【使い方】表現のための実践ロイヤル英文法(旺文社、マーク・ピーターセン)のレビュー。どんな人におすすめ?

 

東大・医学部受験の英語の勉強法

 

【使い方】表現のための実践ロイヤル英文法(旺文社、マーク・ピーターセン)のレビュー。どんな人におすすめ?

 

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『表現のための実践ロイヤル英文法』はこんな人におすすめ

・高校英文法をほぼ把握していて、日本語の英文法の参考書でネイティヴ感覚を身につけたい人
・英語が大好きな人
・英語の指導者

 

『表現のための実践ロイヤル英文法』の使い方、レビュー、難易度は?

 ベストセラー『日本人の英語』(岩波新書)の著者、明治大学政経学部名誉教授のマーク・ピーターセン先生が共著に加わった、高校英文法、大学受験レベルの英文法の参考書です。
 「(財)国際言語文化振興財団第1回国際理解促進図書優秀賞」を受賞したようです。
 マーク・ピーターセン先生は、コロラド大学で英米文学を、ワシントン大学大学院で日本近代文学を専攻。フルブライト留学生として来日し、東京工業大学で正宗白鳥を研究されたそうです。

 『表現のための実践ロイヤル英文法』は本文だけで、598ページあります。
 各章末には、「確認問題」「実戦問題」があります。本文のあとに、その解答が載っています。その解説は詳しいとはいえません。
 別冊で、『英作文のための暗記用例文300』が付属しています。

 『表現のための実践ロイヤル英文法』は、英語と日本語の比較研究を続け、日本人の書いた英文を永年にわたって審査、添削されてきたネイティヴの先生が深く関わった文法書という意味で貴重でしょう。
 「表現のための」という題名も、英作文、会話を意識していると思います。

 本書の中では「Helpful Hint」という、マーク・ピーターセン先生によるネイティヴ感覚の解説のコラムが128個もあります。ここだけ読んでも面白いと思います。
たとえば

・find O C の find は、英和辞典には「わかる、気づく、知る、悟る」などと載っているが、実際の使い方から受け止められる意味としては、単に「思う、感じる、印象を受ける」という定義をつけたほうが正確なケースが圧倒的に多い。

・知覚動詞の sound は、読んで受けた印象でも使っていい。言葉から受けた印象であれば、soundで表現して良い。

・英語の自動詞は受動態にできないが、前置詞 on を使うことにより、似たような意味を表すことができる。例えば
The children cried on me.
など。

・know という動詞は「知っている」という状態を表す。(これは日本の文法書にも書いてある。)「知らない状態」から「知っている状態」へという過程は、learn、find out などを使えば良い。

・want よりも would like のほうが丁寧なのは、条件節の省略の仮定法だからで、「もしよろしかったら」「もし差し支えなければ」と感じのもので、間接的で、柔らかで、丁寧に感じられる。

といった、日本の高校生が英語の勉強を勉強していると、身近な話題ながら、あまり日本の文法書では語られない興味深い話が、たくさん載っています。

 ただし、高校英文法をあまり把握していない人にとっては、『表現のための実践ロイヤル英文法』は、文法の解説自体は親切ではないと思います。そのような人が本書を通読しようとしても、挫折しますし、英語の点数は、あまり上がらないと思います。
 高校英文法をほぼ把握している高校生にとっても、大学受験を考えると、この本でネイティヴ感覚を身につけるよりも、他の苦手科目を克服したほうが、大学には合格しやすいでしょう。普通の英文法の参考書でも、大学受験の点が下がる、ということはあまり考えにくいです。
 そうすると、高校生でこの本を読むのは、英語が好きで好きで、この本を読みたくてたまらない人、他の科目も志望大学合格レベルに達している人、ということになるでしょうか。
 高校英文法をほぼ把握した大学生以上、授業中に興味深い話をしたい英語の指導者などは、読むといいかもしれません。

 

『英作文のための暗記用例文300』はおすすめ?

 付属の『英作文のための暗記用例文300』は、例文も易しく、ネイティヴ感覚でいいかと思います。一方で、解説が詳しいわけでもないので、使いこなすには、やはり、かなりの実力が必要かと思います。高校英文法をほぼ全部理解しているような実力者でない限りは、もっとくわしい英作文の教材を使ったほうがいいかと思います。

 

『表現のための実践ロイヤル英文法』と『徹底例解ロイヤル英文法』(旺文社)との違いは?

 綿貫陽先生とマーク・ピーターセン先生が、共に共著者に名を連ねる2冊ですが、内容は全く異なります。
 『徹底例解ロイヤル英文法』は、いわゆる日本の従来の英文法書の中で、分厚く(本文が828ページあります)、細かい知識まで載っている物、というのが特徴と言えます。東大合格レベルは超えていますし、普通の受験生が通読しようとすると、まず、挫折します。英語が非常に得意な高校生や、大学生以上が、調べ物用に持っておく、というのならいいかもしれません。受験生は、ほぼ、学校配布の文法書で十分だと思います。
 それに対し、本ページで紹介している『表現のための実践』のほうは、『徹底例解』ほど細かい文法は載っておらず、一方、『徹底例解』にはないような、例文や「Helpful Hint」におけるネイティヴ感覚が特徴的、という違いがあります。

 

『表現のための実践ロイヤル英文法』と『一億人の英文法』とどちらがいい?

 まず、目的が違うので、どちらがいいかは目的次第かと思います。
 『一億人の英文法』も、ネイティヴ感覚で英文法を理解しよう、という本ですが、図解によるイメージなどが多用され、わかりやすさを追求しています。文法の網羅度も低いです。高校英文法にまだまだ抜けが多い人にもおすすめできます。
 一方、『表現のための実践ロイヤル英文法』は、例文がネイティヴ感覚、「Helpful Hint」の文章による説明でネイティヴ感覚を養う、という方向のネイティヴ感覚です。高校英文法はほぼ網羅され、しかも、文法自体の解説は詳しいわけではないので、高校英文法に抜けが多い人にはおすすめできません。
 以上を考えて、どちらがいいかを判断していただければと思います。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 東大卒の塾長による個別指導

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