【使い方】大学への数学増刊 入試の軌跡 私大医学部(東京出版):医学部数学の難易度は?
月刊『大学への数学』で有名な東京出版が出している、慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学医学部の5年分の数学の入試過去問集です。
『入試の軌跡 私大医学部』の使い方は?
『大学への数学』誌は数学マニア向けの本(?)なので、決して、解説が親切とは言えません。
『入試の軌跡 私大医学部』の一番の特徴は、大問ごとにA(易)~D(難)の難易度のレベル分けをしていることだと思います。
Bが『Focus Gold』『青チャート』などの本文(章末問題や巻末問題ではないという意味)の解法の組み合わせ、ひとひねりで完答でき、発想、センス、といったものは要らない問題です。東大入試は成績を開示していて、東大新聞は合格者の平均点を調査しています。東大理系もBを完答、Cで部分点、くらいで、十分、合格者平均に達します。
『大学への数学』誌は数学マニア向けの本(?)で、数学についてはレベルが高めのコメントが多いですが、『入試の軌跡 私大医学部』の4私大医学部についてのコメントは、「B問題で完答し、C問題にどのくらい食いつけるか」といった趣旨のものが多いです。
B問題を完答できないのなら、私大医学部の傾向と対策の前に、教科書~『Focus Gold』本文に抜けがある、という問題意識を持ったほうがいいと思います。
C、Dについては、部分点の稼ぎ方、捨て問の見抜き方、のトレーニングにするといいでしょう。
大学受験の数学は、他の難関大もそうですが、大問ごとに難易度の波が大きく、満点近く狙うことは難しい場合が多いです。上記のようにB問題完答、C問題部分点を達成できそうなら、数学はそのあたりにしておいて、英語や理科を強化するのがいいと思います。英語や理科は、標準レベルの網羅度を高めれば、高得点を狙える場合も多いと思います。
他にも「医学部の数学」といった本、受験産業の用意する授業はたくさんあります。もちろん、ある程度、私大医学部の出題に傾向はあると思います。しかし、医学部受験に成功しない人は、多くの場合、傾向と対策の前、教科書~『Focus Gold』本文あたりに抜けが多いのだと思います。
この記事を書いた人
大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。