【レベル】合格る確率(文英堂):東大や京大や医学部に受かる?優先問題は?

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

 

【レベル】合格る確率(文英堂):東大や京大や医学部に受かる?優先問題は?

 

数学の確率で悩んでいる人へ

 数学の確率で、教科書レベルの基本や、青チャート、Focus Gold(啓林館)あたりをマスターしたのに、難しい模試や上位大学の過去問の確率に全く歯が立たず、悩んでいませんか?
 実は、確率は、他の代数系の分野とは異なり、上位大学では、青チャート、Focus Gold(啓林館)あたりの技法では対応しにくい問題が出題されることが多いです。
 この記事を読むと、『合格る確率』のどの問題を優先してマスターすれば、上位大学の確率に対応できるのか、『ハッと目覚める確率』(東京出版)とどちらをこなせばいいのか、などを知ることができます。

 

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正しい書名は『受かる確率』ではなく『合格る確率』

 間違えている人が多いです。注意しましょう。

 

2024年一橋大学数学で的中!

 2024年一橋大学数学第5問は、「円に内接する正n角形の頂点から、無作為に相異なる3点を選んだとき、その3点を頂点とする三角形の内部に円の中心が含まれる確率を求めよ」という出題でした。
 鋭角三角形になればいいわけですが、余事象をとって、鈍角三角形の確率のほうが求めやすいです。
 そのような問題が『合格る確率』の問題番号68の例題に載っています。ほぼ的中と言っていいでしょう。
 ちなみに、2024年東京大学文系数学第4問は、一橋の「3点」が「4点」になっただけと言って良い出題でした。本問も、『合格る確率』の68番をやっていると、かなり見通しが良かったと思います。
 

 

2023年京都大学数学で的中!

 2023年京都大学理系数学第3問は(1)は、文系第1問(1)と共通で「サイコロをn回投げた時の積が5で割り切れる確率」。(2)は「サイコロをn回投げた時の積が15で割り切れる確率」と、『合格る確率』の138ページ、ITEM55と全く同じように解けばいい問題が出題されました!
 『合格る確率』の難しめの問題は、もともと、京都大学の過去問が多く載っています。

 

『合格る確率』の対象は?

教科書の場合の数、確率の分野を理解し、問題を全部解けるようになり、
 ↓
チャート式、Focus Gold(啓林館)あたりの場合の数、確率の分野の本文の問題を全部解けるようになった人。

 

『合格る確率』の使い方、レベル、難易度は?

 確率の分野は、大学入試でよく出題されます。
 しかし、代数分野は教科書の理解とチャート式、FocusGoldあたりの技法の組み合わせ、ひとひねりで対応できるのに対し、確率は実際に入試レベルの問題をマスターしておかないと、対応できないことが多いです。ですが、入試で合否を分けているレベルの類型を適切に網羅している確率の問題集は、ほとんどありません。
 この『合格る確率』は、「入試で合否を分けているレベルの類型を適切に網羅している確率の問題集」として適切だと思います。

 ステージ1からステージ5にわかれていて、徐々にレベルが上がります。ステージ1は教科書レベルの話が多く、その後も、チャート式、Focus Goldあたりと、かなり重複します。ほぼ知識ゼロから『合格る確率』を読むことも不可能ではないですが、塾長は、上記のように、教科書とチャート式、FocusGoldに載っている話は、まずはそちらでマスターすることをオススメします。なんだかんだ言って、検定教科書は、いちばん大切な一番基本の部分を、しっかり説明してくれています。
 ステージ3の途中辺りから、教科書やチャート式、Focus Gold本文には載っていないが、入試にはよく出る類型の問題が多く出てきます。『合格る確率』の真骨頂はこの部分だと思います。
 解けなかった問題に✓をつけ、全問解けるまでくり返しましょう。

  『合格る確率』では「カルノー図」という、少し珍しい図が多用されています。2つの集合であれば、たしかに、ベン図より少しだけ便利ですが、集合が3つになると、結局ベン図を使っています。

 

『合格る確率』の優先問題は?

1.Focus Goldレベル
2.教科書レベル
3.教科書レベル
4.教科書レベル
5.教科書レベル
6.Focus Goldレベル
7.教科書レベル
8.教科書レベル
9.Focus Goldレベル
10.教科書レベル
11.教科書レベル
12.教科書レベル
13.Focus Goldレベル
14.教科書レベル
15.教科書レベル
16.Focus Goldレベル
17.Focus Goldレベル
18.Focus Goldレベル
19.Focus Goldレベル
20.Focus Goldレベル
21.Focus Goldレベル
22.Focus Goldレベル
23.教科書レベル
24.Focus Goldレベル
25.Focus Goldレベル
26.教科書レベル
27.Focus Goldレベル
28.Focus Goldレベル
29.Focus Goldレベル
30.教科書レベル
31.Focus Goldレベル
32.Focus Goldレベル
33.本書特有(優先度高)サイコロの積が◯の倍数、といった問題(後述)にも応用できる。
34.本書特有(優先度中)
35.本書特有(私大向け)碁盤の目状の道順の場合の数を書き込んで求める。
36.本書特有(優先度中)碁盤の目状の道順の典型問題にひとひねり。入試でもひとひねりはありがち。
37.本書特有(優先度高)推移グラフ+道順の場合の数を書き込む。国立二次でも出そう。
38.Focus Goldレベル
39.Focus Goldレベル
40.本書特有(優先度低)
41.Focus Goldレベル 私大向け。
42.Focus Goldレベル
43.Focus Goldレベル+α
44.Focus Goldレベル+α 42~44は、例の部屋分け、空き部屋があっていい、ダメの話。
45.本書特有 トーナメント。
46.Focus Goldレベル+α n人じゃんけん。
47.Focus Goldレベル
48.Focus Goldレベル
49.Focus Goldレベル
50.Focus Goldレベル
51.Focus Goldレベル
52.教科書レベル
53.本書特有(優先度高) 3勝リードで優勝。推移グラフを書き、場合の数を書き入れる。
54.本書特有(優先度高) 2勝リードで優勝。2回の試行を1単位として考える。偶奇での場合分け基本編。
55.本書特有(優先度高) 「積が◯の倍数」は頻出
56.本書特有(優先度高) 積が12の倍数がやや難しい
57.Focus Goldレベル
58.Focus Goldレベル+α サイコロをn回投げたときの最大値と最小値の差。難しくはない。
59.本書特有(優先度高) 少し複雑な反復試行。
60.本書特有(優先度高) 文字を含む少し難しめの確率。
61.教科書レベル
62.教科書レベル
63.教科書レベル
64.本書特有(優先度高) 入試実戦的な条件付き確率はFocus Gold本文などは弱い。
65.教科書レベル+α 抽象的な条件付き確率。
66.本書特有(優先度低) 2事象の独立を示すという、あまり見ない問題。
67.Focus Goldレベル
68.本書特有(優先度高) 円に内接する三角形という、ありがちな設定。Σも使う。
69.本書特有(優先度中) 場合の数を格子点で考える。格子点は先にFocus Goldなどで。
70.本書特有(優先度高) 2連勝で優勝。偶奇で場合分けする問題は、わりと出る。
71.本書特有(優先度中) n回目に初めて◯◯する確率。
72.本書特有(優先度高) Σを使う王道問題。
73.教科書レベル
74.教科書レベル
75.Focus Goldレベル
76.教科書レベル
77.本書特有(優先度高) 2回の試行を1単位として考える+確率漸化式+偶奇で場合分け。
78.Focus Goldレベル
79.Focus Goldレベル やや複雑な確率漸化式。
80.Focus Goldレベル 3項間になる確率漸化式。
81.本書特有(優先度高) すごろく。難しくない。
82.Focus Goldレベル+α 3項間になる確率漸化式。場合の数版がFocusに載っている。
83.教科書レベル ただし、漸化式を立てる難しめの問題。
84.本書特有(優先度高) 2回の試行を1単位として考える+偶奇で場合分け。
85.Focus Goldレベル+α 確率漸化式+条件付き確率。
86.本書特有(優先度高) Σ+条件付き確率。
87.Focus Goldレベル理系 区分求積法との融合。
88.本書特有(理系優先度中) e(ネイピア数)に収束。
89.本書特有(優先度高) 期待値+Σ。
90.本書特有(優先度高) 期待値+Σ+二項定理。

 

『合格る確率』で東大、京大、医学部で合格点を取れる?

 東大、京大、医学部あたりも、『合格る確率』の技法を根本から理解し、使いこなせれば、合格者の平均レベルには達するでしょう。東工大、一橋大、大阪大、早稲田、慶應あたりならなおさらです。
 『合格る確率』は、このあたりの大学で合否を分ける、あるいは、難しすぎないが他の受験生に差をつけることができる、ような問題を、的確に収録しています。

 

『合格る確率』は文系にも使える?

 東大、京大、一橋あたりなら、文系の範囲は、全問こなしたいです。『合格る確率』は、このあたりの大学で合否を分ける、あるいは、難しすぎないが他の受験生に差をつけることができる、ような問題を、的確に収録しています。
 それ以外の旧帝大文系あたりも、『合格る確率』をできれば全問こなしたいですが、難しい方からある程度省いても、合格点を超えると思います。地方旧帝国大学は『合格る確率』的な問題の出題頻度がかなり下がります。まずは『年度別入試問題集』(数研出版)の*問題(頻出標準問題)前後あたりを解けるようにしたほうがいいかと思います。
 それ以外の文系大学の場合、『合格る確率』は適切ではないです。適切なレベルで、解説の詳しい問題集を使うべきです。

 

『合格る確率』と『ハッと目覚める確率』どっち?

 同じ確率系の参考書として、『ハッと目覚める確率』(東京出版)と比較されることが多いようです。『ハッと目覚める確率』のほうが難しいです。東大や医学部入試で、まだ合格ラインに達していない人は、『合格る確率』をオススメします。合否を分けるレベルの技法は、ほぼ網羅されており、ここに載っていない技法が必要な問題は、合否を分けるレベルより上である可能性が高いです。
 ただ、『合格る確率』の特徴は、上位国立大学でよく出題される、nなどの文字が入った抽象的な問題に対応できることにあります。具体的な数値の問題の難しめの問題はほとんど収録されていません。そのような問題に取り組みたい場合、『ハッと目覚める確率』を選ぶことになります。また、たとえば、『年度別入試問題集』(数研出版)の*問題(頻出標準問題)前後あたり、など、他の入試問題集で、そのような問題に取り組む、という選択肢もあると思います。

 

『合格る確率』は個別指導塾で使える?

 例題を先生が解説し、似たような問題を実際に生徒に解いてもらう、という授業形式で、ほぼ、東大、京大、国立医学部レベルの、低く見積もっても一歩手前くらいまでは連れて行ってくれる教材です。個別指導塾との相性は、非常にいいと言えます。

 

『合格る確率』のレイアウト

 見開きで1問が解説されています
 左ページ上に問題が載っています。その後、その問題の解答、解説、関連事項の解説などが載っています。右ページの下に、同じような考え方で解ける類題が載っています。類題の解答解説は、切り離し可能な別冊になっていて、勉強しやすいと思います。この別冊解答は、解説がそう親切ではありませんが、本文の問題の解説を理解できていれば、この程度の解説で十分でしょう。

 

『合格る確率』を使うのが不適切な志望校は?

 『合格る確率』は、先述のように、大半の問題が、教科書、Focus Gold(チャート式)と重複します。残りの20問ほどが、東大、京大、上位国立医学部、一橋、あたりの確率の問題でよく出る技法を扱っているのが貴重なのです。
 『合格る確率』を使うかどうかを見極める1つの方法が、「志望校の過去問の確率が、nが出てくるような抽象的な問題か」ということです。抽象的で、かつ、難しい問題は、『合格る確率』を使う価値が高いです。
 一方、具体的な数値しか出てこない確率の問題の場合、同じ「確率」の分野でも、『合格る確率』の収録問題とは、かなり傾向が異なります。上位ではない国立大学、ほとんどの私立大学は、こちらのタイプだと思います。その場合、たとえば、『年度別入試問題集』(数研出版)の「場合の数・確率」の前半の方の問題、などに取り組むと、具体的な数値を扱う確率の問題に、対応できるようになるでしょう。共通テスト型の問題でも、かなり具体的な数値を扱う確率に強くなれると思います。

 

『合格る確率』の出版社の信頼性と実績

 『合格る確率』の出版社は文英堂です。まず、高校の英語と国語の検定教科書を出版しています。これだけで、ちゃんとした出版社ですね。
 高校生、大学受験生向けには『高校これでわかる』シリーズが各科目から出ています。教科書より、少し記述が削らたり、厳密さを緩和したりして、わかりやすさを追求し、定評があります。また、各科目で出ている『高校これでわかり基礎問題集』『シグマ基本問題集』は、教科書レベルの基本的な市販の参考書で迷った時、無難にオススメできます。
 さらに、『大学受験の得点源』のように、まとめノートのような、斬新なコンセプトの本も特徴的です。本書『合格る確率』も、大学受験の確率の基本技法をほぼ網羅してしまおうという、斬新なコンセプトの本と言えます。同筆者の『合格る計算』も、高校数学の計算に特化した、斬新なコンセプトの本と言えます。
 高校生、大学受験生向けの参考書、問題集の出版社としては、信頼性、実績は抜群と言えます。
 中学入試向けには、『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズや、『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズ。『最高水準問題集』など、数多くの有名な参考書、問題集が出ています。レベル、難易度は幅広いですが、特に、『受験算数の裏ワザテクニック』シリーズなど、解説が詳しい参考書に定評があると思います。また『中学入試塾技算数』のように、中学入試算数の基本技法をほぼ網羅してしまおうという、斬新なコンセプトの参考書も多いと思います。

 

他のレビューへの疑問

 

難易度が教科書基礎レベル中心?

 上記で私が実際に、『合格る確率』の問題番号とレベルを対応させたところ、どう見ても「教科書基礎レベル中心」の本とは言えないと思います。中央値は、教科書を超え、Focus Goldと重複しているレベルの問題あたりです。

 

目標偏差値は60前後?

 そもそも「どこが主催する何模試の偏差値」でしょうか?偏差値とは、母集団の平均点を偏差値50としたもので、たとえば、駿台全国模試の偏差値60と進研模試の偏差値60とでは、全くレベルが異なります。したがって単に「偏差値◯◯」という記述自体が、全く意味をなしません。
 『合格る確率』の後半の漸化式絡みやΣを使う問題には、文系だと京大、一橋あたり、理系でも地方旧帝大あたりでそのまま出題されてもいいような問題も含まれます。普通、このあたりを「目標偏差値は60前後」と表現するでしょうか?

 また、あるレビューには「ステージ3までの内容は多くの高校の定期テストでも出題されますし、偏差値55以下の大学入試でも出題されます。」とあります。
 しかし、「多くの高校の定期テストで」ステージ3の「推移グラフを書く」「2回の試行を1セットと考える」「積が12の倍数になる確率」といった問題が出題されるでしょうか?また、先述のように、「偏差値55」が「どこが主催する何模試の」偏差値55なのかが不詳ですが、一般的に、偏差値55というのは、それほど高レベルを意味しているとは思えません。そのようなレベルを目指すのであれば、「推移グラフを書く」「2回の試行を1セットと考える」「積が12の倍数になる確率」といった問題に取り組む必要はないはずです。
 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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