大学受験の数学の勉強法・参考書:教科書+黄チャート+合否を分ける入試問題が合格の鍵
数学の受験勉強の流れ
教科書本文
基本の理解、基本問題
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『黄チャート』本文など
入試によく出る技法
(ここまでで、学校のテストは東大レベルの順位になり、標準的な記述模試では東大レベルの成績になると思います。)
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入試で合否を分ける問題
という流れになります。
東大、京大、国立医学部で合否を分けるレベルも、せいぜいこの組み合わせ、ひとひねりです。
平均的な合格者はこれ以上の問題は解けません。
合否を分ける問題の見分けかた
「月刊大学への数学」の東京出版が出している参考書は、難易度をA~Dに分類しています。Bは入試標準問題、だいたい、入試によく出る技法の組み合わせ、ひとひねりで解け、「発想力」といったものは不要です。
東大は入試の成績開示をしており、東大新聞は合格者の平均点を調査しています。東大理系は、Bを完答、Cで部分点くらいで十分合格点に達します。
大学入試の数学は、大問ごとに難易度の波が大きいことが多いです。東大も合否を分けているのは標準的な問題ですし、東大よりずっと難易度の低い○○大でも、東大で合否を分けている問題よりもずっと難しい問題が出ます。(もちろん、ほとんどの合格者が解けなかったでしょう。)(数学に対して、物理や化学は、標準レベルの参考書をこなせば、満点近く取れることも多い科目です。)
平均的な東大合格者でも解けないような難問に取り組みつつも、合否を分ける標準レベルの内容に抜けが多く、受験に成功しない人も多いようです。気をつけたいものです。
すべての基本は教科書
学校の教科書+教科書ガイド
体系数学3~5(数研出版)
(章末問題はやらなくていいです)
『体系数学』は中高一貫校で採用されることが多い教科書です。問題の答もついてくるのがプラスです。ただ、数研出版の一番レベルの高い教科書よりも、さらに、ややレベルが高いです。
教科書には、数学の「理解」の部分がしっかり書かれています。教科書を「理解」すると、数学の「意味」がわかるので、下記の「受験によく出る技法」を入試で合否を分ける問題について、使いこなせるようになります。
また、東大を始め、上位の大学ほど、参考書にそのまま載っているような有名問題というよりは、初めて見るような問題だけど、問題文を読み取って、教科書レベルの式を立てていけば解ける、といった問題を出題することが多いです。
教科書レベルの内容を組み合わせて作ることができる問題の数は、おそらく無限に近いので、予備校の授業などで解説を受けた問題でカバーするのは無理です。
いちばん大切なのは教科書なのです。
復習の方法は、問題は、勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。用語や公式は(3)単語カード型がいいでしょう。
教科書をわかりやすく理解できます
やさしい高校数学1A、2B、3(学研)
教科書レベルの基本をとても親切な解説で理解できます。上記リンクから「クリックなか見!検索」で見本を見れば、その親切さが実感できると思います。教科書を読んでも、意味がわからない人におすすめです。
少し、教科書を超える内容も含まれます。
入試によく出る技法をマスター!
黄チャート(数研出版)
(章末問題はやらなくていいです)
ここで、いわゆる『チャート式』型の総合参考書を何にするかは、悩ましい所です。
現在、東大あたりに受かりそうな校内順位、偏差値の人は、『Focus Gold』(啓林館)が、東大入試の1歩手前くらいまで連れて行ってくれるほど、本文が、入試によく出る技法の網羅度が高いので、オススメです。ただし、それ以外の人には、本文だけでも、かなりきつい本だと思います。
それ以外の人には、1冊の完全マスターを目指すという意味で、黄チャートをオススメします。
教科書本文の次は、黄チャートの本文(章末除く)を全問解けるようにすると、入試によく出る技法をマスターできます。黄チャート本文を完璧にすれば、進研模試や河合全統記述模試など、標準レベルの記述模試なら、東大級の成績になります。標準レベルの記述模試でできなかった問題は、黄チャートに類題が見つかることがほとんどのはずです。
復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。
章末問題はやらなくていいと書きましたが、章末問題も、本文をマスターした後は、いい標準問題演習になるレベルです。
大学入試で合否を分ける問題は、だいたい、黄チャート本文の組み合わせ、ひとひねりです。
それ以外の問題は、並の合格者は解けません。
『青チャート』を使う人は多いと思いますが、やはり、東大、京大あたりに受かりそうな成績でないと挫折する危険性も高いと思います。難しい本を中途半端にこなすよりは、より基本的なものを完璧にしたほうが、成績は上になります。基本的なもののほうが多く出題され、また、点差が開く要因でもあるからです。
黄チャートレベルをわかりやすく!
面白いほどわかる本(中経出版)
黄チャートを難しく感じる人の代用に。
坂田アキラさんのシリーズは、問題の解説がとても詳しいのでスムーズに理解することができます。教科書レベルから黄チャートレベルまで対応できます。
復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。
入試標準問題演習!
年度別入試問題集(数研出版)
前年の入試で出題された問題が載っています。
*問題は頻出標準問題で、だいたい、このレベルをどれだけ解けたかで合否が分かれています。*問題だけこなすと、効果的に、黄チャートでマスターした技法を入試で使いこなせるようになり、地方旧帝大あたりで合格点を取れるでしょう。
解説はそれほどいいというわけでもないのですが(悪くもない)、難易度がわかりやすい、収録問題も多い(が問題も選びやすい)、という使いやすさで挙げています。
復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。
わかりやすい解説で標準問題演習!
合格!(マセマ)
実力UP!問題集(マセマ)
頻出(マセマ)
ハイレベル(マセマ)
マセマシリーズは、基本の解説や、答案の吹き出しによる解説がとても親切なので、スムーズに理解できます。
黄チャートで技法をマスターした後、マセマで組み合わせ、ひとひねりに慣れると、『合格』で国公立大学の標準問題、『実力UP!』でほとんどの大学で合格点を取れると思います。早慶、旧帝大レベル以上を目指す場合、『頻出』『ハイレベル』あたりをこなしてもいいでしょう。
復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。
東大レベルの問題演習!
理系数学良問のプラチカ1A2B(河合出版)
文系数学良問のプラチカ1A2B(河合出版)
難関大学向けの入試実戦問題集です。黄チャートで技法をマスターした後、『プラチカ』で組み合わせ、ひとひねりに慣れると、特に文系の場合、東大、京大を含む、トップ大学で合格点を取れるでしょう。
1A2Bは、意外にも『理系プラチカ』よりも『文系プラチカ』のほうが難易度が高いので、注意しましょう。『理系プラチカ』は半分ほどは、Focus Gold本文と重複します。『文系』は、東大文系、京大文系、一橋対策として、特に貴重でしょう。
ハイレベルながら、解説は親切で、スムーズに理解できます。
ただ、数Ⅲはちょっと、東大あたりで合否を分けているレベルを超えているので、外してあります。
復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。
東大レベルの上積みに
ハイレベル数学の完全攻略(駿台文庫)1A2B+3
1A2Bは44問、3は41問収録されています。レベルは、並の東大合格者では完答できないであろうものも含まれます。
ただし、解説の中に、まず、問題を解くための「アプローチ」が書かれています。また、「フォローアップ」として、やはり詳しい補足や、時には1問の中に、関連する問題が複数載っていたりします。したがって、世間の評価は高いようです。東大合格レベル前後からの上積みには、おすすめできるシリーズです。
復習の方法は勉強法の基本の(2)単語、短答ではない問題型へ。
まとめ
冒頭で「合否を分ける問題の見分けかた」を書きました。
世の中には、平均的な東大合格者は解けていないであろう問題を扱う参考書、予備校の授業が存在しますが、その存在意義はどこにあるのでしょうか。そのような問題に取り組んでいる受験生は、まず、数学は合格レベルにあるのでしょうか。数学でそのレベルで全く別の発想が必要な問題が出題されたとき、解けるのでしょうか。他の教科は合格レベルにあるのでしょうか。十分な合格レベルにあるならば、大学の勉強をしたほうが、建設的ではないでしょうか。
そんなことを考えます。
この記事を書いた人
大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。