漠然かきっちりか:個別指導塾の生徒と先生の性格と相性を活かすコツ
世界陸上2001年エドモントン大会、2005年ヘルシンキ大会の400mハードルで銅メダルを獲得された為末大さんがYouTubeチャンネル「為末大学」を開設しています。2022年7月11日に「選手の性格を見極めて効果的に指導するコーチング術」という動画をアップしています。
為末さんは、選手とコーチの相性の大きな問題として、
「大枠を漠然とコーチしたいコーチ」と
「具体的に細部に指導したいコーチ」とがいると言います。
大雑把な個別指導塾の先生の場合
「大枠を漠然とコーチしたいコーチ」が「大枠が漠然と行きたい選手」と合うかというと、そうでもないそうです。むしろ、「細かいところを緻密に行きたい選手」のほうが「大枠を漠然とコーチしたいコーチ」と相性が良かったりするそうです。なぜなら、たとえば2人での共同生活をイメージするとわかりやすいですが、きっちりしたい人同士だと、物を置く場所1つをとっても、衝突が生じやすいからです。
大学受験だと、特に、進学校の成績が半分より上くらいの女子は、非常にきっちりしていることが多く、テスト勉強も、細部まで詰めるのが得意なことが多いです。この場合、細部を詰めるのは、彼女たちに任せておいて、ただ、それが大局観を失っている場合に、軌道修正する、大枠を意識させてあげると、大学受験がとてもうまくいきます。
きっちりの個別指導塾の先生の場合
逆に、選手が漠然と行きたいが、コーチがきっちりやりたいタイプ、というのが生じるはずですね。為末さんによると、これもうまくいかない場合が多いそうです。これが上手くいく場合は、コーチが、具体的な指示を出すものの、選手は漠然と行きたいので、半分くらいは無視して(笑)、半分くらいは参考にしてやる、というパターンだそうです。
そして、きっちりやりたいタイプのコーチが、きっちりやらないといけないと思っている場合、だいたいダメになるそうです。選手は自我があるのに、コーチが押し付けるので、関係が破綻するからだそうです。
もう1つ、選手もコーチも具体的にきっちりやりたいタイプというパターンが生じるはずですが、これはすでに、上で、2人での共同生活をイメージして論じていますね。衝突が生じてうまく行きにくいようです。
つまり、生徒が、具体的にきっちり行きたいタイプであれ、漠然と行きたいタイプであれ、個別指導塾の先生が、具体的にきっちりやらないといけないと思っている場合、上手くいかない、ということになります。
個別指導塾の先生のパターンは、「漠然と大枠を指導する型」に限られる、ということになりそうです。
「管理型」の個別指導塾?
あれ、世の中には、「管理型」、「計画を塾が立てててあげる」ことをウリにしている個別指導塾がありますよね。今まで論じてきたことからすると、このような個別指導塾は、「具体的にきっちりやりたい生徒」とも「漠然と行きたい生徒」とも上手くいかないことになりそうです。そういう塾でたまたま大学に合格するのは、おそらく、主体性を失った、誰かの言いなりで生きていくことに疑問を感じない人達なのでしょう。そして「管理型」の塾に自分のお子さん通わせる保護者の方々は、どのようなお考えなのでしょうか。恐ろしいですね。
この記事を書いた人
大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。