団指導では、他の生徒と一緒に進まなければならないため、自分のペースで学習することができません。

5-3. コミュニケーションの違い

 個別指導塾では、教師と生徒とのコミュニケーションがよく取れます。一方、集団指導では、生徒同士のコミュニケーションが盛んに行われるため、教師と生徒とのコミュニケーションは少なくなります。

 

まとめ

 個別指導塾は、一人ひとりに合わせた指導が受けられ、自分の理解度に合わせて学習することができるため、学習効果が高いと言われています。教師の質やカリキュラム、料金などをしっかりと比較し、信頼できる個別指導塾を選びましょう。個別指導塾で自信をつけ、成績アップを目指しましょう!

 

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【使い方】共通テスト地理B超重要問題の解き方(KADOKAWA):問題集と詳しい解説で高得点へ

 

大学入試共通テストの勉強法

共通テストへの道(山川出版社)

 

【使い方】共通テスト地理B超重要問題の解き方(KADOKAWA):問題集と詳しい解説で高得点へ

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『共通テスト地理B超重要問題の解き方』の使い方、レイアウト

 大学入試共通テスト地理B対策の問題集です。系統地理編(541ページ、193問)、地誌編(559ページ、177問)の2分冊です。分厚いし、しかも、2分冊なので、圧倒されて、やる気をなくしそうです。一方、問題数は、2冊合わせて、370問です。国立医学部志望などで、共通テスト地理Bで高得点を目指すには、網羅性の観点から、この程度の問題数を全問解けるようにするべきでしょう。

 

「知識、技能の整理」コーナー

 『共通テスト地理B超重要問題の解き方』が分厚いのはなぜか?
 まず、各テーマにつき、問題部分の前に、「知識、技能の整理」というコーナーが、2~5ページほどあります。ここの解説、図解、資料などが詳しいので、共通テスト地理がまだ、あまり仕上がっていない人でも、「知識、技能の整理」の部分を読んでから問題に取り組めば、『共通テスト地理B超重要問題の解き方』だけで、共通テスト地理Bを高得点に引き上げることができます。
 この「知識、技能の整理」コーナーは、一部が赤シートで隠せるようになっています(赤シートも付属しています)。一度、「知識、技能の整理」コーナーをざっと見たあとで、もう一度、赤シートで隠しつつ、隠した部分を思い出せるようにすれば、勉強がより能動的になり、記憶の定着を助けるでしょう。
 「知識、技能の整理」コーナーの最後には「地図帳をチェック」「重要用語をチェック」という、さらにまとめたようなコーナーがあります。
 共通テスト地理Bがある程度仕上がっている人の場合、いきなり問題部分に取り組み、問題の解説を読んでも、まだピンとこないことがあれば、「知識、技能の整理」コーナーに戻ってくると、解決するかもしれません。

 

問題集部分

 次に、問題集の部分があります。各テーマにつき2~5問程度です。この問題を、不正解だったら✓をつけ、ひたすら復習しつつ、全問解けるようにしましょう。
 入試が問題の形で出題される以上、どの科目も問題演習が大切です。その中でも、共通テスト地理Bは特に問題演習が大切な分野です。丸暗記ではなく、図表を読み取り、一般常識から推測し、といった、実際に問題演習を通して出ないと、得られないものが多いからです。逆に、たとえば、私大の日本史などは、極論、教科書などの読み込みでも、かなりなんとかなりますよね。

 

問題集の解説部分

 次に、問題集部分の解説が載っています。この解説が、分量が多く、非常に詳しく親切です。「知識、技能の整理」コーナーと合わせて、まだ、あまり共通テスト地理Bが仕上がっていない人でも、『共通テスト地理B超重要問題の解き方』だけで共通テスト地理Bを高得点に引き上げるのを助けるでしょう。
 また、この解説部分も、一部を赤シートで隠せるようになっています。赤シートで隠しつつ、解説を隠した部分を思い出せるようにすると、より勉強が能動的になり、記憶の定着を助けるでしょう。

 

『共通テスト地理B超重要問題の解き方』を難しく感じる人は

 『大学入学共通テスト対応地理ノート』(山川出版社)を答を見ながら、オレンジペンで書き込み、赤シートで消してできるようにして、基本を完成させましょう。
 わからないことがあったときの調べ物用のために『共通テスト地理Bの点数が面白いほどとれる本』(KADOKAWA)を持っておくといいでしょう。ただし、初心者がこのようなページ数の多い本を通読して勉強しようとすると、分量が多く、勉強としても受動的なので、うまくいかないと思います。記憶の定着は『地理ノート』がいいと思います。

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共通テスト地理B選択が向いている人、いない人

 向いている人は、日頃からニュースなどをよく見て、世の中に関心を持っている人です。共通テスト地理Bは、受験勉強だけでは、どうも限界があり(それでも、ちゃんと勉強すればほとんどの大学には受かりますが)、初めて見る図表を、常識から判断させるような問題が出題されます。また、知識の丸暗記より、少ない知識と図表の読み取りから、正解を導き出すのが得意そうな人は、共通テスト地理Bが向いていると思います。
 逆に、日頃から世の中にあまり関心を持たず、学校の成績が良くても、学校の勉強だけをがんばったようなタイプの人は、図表と常識から正解を導き出すような共通テスト地理Bの出題に苦労するかもしれません。また、図表の読み取りは、まあ「思考力」「分析力」を必要とするので、「丸暗記脳」の人は、向いてないと思います。上位理系の場合、世界史はきついですから、地理を選ばない場合、実質、日本史か倫理・政治経済の2択だと思います。

 

『共通テスト地理B超重要問題の解き方』の出版社の信頼性と実績

 『共通テストへの道』の出版社は、KADOKAWAです。共通テストの各科目の解説書である、見た目が黄色で有名な『大学入試共通テスト◯◯の点数が面白いほど取れる本』や『物理基礎・物理が面白いほどわかる本』、『坂田アキラの◯◯が面白いほどわかる本』シリーズ(黄色)、『世界一わかりやすい京大の理系数学・文系数学』(黄色)など、解説が詳しい本に定評があると思います。
 わかりやすさという面では、信頼性と実績は絶大だと思います。

 

『共通テスト地理B超重要問題の解き方』の目次

01.地図の発達と世界地図
02.地図で見る世界(各種統計地図)
03.大地形
04.プレートテクトニクス
05.平野
06.海岸の地形
07.氷河地形・カルスト地形・乾燥地帯・サンゴ礁海岸
08.地形図読図の基本
09.扇状地
10.氾濫原と(洪積)台地
11.気温
12.降水量
13.風
14.世界の気候
15.植生・土壌
16.農業の立地条件
17.農作物の特色と栽培条件
18.世界の農業地域1
19.世界の農業地域2
20.農業統計資料の分析
21.世界の水産業と水産資源
22.林産資源の受給
23.エネルギー資源とその利用
24.鉱産資源とその利用
25.工業立地と各種工業
26.先進国の工業化と発展途上国の工業化
27.工業製品の統計資料
28.開発と環境破壊
29.大陸規模の環境問題
30.地球的規模の環境問題
31.村落の立地と人々の生活
32.衣・食・住の文化
33.都市の立地と大都市圏の拡大
34.先進国の都市化と都市問題
35.発展途上国の都市化と都市問題
36.世界の人口
37.世界の人口問題・食糧問題
38.国家と国家群
39.人種。民族と民族・領土問題
40.交通の発達
41.情報・通信システムの発達と流通業の変化
42.世界の貿易
43.貿易による日本と世界の結びつき
44.東アジアの自然環境、韓国・北朝鮮
45.中国の自然環境と生活・文化
46.中国の産業の発展
47.東南アジアの自然環境
48.東南アジアの生活と文化
49.ASEANの経済発展と各国地誌
50.南アジアの自然環境と生活・文化
51.南アジア諸国
52.西アジアの自然環境と生活・文化
53.西アジア諸国
54.アフリカの自然環境と生活・文化
55.アフリカ諸国
56.ヨーロッパの自然環境
57.ヨーロッパの生活と文化
58.ヨーロッパの農業の地域的特色
59.ヨーロッパの工業とEUの発展
60.ロシアと周辺諸国
61.アングロアメリカの自然環境
62.アメリカ合衆国の生活・文化と農業の発展
63.アメリカ合衆国の工業の発展
64.カナダの自然環境と生活・文化・環境
65.ラテンアメリカの自然環境
66.ラテンアメリカの生活と文化
67.ラテンアメリカの産業の発展
68.オセアニアの自然環境
69.オセアニアの生活・文化と産業
70.ニュージーランドとオセアニア島嶼部、両極地方
71.日本の自然環境
72.日本の人口と都市問題
73.日本の工業の発展と貿易の動向

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

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【レベル】まる暗記ゼロのイディオムマスター(河合出版):英熟語がなぜその意味になるのか徹底解説

 

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東大・医学部受験の英語の勉強法

 

【レベル】まる暗記ゼロのイディオムマスター(河合出版):英熟語がなぜその意味になるのか徹底解説

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『まる暗記ゼロのイディオムマスター』のレベル

 高校生、大学受験向けの英熟語帳です。

 基本的に、非常に良い熟語帳だと思う一方で、英熟語のレベルが安定しない、様々なレベルの英熟語がごちゃまぜになっているのが、唯一ダメなところだと思います。頻度、レベル順に並べるとか、できなかったのかなあ。

 学校で文法を習います。不定詞、動名詞、分詞など、各文法に英熟語が載っている場合があると思います。また、文法書によっては、英熟語がたくさん載っているページがあることもあると思います。それらを覚えたことを前提にして、英熟語帳としては1冊目に選ぶといいと思います。実際に、文法書に載っている英熟語や、表現と、かなり重複します。

 これで東大に受かる人もいるでしょうし、難関大志望で足りないと思ったら、『解体英熟語』(Z会出版)などで補強すればいいでしょう。

 

『まる暗記ゼロのイディオムマスター』の評価、使い方、レイアウト

 『まる暗記ゼロのイディオムマスター』の一番の特徴は、1つの英熟語について、その英熟語が、なぜその意味になるかを、何行にもわたって徹底解説していることです。

 たとえば、本書の一番最初は「beat around the bush」(先述のように、もっと簡単な熟語から始めればいいのに、なぜこれを最初にしたのだろう…)という英熟語です。これは「遠回しに言う」という意味の熟語です。なぜかというと、獲物を捕る際、やぶ(bush)の周り(around)をたたいて(beat)様子を探ることから転じた表現だからです。
 また、この部分には、前置詞の持つイメージなども載っていることが多いです。入試で、カッコに前置詞を穴埋めする問題はよく出ます。そのような出題に強くなれることも期待できるでしょう。

 次に、日本語の意味と、同じ意味の他の英熟語が載っています。日本語の意味は、赤シートで隠せるようになっています。ただ、同じ意味の英熟語まで、一度に覚えてしまおうと思うと、けっこうきつく、挫折の原因になる可能性があります。まずは、見出しの英熟語だけ覚えればいいかと思います。同じ意味の英熟語は、見出し語を完璧に覚えた後にするか、『まる暗記ゼロのイディオムマスター』には例文が載っていないので、2冊目の熟語帳に進むか、がいいと思います。

 次に、英語の例文と、例文の日本語訳が載っています。英熟語と英熟語の日本語の意味は、赤シートで隠せるようになっています。例文に、青文字の部分があります。これは、英熟語の意味を推測できる部分、という意図だそうです。

 音声がダウンロードできます。見出しの英熟語→見出しの英熟語の日本語訳→英語の例文と読まれます。英熟語の日本語訳が読まれてしまうのが、耳だけでも勉強できてプラスと捉えるか、例文を通してチェックしたいと思った時に、意味を読まれてしまうのでマイナスと捉えるか、難しいところですね。

 この部分については、見出しの英熟語を見る→見出しの英熟語の意味を見る→例文を読む→英熟語または意味を赤シートで隠して全部の熟語を一瞬で思い出せるようにする→音声学習をする、音読する、といった学習をするといいでしょう。

 このような構成のため、1ページに熟語が2つ(たまに1つ)しか載っていないレイアウトになっています。

 英熟語20個ごとに「Review Test」(復習テスト)というコーナーがあります。英熟語を覚えているか、問題形式になっています。英熟語20個に対し、10問しかないので、全ての英熟語についてチェックできないのは残念です。しかし、問題を解く、アウトプットするのが記憶の定着のコツなので、10個分でも存在することを、プラスに捉えましょう。全問解けるようにしましょう。

 模試などを受けて、わからない英熟語があったら、まず、索引を引いて、『まる暗記ゼロのイディオムマスター』に載っていたかを確認して、反省しましょう。これは、英単語、古文単語、漢文の語句などでもすべき反省です。

 見出しの英熟語は520個。同じ意味の英熟語で掲載されているのも含めると935個が掲載されています。

 

『解体英熟語』とどちらがいい?

 『解体英熟語』のほうが英熟語数が多く、レベルが高いです。『まる暗記ゼロのイディオムマスター』の見出しの英熟語をざっと見て、知らない英熟語が多い場合、『まる暗記ゼロのイディオムマスター』を選んだほうがいいと思います。
 『解体英熟語』も、『まる暗記ゼロのイディオムマスター』ほどではないにせよ、英熟語の丸暗記を避け、覚えやすくするための、解説のようなものが、ちょっと載っています。『まる暗記ゼロのイディオムマスター』の見出しの英熟語がほとんどわかる、と思ったら、『解体英熟語』を選ぶといいかと思います。

 

『まる暗記ゼロのイディオムマスター』の出版社の信頼性と実績

 『まる暗記ゼロのイディオムマスター』の出版社は、河合出版です。予備校の河合塾の傘下です。河合塾は、模試が学校採用される場合が多く、河合全統記述模試や共通テスト型模試は、数十万人が受験します。
 河合出版の参考書、問題集も『物理のエッセンス』『数学良問のプラチカ』『入試現代文のアクセス』など、受験界で超定番のものが何冊もあります。また、予備校系の参考書としては、ビジュアルの良さに定評があると思います。
 出版社の信頼性、実績は抜群と言えます。
 

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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【2024】東京大学文系・理系数学 年度別難易度と傾向と対策:教科書+Focus Goldで合格へ

 

【2024】東京大学文系・理系数学 年度別難易度と傾向と対策:教科書+Focus Goldで合格へ

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

東大・医学部受験の数学の勉強法

東大のこと、教えます(プレジデント社、小宮山宏)

キムタツの東大に入る子が実践する勉強の真実(KADOKAWA)

 

東京大学入試の数学で悩んでいる人へ

 東京大学数学の難易度、また、どのような参考書をマスターすれば合格点を取れるかがわからずに、悩んでいませんか?
 実は、東京大学の数学は、教科書の理解、基本問題とFocus Gold(啓林館)あたりの技法の組み合わせで、ほぼ合格点をとれます。(さすがに、少し、補強が必要です。)
 この記事を読むと、東京大学数学の難易度(月刊『大学への数学』誌のものも併記してあります)、どのように勉強すれば合格点を取れるか、どこまで解ければいいのか、を知ることができます。

 

東京大学文系入試における数学の重要性

 東京大学文系の数学の配点は、80/440です。一見、それほど配点が高くないように見えます。一方、東大模試の標準偏差(つまり点差のつきやすさ)などを見ると、現代文や国語全体あたりが、かなり差がつきにくいのに対し、数学は、かなり点差がつきやすい科目であることがわかります。また、かつて、東大新聞が合格者の成績開示の調査をしていました。下記の2018年度版で少し触れています。120点満点で標準偏差が高めの英語よりも、数学のほうが、さらに標準偏差が高い年も多いようです。
 また、数学は、大問が4つしかありません。他の受験生が解けている問題が、Focus Goldあたりに抜けがあることにより、白紙になり、0点だと、その失点を他科目で取り返すのは、かなり厳しいと言えます。
 以上より、東大文系入試における数学の重要性がわかると思います。

 

東京大学数学、入試本番の心構え

 以下のことは、どこの大学の入試の数学でも、このような傾向があります。
 東大の数学は、当然、難しい出題もあります。年によりますが、最初から、全く方針が立たないこともあるでしょうし、完答できなそうな問題など、珍しくありません。
 そのような時に、解けなそうな問題をみて、戦意を喪失しないことです。人間は、そのような心持ちになるだけで、パフォーマンスが低下することが、大学の研究で明らかになっています。ちゃんと勉強した受験生の場合、解けなそうな問題を見たら「他の受験生も解けないな」と思って、軽く流し、解けそうな問題を確実に解く、部分点を取る、ということを心がければ、合格点を取れます。

 

 

2024年東京大学文系数学:年度別難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

 月刊『大学への数学』誌(東京出版)では、難易度をA(易)~D(難)にレベル分けしています。Bが教科書の理解とチャート式、Focus Gold(啓林館)あたりの技法の組み合わせで完答でき、発想力といったものはいらない問題です。東大は成績を開示し、かつて東大新聞は合格者の平均点を調査していました(当ページ下の方、2018年版に、その旨記載しています)。Bを完答、CもBレベルの部分点で合格者平均を超えます。
 第三者の評価も加え客観性を持たせるために、この評価も併記します。
 大学受験塾チーム番町では、普通の塾、予備校のように、入試問題の解き方を解説しても、あまり意味はないと考えます。どのように勉強すれば、大学入試の数学で合格点を取れるのか。それを、正解に必要な技法が、教科書、チャート式、Focus Gold(啓林館)に載っているか、という独自の観点から分析します。

 

第1問

『大学への数学』誌の難易度はB。
「図形と方程式」「三角関数」「積分(面積)」「不等式の証明」「因数定理」
あたりの融合問題です。
東大らしい、オリジナリティーが高いが、教科書通りに淡々とやっていけば解ける、といった問題です。

(1)
通る点を図形の方程式に代入する、接線が一致するから傾きも等しい、といった教科書レベルの基本的なことを淡々とやっていくだけなので、解けます。

(2)
積分で面積を求める問題です。教科書に載っているいわゆる「1/6公式」を使えるので、時間もかかりません。ただし、すぐに「1/6公式」に飛びつくのではなく、論理的な答案になるように、答案の作法を身につけることが大切です。

(3)
不等式の証明の問題です。
両辺が正はすぐ言えるので、教科書通り、(左辺)2ー(右辺)2≧0を示しにいけばいいので、解けます。途中、因数定理で因数分解をするのに、1/2を代入することに気づかなければなりません。これも代入する候補は、(定数項の約数)/(最高次の約数)というのは、Focus Gold(5th)数2の121ページなどに載っています。

したがって、本問は完答できます。

 

第2問

『大学への数学』誌の難易度はC。
対数の問題と言えます。

(1)
教科書の数2の対数関数のところにも載っているような不等式なので、両辺の対数を取れば、解けます。ただ、不等式の評価は、教科書でもFocus Goldでも弱いですが、上位大学受験の数学では、わりと使う場面があるので、本問で慣れるといいでしょう。

(2)
不等式を満たす最小の自然数mを求める問題です。
理系だと、数3で指数関数の発散のスピードを考えることがあるので、見通しがいいかもしれませんが、本問は文系の出題です。やはり、大学受験数学において、よくわからないものは、具体的にやってみる、というのが大切です。
本問も、具体的にやってみると、4mより5mのほうが急激に増加するので、左辺はほぼ5mなのではないか、と思えるかがポイントだったかと思います。すると、ほぼ(1)と同じ問題ということになります。あとは、4mの部分が影響するかどうかを論理的に論証するということになります。ここで、教科書やFocus Goldあたりに載っている、桁数を求める問題、最高位の数を求める問題、の技法を使います。
言われれば難しくないが、オリジナリティーが高く、実戦的には難しい、東大らしい出題だったと言えると思います。
おそらく完答できた人は多くなく、(1)を確保、(2)でどのくらい部分点を取れたか、という勝負だったかと思います。

 

第3問

『大学への数学』誌の難易度はB。
座標平面上に三角形が2つあります。「図形と方程式」「三角比」「三角関数」「高次方程式」
あたりの融合問題です。
本問も、第1問同様、東大らしい、オリジナリティーが高いが、教科書通りに淡々とやっていけば解ける、といった問題です。

(1)
qをpで表す問題です。
まあ、直角三角形があるので、問題文の情報から、tanを使うのはいいと思います。すると、もう片方の三角形からも、教科書レベルの傾きとtanの関係から式が立つことがわかります。その後、tanの加法定理でいくのも、数2の教科書に載っている話です。したがって、やや式は複雑ながら、1つ1つの枠組み自体は教科書レベルと言え、解けます。

(2)
q=1/3となるpの値を求める問題です。
素直に(1)に代入すると、3次方程式になります。この因数定理の代入の候補は、本年第1問のところに書きました。したがって解けます。

(3)
2つの三角形のうち、直角三角形のほうが面積が大きくなるようなpの値の範囲を求める問題です。
まあ、高校生は、この状況の三角形の面積は、(1/2)×(2辺の積)×(狭角のsin)で求めるのは教科書レベルと言えます。すると、意外にも簡潔な不等式になるので、解けます。
完答しましょう。

 

第4問

『大学への数学』誌の難易度はC。
円に内接する正n(奇数)角形の頂点から4点を選んだ時、できる四角形が円の中心Oを含んでいる確率を求める問題です。

実は、本年の一橋大学の第5問が、ほぼ、本問の「四角形」を「三角形」に変えただけの問題でした。つまり、三角形が鋭角三角形になればいいわけですね。だだ、直角三角形と鈍角三角形のほうが数えやすいので、余事象を取ります。そして、この一橋の問題は、当塾が確率の補強として使っている『合格る確率』(文英堂)に、ほぼ同じ問題が載っています。
『合格る確率』のその問題をマスターしていれば、東大の本問も、かなり見通しよく解けます。東大の本問も余事象を取ります。したがって、理論上は完答も可能です。
一方、経験がないと、なかなか難しく、『大学への数学』誌もCをつけていますし、合格者も、かなりできが悪かったようです。

 

東京大学文系数学の傾向と対策と勉強法

 東京大学文系の数学は、大問4問、試験時間100分。白紙の上に論述する、論述式の入試です。日頃から、教科書や参考書の答案をマネして、論理的で説得力のある答案、答案の作法、などを学ぶことが大切です。

頻出分野の傾向と対策

 微分積分、確率、整数がよく出題される傾向にあります。このうち、確率、整数は、特別な対策が必要なことも多いです。

 確率は、同じ「確率」の分野でも、共通テストや、もう少し入りやすい大学で出題されるものとは、かなり傾向が異なることが多いです。抽象的な文字nなどが含まれる、漸化式との融合問題になる、などです。上位大学に特有な技法は『合格る確率』(文英堂)でマスターすればいいと思います。2024年の確率などは、まさに恩恵が大きかったです。

 整数は、完答できていない受験生が多い年も多いので、なんとも言えませんが、取れるだけ部分点を取らなければなりません。市販でちょうどいい整数問題集が無いので、大学受験塾チーム番町では、ちょうど完答できなければならないレベルの技法を網羅した、対策整数問題集を渡しています。

 微分積分は取り組みやすいことが多いです。ただ、2023年のように、文字aなどを含み、場合分けをする、といったことを求められることが多いです。Focus Goldの技法を完璧にし、『文系数学良問のプラチカ』で対策をしたいです。東大文系数学で合否を分けるレベルを一部超えていますが、難しめの問題が出た時に、どのように処理していけばいいのか、などを学ぶことができると思います。

東大文系数学の特徴とその対策

 東大文系数学の1つの特徴は、オリジナリティーの高さ、それほど難しくはないが類題があるわけではなく、問題文を読んで教科書やFocus Goldレベルの操作を淡々とする(2024年第1問など)だと思います。過去問集である『東大の文系数学25カ年』(教学社)を、『月刊大学への数学』の東京出版の難易度を意識して(B完答、C部分点)使い、オリジナリティーの高さに慣れたいです。

 2024年の第1問、第3問のように、多くの分野の話を使いこなすような問題もよく出ます。これも、上記のオリジナリティーの高さの1つ、とも言えるでしょう。しかも、2024年の場合、両方ともB問題であり、合否を分けた重要問題でした。このような問題も、過去問集である『東大の文系数学25カ年』(教学社)で慣れるといいでしょう。

他サイトへの疑問:思考力、発想力が必要?

 「高いレベルの思考力、発想力を試す問題が多く出題」などという意見もありますが、合格者平均点を見るに、そのような問題は、平均的な東大理系合格者は解けていないので、思考力、発想力などといったものは、いらないと思います。当サイトの分析のように、教科書の理解と「Focus Goldのあの技法を使えばいい」といったアプローチで、大きく合格点を超えます。東大入試程度で小難しいことを言っている人達は、偽物だと思ったほうがいいと思います。

 したがって、最強の東大数学対策は「学校と並行して、学校採用問題集(Focus Goldあたりは、どれもほぼ収録問題が変わらない)をひたすらマスター」し、東大を中心に、合否を分けるレベルあたりを中心に、入試問題演習をする、ということになります(上記のように、確率、整数は補強が必要)。

2024年の総括

 2024年の難易度はBCBC。ある調査によると、文系全体の合格者平均は33点ほどだったようです。B問題完答だけで合格者平均を上回りますね。しかも第2問はCですが、(1)は教科書レベルとも言えます。合格者平均程度のレベルだと、単に、易しいほうの問題から積み重ねているだけ、と言えます。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、Focus Goldあたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

東大文系数学オススメの参考書、問題集

 一番の基礎は教科書です。教科書には定義、問題以前の説明、基本問題が一番しっかり載っています。まずは、教科書を理解し、本文の問題(章末除く)を全問解けるようにしましょう。特に、先述のように、東大数学の1つの特徴は、オリジナリティーの高さ、それほど難しくはないが類題があるわけではなく、問題文を読んで教科書やFocus Goldレベルの操作を淡々とすることにあります。したがって、むやみに入試問題に多く取り組むのではなく教科書レベルのことを東大数学で使いこなせるように、教科書の説明を根本から理解することが大切になります。

 次に、Focus Goldの東大文系に重要な問題を全問解けるようにします。この時、指導者がいて、適切に問題を選んでくれるといいですね。ここまでで、進研記述模試、河合全統記述模試などの標準的な記述模試では、東大文系レベルの成績になっているはずです。

 東大文系入試対策としては『合格る確率』整数対策、『文系数学良問のプラチカ』、『東大の文系数学25カ年』を、上記のように、合否を分けるレベルの問題は全問解けるようにしましょう。

 駿台さん(2回)、河合塾さん(2回)が実施している東大模試もぜひ受けましょう。数学に関しては、レベルが高めの駿台全国模試あたりを受けても、難易度、傾向がわりと近くていいかと思います。

 直前期に何をすべきかは人によって違います。上記のような教材をきっちりこなしきれた場合、今までこなした教材で、忘れていてできなそうな問題に✓をつけ、ひたすら復習し、弱点をつぶすのがいいと思います。
 現役生で、間に合うか間に合わないかわからない場合、とにかく、復習してマスターすることを重視して、微積分、確率、整数、などの頻出分野から優先順位をつけて、Focus Goldや『東大の文系数学25カ年』の月刊『大学への数学』誌のBランク問題に取り組むと、本番で似たような問題が出るかもしれません。

 

 

2023年東京大学文系数学:年度別難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

第1問

『大学への数学』誌の難易度はB。
解と係数の関係、対称式、相加相乗平均あたりの融合問題です。
問題文を読んで、淡々と、教科書や少し上(Focus Gold)あたりの操作をすればいいので、解けます。
最後、相加相乗平均の式がやや複雑ですが、Focus Goldあたりにも、このような形の相加相乗平均の問題は載っていますし、東大受験生がこなす入試問題集にも載っていることが多いでしょう。
完答できます。

 

第2問

『大学への数学』誌の難易度はB。
微積分の問題です。

(1)
問題文を読んで、淡々と点と直線の距離の式を立てると、Focus Goldあたりに載っている、絶対値つき定積分に文字定数が含まれるものに帰着されます。あとは、Focus Gold通りに、場合分けすれば解けます。

(2)
単なる3次関数の最大、最小の問題に帰着されます。
本問、最小値は極値で、そのx座標が根号を含み、少しだけ複雑です。この時、関数をh(x)(f、gは問題文で使われている)とすると、h(x)をh'(x)で割ると、h'(x)=0なので、計算がやや楽になる、という技法が使えます。東大文系で過去に出題があります。Focus Goldだと、章末問題に載っています。

完答できます。

 

第3問

『大学への数学』誌の難易度はC。
確率の問題です。

(1)
「どの赤玉も隣り合わない」という、チャート式やFocus Goldあたりには載っている有名問題なので解けます。

(2)
「どの赤玉も隣り合わないとき、どの黒玉も隣り合わない条件付き確率」というひとひねりが入ります。
結論は、黒玉の並べ替えかたで場合分けをすれば、かなり簡単に解けますが、少しだけ、現場での試行錯誤を必要とします。
(1)の「どの赤玉も隣り合わない」は、チャート式やFocus Goldあたりには載っていますが、高校数学の確率の初学者だった時、その技法を知らずに、まず、自分で試行錯誤して解こうと思った場合、本問のような場合分けを考えるはずです。数学は、特に代数分野のFocus Goldあたり特有の問題は、自分で考えても分からず、技法を覚えなければならないことも多いです。一方、確率は特殊な分野で、様々なゲームが出題され、また、自分で考えてなんとかなることも多いので、代数系よりも、少し、答を見る前に、自分で試行錯誤する時間を多く取ると、実戦力を養えると思います。

難易度Cですが、完答も十分可能です。

 

大問4

『大学への数学』誌の難易度はC。

(1)
三角形の面積を求める問題です。
二等辺三角形であることも考えると、未知数は1文字で済みます。図形的考察や、余弦定理など、解き方は様々ありますが、普通にやれば解けるでしょう。

(2)
四面体の体積を求める問題です。
2023年では、一番難しい問題かと思います。

 

東京大学文系数学の傾向と対策と勉強法

 2023年の難易度はBBCCでした。ある調査によると、文系数学の合格者平均は50点前後だったようです。上記のように、教科書を理解し、Focus Goldをマスターし、入試標準問題演習をしていれば、2完2半~3完1半あたりは十分狙えましたから、合格者平均も十分超えますね。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2023年東京大学理系数学:年度別難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

第1問

『大学への数学』誌の難易度はC。
数3の積分の問題です。

(1)
まあ、x2=tと置換しそうだというのはいいと思います。
そして、積分区間を平行移動するという技法は、Focus Goldあたりの数3の積分には載っていて、本問はそうすると見通しがいいです。
あとは、絶対値も外れそうで、その後は教科書にも載っている、定積分をつけても不等式が成り立つ話をすれば、証明できます。
ただ、解説を聞けば簡単ですが、実戦的には、なかなか難しいかもしれません。

(2)
明らかに(1)と式がにているので、(1)を誘導と考えます。大学受験数学においては、小問集は、上の小問の結論を使う、という考え方が大切です。
あとは、形から、区分求積かなと思いたいです。そして、このような極限は、まあ、はさみうちです。本問も、解説を聞けば、教科書、Focus Goldレベルの組み合わせで簡単ですが、実戦的には、なかなか難しいかもしれません。

 

第2問

『大学への数学』誌の難易度はC。
確率の問題です。
上記の文系第3問と同じ問題なので、省略します。

 

第3問

『大学への数学』誌の難易度はC。
円と放物線の問題です。

(1)
円の方程式をcosθ、sinθを使って、媒介変数表示すると、三角関数と二次関数の融合の最大値の問題に帰着され、Focus Goldあたりを勉強していれば、難なく解けます。本問は、ぜひ正解したいです。

(2)
円の接線の方程式は求まります。
放物線が切り取る直線の話で、解と係数の関係を使うのは、Focus Goldあたりには載っています。そして置き換えると、4次関数が極値を持つ条件に帰着されます。Focus Goldあたりの数3の微分に、このあたりの話の基本形は載っています。ここで文字定数を含むので、場合分けが必要ですが、これは数2のFocus Goldあたりの微分レベルです。
本問も、解説を聞くと簡単なのですが、実戦的にはどうなのかな、というところかと思います。

 

第4問

『大学への数学』誌の難易度はB。
空間ベクトルの問題です。

(1)
式が3本立ちますから、P(x、y、z)とでも置いて、素直に内積計算をすれば解けます。教科書レベルとも言えるでしょう。

(2)
本問のように、ベクトルで、直線に垂線を下ろす問題は、Focus Goldあたりには載っているので、同様にやれば解けます。

(3)
球面が三角形と共有点を持つような球面の半径の範囲を求める問題です。
(1)(2)を誘導と見て、図形、題意を把握すると、教科書にも載っているような、球面と平面が交わってできる円の話に帰着できるので、理論上は解けます。一方、難易度Bのわりには、空間図形でもあり、図形的考察がやや難しいかもしれません。

 

大問5

『大学への数学』誌の難易度はC。

(1)
整式の割り算の問題です。
色々示し方はありそうですが、1つ、教科書の合同式のところに書いてある話を使うと、f(x)で割った余りが等しいことを示すには、引き算したものがf(x)で割り切れることを示せばいいです。
また、7乗というのを見て、2項展開をしてもいいでしょう。
本問は正解したいです。

(2)
まあ、7乗が出てくるので、(1)を誘導として考え、(2)にあてはめます。
また、(x-1)2を因数に持つための条件の話は、チャート式やFocus Goldあたりの数2の微分に載っているので、そのあたりの式を立てるところまではいけそうです。その後、答えを出すまでも簡単とは言えませんが、上手くやれば、完答も可能でしょう。

 

大問6

『大学への数学』誌の難易度はD。
空間図形の問題です。

(1)
題意を把握すれば、初等幾何と簡単な計算で解けます。
大問の完答の難易度がDなのであって、この(1)は正解したいです。

(2)
本問も、題意を把握し、解説を聞くと、理解はそれほど難しくないと思いますが、初見で解けるかというと、難しいのだろうと思います。最後は数3の積分で体積を求めます。

 

東京大学理系数学の傾向と対策と勉強法

 東京大学理系の数学は、大問6問、試験時間150分。白紙の上に論述する、論述式の入試です。日頃から、教科書や参考書の答案をマネして、論理的で説得力のある答案、答案の作法、などを学ぶことが大切です。

頻出分野の傾向と対策

数3の微分積分、確率、整数、図形がよく出題される傾向にあります。このうち、確率、整数は、特別な対策が必要なことも多いです。

 上記の通り、2023年は大問6問中、3問が上の小問を誘導と見て考えるとうまくいく問題でした。全国的にこのような問題は多いです。

 確率は、同じ「確率」の分野でも、共通テストや、もう少し入りやすい大学で出題されるものとは、かなり傾向が異なることが多いです。抽象的な文字nなどが含まれる、漸化式との融合問題になる、などです。上位大学に特有な技法は『合格る確率』(文英堂)でマスターすればいいと思います。一方、2023年の確率は、「入りやすい大学」寄りの問題にひとひねりを加えた、といった感じでした。

 整数は、完答できていない受験生が多い年も多いので、なんとも言えませんが、取れるだけ部分点を取らなければなりません。市販でちょうどいい整数問題集が無いので、大学受験塾チーム番町では、ちょうど完答できなければならないレベルの技法を網羅した、対策整数問題集を渡しています。

東大理系数学の特徴とその対策

 東大理系数学の1つの特徴は、オリジナリティーの高さだと思います。2023年は、大問1、3、6あたりが、解説を聞くと、教科書やFocus Goldあたりに書いてあることの組み合わせで、わかりやすいのですが、初見で解くのは難しそう、という、まさに、東大らしいオリジナリティーの高さだったと思います。過去問集である『東大の理系数学25カ年』(教学社)を、『月刊大学への数学』の東京出版の難易度を意識して(B完答、C部分点)使い、対策したいです。

他サイトへの疑問:思考力、発想力が必要?

 「高いレベルの思考力、発想力を試す問題が多く出題」などという意見もありますが、合格者平均点を見るに、そのような問題は、平均的な東大理系合格者は解けていないので、思考力、発想力などと言ったものは、いらないと思います。当サイトの分析のように、教科書の理解と「Focus Goldのあの技法を使えばいい」といったアプローチで、大きく合格点を超えます。東大入試程度で小難しいことを言っている人達は、偽物だと思ったほうがいいと思います。

 したがって、最強の東大数学対策は「学校と並行して、学校採用問題集(Focus Goldあたりは、どれもほぼ収録問題が変わらない)をひたすらマスター」し、東大を中心に、合否を分けるレベルあたりを中心に、入試問題演習をする、ということになります(上記のように、確率、整数は補強が必要)。

2023年の総括

 ある調査によると、2023年は理1、理2の合格者平均は50数点だったようです。難易度がCCCBCDだったため、このような低い合格者平均になったと思われます。本年の場合、人によって、どの問題で点を取れるか違いが出そうですが、上記のように、教科書を理解し、Focus Goldをマスターし、入試標準問題演習をしていれば、合格者平均の50数点は十分に超えることができたでしょう。合格者平均程度のレベルだと、単に、易しいほうの問題から積み重ねているだけ、と言えます。

 

東大理系数学オススメの参考書、問題集

 一番の基礎は教科書です。教科書には定義、問題以前の説明、基本問題が一番しっかり載っています。まずは、教科書を理解し、本文の問題(章末除く)を全問解けるようにしましょう。

 次に、Focus Goldの東大理系に重要な問題を全問解けるようにします。この時、指導者がいて、適切に問題を選んでくれるといいですね。ここまでで、進研記述模試、河合全統記述模試などの標準的な記述模試では、東大理系レベルに近い成績になっているはずです。

 東大理系入試対策としては『合格る確率』整数対策、『文系数学良問のプラチカ』(河合出版、文系数学の範囲は『理系プラチカ』よりレベルが高い)、『東大の理系数学25カ年』を、上記のように、合否を分けるレベルの問題は全問解けるようにしましょう。

 駿台さん(2回)、河合塾さん(2回)が実施している東大模試もぜひ受けましょう。数学に関しては、レベルが高めの駿台全国模試あたりを受けても、難易度、傾向がわりと近くていいかと思います。

 直前期に何をすべきかは人によって違います。上記のような教材をきっちりこなしきれた場合、今までこなした教材で、忘れていてできなそうな問題に✓をつけ、ひたすら復習し、弱点をつぶすのがいいと思います。
 現役生で、間に合うか間に合わないかわからない場合、とにかく、復習してマスターすることを重視して、微積分、確率、整数、などの頻出分野から優先順位をつけて、Focus Goldや『東大の理系数学25カ年』の月刊『大学への数学』誌のBランク問題に取り組むと、本番で似たような問題が出るかもしれません。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2019年東京大学文系数学:年度別難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

第1問

『大学への数学』誌の難易度はB。
座標平面上の面積1/3の三角形の問題。
理系第2問を少し親切にした問題です。

(1)
文字が多いですが、そもそも「qとrをpで表」すことを要求している問題なので、問題文を読んで式を立てて文字を消去すればできるでしょう。
変域を絞り込む部分も、たとえば、チャート式や『Focus Gold』(啓林館)の二次関数には、似たような操作をする問題が載っています。

(2)
(1)さえできればあとは微分するだけです。
完答すべきです。

 

第2問

『大学への数学』誌の難易度はB。
問題文にベクトルが出てきますが、ベクトルの技法はあまり使いません。
東大は共通テストで問われるようなベクトルの問題(終点-始点で変形、直線○○上にあるから係数を足して1になる、ベクトルの大きさは2乗する、など)はほとんど出ませんね。

(1)
問題文の条件を淡々と教科書レベルの式にして、題意を把握して、積分して面積を求めれば出ます。

(2)
x軸正の部分と線分OPのなす角がθなので、放物線と原点を通る直線が接する直線の傾きの範囲の話に帰着されます。
完答すべきです。

 

第3問

『大学への数学』誌の難易度はB。
正八角形の頂点を点Pが動く確率の問題。

正六角形あたりなら、チャート式やFocus Gold(啓林館)あたりにも載っています。

(1)も(2)も丁寧に数え上げれば、あとは教科書レベルとも言える、反復試行の話なので解けます。大学入試の確率の問題は、愚直に数え上げることが多いので、注意しましょう。
完答すべきです。
確率はチャート式、Focus Goldあたりが弱い分野なので、年度別『入試問題集』(数研出版)の*問題(頻出標準問題)前後、や『合格る確率』(文英堂)をこなし、東大で合否を分けているレベルの入試問題に取り組むといいでしょう。

 

第4問

『大学への数学』誌の難易度はB。
問題文にはベクトルが出てきますが、第2問でも述べたように、東大は共通テストで問われるようなベクトルの問題はほとんど出ません

(1)
領域を図示する問題。
絶対値つきのこの領域は、他大でもよく出ます。
真面目にx,yの正負で場合分けをしてもそこまで大変ではありませんが、xに-xを代入しても同じ式なのでy軸対称、yに-yを代入しても同じ式なのでx軸対称なので、第1象限だけ調べればいいということは理解しておきたいです。
ベクトルが表す領域Eについては、点Pを固定して考える技法などはFocus Gold(啓林館)あたりにも載っています。

(2)
直感的にはわかりそうですが、論理的に示せるかというと、少し難しいかもしれません。

 

東京大学文系数学の傾向と対策と勉強法

 2019年の難易度はBBBBでした。
 予備校さんの評価も、全体として、難化、変化なしと評価が別れ、個々の問題の難易度も評価が別れています。

 私見を述べますと、発想を必要とするような問題はほとんどないので、教科書を理解し、Focus Goldあたりの技法をマスターし、入試問題に慣れれば、時間が許せば70点/80点満点ほどは取れそうな出題だと思います。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2019年東京大学理系数学:年度別難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

第1問

『大学への数学』4月号の難易度はB。
定積分をするだけの問題。

この形をx=tanθと置換するのは基本形は教科書に載っています。その他の部分も、教科書に載っている技法で解決します。定積分をするだけの問題は東大では珍しいですが、形は複雑でも基本を貫けばいいという、ある意味、東大らしい出題かもしれません。
完答すべきです。

 

第2問

『大学への数学』4月号の難易度はB。
正方形の中の面積1/3の三角形の問題。
文系第1問から誘導をなくした問題です。

勇気を持ってたくさん文字を導入できるか、文字を消去して1文字についての関数に帰着できるかが問題ですが、3文字使っても面積1/3の三角形が2つあるので式は2本立ち、1文字だけにできる、という見通しでしょうか。
なるべく完答したいです。

 

第3問

『大学への数学』4月号の難易度はC。
座標空間内の八面体の切り口の問題。

(1)
場合分けして切り口をxz平面に図示する問題。
このくらいはできるかな、と思いますが、意外に出来は悪かったようです。

(2)
切り口が八角形になるpの値の範囲の問題。
大学受験数学において、このような小問集は、上の小問が誘導ではないかと考えることが大切です。
ただ、出来は悪かったようです。

(3)
さらに出来が悪かったようです。
できれば(2)くらいまでは正解したいところです。

 

第4問

『大学への数学』4月号の難易度はC。
整数問題です。

(1)
最大公約数を求めるので、素直にユークリッドの互除法を使うのは教科書レベルです。
最後nを含むので場合分けをするのもいいでしょう。
正解したいです。

(2)
平方数でないことを示す問題。
大学受験数学において、このような小問集は、上の小問が誘導ではないかと考えることが大切です。
もともと整数問題は、なにかで割った余りで場合分けして考えるとうまくいくことがあり、Focus Goldあたりには載っています。本文では(1)が誘導なので、偶奇で場合分けして考えます。
完答は難しいかもしれませんが、なるべく部分点をもらいたいところです。
検討する価値は高い問題かと思います。
整数はチャート式、Focus Goldあたりが弱い分野なので、何らかの補強をしたほうがいいです。大学受験塾チーム番町では、整数問題集を渡しております。

 

第5問

『大学への数学』4月号の難易度はC。
数3の極限、微分の問題です。

(1)
本問のような方程式が、ただ一つの実数解を持つことを示すには、中間値の定理と単調性を使うことが多く、全国的によく出題されています。Focus Goldにも載っています。したがって示せます。

(2)
(1)をどのように解くかにもよりますが、(1)の考察から明らかだった人も多かったと思われます。従って示せます。

(3)
まあ、このような極限を求める問題は、はさみうちでしょう。
完答は厳しいかもしれませんが、なるべく多く部分点をもらいたいです。
(2)まで正解して(3)にどれだけ食いつくけるか、だと思います。

 

第6問

『大学への数学』4月号の難易度はC。
複素数平面の問題です。
最後の問題ということもあり、(1)から、かなり出来が悪かったようです。

(1)
実係数の4次方程式なので、解の実数、虚数のパターンは限られるので、力技で論証していけばいいですが、実戦的には難しいかもしれません。

(2)(3)
ただでさえ文字がたくさん登場する問題ですが、さらに、虚数解をp+qiなどと置く勇気があれば議論が進みそうです。
検討する価値はある問題だと思います。

 

東京大学理系数学の傾向と対策と勉強法

 2019年の難易度はBBCCCCでした。
 第1問、第2問、第4問(1)、第5問(1)(2)を正解し、あとは部分点を集めるという方針で、合格者平均あたりに達すると思います。

 そのためには、教科書を理解し、チャート式や『Focus Gold』(啓林館)などで受験によく出る技法をマスターし、入試標準問題演習をすれば、大丈夫です。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2018年東京大学文系数学:年度別難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

東京大学新聞2018年9月11日号の調査によると、合格者の平均点は80点満点中
文Ⅰ 52.8点
文Ⅱ 55.4点
文Ⅲ 48.1点
ほどだったようです。
サンプル数は文系全体で164人、ウェブ上のアンケートとのことです。

 

大問1

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。

(1)
点と直線の距離の和の最小値の問題です。
問題文にしたがって式を立て、ゴリゴリやれば解けそうです。

(2)
大学受験数学において、このような小問集は、上の小問が誘導ではないかと考えることが大切です。
文字ばかりで抽象的ですが、px+qy≦0をyについて解こう、と思うのは自然で、そうするとqの正負または0を考えるのも自然で、(1)の結果も使うと、完答またはそれに近い点数も狙えるのではないかと思います。

(2)でどれだけ部分点を取れるか、だと思います。

 

大問2

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
整数と数列の融合問題、でしょうか。

(1)(2)
ゴリゴリやるだけなので、解けます。

(3)
大学受験数学において、このような小問集は、上の小問が誘導ではないかと考えることが大切です。
(1)、(2)を誘導と見て、必要条件で絞り込んであとは力技で調べればいいので、解けます。
必要条件で絞り込んで力技で調べる技法は、整数問題ではよくある話で、『Focus Gold』(啓林館)あたりにも載っています。
整数はチャート式、Focus Goldあたりが弱い分野なので、何らかの補強をしたほうがいいです。大学受験塾チーム番町では、整数問題集を渡しております。

 

大問3

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
微分の問題です。

(1)
文字定数aを含む3次関数が単調に増加するためのaの条件を求める問題です。
第一次導関数が0以上になることを示せばいいというのは、枠組みは教科書レベルと言えます。問題としても、Focus Goldあたりには、類題が載っているので、解けます。

(2)
三次方程式の実数解の個数を、定数を分離して、三次関数と定数関数の共有点の個数で考える問題は、基本形は教科書にあり、本問のレベルの問題も『Focus Gold』(啓林館)や入試標準問題集には載っている話です。
最後に座標平面上に図示させるあたりが東大らしいですね。
完答すべきです。

 

大問4

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。

(1)
問題文にベクトルの式がありますが、文末にも「軌跡を求めよ」とあるように、ベクトルというよりは軌跡の問題です。この媒介変数を消去する軌跡の問題は、Focus Goldあたりには載っているので解けます。

(2)
ベクトルで表された点Sの通過領域を図示し、面積を求める問題です。

本問も(1)は誘導で、「同じようにやれば解けますよ」という意図なのだと思います。(1)同様、媒介変数を消去する軌跡、領域の問題として考え、図示し、積分して面積を求めれば解けるでしょう。
完答すべきです。

 

東京大学文系数学の傾向と対策と勉強法

 『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度がCBBBということで、合格者平均は50点前後と高くなったと思われます。
 ただ、上記のように、教科書を理解して、『Focus Gold』(啓林館)あたりをマスターして、入試標準問題演習をすれば、70点ほどは取れそうです。
 「合格者」の平均が50点前後ですから、それより低い点数でも合格する、ということですね。

東大入試のレベルもその程度だということです。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2018年東京大学理系数学:年度別難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

東京大学新聞2018年9月11日号の調査によると、合格者の平均点は120点満点中
理Ⅰ 70.1点
理Ⅱ 52.3点
理Ⅲ 81.7点
ほどだったようです。
サンプル数は理系全体で111人、ウェブ上のアンケートとのことです。

 

第1問

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
数3の微分、極限の問題です。

微分して増減表を書こうとするわけですが、その過程で増減表を書けるようにsin、cosを含む式の変形に一工夫必要です。
完答したいところですが、つまる人もいるかと思います。

 

第2問

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
整数と数列の融合問題です。

(1)
まあ、既約分数なので、互いに素の話をするのかな、と思えば、互除法を使おうかなという話は、Focus Goldあたりには載っているので、解けます。

(2)
大学受験数学において、このような小問集は、上の小問が誘導ではないかと考えることが大切です。
また、整数問題や数列など、とびとびの値しか取らない(離散的といいます)問題は、いくつか具体的にやってみるのが大切な場合が多いです。Focus Goldあたりも載っています。本問も以上の考え方くらいで、完答も可能かと思います。
文系の第2問は類題なので、こちらも検討するといいでしょう。
整数はチャート式、Focus Goldあたりが弱い分野なので、何らかの補強をしたほうがいいです。大学受験塾チーム番町では、整数問題集を渡しております。

 

第3問

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
文系第4問を難しくした問題です。やはり、問題文にベクトルの式がありますが、むしろ、軌跡、領域の問題です

媒介変数を消去する軌跡の技法でいけますが、文系第4問と異なり、問題文に「軌跡」の文言がないので、そうできたか、という問題があります。一方、問題で与えられたベクトルの式を図形的に読み取っても解けます。
あとは、面積を求める式が違ってきそうな場合で場合分けするのもいいと思います。最後の極限も簡単です。したがって解けます。
完答すべきです。

 

第4問

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
文系の第3問から(1)を抜いた問題です。

三次方程式の実数解の個数を、定数を分離して、三次関数と定数関数の共有点の個数で考える問題は、基本形は教科書にあり、本問のレベルの問題も『Focus Gold』(啓林館)や入試標準問題集には載っている話です。
最後に座標平面上に図示させるあたりが東大らしいですね。
完答すべきです。

 

第5問

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はD。
複素数平面の問題。
『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌には「部分点さえも取りにくい」というコメントがあります。

(1)
複素数zの絶対値は1なので、z×(zバー)=1を使う問題はFocus Goldあたりに載っています。
複素数zの実部が(z+zバー)/2であるのも、Focus Goldあたりには載っています。本問は単位円なので、cosθ=(z+zバー)/2です。点Qが点Aと円の接線と対称という式も立ちそうです。これらで、理論的には解けますが、実戦的には難しいかもしれません。

(2)
(1)ができれば、Focus Goldレベルの複素数平面の軌跡の話だと思います。

 

第6問

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
最後は積分の問題。

(1)
切り口が円になるような設定は『Focus Gold』(啓林館)あたりの積分に何問か載っています。
そのような問題で慣れているとスムーズにできるのではないでしょうか。

(2)
大学受験数学において、このような小問集は、上の小問が誘導ではないかと考えることが大切です。それで解けます。

(3)
状況を把握できれば、Focus Goldあたりに載っている、例の3つの集合のベン図の話でいけます。

(4)
切り口の面積を積分する問題は、『Focus Gold』(啓林館)にも何問も載っています。
ここまで来られたならば、できるでしょう。
ただ、最後の第6問ということもあり、レポートなどによると、出来はそれほど良くなかったようです。

 

東京大学理系数学傾向と対策と勉強法

 合格者平均点は、理Ⅰと理Ⅱの差がちょっと大きすぎるように感じるので、データがちょっとどうなのかな、という気もしますが、『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はBCBBDCなので、教科書を理解して、『Focus Gold』(啓林館)あたりをマスターして、入試標準問題演習をすれば、少なくとも60点+部分点で理Ⅰの合格者平均の70点は取れると思います。
 『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌には、「数学が得意な人と理Ⅲを受ける人は~、そうでない人は6割(72点)程度が目安」というコメントがあります。
 理Ⅰの合格者平均点が本当に70点ほどだったとすると、『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌は合格者平均点以上の点数を目安だと言っていることになりますね。数学マニア向け(?)の本なので、コメントのレベルも高くなりがちなのだとは思いますが。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

東大教師が新入生にすすめる本(文春新書)

東大脳の作り方(平凡社新書)

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

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【2024】京都大学文系・理系数学 難易度と傾向と対策:教科書+Focus Goldで合格へ

 

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【2024】京都大学文系・理系数学 難易度と傾向と対策:教科書+Focus Goldで合格へ

 

京都大学入試の数学で悩んでいる人へ

 京都大学数学の難易度、また、どのような参考書をマスターすれば合格点を取れるかがわからずに、悩んでいませんか?
 実は、京都大学の数学は、教科書の理解、基本問題とFocus Gold(啓林館)あたりの技法の組み合わせで、ほぼ合格点をとれます。(さすがに、少し、補強が必要です。)
 この記事を読むと、京都大学数学の難易度(月刊『大学への数学』誌のものも併記してあります)、どのように勉強すれば合格点を取れるか、どこまで解ければいいのか、を知ることができます。

 

京都大学入試における数学の重要性

 京都大学二次試験の数学の配点は、法学部、経済学部が150/550。総合人間学部文系が200/650。文学部が100/500。教育学部文系が150/650です。
 数学という科目の特殊性として、たとえば、京都大学文系数学は、大問が5つしかありません。他の受験生が解けている問題が、Focus Goldあたりに抜けがあることにより、白紙になり、0点だと、その失点を他科目で取り返すのは、まず無理といえます。
 このあたりからも、数学の出来不出来の波をなるべく小さくすることが、安定して合格点を取るために、非常に大切であることがわかると思います。

 

京都大学数学、入試本番の心構え

 以下のことは、どこの大学の入試の数学でも、このような傾向があります。
 京都大学文系数学は、大問ごとの難易度の差が激しいことが多いです。特に、京都大学文系の場合、びっくりするほど簡単な問題を出すことがあります。一方で、京都大学らしい、個性的な難しい問題も出ます。
 解けなそうな問題を見た時に、戦意を喪失しないことです。人間は、そのような心持ちになるだけで、パフォーマンスが低下することが、大学の研究で明らかになっています。ちゃんと勉強した受験生の場合、解けなそうな問題を見たら「他の受験生も解けないな」と思って、軽く流し、解けそうな問題を確実に解く、部分点を取る、ということを心がければ、合格点を取れます。

 

2024年京都大学文系数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

 月刊『大学への数学』誌(東京出版)では、難易度をA(易)~D(難)にレベル分けしています。Bが教科書の理解とチャート式、Focus Gold(啓林館)あたりの技法の組み合わせで完答でき、発想力といったものはいらない問題です。東大は成績を開示し、東大新聞は合格者の平均点を調査しています。Bを完答、CもBレベルの部分点で合格者平均を超えます。
 第三者の評価も加え客観性を持たせるために、この評価も併記します。
 大学受験塾チーム番町では、普通の塾、予備校のように、入試問題の解き方を解説しても、あまり意味はないと考えます。どのように勉強すれば、大学入試の数学で合格点を取れるのか。それを、正解に必要な技法が、教科書、チャート式、Focus Gold(啓林館)に載っているか、という独自の観点から分析します。

 

大問1

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
京大でよく出題される、四面体の問題です。ただし、本問は、ベクトルで行くと見通しが悪そうです。本問は、空間座標で考えると、見通しがいいです。
あとは、問題文で与えられた条件で式を立てて、ゴリゴリ計算すればいいので、解けると言えば解けます。一方、典型技法の組み合わせ、といった感じでもなく、まず、空間座標を設定するところでつまづくと、かなり苦しくなります。難易度Bですが、取り組みにくいと思った人も多かったかもしれません。

 

大問2

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
立方体を辺を共有する面を違う色で塗り分ける問題です。
Focus Goldあたりの場合の数のところには、まず載っているような問題です。ただ、私大医学部あたりでよく出る問題という印象でした。京大で出ましたね。

(1)
3色で塗り分ける問題です。
上記のように、立方体などの塗り分け問題の経験があれば、やや見通しが良かったかもしれませんが、初見でも難しくないでしょう。

(2)
4色用意した時に塗り分ける問題です。
本問もそれほど難しくなく、「場合の数」「確率」が弱い、チャート式、Focus Goldあたりだけでも行けるでしょうし、もう少し「場合の数」「確率」を補強していれば、問題なく解けるとお思います。
完答しましょう。

 

大問3

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はC。
文字定数aを含む絶対値つき二次関数の最大値を考える問題です。

絶対値を見たら、第一感、中身が0以上か負かで外しに行くのはいいと思います。
普通は文系なら「文字定数aを含む3次関数」の問題で使う考え方ですが、文系レベルの連続関数の場合、最大値の候補は、極大値か区間の両端しかありえません。本問はこの考え方の枠組みでいけます。極値と両端の大小、極値が定義域に含まれるか、です。これは、Focus Goldあたりの数2の微分に載っています。したがって、難易度Cですが、十分に完答も可能だと思います。

 

大問4

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
ある自然数を八進法、九進法、十進法で表したとき、桁数が同じになった。このような自然数で最大のものを求めよ、という問題です。

桁数に関しては、常用対数のところで、根本から理解しようとしている人はりかいしているでしょう。あとは、◯進法の根本からの理解が問われています。両方を根本から理解している人にとっては、それほど難しくないでしょうし、数学を丸暗記寄りでやっている人にとっては、定型的な問題ではないので、難しかったかもしれません。
京大らしい出題だったと言えるかと思います。

 

 

京都大学文系数学の傾向と対策と勉強法

 京都大学文系の数学は、大問5問、試験時間120分。微分積分、確率、整数、ベクトル(特に四面体)がよく出題される傾向にあります。このうち、確率、整数は、特別な対策が必要なことも多いです。

 確率は、同じ「確率」の分野でも、共通テストや、もう少し入りやすい国立大学で出題されるものとは、かなり傾向が異なることが多いです。抽象的な文字nなどが含まれる、漸化式との融合問題になる、Σを使う、などです。合否を分ける基本的な技法は『合格る確率』(文英堂)でマスターすればいいと思います。あとは、一橋大学の過去問が似ていることが多いので対策に使えます。

 整数は、完答できていない受験生が多い年も多いので、なんとも言えませんが、取れるだけ部分点を取らなければなりません。市販でちょうどいい整数問題集が無いので、大学受験塾チーム番町では、ちょうど完答できなければならないレベルの技法を網羅した、対策整数問題集を渡しています。

 微分積分は取り組みやすいことが多いです。ただ、やはり、文字aなどを含み、場合分けをする、といったことを求められることが多いです。Focus Goldの技法を完璧にし、『文系数学良問のプラチカ』をで対策をしたいです。

 かなり出題傾向にクセがあるので、過去問集である『京大の文系数学27カ年』(教学社)を、『月刊大学への数学』の東京出版の難易度を意識して(B完答、C部分点)使い、対策したいです。

 答案の書き方、論証のしかた、については、日頃から、教科書、Focus Goldあたりの答案をマネすることを心がければ、問題ないと思います。
 「問題の構造を捉える力」が必要、などと難しいことを言っている人がいますが、京大入試程度で小難しいことを言っている人は、全員、偽物だと思ったほうがいいです。当サイトで分析しているように、教科書の理解と、Focus Goldの「あの技法を使えばいい」といった思考で、合格点を大きく上回ると思います。これは意見ではなく、当サイトで示している事実です。
 したがって、最強の京大対策は「学校と並行して、学校採用問題集(Focus Goldあたりは、どれもほぼ収録問題が変わらない)をひたすらマスター」し、京大を中心に、合否を分けるレベルあたりを中心に、入試問題演習をする、ということになります(上記のように、確率、整数は補強が必要)。

 京都大学文系数学は、びっくりするほど簡単な出題をする年があります。2023年も大問1(1)、大問3(1)などはそうです。それで十分点差がついているということでしょうし、数学の実質配点を上げたければ、見栄を張った、全員が解けないような出題を減らし、ちょうど点差が着くレベルの出題を増やすことになります。
 その他の問題も、大問1(2)、大問3(2)以外は、教科書を理解し、チャート式やFocus Goldなどで受験によく出る技法をマスターしていれば、見た目から、それらを使いこなせれば解ける問題であろうとわかりそうで、実際解けます。他の受験生に大きく差をつけることができたでしょう。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 夏と秋の河合塾さんと駿台さんの京大模試は受けたほうがいいでしょう。

 

京都大学文系数学オススメ参考書

 一番の基礎は教科書です。教科書には定義、問題以前の説明、基本問題が一番しっかり載っています。まずは、教科書を理解し、本文の問題(章末除く)を全問解けるようにしましょう。

 次に、Focus Goldの京都大学に重要な問題を全問解けるようにします。この時、指導者がいて、適切に問題を選んでくれるといいですね。ここまでで、進研記述模試、河合全統記述模試などの標準的な記述模試では、京大レベルの成績になっているはずです。

 京大文系入試対策としては『合格る確率』、整数対策、『文系数学良問のプラチカ』、『京大の数学27カ年』を、上記のように、合否を分けるレベルの問題は全問解けるようにしましょう。『京大の文系数学27カ年』の前に『世界一わかりやすい京大文系数学』(KADOKAWA)をはさむと、解説が分かりやすく、着眼点なども書いてあるので、いいかと思います。

 直前期に何をすべきかは人によって違います。上記のような教材をきっちりこなしきれた場合、今までこなした教材で、忘れていてできなそうな問題に✓をつけ、ひたすら復習し、弱点をつぶすのがいいと思います。
 現役生で、間に合うか間に合わないかわからない場合、とにかく、復習してマスターすることを重視して、微積分、確率、整数、ベクトルなどの頻出分野から優先順位をつけて、Focus Goldや『世界一わかりやすい京大文系数学』、『京大の文系数学27カ年』の月刊『大学への数学』誌のBランク問題に取り組むと、本番で似たような考え方で解ける問題が出るかもしれません。

 

 

2023年京都大学文系数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

(1)
『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はA。
「サイコロをn回投げた時の積が5で割り切れる確率」という超有名問題です。5の倍数ということは「少なくとも5が1回出る」ということです。「少なくとも」という文言を見たら、余事象を取りますね。
難易度Aの問題は、他の上位国立大学ではなかなか出ませんが、京大は結構出るので気をつけましょう。

(2)
『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はC。
3乗根を含む分数の分母を有理化する問題です。以外に難しいので、できなかった人が多かったでしょう。

 

大問2

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
京大でおなじみの四面体とベクトルの問題です。
Focus Goldに載っている、1次独立→係数比較、または、平面◯△▢上にあるから係数を足して1といった技法で求まります。

 

大問3

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はC。

(1)
cos2θをcosθの式で表すのは、倍角の公式そのものです。
cos3θをcosθの式で表すのは、3倍角の公式の証明は、数研出版の教科書には問題として載っています。したがって正解できます。

(2)
「半径1の円に内接する正五角形の1辺の長さが1.15より大きいか否かを理由を付けて判定せよ」という問題です。
東大理Ⅲ御用達の『入試数学の掌握』(エール出版社)という本があります。この本の<鉄則>に「内接多角形の辺長を表すときは、外接円の半径をR、中心角を2θと置いて、正弦定理を使う。余弦定理だと根号の処理に困る。」といった旨が書いてあります。そんな感じで証明できますが、本書は、並の京大文系受験生にはオーバーワークで、あまり読んでないでしょう。予備校などで教わっていれば証明できるか、というところかと思います。
以前、東大で、円周率が3.05より大きいことの証明が出題されましたが、本問はそれを彷彿させますね。

 

大問4

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
数列{an}の一般項を求める問題で、和Sn、an、nを含む類型です。
基本形はFocus Goldあたりには載っていて、同じように漸化式を立てれば解けます。
その漸化式が、少しだけ複雑ですが、階差数列に持ち込んだあと、(等差数列)×(等比数列)型の和という、教科書レベルの組み合わせで解けます。

 

大問5

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
見た目複雑ですが、見た目からもわかるように、数Ⅱの教科書の積分に載っている「定積分は定数と置け」を使い、同じ方針でゴリゴリ計算すれば解けます。

 

京都大学文系数学の傾向と対策と勉強法

 京都大学文系数学は、びっくりするほど簡単な出題をする年があります。2023年も大問1(1)、大問3(1)などはそうです。それで十分点差がついているということでしょうし、数学の実質配点を上げたければ、見栄を張った、全員が解けないような出題を減らし、ちょうど点差が着くレベルの出題を増やすことになります。
 その他の問題も、大問1(2)、大問3(2)以外は、教科書を理解し、チャート式やFocus Goldなどで受験によく出る技法をマスターしていれば、見た目から、それらを使いこなせれば解ける問題であろうとわかりそうで、実際解けます。他の受験生に大きく差をつけることができたでしょう。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2023年京都大学理系数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

(1)
月刊『大学への数学』誌の難易度はA。
定積分の計算をするだけの問題です。
そのまま部分積分をしても行けます。教科書通り、面倒くさそうな部分を置換してから部分積分をしてもいいでしょう。
難易度Aの問題は、他の上位国立大学ではなかなか出ませんが、京大は結構出るので気をつけましょう。

(2)
月刊『大学への数学』誌の難易度はB。
整式の割り算の余りを求める問題です。
ただ、教科書、チャート式、Focus Goldあたりの整式の割り算に載っているようなやり方では、うまくいきません。
一方、むしろ、複素数平面の分野でxn-1の因数分解は頻出で、チャート式、Focus Goldあたりには載っていますから、それを使おうと思えば、そう難しくなく解けると思います。

 

大問2

月刊『大学への数学』誌の難易度はB。
京大で頻出の空間ベクトル、四面体の問題です。
空間の2ベクトルが交点を持つ話はFocus Goldあたりには載っており、それよりは、少しだけ式が複雑になりますが、方針としては、全く同じようにやれば解けます。

 

大問3

月刊『大学への数学』誌の難易度はB。

(1)
文系大問1(1)と同じ問題なので省略します。

(2)
サイコロをn回投げて積が15の倍数になる確率です。
確率の分野は、チャート式やFocus Goldあたりは弱いので、大学受験塾チーム番町では、『合格る確率』(文英堂)を使用しています。ほぼ同じように解く問題が載っているので、解けます。

 

大問4

月刊『大学への数学』誌の難易度はB。
数3の微分の最大最小の問題です。

そういえば、数3の微分では、あまり使わないような気がしますが、数2の三角、指数、対数関数あたりの最大最小では、=tと置き換える問題は普通で、本問も、明らかに同じ式が2つありますから、=tと置けば、あとは、数3の微分の標準的な最大最小の問題に帰着され、解けます。

 

大問5

月刊『大学への数学』誌の難易度はC。
結局は、数3の積分の回転体の体積の問題です。
結局は回転体で考えるのだから、点QはZ軸上に設定すればいいのですが、まず、問題文から図形を把握した時に、そう思えるかが難しいと思います。
後半の積分の回転体の体積については、Focus Goldが非常に充実しており、あのあたりの問題をマスターしていれば、なんとか求まると思いますが、ここでも、通過範囲を確定させるのにひとひねりありますし、先述のように、そこに持ち込むのも大変かなと思います。

 

大問6

月刊『大学への数学』誌の難易度はC。

(1)
cos3θとcos4θをcosθで表す問題です。
文系大問3(1)で似たような問題が出ています。
3θは、理系なら積分で使いますし、数2の教科書の加法定理のところでも、問題として載っています。4θは2θの倍角なのでcosだけで表せることはすぐわかり、解けます。

(2)
まあ、存在、不存在を示すので、背理法でやってみたくなるのは教科書レベルです。
あとは、(1)とその前の2倍角から規則性を見つけて、帰納法でやってくれということだと思いますが、ちょっと思いつかないと思います。このあたりまで書いて、部分点狙いで十分なのではないでしょうか。

京都大学理系数学の傾向と対策と勉強法

 京都大学理系の数学は、大問6問、試験時間150分。微分積分、確率、整数、ベクトル(特に四面体)がよく出題される傾向にあります。このうち、確率、整数は、特別な対策が必要なことも多いです。

 確率は、同じ「確率」の分野でも、共通テストや、もう少し入りやすい国立大学で出題されるものとは、かなり傾向が異なることが多いです。抽象的な文字nなどが含まれる、漸化式との融合問題になる、Σを使う、などです。合否を分ける基本的な技法は『合格る確率』(文英堂)でマスターすればいいと思います。2023年の大問3は、ほぼ同じ問題が収録されています。あとは、一橋大学の過去問が似ていることが多いので対策に使えます。

 整数は、完答できていない受験生が多い年も多いので、なんとも言えませんが、取れるだけ部分点を取らなければなりません。市販でちょうどいい整数問題集が無いので、大学受験塾チーム番町では、ちょうど完答できなければならないレベルの技法を網羅した、対策整数問題集を渡しています。

 数3の微分積分の基本技法はFocus Goldがかなり優れています。あとは、それを使いこなせるよう、入試問題演習をすればいいと思います。

 かなり出題傾向にクセがあるので、過去問集である『京大の理系数学27カ年』(教学社)を、『月刊大学への数学』の東京出版の難易度を意識して(B完答、C部分点)使い、対策したいです。

 答案の書き方、論証のしかた、については、日頃から、教科書、Focus Goldあたりの答案をマネすることを心がければ、問題ないと思います。
 「問題の構造を捉える力」が必要、などと難しいことを言っている人がいますが、京大入試程度で小難しいことを言っている人は、全員、偽物だと思ったほうがいいです。当サイトで分析しているように、教科書の理解と、Focus Goldの「あの技法を使えばいい」といった思考で、合格点を大きく上回ると思います。これは意見ではなく、当サイトで示している事実です。
 したがって、最強の京大対策は「学校と並行して、学校採用問題集(Focus Goldあたりは、どれもほぼ収録問題が変わらない)をひたすらマスター」し、京大を中心に、合否を分けるレベルあたりを中心に、入試問題演習をする、ということになります(上記のように、確率、整数は補強が必要)。

 京都大学理系数学でも、びっくりするほど簡単な出題をする年があります。2023年も大問1(1)などはそうです。それで十分点差がついているということでしょうし、数学の実質配点を上げたければ、見栄を張った、全員が解けないような出題を減らし、ちょうど点差が着くレベルの出題を増やすことになります。
 その他の問題も、大問2、4、6(1)は、教科書を理解し、チャート式やFocus Goldなどで受験によく出る技法をマスターしていれば、見た目から、それらを使いこなせれば解ける問題であろうとわかりそうで、実際解けます。他の受験生に大きく差をつけることができたでしょう。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 夏と秋の河合塾さんと駿台さんの京大模試は受けたほうがいいでしょう。

 

京都大学理系数学オススメ参考書

 一番の基礎は教科書です。教科書には定義、問題以前の説明、基本問題が一番しっかり載っています。まずは、教科書を理解し、本文の問題(章末除く)を全問解けるようにしましょう。

 次に、Focus Goldの京都大学に重要な問題を全問解けるようにします。この時、指導者がいて、適切に問題を選んでくれるといいですね。ここまでで、進研記述模試、河合全統記述模試などの標準的な記述模試では、京大レベルの成績になっているはずです。

 京大文系入試対策としては『合格る確率』、整数対策、『文系数学良問のプラチカ』、『京大の理系数学27カ年』を、上記のように、合否を分けるレベルの問題は全問解けるようにしましょう。『京大の理系数学27カ年』の前に『世界一わかりやすい京大理系数学』(KADOKAWA)をはさむと、解説が分かりやすく、着眼点なども書いてあるので、いいかと思います。

 直前期に何をすべきかは人によって違います。上記のような教材をきっちりこなしきれた場合、今までこなした教材で、忘れていてできなそうな問題に✓をつけ、ひたすら復習し、弱点をつぶすのがいいと思います。
 現役生で、間に合うか間に合わないかわからない場合、とにかく、復習してマスターすることを重視して、微積分、確率、整数、ベクトルなどの頻出分野から優先順位をつけて、Focus Goldや『世界一わかりやすい京大理系数学』、『京大の数学27カ年』の月刊『大学への数学』誌のBランク問題に取り組むと、本番で似たような考え方で解ける問題が出るかもしれません。

 

 

2021年京都大学文系数学 :難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

(1)
『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はA。

10進法の6.75を2進法で表す。その答と2進法の小数のかけ算。さらに、その答を4進法で表すという、全体として教科書レベルの問題なので、正解できます。

(2)
『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はA。
三角形の2辺の長さと挟む角が与えられ、垂心のベクトルを求めるという、チャート式やFocus Gold(啓林館)あたりには、数値が違うだけの問題が載っていそうな問題なので、解けます。

 

大問2

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はA。
絶対値つきの定積分の問題です。教科書レベルと言え、正解できます。

 

大問3

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はC。
確率の問題です。
いわゆる確率漸化式に帰着できれば見通しがいいですが、意外に、難しいかもしれません。
他の問題や、試験時間との兼ね合いから、手つかずでも合格点でしょう。

 

大問4

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
座標空間上の直方体の切断面の平行四辺形の面積を求める問題です。
教科書などのベクトルのところに、ベクトルを使った三角形の面積の式が載っていますが、平行四辺形の面積は三角形の2倍なので、それを使うと早そうです。
面積の最小値は二次関数の最小に帰着されます。
したがって完答できます。

 

大問5

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
「pが素数ならばp4+14は素数でないことを示せ」という整数問題です。
整数や数列のように、とびとびの値しか取らない(離散的といいます)問題は、具体的にやってみることが大切なことが多いです。本問も、p=2,3,5とやってみるとうまくいきます。
その後、合同式を使いこなせると、かなり簡単で、完答できます。

 

京都大学文系数学の傾向と対策と勉強法

 2021年の難易度はAA/ACBBでした。京大文系数学は、びっくりするほど簡単な出題をする年があります。2021年もそのような問題が多かった印象です。それで十分点差がついているということでしょうし、数学の実質配点を上げたければ、見栄を張った、全員が解けないような出題を減らし、ちょうど点差が着くレベルの出題を増やすことになります。
 このような年に対応するためには、教科書を理解し、チャート式や『Focus Gold』(啓林館)などで受験によく出る技法をマスターし、入試標準問題演習をすれば、大丈夫です。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2021年京都大学理系数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

(1)
『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
空間座標上の平面に対し、対称な点を求める問題です。似たような問題はFocus Gold(啓林館)あたりには載っているので解けます。垂線の足が平面上にあるので、例の係数を足して1。内積0が2回使える。これで定まります。

(2)
『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
確率の問題です。色のついた玉を取り出す問題ですが、基本形にあるのは、チャート式やFocus Gold(啓林館)あたりに載っている「A、Bの2部屋に分けるが空室があってはならない」という問題です。玉の種類が4種類ですが、考え方は同じで、この程度の出題も、過去に他大であったので、解けます。

 

大問2

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
放物線の接点と接線のx切片の距離の最小値を求める問題です。素直に式を立ててゴリゴリ進めれば解けます。外見は数Ⅱチックですが、途中、数Ⅲの微分が必要になります。

 

大問3

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
ただし、予備校さんによっては、やや難などとなっているようです。たしかに、後半はきついような気がします。
形から見て、極形式にすると見通しがいいのはいいでしょう。その極形式の実部の話なので、共役どうしを足して2で割ると実部、というFocus Goldあたりに載っている話を使ってもいいでしょう。途中までで合格点でしょう。

 

大問4

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
曲線の長さの問題です。教科書どおりに曲線の長さを求めに行きますが、途中の積分が少しだけ難しい、といった程度なので、完答できます。

 

大問5

『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。

(1)
三角形の外心の座標を求める問題です。
外心は各辺の垂直二等分線の交点であることを考えると、あっさり出ます。

(2)
三角形の垂心の軌跡を求める問題です。
『Focus Gold』などのベクトルのところには、垂心の問題が載っていて、同様に、内積0を使えば解けます。軌跡についても、チャート式や『Focus Gold』レベルのことをマスターすれば、本問もどのように解き進めればいいかはわかるでしょう。

 

大問6

(1)
『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はB。
素数が絡む整数の証明問題です。
問題文から、対偶あるいは背理法を使うのはいいでしょう。このような問題でn乗を見たら、2項展開するのは、わりとある話です。過程は色々ありそうですが、なんとか証明できるでしょう。

(2)
『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)の難易度はD。
難しいので、手つかずでも合格点でしょう。

 

京都大学理系数学の傾向と対策と勉強法

 2021年の難易度はBB/BBBB/BDでした。教科書を理解し、チャート式や『Focus Gold』(啓林館)などで受験によく出る技法をマスターし、少し入試標準問題に慣れれば、大問3後半、大問6(2)以外は完答でき、十分、他の受験生に差をつけることができたでしょう。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2019年京都大学文系数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

問1
『大学への数学』4月号の難易度はA。
整式の割り算の問題です。
実際に割り算を実行してaの値を定めるだけです。
完答すべきです。

問2
『大学への数学』4月号の難易度はC。
対数で「何桁?」と「最高位の数字」は教科書やチャート式、Focus Gold(啓林館)あたりには載っていますが、「最高位からの2桁の数字」というところに、ひとひねりあります。
「最高位の数字」の解き方を根本から理解していれば、完答できるでしょう。

 

大問2

『大学への数学』4月号の難易度はB。
2次関数の最小値の問題です。
絶対値がついているのはまだいいとして、文字がa、bと2文字あり、かなり抽象度が高い問題です。
大問1の問2の「最高位からの2桁の数字」もそうですが、典型問題からひとひねりするだけで、受験生が丸暗記ではなく根本から理解しているかを問える、合否を分けるレベルのいい問題になると思います。
場合分けは、3次関数に文字が入った問題を参考にすると「極値と区間の位置関係」ですが、「グラフとx軸との交点の位置関係」で場合分けしてもいいでしょう。
最小値のグラフを書く部分もこのあたりではありがちで、Focus Gold(啓林館)では節末問題に載っています。
完答すべきです。

 

大問3

『大学への数学』4月号の難易度はC。
これもax2+bx+cとかなり抽象度が高い問題です。
まず2次の係数がaなので、aの0、正、負で場合分けするような問題はFocus Gold(啓林館)あたりには載っています。
あとは、題意を把握できれば完答できるのではないでしょうか。

 

大問4

『大学への数学』4月号の難易度はC。
さいころをn回振って、1回だけ目が4以下から5以上に切り替わる確率の問題。
理系大問4と共通問題です。
本問を一段階簡単にしたような問題は入試標準問題集などにはよく載っていると思います。
本問は∑を2回使うような模範解答が見られますが、まあ、問題の状況を把握して丁寧にやっていけば完答も狙えると思います。
大学受験の数学は、入試問題の丸覚えではなく、教科書の理解と『Focus Gold』(啓林館)などの問題集でマスターした技法を入試問題に対して臨機応変に使いこなすことが大切だと思われますが、確率は、問題の性質上、実際に入試レベルの問題に多く取り組む優先順位が高い分野だと思います。

 

大問5

『大学への数学』4月号の難易度はB。
半径1の球面上の5点がつくる、底面が正方形の四角錐の体積の最大値の問題。
理系大問5と共通問題です。

球で中心に注目する問題はFocus Gold(啓林館)の空間ベクトルのところに載っています。
完答すべきですし、図形問題として検討する価値が高いと思います。

 

京都大学文系数学の傾向と対策と勉強法

 2019年の難易度はAC/BCCBでした。典型問題にひとひねり加えて、典型問題を丸暗記ではなく根本から理解しているかを問うような出題が目立ったと思います。
 特に、大問2,大問3は抽象度の高い話を適切に処理できるかが問われていました。
 教科書を理解し、チャート式や『Focus Gold』(啓林館)などで受験によく出る技法をマスターし、それらを丸暗記ではなく根本から理解した上で、入試標準問題演習をすれば、時間が許せば、満点に近い点数も狙えたと思います。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2019年京都大学理系数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

問1
『大学への数学』4月号の難易度はC。
cosθは有理数ではないがcos2θとcos3θがともに有理数となるようなθの値を求める問題。
京大らしい出題ですね。
ちょっと、教科書や学校採用教材などでは見ない類型の発想が必要で、「やや易」などとしている予備校さんもあるようですが、意外に出来は悪かったのではないでしょうか。
直感的にπ/6というのはわかっても、答案として論理的かどうか。
まあ、3θがあるので3倍角の公式を使ってみるものでしょう。
2θがあるので倍角の公式も使ってみるものでしょう。
その後、論理的に示せるかどうかでしょうか。

問2
『大学への数学』4月号の難易度はB。
定積分をするだけの問題です。

(1)
tanxの微分が1/cos2xなので、そこから部分積分に持ち込むのは気づきたいです。
その後のtanxの積分は数研出版の教科書には載っています。
積分は「この類型はこう積分する」というのをパッと見えるようにするトレーニングが大切です。
(2)
定積分ではなく、不定積分ですが、全く同じ関数の問題が数研出版の教科書には載っています。
また、大学受験塾チーム番町で「この類型はこう積分するというのをパッと見えるようにするトレーニング」に使っている、Focus Gold(啓林館)のコラム「ひと目で分かる不定積分」にも、全く同じ関数が載っています。
完答すべきです。

 

大問2

『大学への数学』4月号の難易度はB。
整数問題です。
整数問題を見たときになにを考えればいいか?という投稿の『「素数」という文言を見たら…』の欄にも書きましたが、偶数の素数は2のみです。
これが使えます。
その後、必要条件で絞り込んで、あとは力技で調べていく技法はFocus Gold(啓林館)あたりには載っています。
完答すべきですし、検討する価値が高い整数問題でしょう。
大学受験の数学は、入試問題の丸覚えではなく、教科書の理解と『Focus Gold』(啓林館)などの問題集でマスターした技法を入試問題に対して臨機応変に使いこなすことが大切だと思われますが、整数は、問題の性質上、実際に入試レベルの問題に多く取り組む優先順位が高い分野だと思います。

 

大問3

『大学への数学』4月号の難易度はC。
「t:1-tに内分」といった文言から、ベクトルを使おうかな、とは思えるのではないでしょうか。

あとは、座標を設定して、教科書にも載っている媒介変数表示された図形の面積を求める方針でいけば、完答も狙えるでしょう。

 

大問4

『大学への数学』4月号の難易度はC。
さいころをn回振って、1回だけ目が4以下から5以上に切り替わる確率の問題。
文系大問4と共通問題です。
本問を一段階簡単にしたような問題は入試標準問題集などにはよく載っていると思います。
本問は∑を2回使うような模範解答が見られますが、まあ、問題の状況を把握して丁寧にやっていけば完答も狙えると思います。
大学受験の数学は、入試問題の丸覚えではなく、教科書の理解と『Focus Gold』(啓林館)などの問題集でマスターした技法を入試問題に対して臨機応変に使いこなすことが大切だと思われますが、確率は、問題の性質上、実際に入試レベルの問題に多く取り組む優先順位が高い分野だと思います。

 

大問5

『大学への数学』4月号の難易度はB。
半径1の球面上の5点がつくる、底面が正方形の四角錐の体積の最大値の問題。
文系大問5と共通問題です。

球で中心に注目する問題はFocus Gold(啓林館)の空間ベクトルのところに載っています。
完答すべきですし、図形問題として検討する価値が高いと思います。

 

大問6

『大学への数学』4月号の難易度はB。
複素数で常用対数表を使う問題。
n乗があるので極形式にするのはいいでしょう。
あとは、ためしに具体的にnに値を代入して調べてみて、答案では一般性のある議論をすれば解けると思います。
完答すべきです。

 

京都大学理系数学の傾向と対策と勉強法

 2019年の難易度はCB/BCCBBでした。大問1の問1だけは、ちょっと発想が必要だと思いますが、その他は、教科書を理解し、チャート式や『Focus Gold』(啓林館)などで受験によく出る技法をマスターし、入試標準問題演習をすれば、ほぼ解けると思います。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2018年京都大学文系数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
共通接線の話は、『Focus Gold』(啓林館)あたりにはまず載っています。
計算は少し大変そうです。
理系の大問1も共通接線の問題でした。
完答すべきです。

 

大問2

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
三角比、三角関数と微分の融合問題です。

(1)
QRを求めることと∠BAPを使うことから逆算して頑張れば解けると思います。
図形の入試標準問題に慣れておいたほうがいいでしょう。

(2)
(1)ができれば普通の微分の問題です。
完答すべきです。

 

大問3

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
整数問題です。
理系の大問2と共通問題です。

整数や数列のように、とびとびの値しか取らない(離散的といいます)問題は、具体的にやってみることが大切なことが多いです。本問も具体的にn=1、2、3…とやってみて、あたりをつけるのが定石でしょう。そうすれば方針が見えると思います。
完答すべきです。
大学受験の数学は、入試問題の丸覚えではなく、教科書の理解と『Focus Gold』(啓林館)などの問題集でマスターした技法を入試問題に対して臨機応変に使いこなすことが大切だと思われますが、整数は、問題の性質上、実際に入試レベルの問題に多く取り組む優先順位が高い分野だと思います。

 

大問4

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はD。
四面体の問題。
理系大問6と共通問題です。

(1)
垂直を示す問題。
ベクトルでも初等幾何でもいいでしょう。
四面体の線分の垂直をベクトルで証明する問題は『Focus Gold』(啓林館)あたりには載っています。

(2)
ちょっと思いつきにくいと思います。
合格には(1)ができればいいと思います。

 

大問5

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
確率の問題。
Xnが最大と最小になる場合とそれからいくつかを具体的にやってみて、問題を把握すると、確率の入試標準レベルの問題になると思います。
完答も狙えるでしょう。
大問3でも述べましたが、nを含んでよくわからない問題は、具体的にやってみることが大切です。

大学受験の数学は、入試問題の丸覚えではなく、教科書の理解と『Focus Gold』(啓林館)などの問題集でマスターした技法を入試問題に対して臨機応変に使いこなすことが大切だと思われますが、確率は、問題の性質上、実際に入試レベルの問題に多く取り組む優先順位が高い分野だと思います。

 

京都大学文系数学の傾向と対策と勉強法

 教科書を理解し、チャート式や『Focus Gold』(啓林館)などで受験によく出る技法をマスターし、入試標準問題演習をすれば、上記のように、3~4完+部分点が狙えます。
合格点を大きく上回るでしょう。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2018年京都大学理系数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。

(1)
共通接線の話は、『Focus Gold』(啓林館)あたりには載っているので解けます。
文系の大問1も共通接線の問題でした。

(2)
軌跡、領域の問題。
原型になるような問題は『Focus Gold』(啓林館)あたりにはまず載っていますし、このくらいちょっといろいろやる程度の問題も入試標準問題集には載っているでしょう。
完答すべきです。

 

大問2

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
文系の大問3と共通問題です。整数問題です。

具体的にn=1、2、3…とやってみて、あたりをつけるのが定石でしょう。
そうすれば方針が見えると思います。
完答すべきです。

 

大問3

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
半径1の円に内接する等脚台形の4辺の積の最大を考える問題。

まあ、半径1を使うために、円の中心から頂点に補助線を引くものでしょう。
図形問題で最大最小を考えるときは、角をθとおく選択肢を常に頭においておきましょう。
このくらいで、4辺の積を三角関数の最大値に帰着できそうだな、と思えれば、完答も狙えるでしょう。

 

大問4

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
複素数平面と確率と漸化式の融合問題です。

複素数平面の図形的な読み取りは教科書基本レベルで、確率と漸化式の部分も入試標準問題集ではよくあるような話です。
完答すべきです。

 

大問5

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
微分、積分、弧長の問題。
(1)
ゴリゴリやれば出るでしょう。
(2)
ちょっと計算の途中の工夫が大変かもしれません。

 

大問6

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はD。
四面体の問題。
文系大問4と共通問題です。

(1)
垂直を示す問題。
ベクトルでも初等幾何でもいいでしょう。
四面体の線分の垂直をベクトルで証明する問題は『Focus Gold』(啓林館)あたりには載っています。

(2)
ちょっと思いつきにくいと思います。
合格には(1)ができればいいと思います。

 

京都大学理系数学の傾向と対策と勉強法

 2018年の難易度はBBCBCDでした。教科書を理解し、チャート式や『Focus Gold』(啓林館)などで受験によく出る技法をマスターし、入試標準問題演習をすれば、上記のように、3完+(2半~1完2半)ほどが狙えると思います。合格点を大きく上回るでしょう。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

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【2023】東京工業大学(東工大)数学 難易度推移と傾向と対策:小問で部分点を集める

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

東大・医学部受験の数学の勉強法

東京大学文系・理系数学

京都大学文系・理系数学

早稲田大学理工系数学

慶應義塾大学理工学部数学

 

【2023】東京工業大学(東工大)数学 難易度推移と傾向と対策:小問で部分点を集める

 

東京工業大学入試の数学で悩んでいる人へ

 東京工業大学数学が難しすぎて、大問を全く完答できない。また、どのくらいが合格レベルかが全くわからずに、悩んでいませんか?
 実は、東京工業大学の数学は、月刊『大学への数学』誌の難易度でCの大問が多く、これは、東大の成績開示なども見ると、並の東大理系合格者くらいでは、完答できない人が多いことを表しています。1つの大問全体を完答できている人は、あまりいないということです。
 この記事を読むと、東京工業大学数学の難易度(月刊『大学への数学』誌のものも併記してあります)、どのように勉強すれば合格点を取れるか、どこまで解ければいいのか、どのような教材をマスターすればいいのか、などを知ることができます。

 

東工大入試における数学の重要性

 東工大の数学の配点は300/750です。非常に配点が高く、東工大入試の最重要科目であることがわかります。試験時間は180分です。
 また、数学は、大問が5つしかありません。他の受験生が解けている問題が、Focus Goldあたりに抜けがあることにより、白紙になり、0点だと、その失点を他科目で取り返すのは、かなり厳しいといえます。
 以上より、東工大入試における数学の重要性がわかると思います。

 

東工大数学、入試本番の心構え

 以下のことは、どこの大学の入試の数学でも、このような傾向があります。
 大学入試の数学は、物理、化学と異なり、大問ごとの難易度の波が激しいことが多いです。東工大でも、並の合格者程度では、まあ解けないだろう、という問題もよく出ます。特に東工大では、月刊『大学への数学』誌のCランクの問題が多く、これは、並の東大理系合格者程度では、完答できないことが多いことを表しています。
 そのような時に、解けなそうな問題をみて、戦意を喪失しないことです。人間は、そのような心持ちになるだけで、パフォーマンスが低下することが、大学の研究で明らかになっています。ちゃんと勉強した受験生の場合、解けなそうな問題を見たら「他の受験生も解けないな」と思って、軽く流し、解けそうな問題を確実に解く、部分点を取る、ということを心がければ、合格点を取れます。

 

2024年東京工業大学合格への数学得点戦略

 令和6年度(2024年)一般選抜(前期日程)合格者学院別得点は、以下のようでした。

学院 合格最低点
理学院 420
工学院 391
物質理工学院 379
情報理工学院 435
生命理工学院 370
環境・社会理工学院 383

東工大のサイトより引用

 情報理工学院だけ、異常に合格最低点が高いのは、いわゆるGAFAMあたりが高給を出すような社会情勢において、東大はハイレベルな進振りに勝ち抜かないと、情報系に進学できないからではないか、と言われています。したがって、情報理工学院は、とりあえず置いておきます。

 他学院は750点満点中、5割前後の得点で合格できることがわかります。2023年より全体的に合格最低点が上がった傾向があります。
 ここで、大学受験全体の傾向を述べますと、物理、化学は、基本を理解して、問題集を解けるようにすれば、入試ではかなりの高得点を取れるようになります。英語も、ちゃんと勉強すれば、高得点を狙える科目です。
 一方で、数学は、大問ごとの難易度の波が大きく、ある程度入りやすいと言われる大学でも、並の東大合格者程度では解けない、月刊『大学への数学』誌のCレベルの問題が出題されます。
 そして、東工大の数学は、異常に月刊『大学への数学』誌のCレベルの問題が多く、完答をできている人はかなり少ない、ということがわかります。
 したがって、東工大の合格レベルに達していない人がまず目指すべきなのは、数学は5割を少し切る程度。そして、英語、物理、化学の網羅度を高め、高得点を目指す、ということになりそうです。

 

東工大数学、他サイトへの疑問

 たしかに、東工大の配点は、数学が300/750と、数学の配点が非常に高いです。したがって、安直に「数学で高得点を狙おう!」のようなことを書いてあるサイトが散見されます。
 しかし、上記のように、東工大の数学は、並の東大合格者程度には、客観的に難しいことがわかっています。そのような入試の数学で、どうやって高得点を取るのですか?

 

東工大数学は0完でも合格できる?

 上記のように、東工大入試の数学は、月刊『大学への数学』誌のCレベルの問題が非常に多いです。C問題は、東大理系の合格者平均あたりの人では、完答できていない場合が多いことが、東大の成績開示と、かつて東大新聞が調査していた合格者平均から読み取れます。
 したがって、年度によっても異なりますが、ほとんどがC問題のような年度は、0完でも合格できる可能性は高いと言えます。
 ただし、C問題でも、B問題レベルまでの部分点をかき集めることは必要です。

 

東工大数学は難しすぎる?

 くり返しますが、東工大入試の数学は、月刊『大学への数学』誌のCレベルの問題が非常に多いです。C問題は、東大理系の合格者平均あたりの人では、完答できていない場合が多いことが、東大の成績開示と、かつて東大新聞が調査していた合格者平均から読み取れます。
 したがって、東工大の合格者も、年度によって異なりますが、ほとんどの大問を完答できていないと思われます。
 これは、難しすぎる、と言うことができるのではないかと思います。
 多数派から見れば、ほとんどの人に解けない部分が多い、ということは、数学の実質配点が低くなっている、ということです。出来、不出来がちょうど分かれるレベルの問題を並べたときに、実質配点は最も高くなる、と言えますね。
 一方で、数学だけずば抜けてできるような受験生を入学させたい、と思ったときに、東工大のような、難しすぎる出題戦略は有効かもしれません。多数派は低い点数にとどまりますが、数学がずば抜けてできる受験生は高得点を取り、大きく差をつける。
 もしかすると、このような事情があるかもしれません。

 

 

2023年東京工業大学数学:難易度推移、どのくらい解ければ合格点か

 

 月刊『大学への数学』誌(東京出版)では、難易度をA(易)~D(難)にレベル分けしています。Bが教科書の理解とチャート式、Focus Gold(啓林館)あたりの技法の組み合わせで完答でき、発想力といったものはいらない問題です。東大は成績を開示し、東大新聞は合格者の平均点を調査しています。Bを完答、CもBレベルの部分点で合格者平均を超えます。
 第三者の評価も加え客観性を持たせるために、この評価も併記します。
 大学受験塾チーム番町では、普通の塾、予備校のように、入試問題の解き方を解説しても、あまり意味はないと考えます。どのように勉強すれば、大学入試の数学で合格点を取れるのか。それを、正解に必要な技法が、教科書、チャート式、Focus Gold(啓林館)に載っているか、という独自の観点から分析
します。

 

大問1

『大学への数学』誌の難易度はC。
ある関数の0から2023までの定積分の整数部分を求める問題です。

直接的には、チャート式やFocus Goldあたりには、類題がないので、ほぼ白紙だった人も多いかと思います。一方、はさみうちの原理などで、似たような操作をするので、ある程度部分点を取れた人もいたかと思います。
はさみうちの原理と同じように考えて、2/exという関数を定積分すると、2より小ということはわかります。このあたりで十分合格ラインかと思います。1より大を示すのは、実戦的には難しいと思います。

 

大問2

『大学への数学』誌の難易度はC。
整数問題です。

整数問題のセオリー通り、左辺は因数分解できるだけして、右辺は素因数分解をできるだけします。
類題は各大学の、過去問あたりに、いくらでもありますが、左辺の式が複雑なのと、右辺の数が大きいことが、難度を高くしていると思います。類題を参考に、絞り込んだり、表を書いたりすれば、理論的には完答できますが、実戦的には難しいかもしれません。

 

大問3

『大学への数学』誌の難易度はC。
複素数平面と確率の融合問題です。
東工大では、複素数平面は頻出で2022年は2題も出ています。一方、確率は、なぜか近年出題されておらず、2018年以来の出題となりました。(確率は他大では頻出です。)

(1)
本問のメカニズムを理解すると『合格る確率』(文英堂)あたりの類題に帰着されます。「サイコロをn回投げた積が◯の倍数」といった問題に近いです。チャート式やFocus Goldでは、上位国立大学の確率は弱いです。京大、一橋あたりで、類題がよく出るイメージです。このあたりをマスターしていれば、スムーズに完答できるでしょう。

(2)
本問も、メカニズムを理解すれば、易しめの確率漸化式になります。この大問3は、難易度はCがついていますが、きちんと受験勉強をしていれば、完答は比較的しやすいのではないかと思います。

 

大問4

『大学への数学』誌の難易度はC。
数3の積分の体積の問題です。

直交する円柱の共通部分の体積の問題、それにひとひねりある問題はFocus Goldあたりには載っています。本問の状況は似ていて、同じように考えれば解けます。
ちなみに、塾長が、Focus Goldを採用している理由の1つは、数3の積分の体積のこのあたりの問題のバリエーションと、例題と問題の対応が素晴らしく、生徒をスムーズに、本問のレベルに連れて行けるから、です。
本問は、決して簡単ではありませんが、Focus Goldの体積の問題を完璧にマスターしていれば、十分完答は可能と言えます。

 

大問5

『大学への数学』誌の難易度はC。
空間ベクトルの問題です。

(1)
難しいと思います。
正射影ベクトルを使って求めている模範解答が多いようです。
たしかに「正射影ベクトル」は、チャート式やFocus Goldあたりに載っています。また、予備校などでは、テクニックとして教えていることが多いでしょう。一方、予備校などでの扱い方に比べると、意外に、上位国立大学で使うことは少ないように思います。
東大ならともかく、東工大受験生で本問で方針が立った人は少なかったのではないでしょうか。
また、答が、空間座標における「平面の方程式」になることも注意が必要です。しっかり勉強しておけ、ということですね。

(2)
(1)が誘導なわけですが、(1)からして難しいので、合格者でも、できなかった人が多かったのではないかと推測します。

 

東工大数学の傾向と対策と勉強法は?

 東工大の数学は、大問5問、試験時間180分。
 完答は難しい大問が並ぶことが多いです。2023年は、『大学への数学』誌の難易度がCCCCCでした。
難易度Cは、並の東大理系合格者程度では、完答できないことが多いことを意味します。東工大にギリギリ合格する程度の受験生ならば、なおさら完答できていないでしょう。ただし、年度にもよりますが、小問で分けられていることも多く、完答は厳しいものの、途中の小問までは、比較的取り組みやすい、という場合も多いです。
 確率は、同じ「確率」の分野でも、「共通テストや、もう少し入りやすい国立大学で出題されるもの」と「上位国立大学で出題されるもの」は、かなり傾向が異なることが多いです。抽象的な文字nなどが含まれる、漸化式との融合問題になる、Σを使う、などです。2023年の東工大は上位国立型だったと言えます。「上位国立大学で必要な技法」は『合格る確率』(文英堂)でマスターすればいいと思います。
 整数は、完答できていない受験生が多い年も多いので、なんとも言えませんが、取れるだけ部分点を取らなければなりません。市販でちょうどいい整数問題集が無いので、大学受験塾チーム番町では、ちょうど完答できなければならないレベルの技法を網羅した、対策整数問題集を渡しています。
 数3の微分積分はまず出ると思ったほうがいいと思います。Focus Gold数3の入試に出る技法の網羅度は、かなりのものです。の技法を完璧にし、まずはFocus Gold数3の本文の問題を全問解けるようにしましょう。

 

東工大オススメ参考書、問題集

 一番の基礎は教科書です。教科書には定義、問題以前の説明、基本問題が一番しっかり載っています。まずは、教科書を理解し、本文の問題(章末除く)を全問解けるようにしましょう。
 次に、Focus Goldの東工大に重要な問題を全問解けるようにします。この時、指導者がいて、適切に問題を選んでくれるといいですね。ここまでで、進研記述模試、河合全統記述模試などの標準的な記述模試では、東工大レベルの成績になっているはずです。
 東工大対策としては『合格る確率』、整数対策、『理系数学良問のプラチカ1A2B』、あたりを合否を分けるレベルの問題は全問解けるようにしましょう。

 直前期に何をすべきかは人によって違います。上記のような教材をきっちりこなしきれた場合、今までこなした教材で、忘れていてできなそうな問題に✓をつけ、ひたすら復習し、弱点をつぶすのがいいと思います。
 現役生で、間に合うか間に合わないかわからない場合、とにかく、復習してマスターすることを重視して、微積分、確率などの頻出分野から優先順位をつけて、Focus Goldや過去問の月刊『大学への数学』誌のBランク問題に取り組むと、本番での対応力が向上するでしょう。

 2023年は、やはり、教科書を理解し、Focus Goldでよく出る技法をマスターし、確率と整数を補強すれば、十分、他の受験生に差をつけることができたと思います。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

他記事への疑問:『理系数学良問のプラチカ数3』?

 『理系数学良問のプラチカ数3』(河合出版)は、並の東大合格者も解けていないような問題が多いです。難易度としては、東工大入試と似ているのかもしれませんが、全体として難易度が似ている教材をこなせばいいというものではありません。大学受験数学というものは、あくまでも、簡単なほうから、どれだけ上積みできたか、で得点が決まります。特に東工大の場合、完答できる問題が少なく、部分点をどれだけ集めたかで合否が決まりますが、部分点に必要なのは、教科書、Focus Gold、確率と整数の補強、入試標準問題演習。あえて加えるなら、東工大あたりの過去問です。
 したがって、東工大受験生で『理系数学良問のプラチカ数3』に手を出していいのは、全科目ですでに合格レベルにある人が、そこからの上積みを狙うケースに限られます。ただ、そのような人は、東大を受ける場合が多い気がします。

 

 

2019年東京工業大学数学:難易度推移、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

『大学への数学』4月号の難易度はB。

(1)
座標平面上の三角形の辺の長さと面積についての不等式を証明する問題。
教科書の不等式の証明の基本通り、(左辺)-(右辺)≧0を示せばOKです。
文字が3つになりますが、数研出版の教科書の不等式の証明のところには、文字が2つで、1文字に着目して平方完成する問題が載っており、同じようにやればいいでしょう。

(2)
(1)が四面体に拡張されたような問題です。
大学受験数学においては、このような小問集は、上の小問の結論を使う、という考え方が大切です。
本問も四面体の各面の三角形について(1)の不等式を用い、辺々加えれば示せます。
完答すべきです。

 

大問2

『大学への数学』4月号の難易度はC。
定積分を含む等式を成り立たせる関数f(x)と定数A、Bを求める問題です。

基本形は教科書にも載っています。
微積分学の基本定理(積分して微分すると元に戻る)を使えるようにするために、置換してxを∫の前に出す技法は他大でも問われています。
絶対値つき定積分を場合分けして考える問題もチャート式やFocus Gold(啓林館)あたりには載っています。
理論的には上記の技法を駆使して丁寧に解いていけばいいのですが、実戦的には完答は厳しいでしょう。

 

大問3

『大学への数学』4月号の難易度はC。
複素数平面の問題です。

(1)
つまり、原点からの距離と格子点の話になります。ただし、Focus Goldにのっているような、Σを使う格子点の話にはなりません。丁寧に調べていけば正解できます。

(2)
複素数を掛けるということは、極形式で考えると、拡大と回転ですから、領域を図示して、その中の格子点を丁寧に数えれば、完答も狙えるでしょう。

 

大問4

『大学への数学』4月号の難易度はD。
交わらず平行でない直線によって平面を分割する問題は、教科書の漸化式のところに載っています。
それが次元が上がって、平面で空間を分割する問題です。

(1)
教科書と同じように考えれば解けるでしょう。

(2)
問題文の例もふまえ、なるべく完答に近いところまで食いつきたいです。

(3)
そろそろ難しいでしょう。
最初のいくつかを調べて部分点を願う、くらいでしょうか。

 

大問5

『大学への数学』4月号の難易度はB。
数列と微分の融合問題です。

(1)
このような関数を2回微分して単調増加、減少を示す問題はFocus Gold(啓林館)あたりには載っています。

(2)
「確率の最大値」を考えるために第k-1項と第k項の比が1より大か小かで増減を調べる問題はチャート式やFocus Gold(啓林館)あたりには載っています。
本問も指数、階乗を含むので、それと同じように考えるといいでしょう。
もちろん、(1)の結論は使います。
完答すべきです。

 

東京工業大学数学の傾向と対策と勉強法

 大問1、大問5を完答し、他の問題で上記のような方針で部分点を取れば、十分、他の受験生に差をつけることが出来たでしょう。
 そのためには、教科書を理解し、チャート式や『Focus Gold』(啓林館)などで受験によく出る技法をマスターし、入試標準問題演習をすれば、大丈夫です。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

 

2018年東京工業大学数学:難易度推移、どのくらい解ければ合格点か

 

大問1

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
複素数平面の問題。

(1)
同一直線上ではないときは等脚台形の4頂点で、等脚台形の4頂点が同一円周上にある、という論証は簡単だと思います。
途中は、いかにも解と係数の関係の形です。

(2)
(1)と同様の議論でゴリゴリやれば完答も狙えるでしょう。

 

大問2

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
整数問題の不定方程式の問題。

(1)
1組求めるだけなので、35と91は7の倍数、または、91と65は13の倍数に注目して絞り込めば求まると思います。

(2)
大学受験数学においては、このような小問集は、上の小問の結論を使う、という考え方が大切です。
そもそも本問は、途中まで(1)と全く同じ問題文ですね。

(1)の結果を与式に代入して辺々引くのは教科書にもある話です。
以下もこの手の問題で教科書や『Focus Gold』あたりには載っている話で、そうすると完答も狙えると思います。

 

大問3

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はD。
ただ、予備校の分析では「標準」としているものもあります。

(1)
方程式がある領域に実数解を持たない、持つの問題。
「無限個」という問題文にビビるかもしれませんが、中間値の定理を使うケースを含め、増減表を書いて、実数解の個数を考える問題は、入試ではわりと出題されています。Focus Goldあたりにも載っています。したがって解けます。

(2)
まあ、このような極限は、はさみうちでしょう。
そのように考えると、完答、それに近い結果も得られるかもしれません。

 

大問4

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。

(1)
空間座標の問題。
問題を把握して教科書通り内積0を使えば求まると思います。

(2)
題意を把握して計算すれば求まるのでしょうが、なかなか難しいと思います。

 

大問5

『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
確率と漸化式の問題。

(1)
普通に式を立てるだけです。Focus Goldの確率漸化式は充実しているので、このあたりをこなしていると見通しよく解けたと思います。

(2)
(1)と同様に式を立てて計算するだけです。Focus Goldの確率漸化式には、本問のように漸化式を操作するような問題も載っているので、そのような問題に経験があると、見通しよく解けたと思います。

(3)
理論的には解けるのでしょうが、文字が多くて大変そうです。
(2)まで解ければいいのではないでしょうか。

 

東京工業大学数学の傾向と対策と勉強法

 『今年の入試で合否を分けたこの1題』誌の難易度はCCDCCでした。
 ただし、すべての大問が小問に分かれているので、大問の完答は難しいものの、小問は解けそうなものも多く、どれだけ集めたか、の勝負だったと思います。
 2018年東大理系がBCBBDCで理Ⅰの合格者平均が120点満点中70点、理Ⅱの合格者平均が52点(東京大学新聞調べ)なので、東大理系の平均的な合格者はC問題は完答できていないと思われます。
 東工大も同様で、平均的な合格者は部分点だけ集めて大問としては0完、という人が多かったのではないでしょうか。
 大問を完答する難易度だけで見ると、東工大のほうが東大より簡単、というわけでもありません。
 結局、出題が標準的でも難しくても、教科書を理解して、『Focus Gold』(啓林館)あたりをマスターして、入試標準問題演習をして得られた実力の範囲で、どれだけ精度良く点数を取れたか、で勝負は決まっています。

 受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

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