【レベル】化学の新標準演習(三省堂) 難易度、使い方は? どんな人におすすめ?

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

化学の新体系(啓林館)

 

【レベル】化学の新標準演習(三省堂)難易度、使い方は?どんな人におすすめ?

 

大学受験の化学で悩んでいる人へ

 世の中には、化学の問題集が多すぎて、どれを使えばいいか、悩んでいませんか?
 実は、化学の問題集は、易しいものから難しいものまで、難易度に、かなり差があります。選ぶ教材を間違えると、効果的に成績を上げることができません。易しすぎるものを選んだ場合は、「易しすぎる」とわかるでしょう。一方、難しすぎるものを選んでしまった場合、必要以上に、化学という科目が難しい、と勘違いしてしまうでしょう。
 この記事では『化学の新標準演習』という問題集を紹介します。その名の通り「標準的な」問題集です。この解説を理解できない場合、教科書レベルの基本に抜けがあります。超上位大学以外は、ほぼ似たような問題が出ることが多いです。東大や京大は初見の問題が多く出ますが、詳しい誘導がついていて、結局やることは『新標準演習』レベルのことが多いです。この記事を読めば、新標準演習を使って、少なくとも東大合格レベルの少し手前くらいまで行けることがわかります。

 

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『化学の新標準演習』旧版と新版の違い

 オレンジ色の方は、旧課程用です。2023年4月現在、高校3年生以上の人が買ってください。
 青っぽい方は、新課程用です。2023年4月現在、高校2年生以下の人が買ってください。熱化学に「エンタルピー」という、今まで大学レベルだった概念が導入されるなどの変更があります。

 

『化学の新標準演習』はどんな人におすすめ?

 教科書をまずまず理解していて、教科書レベルの問題を解ける人。(『宇宙一わかりやすい高校化学』(学研)を理解して、別冊問題集を解ける人。)教科書レベルの基本のチェックから、共通テスト対策から、難関大学の化学で合否を分けている問題で使う技法の網羅まで、1冊で済ませたい人。

 

『化学の新標準演習』の到達レベル、難易度、使い方

 大学受験化学に必要な基本ツールを効率的にほぼ網羅できる問題集です。大学受験塾チーム番町では、教科書~受験標準レベルの難易度の問題集として使います。著者は卜部吉庸先生です。

 他のレビューでは、到達レベルを低く見積もっているものが多いですが、『新標準演習』が完璧なら、進研模試、河合全統記述模試など、標準レベルの記述模試では、東大レベルに達します。
 実際の東大、京大、国立医あたりの入試については、下で述べています。決して、『新標準演習』以上の知識が求められているわけではなく、初めて見るような問題でも、誘導を丁寧がついていて、結局は『新標準演習』レベルのことをやっていることがほとんどです。

 教科書レベルの基本のチェックのページも充実しています。教科書をただ読むより、問題型式のほうが「出力」をしているので、覚えやすいと思います。穴埋め問題は、0.28mmのオレンジボールペンで書き込み、赤下敷きで隠し、できない問題に✓をつけ、正解できるまでくり返す、という使い方がいいでしょう。

 収録問題のレベルは安定していますが、問題数が多すぎるので、できない問題だけチェックをつけてくり返す使い方が大切でしょう。

 

『化学の新標準演習』のレイアウト

 各章のはじめには、その章で扱う内容の要点がまとまっています。教科書などでしっかり理解することが望ましいですが、ちょっと忘れたことがあって、このページで済む場合などは、活用するといいでしょう。

 次に「確認&チェック」というコーナーがあります。教科書レベルの基本知識を問題の形で確認することができます。また、無機、有機の「確認&チェック」は、たとえば「一酸化窒素に該当するものはA、二酸化窒素に該当するものはB、アンモニアに該当するものはCと記せ」など、共通テストの正誤問題に役立ちそうな問い方をしてくれることも多いので、活用しましょう。

 次に例題が載っているページがあります。その後の問題に取り組む前に、例題を理解すると、問題の形を通して、より理解を深めた状態で、問題に取り組めるでしょう。

 次に問題が載っているページがあります。ここがメインだと思います。『新標準演習』に取り組むと決めたからには、全問解けるようにしましょう。

 何章かに1つ、その後に「共通テストチャレンジ」というコーナーがあります。旧センター試験型(共通テストでも出ますが)の問題が載っています。

 解答、解説は別冊になっていて、勉強しやすいと思います。解説や図解も親切だと思います。

 

『化学の新標準演習』は東大、京大、医学部受験に足りる?

 理論化学、無機化学については、『新標準演習』が完璧なら、ほとんどの大学で合格点を取れます。
 東大、京大の化学の特徴は「初めて見るような設定を、丁寧に誘導をつけて、高校標準レベルで考えさせる」ことです。つまり、物事を根本から理解しようとする姿勢のある人は、教科書の説明を理解した上で、『新標準演習』の組み合わせ、ひとひねりで、東大、京大あたりでも合格点を取れます。阪大や東北大や東工大や早稲田や慶應あたりなら、なおさら足ります。
 『新標準演習』を完璧にした後、過去問に取り組んで、実際の入試問題に慣れるといいでしょう。

 逆に、東大、京大あたりが志望だったとして、『新標準演習』レベルをおろそかにして、もっと難しい教材に取り組んでいると、入試では実際には『新標準演習』レベルを使いこなすことが求められるので、抜けが出て、点数が伸びない、ということになります。

 ただし、難関大の有機構造決定については実際に、入試レベルの問題に取り組む必要があります。同じ卜部吉庸先生の『化学の新演習』(三省堂)の★、★★問題を解けるようにするといいかと思います。他に、構造決定に特化した、わかりやすい参考書もあります。

 

『化学の新標準演習』で偏差値はどのくらいまで伸びる?

 上記のように、進研模試や河合全統記述模試など、標準レベルの模試なら、十分、東大、医学部レベルの偏差値に達します。受験というものは、標準レベルまでの網羅度で点数が決まります。標準レベルの教材だからといって舐めてはいけません。十分、東大レベルの成績に達します。

 

『化学の新標準演習』は共通テスト対策になる?

 上記のように、何章かに1つ「共通テストチャレンジ」というコーナーがあり、旧センター試験のような問題が載っています。この問題に慣れれば、共通テストにかなり対応しやすくなるでしょう。

 

『化学の新標準演習』は初学者にも使える?

 教科書レベルのチェック問題も充実はしています。
 しかし、本当の教科書レベルの基本の説明は、教科書や『宇宙一わかりやすい高校化学』(学研)で理解し、基本問題も『宇宙一』の別冊付属問題集あたりがいいと思います。
 初学者は、まず、このあたりを9割方マスターしてから『新標準演習』に移るといいと思います。

 

『化学の新標準演習』と『重要問題集』や『基礎問題精講』との違いは?

 『重要問題集』(数研出版)のほうが、教科書レベルのチェックが薄く、少しむずかしい問題も載っています。『新標準演習』のほうが、解説が詳しいです。コンセプトとしては、かなり似ていると思います。
 『基礎問題精講』(旺文社)は、問題が121問と絞られており、網羅性に欠けます。標準問題をつぶしたいのなら『新標準演習』。その他いろいろを考えて、化学に時間をかけられないなら『基礎問題精講』ということになると思います。

 

『化学の新標準演習』と『新研究』や『新演習』との違いは?

 同じ卜部吉庸先生の参考書問題集ですが、まったく異なります。
 『化学の新研究』(三省堂)は、問題集ではなく、参考書です。評判は高く、教科書を読んでいて「これはなぜだろう?」と思った時、『新研究』で調べると、だいたい載っていると思います。
 『化学の新演習』(三省堂)は、『新標準演習』に比べ、教科書~標準レベルまでが薄く、難関大学入試の応用問題で出そうなトピックが載っています。まずは『新標準演習』を完璧にすることが大切です。

 

オススメの補助教材

 大学受験化学は、無機のイオン分析などで「ゴロ合わせ」があると楽な分野がありますが、『新標準演習』は「ゴロ合わせ」がかなり弱いです。『宇宙一わかりやすい高校化学』(学研)『福間の無機』(旺文社)、『化学一問一答』(東進ブックス)あたりは、ゴロ合わせも充実しています。まあ、ググればいいのかもしれませんが。

 

『化学の新標準演習』の出版社の信頼性と実績

 『化学の新標準演習』の出版社は、三省堂です。
 まず、中学、高校の英語、国語の検定教科書を出版しています。英語は、超定番の『NEW CROWN』『CROWN』です。この時点で信頼性は抜群ですね。
 一般向けには、国語辞典、漢和辞典、英和辞典、六法全書なども出版しています。
 大学受験向けには、上記の『化学の新演習』『化学の新研究』が、もう20年ほどはハイレベルな大学受験化学において、超定番になっていて、信頼性と実績は抜群と言えます。

 

『化学の新標準演習』の著者の信頼性と実績

 著者は卜部吉庸先生です。卜部吉庸先生は、京都教育大学特修理学科卒業。長年、奈良の県立高校の先生を務められ、その後、私立高校の講師をされたようです。他の著書に、『化学の新研究』『化学の新演習』があります。両方とも、ハイレベルな受験生向けの化学の参考書、問題集として、20年ほどは超定番になっています。化学の参考書、問題集の分野での信頼性、実績は抜群と言えます。

 

『化学の新標準演習』は個別指導塾で使いやすい?

 主に、理解が難しい、理論化学について言うと、概念の理解、知識問題については、教科書や例題で解説したあとに『新標準演習』の問題に取り組むことができます。計算問題については、多くの場合、『新標準演習』の例題に類題が載っているので、それを解説し、載っていない場合は、他の計算問題の参考書で解説したあとで、問題に取り組むことができます。個別指導塾で使用すると、生徒の化学の成績を東大レベルに引き上げることができます。
 無機、有機については、暗記が中心なので、自分で勉強すれば成績が上がります。

 

『化学の新標準演習』の目次

01.物質の成分と元素
02.元素の構造と周期表
03.化学結合1
04.化学結合2
05.物質量と濃度
06.化学反応式と量的関係
07.酸と塩基
08.中和反応と塩
09.酸化還元反応
10.物質の状態変化
11.気体の法則
12.溶解と溶解度
13.希薄溶液の性質
14.コロイド
15.固体の構造
16.化学反応と熱
17.電池
18.電気分解
19.化学反応の速さ
20.化学平衡
21.電解質水溶液の平衡
22.非金属元素1
23.非金属元素2
24.典型金属元素
25.遷移金属元素
26.金属イオンの分離と検出
27.無機物質と人間生活
28.有機化合物の特徴と構造
29.脂肪族炭化水素
30.アルコールとカルボニル化合物
31.カルボン酸・エステルと油脂
32.芳香族化合物1
33.芳香族化合物2
34.有機化合物と人間生活
35.糖類(炭水化物)
36.アミノ酸とタンパク質、核酸
37.プラスチック・ゴム
38.繊維・機能性高分子

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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