【感想・書評】大学受験生のGRIT、やり抜く力(非認知能力の1つ)を育むオススメの本2選

 

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【感想・書評】大学受験生のGRIT、やり抜く力(非認知能力の1つ)を育むオススメの本2選

 

大学受験生にとってのGRIT、やり抜く力の重要性

 GRIT、やり抜く力とは、逆境や困難に直面しても、長期間にわたって課題や目標に取り組み続けることです。ここでは、大学受験においてGRITが重要である理由を説明します。

 

大学受験は長い戦い

 大学受験の受験勉強には、何ヶ月、何年にもわたる継続的な努力が必要です。GRITは、受験生がこの長期間に渡って集中力を維持し、準備に専念できるようにします。

 

挫折の克服

 受験勉強の過程では、難しいテーマ、模擬試験の点数の悪さ、個人的な問題など、さまざまな問題にぶつかる可能性があります。GRITは、生徒が意気消沈することなく、このような障害に耐え、乗り越えるのを助けます。

 

一貫した努力

 一生懸命勉強するだけでなく、一貫して勉強することが大切です。GRITがあれば、生徒たちは散発的に勉強するのではなく、ずっと努力と勉強を維持することができます。

 

不確実性への対処

 入試の傾向や形式が変わることもあります。GRITのある人は、そうした不確定要素にうまく対処し、必要に応じて戦略を変更することができます。

 

習熟度を高める

 英語や数学といった科目の習得は一朝一夕にできるものではありません。一貫した努力、反復、継続的な改善が必要です。GRITは、表面的な知識ではなく、習得を目指すよう、生徒を駆り立てます。

 

レジリエンス(精神的回復力)を高める

 レジリエンスとGRITは密接な関係にあります。レジリエンスは挫折から立ち直るのに役立ちますが、GRITは、進歩が遅く感じられたり、進歩がないように感じられたりしても、前進し続ける決意を与えてくれます。

 

目標の設定と達成

 GRITは、生徒が明確で長期的な目標(入試をクリアすることなど)を設定し、それを堅持するのを助けます。この目標志向の考え方は、厳しい受験勉強で集中力とモチベーションを維持するために極めて重要です。

 

受験を超えた人生

 受験勉強で培ったGRITは、大学や将来のキャリアにも役立ちます。高等教育や多くの専門分野では、献身的な努力、長期的なコミットメント、困難を克服する能力が求められますが、これらはすべてGRITに関連する資質です。

 

特徴的な要素

 多くの生徒が同じような知能レベルや学習素材へのアクセスを持っているかもしれませんが、GRITは差別化要因となりえます。GRITの高い生徒ほど、準備を怠らず、必要な勉強に打ち込む可能性が高く、合格する可能性が高くなります。

 

 まとめると、大学受験で成功するためには、知識、技能、戦略が不可欠ですが、GRITは、それらの資源を効果的に活用し、望ましい結果を得るために必要な粘り強さと決意を提供します。

 

GRIT やり抜く力(ダイヤモンド社)の感想、書評

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 2016年9月8日発売。GRIT、やり抜く力、は非認知能力の1つとして、近年、注目されています。

 

『GRIT やり抜く力』の著者の実績と信頼性

 著者はペンシルベニア大学心理学部のアンジェラ・ダックワース教授です。大学での研究、調査に基く話がたくさん出てくる、ちゃんとした本です。アンジェラ・ダックワース教授の研究は、他の多くの本で引用されています。また、アンジェラ・ダックワース教授はTEDに出演し、YouTubeは1,000万回以上再生されています。
 著者の実績と信頼性は抜群だと思います。

 

やり抜く人はなぜがんばれるのか?

 『GRIT やり抜く力』は、まず、米国陸軍士官学校の話から始まります。
 入学の難しさは、最難関大学にひけを取らない。学業でも体力測定でも高得点が必要。入学を許可される1200名は、ほぼ例外なく、各学校を代表するスポーツ選手で、大半はチームのキャプテンを務めている。
 しかし、5人に1人は中退してしまうそうです。しかも中退者の大半は、入学直後の厳しい基礎訓練に耐えきれずに辞めてしまう。
 では、この基礎訓練に耐えられるのはどんな人か。これが、アンジェラ・ダックワース教授が博士課程の時の研究テーマだったそうです。
 ちなみに、入学試験の成績が最高レベルの人たちは、なぜか、最低レベルの人たちと同じくらい、中退する確率が高かったそうです。
 大切なのは、「絶対にあきらめない」という態度、困難に負けずに立ち向かう姿勢、失敗しても挫けずに努力を続ける、といったことだそうです。GRIT、やり抜く力が高かった。グリットのテストを受けるとスコアが高く、それは、入学試験の成績とは関係がなかった。

 まず感銘を受けたのは、「物事をやり抜く力」が成功に至るための中心的要素であるという考え方です。この本の中でダックワース教授が語る「GRIT」は、課題に直面した時や困難な状況に遭遇した時でも、自分の目標を追求し続けるという強い意志を示しています。 
 この本を読むことで、自分が取り組んでいる仕事や課題に対する見方が変わりました。小さな成功や短期的な成果を追求するのではなく、長期的な視点を持って取り組むことの重要性を改めて理解しました。私たちが目指すべきは、一時的な成功ではなく、持続可能な成功であり、それを達成するためには「GRIT」、つまり「やり抜く力」が必要不可欠であることを痛感しました。

 塾長も、いろんな生徒を見てきましたが、入塾時の成績と、進学する大学は、あまり関係がないなあ、と思っています。全く成績が足りない人でも、絶対に東大、医学部に入りたいと思っている人は入る。一方で、高校の最初は、まずまずの成績でも、保護者が過干渉だったりする場合は、だんだん成績が下がり、その高校としてはどうだろう、といった結果になっていると思います。

 

東大、医学部合格を達成するには?

 アンジェラ・ダックワース教授は、競泳選手を対象とした「一流の人達が行っている当たり前のこと」という研究論文を読んだそうです。その内容は以下のようでした。

 最高のパフォーマンスは、無数の小さなスキルや行動を積み重ねた結果として生み出される。それは本人が意識的に習得する数々のスキルや、試行錯誤するなかで見い出した方法などが、周到な訓練により叩き込まれ、習慣となり、やがて一体化したものなのだ。やっていることの一つひとつには、特別なことや超人的なところはなにもないが、それらを継続的に正しく積み重ねていくことで生じる相乗効果によって、卓越したレベルに到達できる。

 この例からは、成功のためには一つ一つの小さなスキルや行動を継続的に正しく積み重ねることが不可欠だと学びました。卓越したパフォーマンスは、日々の練習と挑戦、そして持続的な努力の積み重ねによって生み出されるのだと思いました。

 普通の公立中学の陸上部で7年間に13回の日本一を達成された原田隆史先生も「段差の小さい階段を毎日登る」のが成功のコツだ、とおっしゃいます。そのためのツールが「日誌」です。その日にすべきことを書き、実際にしたかをチェックする。

 東大、医学部受験の数学で考えましょう。部分的に教科書の説明を理解している。部分的に教科書の問題を解ける。部分的にチャート式やFocus Goldの問題を解ける。これらは、大したことではありません。しかし、これらを積み重ね、小学校から高校までのすべての教科書とFocus Goldについて、説明を理解し、問題を解けると、それは東大、医学部合格レベルです。世の中の、その他大勢の人から見ると、すごいことなのだと思います。

 本書には、「やり抜く力」をはかるテストも載っています。

 

やり抜く力を育む

 

最上位の目標は?

 たとえば、アンジェラ・ダックワース教授の最上位の目標は、「子どもたちの『目標達成力』と『しなやかな強さ』を育む」ことだそうです。
 このような、最上位の目標があれば、やり抜く力は高まるでしょう。
 一方で、「医師になりたい」「NBAのバスケットボール選手になりたい」といった高い目標を持ちながら、それを実現するための、中位、下位の目標を設定することができていない人も多いようです。
 東大・医学部受験に例えましょう。最上位の目標は、大学合格かもしれませんし、その後の「医師として社会貢献する」といったものかもしれません。そのような、最上位の目標を熱望している人のほうが、やり抜く力は高いと思います。一方で、東大や医学部に合格するための勉強のしかたを知っていて、1日1日、教材をこなしていく、という中位、下位の目標がしっかりしていれば、やはり、やり抜く力は高まると思います。

 最上位の目標を持つことの重要性には感銘を受けました。自分自身の生涯の目標を明確にすることで、人生の各ステージで直面する困難を乗り越え、成功へと導く「やり抜く力」を強化することが可能になるのだと思います。

 さて、最上位の目標、人生で何を成し遂げたいのか、なんて、そう簡単に見つからないよ、という高校生の方が、多いのかもしれません。
 筆者もそのように述べています。
 そして、金メダリストなどの「やり抜く力」の鉄人たちも、ほとんどのことは「これだ」と思うまでに何年もかかっていて、さまざまなことに挑戦していた、とのことです。興味は外の世界との交流で生まれるので、外の世界と多く交流するのが良い、ということだと思います。

 どうも、近年の気鋭の学者、現場の指導者の一致した意見は、「興味、好奇心を失う原因は、親の過干渉。親のすべきことは、きっかけ、機会を与えること。子供の興味を失わせないこと」といったもののようです。
 塾長も同意見です。進学校の下位層は、学科の理解以前に、保護者の方の過干渉により、好奇心、主体性、自分の人生を生きているという感覚、といった非認知能力を失った結果、成績不振に陥っている、というケースが多いように思います。
 本書では、Amazonの創業者のジェフ・ベゾスと、お母さんのエピソードが語られています。

 

やり抜くことでやり抜く力は高まる

 アンジェラ・ダックワース教授は、『GRIT やり抜く力』で、課外活動を1年以上続けることを奨めています。実際に、何かをやり抜くことで、やり抜く力は高まる。
 普通の公立中学の陸上部で7年間に13回の日本一を達成された原田隆史先生は、「1000日間続けることを決めなさい。」と指導するそうです。たとえば、家庭での皿洗い、風呂掃除などです。それにより、原田先生の生徒は、やり抜く力が高まったのかもしれません。
 

 

成功する東大、医学部受験の法則

 『GRIT やり抜く力』の章立てと全く同じ名前の『成功する練習の法則』(日本経済新聞出版社)という名著もあります。

ここではむしろ、『超一流になるのは才能か努力か?』(文藝春秋)

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という本の内容が要約されています。『GRIT やり抜く力』の著者アンジェラ・ダックワース教授と『超一流になるのは才能か努力か?』の著者アンダース・エリクソン教授は共同研究をしており、盗作ではありません(笑)。物事の上達のメカニズムの科学的根拠が述べられています。一言でいうと、「現在の自分を少し越える負荷をかけ続け、脳に神経回路を構築する」というものです。

 

フロー体験とは?

 また、トレーニングをやり抜くために、元シカゴ大学心理学部、教育学部のチクセントミハイ教授が提唱する、物事に没頭し、喜びを感じる「フロー」という概念が紹介されます。

 

フロー体験が起きる条件は?

 チクセントミハイ教授は、著書で以下の条件を挙げています。

1.目標が明確
 チクセントミハイ教授は、最終目標も大切ではあるが、そうではなく、目の前の仕事に夢中になることだ、としています。
 ロッククライマーなら、山頂にたどりつくことではなく、落下しないための次の動作。チェスプレイヤーなら、勝つことではなく、次の一手や、読みによって戦略を立てることです。
 高校生の場合、東大や医学部に合格する、あるいは、さらにその先を見ている人もいるでしょう。それも大切ですが、まずは目の前の問題に没頭することです。

2.迅速なフィードバック
 「自分がしていることをどれくらいうまくやりこなしているかについての情報をすぐに入手できる」ことです。

 高校生の勉強の場合、すぐに答え合わせをすることができますね。

3.機会と能力とのバランス
 取り組んでいる物事と自分の能力のバランスがちょうどいい、ということです。
 簡単すぎると「退屈」ですし、難しすぎると「不安」「心配」といった状態になります。勉強の場合、難しすぎても、わからなすぎるので「退屈」でしょう。
 ある研究では、85%ほど、すでに理解できている本が最もモチベーションが上がる、とのことです。かつて受験英語の神様と呼ばれた故伊藤和夫先生は「5割は知っている、3割は言われれば思い出す、2割は知らない、忘れていた」程度のレベルのときが最も学習効果が高い、といった趣旨のことをおっしゃっていたと思います。
 フロー体験うんぬんを抜きにしても、大学受験生の場合、多くは、取り組んでいる課題が簡単すぎるのではなく、難しすぎるので失敗していると思います。

4.集中の深化
 物事に没頭して、その中に深くはまり込んでいる状態です。
 たとえば、ロッククライマーが「瞑想や精神集中のようなもの」「考えなくても」「なにもしなくても」「正しいことが行われる」。エリート競輪選手が自己と自転車を「ともに作動している一台の機会のように感じる」。「努力を必要としない」といった状況です。
 東大、医学部受験の勉強も、このようでありたいですね。

5.重要なのは現在
 今、している物事に精神を集中しているので、日常の心配事が心に浮かぶ隙がない状態です。
 チェスプレイヤーなら盤上のみ。作曲家なら紙の上の符号とそれが表す音のみです。
高校生、大学受験生なら、目の前の問題のみでしょう。
 そしてそれは、現実逃避ではなく、現在の事実からの「前向きの」脱出です。

6.自分自身をコントロールしている感覚
 高校生や大学受験生なら、人に課された宿題をこなすのではなく、自分自身で選んだ勉強をする、ということでしょう。
 もちろん、どんな勉強をすればいいのか、というガイドライン、選択肢は、指導者がある程度の幅をもって提示するべきでしょう。

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人の役に立つとやり抜く力が高まる

 上で、人生の目標を見つけることの重要性を述べましたが、そうは言っても、そう簡単に人生の目標は見つからないでしょう。とりあえず、「人の役に立つ」と考えると、「やり抜く力」が強化される、とのことです。
 有名な「レンガ職人の寓話」があります。レンガ職人に「何をしているんですか?」と聞くと、
1人は「レンガを積んでいるんだよ」
1人は「教会を作っているんだよ」
1人は「歴史に残る大聖堂を作っているんだ」
と答えたという話です。
 東大・医学部受験に例えると、ただ、「化学を勉強しているんだよ」と答える人よりも、「1人でも多くの患者の命を救える医師になるために化学を勉強しているんだよ」と答える人のほうが、やり抜く力は強いでしょうね。
 利他の精神、人間教育は、受験に合格するためにも大切なのですね。

 

東大、医学部に合格できるとしなやかに考える

 マインドセットとは、心の持ちよう、といった意味です。本書では、『マインドセット「やればできる! 」の研究』(草思社)の著者、スタンフォード大学心理学教授のキャロル・S・ドゥエック先生の研究も引用しています。
 しなやかマインドセットとは、「知的能力は大きく向上させることができる」という心の持ちようです。しなやかマインドセットの人は、逆境でも粘り強く努力できる。東大・医学部受験にたとえると、成績が全く足りなくても、「勉強すればできるようになる」と考え、勉強をがんばれる、ということでしょう。大学受験塾チーム番町では、テストや模試の反省を行い、「この教材のこのページに載っているよね」と指摘し、勉強すれば東大、医学部に合格できるという考え方、しなやかマインドセットを育むよう、サポートしております。

 

東大、医学部受験をやり抜く子供を育てる科学的結論

 アンジェラ・ダックワース教授は「さらなる研究が必要だ」としつつも「賢明な子育て」の科学的結論が述べています。
 それは、「要求は厳しいが、暖かく支援し、子供の自主性を尊重する」というものです。
 塾長の経験上も、入塾時は全く成績が足りないのに、東大や医学部に合格するご家庭は、このような傾向があります。そもそも、塾に出てこないので、よくわからないのですが、まあ、そのような感じです。逆に、成績不振で保護者主導で塾の面談に連れてこられるようなご家庭は、本書に書いてあることの逆の傾向があります。
 「賢明な育て方」診断テストもあるので、お子さんとの接し方のバランス感覚に問題意識を持っている保護者の方は、この部分だけでも、本書の値段の何倍もの価値があると思います。おおむね、上記のように、「興味、好奇心を失う原因は、親の過干渉。親のすべきことは、きっかけ、機会を与えること。子供の興味、主体性、自分の人生を生きているという感覚を失わせないこと。」といったことです。

 

 この本は、目標を設定し、それを追求するための方法論を示すだけでなく、人生の目的を見つけ、それを達成するための「GRIT」を育む方法についても教えてくれます。私たちが人生の各ステージで遭遇する困難に立ち向かう力を強化し、自分自身の目標を追求する努力を支えることで、達成感と成長の喜びを味わうことができると思います。

 『GRIT やり抜く力』は、困難な状況に直面したときに挫けず、自己の成長と成功を追求する力を高めるための手引きとして、非常に価値ある洞察を提供してくれると思います。これは自己啓発の一冊としてだけではなく、自己成長の道程を進む全ての人々にとっての貴重なガイドブックと言えるでしょう。

 私自身の人生においても、「やり抜く力」をより強化し、自分の最上位の目標を追求するために、ダックワース教授の提唱する方法を活用したいと強く感じました。この本は、自分自身の内面を見つめ直し、挑戦と成長に向けての努力を続ける上で、大いに助けとなるものでした。このような深い洞察と啓示を提供してくれた『GRIT やり抜く力』に、心から感謝します。

 

こういう人は『GRIT やり抜く力』を読むべき

・なんでも、物事を達成したい人
・お子さんの教育を成功させたい保護者の方々

 

『GRIT やり抜く力』の目次

はじめに-「生まれつきの才能」は重要ではなかった!
1.「やり抜く力」の秘密
 なぜ、彼らはそこまでがんばれるのか?
2.「才能」では成功できない
 「成功する者」と「失敗する者」を分けるもの
3.努力と才能の「達成の方程式」
 一流の人がしている当たり前のこと
4.あなたには「やり抜く力」がどれだけあるか
 「情熱」と「粘り強さ」がわかるテスト
5.「やり抜く力」は伸ばせる
 自分をつくる「遺伝子と経験のミックス」
6.「興味」を結びつける
 情熱を抱き、没頭する技術
7.成功する「練習」の法則
 やってもムダな方法、やっただけ成果の出る方法
8.「目的」を見出す
 鉄人は必ず「他者」を目的にする
9.この「希望」が」背中を押す
 「もう一度立ち上がれる」考え方をつくる
10.「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法
 科学では「賢明な子育て」の答えは出ている
11.「課外活動」を絶対にすべし
 「1年以上継続」と「進歩経験」の衝撃的な結果
12.まわりに「やり抜く力」を伸ばしてもらう
 人が大きく変わる「もっとも確実な条件」
13.最後に
 人生のマラソンで真に成功する

 

やり抜く人の9つの習慣(ディスカヴァー)の感想、書評

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 2007年6月25日初版第1刷。

 

『やり抜く人の9つの習慣』の著者の実績と信頼性

 
 著者は、コロンビア大学モチベーション・サイエンス・センター副所長のハイディ・グラント・ハルバーソン先生です。大学の研究に基づく、ちゃんとした本です。
 ハイディ・グラント・ハルバーソン先生は、他の著書には、
・やる気が上がる8つのスイッチ(ディスカヴァー)
・やってのける(大和書房)
があります。いずれも、モチベーション系の、大学の研究に基づく本ですね。
 著者の実績と信頼性は抜群と言えます。

 

『GRIT やり抜く力』と比べると?

 上で『GRIT やり抜く力』を挙げました。2冊を比べた場合、具体的に「やり抜く力」を身につけたい、という場合、『やり抜く人の9つの習慣』のほうが、実戦的でお手軽かもしれません。

 目次がほぼ本書の内容なので、目次を挙げます。

 

『やり抜く人の9つの習慣』の目次

1.目標に具体性を与える
2.目標達成への行動計画をつくる
3.目標までの距離を意識する
4.現実的楽観主義者になる
5.「成長すること」に集中する
6.「やり抜く力」を持つ
7.筋肉を鍛えるように意志力を鍛える
8.自分を追い込まない
9.「やめるべきこと」より「やるべきこと」に集中する

 

1.目標に具体性を与える

 たとえば「テストでいい点を取りたい」ではなく「テストで平均点の20点上を取りたい」といった目標を立てるよう指導しようと思いました。

 

2.目標達成への行動計画をつくる

 そして、すべきことも具体的にする。「◯月◯日に◯◯という教材の△△~▢▢ページをできるようにする」といった計画を立てるよう、指導しようと思いました。

 

3.目標までの距離を意識する

 目標に向かって、向上しているのか、していないのか、他人によるか自分がでフィードバックを行う、ということです。
 大学受験塾チーム番町では、模試などで、東大や医学部の志望者に「この参考書のこのページに載っているから勉強すればできるよね」とフィードバックをしています。

 意外なことに、初心者ほど、頻繁にフィードバックすべきだと思いますが、研究によると、そうではないのだそうです。混乱を招き、かえって上達の邪魔になるからだそうです。指導者として、気をつけようと思いました。

 また、フィードバックも、これまで達成したことよりも、これからすべきことに着目したほうが、モチベーションが上がるということです。今までこなした教材よりも、これからこなさなくてはならない教材に着目するということですね。なるほどなあ、と思いました。

 

4.現実的楽観主義者になる

 目標を達成することは簡単ではないことを自覚した上で、困難に立ち向かう自分をイメージする、ということです。
 「ポジティブシンキング」「思えば叶う」などと言われることがありますが、そういうものではなく、地に足がついた根拠が必要だということですね。
 ただ、東大や医学部に合格すると念じ続けるのではなく、ゴールから逆算し、こなさなければならない具体的な教材を示す、などの取り組みが大切なのだと思いました。

 

5.「成長すること」に集中する

 これは、やはり、ハイディ・グラント・ハルバーソン先生の著書『やる気が上がる8つのスイッチ』

やる気が上がる8つのスイッチ(ディスカヴァー)

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塾長による書評

の3本の柱の1つになっています。「能力を見せつけよう」と思うのではなく、「自分を成長させよう」と思うのが大切だということです。「成長型」の人であれば、別に失敗しても前に進んでいればいいわけですし、人と自分を比べる必要もありませんよね。
 したがって、東大を目指す理由も、自分の能力を見せつけるためではなく、自分を成長させるためでなくてはなりません。
 

 

6.「やり抜く力」を持つ

 『やり抜く人の9つの習慣』という題の本で、その手段が「やり抜く力を持つ」とは、どういうことだ(笑)。
 本章では、スタンフォード大学心理学部のキャロル・ドゥエック教授の著書『マインドセット やればできる!の研究』(草思社)を引用しています。

マインドセット「やればできる!」の研究(草思社)

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塾長による書評

 本書では、「こちこちマインドセット」(個々人の知能はもって生まれたものとして固定されている)と「しなやかマインドセット」(能力は経験や努力を重ねることにより高めることができる)が紹介されています。様々な研究から、「しなやかマインドセット」が正しい、と証明されているようです。

 『やり抜く人の9つの習慣』では、「しなやかマインドセット」を持つことが、「やり抜く力」につながる、としています。
 受験であれば「適切な勉強により、成績は伸び、東大や医学部に合格する」と信じる(そして、それは科学的にも正しい)ことが大切なのだろうと思いました。

 

7.筋肉を鍛えるように意志力を鍛える

 意志力は強くすることができるそうです。大きな挑戦でなくていいので、取り組む価値があると思うことを続けることが勧められています。
 そういえば、普通の公立中学の陸上部で7年間に13回の日本一を達成された原田隆史先生は「まず1000日間続けることを決めなさい」と指導するそうです。たとえば、家庭での皿洗いです。原田先生の生徒は、それにより、意志力が高まったのかもしれませんね。

 

8.自分を追い込まない

 無理をしない、ということが書かれています。
 たとえば、誘惑と出会いやすい時間や場所を把握し、そうした状況を避けるようにする。大きな目標は1つに絞る、などです。
 受験勉強ならば、自室で勉強するのではなく、外やリビングで勉強する、などがいいのだろうと思いました。

 

9.「やめるべきこと」より「やるべきこと」に集中する

 何かをやめたいときにも、そのために具体的にどんな行動をするかに集中する、という意味です。これも、こうしたほうが効果が高いことが、研究で明らかになっているそうです。「夜更かししない」ではなく、「早く寝る」。「ゲームをやりすぎない」ではなく「ゲームは1時間だけする」といったようにするよう指導しようと思いました。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

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