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【2024】近畿大学医学部数学(前期) 難易度と傾向と対策:Focus Gold+私大医学部過去問で合格へ
近畿大学医学部入試における数学の重要性
近畿大学医学部の数学の配点は、100/400です。まあ、英語や理科1科目ずつと比べてどうかというと、同じ配点なので、見た目上は均等と言えるかもしれません。
しかし、数学の特殊性として、問題数が少なく、1問の配点が高い、ということがあります。他の受験生が解けている問題が、Focus Goldあたりに抜けがあることにより、かなり最初の方で引っかかり、低得点だと、ハイレベルな勝負となる医学部入試ですから、その失点を他科目で取り返すのは、かなり厳しいと言えます。
以上より、近畿大学医学部入試における数学の重要性がわかると思います。
近畿大学医学部数学、入試本番の心構え
以下のことは、どこの大学の入試の数学でも、このような傾向があります。
近畿大学医学部の数学の入試も、大問ごとに、難易度に波が大きいことも多いです。当サイトでは、それを客観化するために、月刊『大学への数学』誌の難易度のランクづけを付記しています。
難易度Cの問題は、東大理系の合格者平均あたりの人でも、完答はできないことが多いです。そのような問題で、途中で行き詰まった時に、戦意を喪失しないことです。人間は、そのような心持ちになるだけで、パフォーマンスが低下することが、大学の研究で明らかになっています。ちゃんと勉強した受験生の場合、解けなそうな問題を見たら「他の受験生も解けないな」と思って、軽く流し、解けそうな問題を確実に解く、部分点を取る、ということを心がければ、合格点を取れます。
2024年近畿大学医学部数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か
『合否を分けたこの1題』誌(東京出版)では、難易度をA(易)~D(難)にレベル分けしています。Bが教科書の理解とチャート式、Focus Gold(啓林館)あたりの技法の組み合わせで完答でき、発想力といったものはいらない問題です。東大は成績を開示し、東大新聞は合格者の平均点を調査しています。Bを完答、CもBレベルの部分点で合格者平均を超えます。
第三者の評価も加え客観性を持たせるために、この評価も併記します。
大学受験塾チーム番町では、普通の塾、予備校のように、入試問題の解き方を解説しても、あまり意味はないと考えます。どのように勉強すれば、大学入試の数学で合格点を取れるのか。それを、正解に必要な技法が、教科書、チャート式、Focus Gold(啓林館)に載っているか、という独自の観点から分析します。
大問1
『合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
全体として、数2の「図形と方程式」がメインの問題です。
(1)
前半は2点間の距離を求めるだけで、教科書基本レベルと言え、解けます。
後半は直線OAとx軸のなす角を求める問題です。有名角なので、教科書レベルと言え、解けます。
(2)
2つの円周上の点P、Qのy座標p,qについて、q-pのとりうる値の範囲を求める問題です。
y座標だけ考えればいいので、図でも書けば簡単に解けます。
(3)
線分PQの長さのとりうる値の範囲を求める問題です。
円は中心が大切です。球については、Focus Goldあたりにはこのような問題が載っています。中心距離に半径をたしたり、ひいたりすればいいので解けます。
(4)
線分PQが通りうる領域の面積を求める問題です。
領域自体は、図を書けば簡単にわかります。このような図形を分割して扇形が出てくるのは、割とよくある話です。台形部分は、下は求めやすく、上は下と合同です。したがって解けます。
(5)
2ベクトルOAとPQのなす角βのtanのとりうる値の範囲を求める問題です。
図で考えると、PQが2円の共通接線になるときを考察することはわかると思います。このような状況で、中心から接点に半径が引いてある図は、教科書の平面図形のところに載っています。その2つの三角形が相似だということはいいでしょう。この相似は、ごく基本的ですし、近畿大学医学部では平面図形がよく出ています。したがって解けます。
(6)
直線PQの傾きの最大値を求める問題です。
本問もPQが2円の共通接線になるときを考察することはわかると思います。あとは、(1)後半と(5)の誘導、強化書レベルの傾きとtanの関係、を考えると、tanの加法定理に持ち込めば良さそうだということもわかります。したがって解けます。
難易度Cですが、十分、完答も狙えたと思います。
大問2
『合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
全体として、数列の問題です。
第n項がルートnにガウス記号がついているという、定型的ではない問題です。
(1)
第何項が何かを求める問題です。具体的にやってみるだけの問題なので、解けます。
(2)
(ⅰ)
この数列の和を考える問題です。
全くわかりませんが、整数や数列のように、とびとびの値しか取らない(離散的といいます)問題の場合、具体的にやってみることが大切です。しかも本問は論述式ではないので、多少、論理的に怪しくても、答さえ出ればいいわけです。そして、具体的にやってみると、法則性が見つかるので、(1)の結論と合わせ、解けます。
(ⅱ)
2024項までの和の最大の素因数を求める問題です。
愚直に求めて素因数分解すれば解けますが、少し工夫すると、計算が楽になります。
(ⅲ)
和が2024を超える最小の自然数nを求める問題です。つまり、第何項までの和で初めて2024を超えるか、ということですね。
Focus Goldあたりの数列で、nは自然数なので、二次不等式を真面目に解かず、だいたいの解のアタリをつける、という考え方があります。本問も同様で、(ⅰ)(ⅱ)を通して、本問の解がどの程度だろう、とアタリをつけることが大切だったかと思います。
(3)
新たに数列{bn}が定義されました。
(ⅰ)
b10とb100を求める問題です。具体的にやってみるだけなので解けます。
(ⅱ)
1≦n≦100においてbn>0を満たす自然数nの個数を求める問題です。
全く難しくないのですが、上記のように、具体的にやってみることが大切です。すると、論理的にはともかく、規則性が見つかるはずです。本問は論述式ではないので、それで解けます。
(ⅲ)
数列{bn}を初項から第100項まで足す問題です。
たとえば(ⅱ)から、簡単な等差数列の和に帰着されることがわかり、また論述式ではないので、解けます。
ややきつい問題もありますが、上記のような考え方で、完答も可能かと思います。
大問3
『合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
全体として、対数が題材の問題です。
(1)
log161024を簡単にする問題です。
教科書よりは少しだけ数字が大きいですが、やることは教科書レベルと言え、解けます。
(2)
ごく簡単な対数方程式をの問題です。
教科書レベルと言え、解けます。
(3)
対数と二次関数の融合問題の最小値を求める問題です。
教科書レベルと言え、解けます。
(4)
見た目、複雑そうな対数不等式の問題です。
ただ、やること自体の枠組みはFocus Goldあたりのレベルで、底をそろえると、普通の二次不等式に帰着されるので、解けます。
(5)
前半は、対数を含む関数の最小値を求める問題です。
見た目複雑そうですが、底をそろえて整理すると、ひと目、相加相乗平均を使う形になります。したがって解けます。
後半は、例の、桁数、最高位の数字を求める問題です。
教科書、Focus Goldあたりには載っているので解けます。
完答しましょう。
近畿大学医学部数学の勉強法と傾向と対策
近畿大学医学部の数学は、大問3問、試験時間60分です。医学部としては、数3からの出題がないのが特徴的です。2024年は出なかったと言えますが、平面図形がよく出ている傾向があります。2024年第1問も、「図形と方程式」にふさわしく、図形的考察が要求されました。
2024年の難易度はCCBでした。ただ、上記のように、理論上は大問2の一部以外は、わりと簡単に解けそうでした。ただ、60分という試験時間がボトルネックになるかもしれないという傾向があります。
まあ、時間が十分にあったとして、2024年の出題で上記のような点数を取るには、教科書を理解し、Focus Goldを網羅し、似たようなレベルのマーク式の私大医学部の過去問をこなす、といった対策で十分達成できます。近畿大学医学部の場合、マーク式なので、論述式に比べ、ひねったような出題で勝負が分かれる傾向があると思います。それに対応するためには、似たようなレベルのマーク式の私大医学部の過去問による対策が適切だと考えます。ただし、あくまで、ベースは、教科書、Focus Goldです。
受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。
近畿大学医学部数学のオススメ参考書
一番の基礎は教科書です。教科書には定義、問題以前の説明、基本問題が一番しっかり載っています。まずは、教科書を理解し、本文の問題(章末除く)を全問解けるようにしましょう。
次に、Focus Goldの近畿大学医学部に重要な問題を全問解けるようにします。この時、指導者がいて、適切に問題を選んでくれるといいですね。ここまでで、進研記述模試、河合全統記述模試などの標準的な記述模試では、近畿大学医学部レベルの成績になっているはずです。
直前期に何をすべきかは人によって違います。記述模試で成績が足りている人は、似たようなレベルのマーク式の私大医学部の過去問をこなすといいでしょう。
上記のような教材をきっちりこなしきれた場合、今までこなした教材で、忘れていてできなそうな問題に✓をつけ、ひたすら復習し、弱点をつぶすのがいいと思います。
現役生で、間に合うか間に合わないかわからない場合、とにかく、復習してマスターすることを重視して、Focus Goldや似たようなレベルのマーク式の私大医学部の過去問をこなすといいでしょう。
2023年近畿大学医学部数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か
大問1
『合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
袋からサイコロを取り出して投げる確率の問題です。
(1)
得点が0、1、4になる確率の問題です。
大学受験数学の確率の問題では、まず愚直に数え上げることが多いです。
0、1になる確率は、教科書よりやや複雑な程度の状況なので、解けます。
4になる確率も、枠組み自体は教科書~Focus Gold基礎レベルですが、数え上げから、やや複雑なので、少し大変ですが、解きたいです。
(2)
どちらも得点が1、4になる確率は、(1)の考察の過程を使えます。そうすると、まずまず見通しよく解けるでしょう。
最後は、Aの得点が0とわかっている時、Bの得点が0より大きい確率です。問題文だけ読むと、条件つき確率の例の式を使いそうですが、問題と「条件つき確率」を理解していると、実は、例の式は使わないことがわかります。Aの得点が0は当然(1)の考察を使えます。
やや厳しい部分もありますが、全体的に枠組みとしては教科書~Focus Gold基礎レベルなので、理論的には、完答も十分可能です。
大問2
『合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
整数とデータの分析の融合問題です。
(1)
aから始まる連続するn個の整数の和が2023になるaとnの組み合わせを考える問題です。
(ⅰ)は全部で何通りあるかの問題です。愚直に等差数列の和の公式を使い、2023を素因数分解すると、整数の標準問題レベルに帰着されるので、解けます。ただし、整数は、Focus Goldあたりがやや弱いので、大学受験塾チーム番町では、整数問題集を配っております。
(ⅱ)はa、nがともに奇数になるのは何通りかの問題です。これも、整数問題に慣れていれば、愚直に書き出して、当てはまるものを解答する、ということで解けます。
(2)
(1)のn個の整数の平均値、分散、標準偏差を考える問題です。
(ⅰ)は平均値を求める問題です。(1)で和を求めているので、教科書通りnで割ればいいので、解けます。
(ⅱ)は分散を求める問題です。これも教科書通りに愚直にやってもいいですが、教科書に書いてある「データの変換」の話を使うと、1~nまでの分散と同じことだということがわかります。そうすると、計算量をかなり減らせます。時間との戦いは本質的なので、大切だったかもしれません。
(ⅲ)は分散の値が自然数になる時のnの値を小さい方から並べると、nが2023になるのは何番目か、という問題です。このあたりから、かなり整数問題に慣れていないと、厳しいかなという気がします。整数問題は、文字をたくさん使っても、うまくいくことが多いです。
(ⅳ)は標準偏差が自然数になる時の、小さい方から2つ目を求める問題です。このあたりも、かなり整数問題に慣れていないと、厳しいかなという気がします。
(2)の(ⅱ)あたりまで解きたいです。
大問3
『合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
平面図形の問題です。
(1)
(ⅰ)~(ⅳ)は、この問題の四角形が、有名な直角三角形を組み合わせたものであることがわかると、中学生レベルの問題になります。したがって解けます。仮に気づかなくても、高校教科書レベルの余弦定理で解決できます。
(2)
本問四角形の面積の最大値を求め、その時の対角線の長さを求める問題です。
このような四角形の面積は、三角形に分割するのは、教科書の三角比のところに載っています。すると、対角がともに直角のときに最大になるのはいいと思います。以下はごく簡単な計算なので、解けます。
完答しましょう。
近畿大学医学部数学の勉強法と傾向と対策
2023年の難易度はBCBでした。上記のように、大問1,3は完答。大問2は(2)の(ⅱ)あたりまでは解けそうです。ただ、60分という試験時間がボトルネックになる可能性は十分にあると思います。
まあ、時間が十分にあったとして、以上の問題を解くためには、教科書を理解し、Focus Goldを網羅し、似たようなレベルのマーク式の私大医学部の過去問をこなす、といった対策で十分達成できます。近畿大学医学部の場合、マーク式なので、論述式に比べ、ひねったような出題で勝負が分かれることが考えられます。それに対応するためには、似たようなレベルのマーク式の私大医学部の過去問による対策が適切だと考えます。ただし、あくまで、ベースは、教科書、Focus Goldです。
受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。
2022年近畿大学医学部数学:難易度、どのくらい解ければ合格点か
大問1
『合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
近畿大学医学部でよく出ていた平面図形の問題です。
(1)
三平方の定理を使えばいいので、中学生でも解けます。
(2)
辺の長さや辺の比は、相似を使うと出ます。中学受験、高校受験の頃はできたかもしれませんが、大学受験では手薄になりがちかもしれません。近大医学部受験者は、過去問や、旧センター試験の過去問の平面図形セクションなどで、慣れるといいでしょう。最後の外接円の半径も、三平方の定理で出ます。
完答しましょう。
大問2
『合否を分けたこの1題』誌の難易度はC。
感染症の感染モデルという、大学受験数学の参考書には載っていない、非定型的な問題です。
ただ、愚直に表でも書けば、解ける問題ではありました。
大問3
『合否を分けたこの1題』誌の難易度はB。
(1)
積分(面積)で、2つの放物線が囲む面積が9になるように、aの値を定める問題です。
いわゆる1/6公式が使える形でもあります。愚直に面積を求めに行って、イコール9とやればいいので、枠組み自体は、教科書~Focus Gold基礎レベルと言え、解けます。
(2)
数2の「図形と方程式」の最後の方に載っている、領域と最大最小の問題です。
ただし、文字aを含むので、場合分けが必要です。この、場合分けが必要な問題が、Focus Goldには載っていません。一方で、入試にはわりと出題されており、入試問題集にも、わりと載っています。したがって、入試問題集で、類題を準備しておくのが望ましいです。ただし、医学部受験者なら、初見でも解けたいところではあります。塾長は、東大入試で、まあ、似たような問題が出て、初見で解きました。
最大、最小を取るときが、交点を通るときか、接するときか、で場合分けして考察することになります。
完答しましょう。
近畿大学医学部数学の勉強法と傾向と対策
2022年の難易度はBCBでした。上記のように、大問1,3は完答できる出題でした。大問2の感染モデルの問題は、非定型的な問題で、どこかの参考書などに載っていたわけではありません。ただ、愚直に表でも書けば正解できる問題でした。
まあ、時間が十分にあったとして、以上の問題を解くためには、教科書を理解し、Focus Goldを網羅し、似たようなレベルのマーク式の私大医学部の過去問をこなす、といった対策で十分達成できます。近畿大学医学部の場合、マーク式なので、論述式に比べ、ひねったような出題で勝負が分かれることが考えられます。それに対応するためには、似たようなレベルのマーク式の私大医学部の過去問による対策が適切だと考えます。ただし、あくまで、ベースは、教科書、Focus Goldです。
受験生の中には、予備校や参考書で、平均的な合格者も解けないような問題に取り組みつつも、『Focus Gold』(啓林館)あたりに抜けが多く、受験に成功しない人も多いので、注意しましょう。
この記事を書いた人
大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。