法学部志望の高校生が読む本:予備校系、大学の先生のわかりやすい本

 

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法学部志望の高校生が読む本:予備校系、大学の先生のわかりやすい本

 

法律の本編

 中学生、高校生が、法律の本を読んでみようと思った場合
1.大学の先生が書いた一般向け、大学標準レベルの本を読む
2.司法試験などの予備校の先生が書いた本を読む
という選択肢があると思います。

 大学の先生の場合、専門家ですし、他の先生の厳しい目にさらされるがゆえに、内容の信頼性は高いでしょう。
 大学の先生にも、味のある、わかりやすい教科書を書かれる先生はいます。
一方で、いい加減なことは書きにくいので、話が厳密で難しくなることもあると思います。また、法律学は、条文の文言の解釈などで、学者の先生ごとに説が異なることも多いです。ただ、初学者向けの本は、そんなに複雑な話にはならないだろうとは思います。自説を押し出さず中立性の高い本を書かれる先生もいらっしゃいます。

 予備校の先生の本のメリットはわかりやすさだと思います。内容の信頼性も、そう気にしなくてもいいのではないでしょうか。

 

キヨミズ准教授の法学入門(星海社、木村草太)
伊藤真の法学入門(日本評論社)

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 木村草太先生は東京都立大学の教授(教授になりました)です。新進気鋭の憲法学者です。メディアなどにもよく登場されます。
 木村先生の法学入門は法的思考、法解釈などについて身近なものを例に挙げてわかりやすく解説しています。大学の先生の本だからと気負うことなく読めると思います。

 伊藤真さんは司法試験予備校でおそらく最も有名なカリスマ講師です。憲法についての活動にもご熱心です。
 伊藤真さんの法学入門では「法とは何か」から始まり、法解釈も含め、法的価値判断、法的思考など法学、条文、判例を理解する上で役に立つであろう基本がわかりやすく書かれています。

伊藤真の法学入門の目次

第1編 法を学ぶことの意義

1.法とはなにか
1-1 「法則」とは
1-2 「規則」とは
1-3 法を学ぶ心構え

2.法と規範
2-1 権力と権威
2-2 法と規範の関係
2-3 法の特質
2-4 強制と道徳
2-5 法と道徳の関係
2-6 義務を課する規範と権能を与える規範

3.法規範の特質と機能
3-1 行為規範、裁判規範、組織規範
3-2 法の機能

4.日本における法の歴史と法意識
4-1 幕末まで
4-2 明治期
4-3 第二次世界大戦後
4-4 大陸法と英米法
4-5 日本人の法意識
4-6 司法制度改革意見書

5.法の学び方
5-1 法解釈と価値判断
5-2 法を学ぶことの意義
5-3 リーガルマインド(法的思考)について

第2編 憲法と法

1.最高法規としての憲法と法の段階的構造

2.2つの基本原則
2-1 国民主権の意味
2-2 立憲主義とは

3.憲法はなぜ必要なのか
3-1 憲法の究極の価値
3-2 最高法規とは
3-3 民主主義と少数者の人権
3-4 憲法を変えることができるということの意味

第3編 正義と法の安定

1.法と正義
1-1 正義と法的安定
1-2 正義論の特質
1-3 正義の観念

2.法的安定性
2-1 法的安定性とは
2-2 法の明確性
2-3 罪刑法定主義と法的安定性
2-4 法の解釈と法的安定性
2-5 現実と法的安定性
2-6 まとめ

第4編 法の体系、目的と解釈

 

伊藤真の○○法入門(日本評論社)

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 憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法(ここまでを六法といいます)、行政法が出ています。

 伊藤真さんは司法試験予備校でおそらく最も有名なカリスマ講師です。憲法についての活動にもご熱心です。各法の基本の基本の部分をわかりやすく解説しています。

 

憲法(岩波書店、芦部信喜)
民法はおもしろい(講談社現代新書、池田真朗)
民法への招待(税務経理協会、池田真朗)
スタートライン民法総論(日本評論社、池田真朗)
アルマSpecialized物権(有斐閣、共著)
アルマSpecialized担保物権(有斐閣、共著)
スタートライン債権法(日本評論社、池田真朗)
事例で学ぶ家族法(法学書院、田山輝明)
刑法入門(岩波書店、山口厚)
たのしい刑法(弘文堂、共著)総論、各論
民事裁判入門(有斐閣、中野貞一郎)
刑事訴訟法講義(不磨書房、渡辺咲子)
行政法入門(有斐閣、藤田宙靖)

 

 各法律でトップレベルの大学のセンセイ、実務家の先生が書いた、あるいは共著の、わかりやすく、学問的に深入りしていない本を挙げました。

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 故芦部信喜先生は日本憲法学の大家です。芦部先生の憲法の本は定番中の定番で多くの人が持っています。内容的にも標準的だと思います。

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税務経理協会
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 池田真朗先生は元慶應大学の先生です。私大の法学者で初めて紫綬褒章を受章されたそうです。判例通説ベースでわかりやすい教科書の執筆に定評があるようです。一般向けの著作もありますし、「スタートライン」の2冊はコラムなども多く、楽しく読めると思います。

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 田山輝明先生は、元早稲田大学法学部長、早稲田大学副総長です。
 家族法は身近な分野なので、イメージしやすいかもしれません。冒頭に具体的な事例があり、それに沿った親切な解説がされます。

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 山口厚先生は元東京大学教授で2020年現在、最高裁判所の裁判官です。この本は一般向けです。

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弘文堂
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 「たのしい刑法」は京都大学の女性の教授も参加されている共著です。犯罪と刑罰に関わるがゆえに学説の対立が激しい刑法ですが、共著なので、内容は標準的だと思います。レベルも題名のように標準的だと思います。

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 故中野貞一郎先生は元大阪大学法学部長です。学者の先生の本の中では読みやすいと思いますが、そもそも民事訴訟法自体がとっつきにくいです(笑)。

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 渡辺咲子先生は東京大学理学部卒の元検察官で現在はロースクールの先生です。教育歴、研究実績も豊富だそうです。

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 藤田宙靖先生は元東北大学法学部長、元最高裁判所の裁判官です。小さくて薄めの本で、初学者には定番、名著のようです。

 

政治学、行政学の本編

 政治学、行政学も、まずまず内容の中立性が保たれ、レベルも標準的な、大学の先生が書いた本は
あると思いますが、手っ取り早いのは、公務員試験の過去問の答を読むことだと思います。

 答の解説は予備校の先生が書いているかもしれませんが、引用元は学者の先生の本のことが多いでしょう。問題は公的な機関が作っているので内容はまずまず中立的でしょうし、レベルも大学標準レベルです。

 ちなみに、先述の法律学は、なじみのない専門用語、概念が多いので、ここで述べているいきなり公務員試験の答を読む方法は無理だと思います。
 政治学、行政学は可能だと思います。仮に、答の解説中に、わからない用語があっても、要点をまとめている部分で説明されていると思います。

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この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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はじめに

 法学の学習は初学者にとって挑戦的なものかもしれませんが、適切なアプローチと勉強法を身に着けることで、効果的に学習を進めることができます。本記事では、法学初学者向けの専門性の高い勉強法を紹介します。初学者の方でも理解しやすいよう、専門用語や難しい話をわかりやすい補足説明や例え話を交えながら解説していきます。

 

法学の重要性と勉強の理由

 法学は社会の秩序と公正を維持するための道具であり、これはそれ自体が極めて重要です。社会は多くの場合、法律によって形成され、運営されています。法律がなければ、社会は混乱し、公平な取引が困難になり、人々の基本的な権利は保護されない可能性があります。したがって、法学は個人が社会の一部として機能するために必要な知識とスキルを提供します。

 法学を勉強することは、個人がその権利を理解し、それを保護するための最良の方法を理解することを助けます。法律がどのように動作し、個人と社会がどのようにそれに影響を受けるかを理解することは、個人が自分自身を適切に表現し、自分の権利を保護するために重要です。法律がどのように機能し、それが私たちの日常生活にどのように影響を与えるかを理解することは、適切な意思決定を行うために重要です。

 また、法学は批判的思考を鍛え、分析的なスキルを強化する良い手段でもあります。法律はしばしば複雑で、様々な解釈が可能であるため、法学を学ぶことは問題解決スキルを向上させ、さまざまな視点から問題を考察する能力を養うのに役立ちます。たとえば、条文の文言の解釈には、A説、B説…などとあるから、世の中では、裁判になるような揉め事が起こり、裁判になるほど、そう簡単には解決しないのです。そして、A説、B説…それぞれに、自説の理由づけと、他説への批判があります。

 さらに、法学は社会を理解する一つの鏡であり、その時代の価値観や概念を反映しています。歴史的な法律の変遷を学ぶことで、社会の変化と進化を理解する新たな視点を得ることができます。これは、現代社会の課題に対処するための洞察を得るためにも有益です。

 そしてもちろん、法学は一つの職業道としても価値があります。弁護士や裁判官、立法者、法律顧問など、法学を基にしたキャリアは多岐にわたります。これらの職業は社会に大きな影響を与え、公正と公平を維持するための重要な役割を果たします。

 したがって、法学の重要性は多面的です。個々の権利の保護から社会全体の秩序維持、更には問題解決や批判的思考のスキル向上に至るまで、法学を学ぶことは個人と社会の両方にとって価値があると言えます。

 

法学の基礎知識と条文の理解

 法学の基礎知識は、憲法、民法、刑法、商法、行政法などの主要な法域をカバーします。これらの法域ごとに、法律の基本原則、主要な概念、そしてそれらがどのように関連し合っているかを理解することが重要です。例えば、憲法は国家の基本的な規則と構造を定め、民法は個人間の関係を規定し、刑法は犯罪とその処罰を規定しています。

 一方、法学を学ぶ上で不可欠なのが条文の理解です。法律は条文として表現され、その条文には法律の具体的な内容と適用範囲が記述されています。一つの法律には多くの条文が含まれており、それぞれの条文が特定の問題や状況に対する法律の解釈を提供します。

 しかし、条文を理解するためには、単に条文を読むだけでは不十分で、法律用語の理解と法的概念の理解が必要です。法律用語は特定の法的概念を表現するための言葉で、その理解が条文解釈の鍵となります。例えば、”権利”、”義務”、”違法”などの用語は法律文書に頻繁に登場し、それぞれ具体的な法的意味を持っています。

 さらに、条文解釈には前提知識が必要です。同じ言葉でも文脈によって意味が変わる場合があるため、その条文がどのような背景や目的の下で制定されたのか、どのような状況で適用されるのかを理解することが重要です。

 また、条文の理解には裁判例の学習も不可欠です。裁判例は過去の具体的な事例を通じて、法律がどのように適用されるべきかを示すもので、それにより条文の抽象的な表現が具体的な状況にどのように適用されるかを理解することができます。

 したがって、法学の基礎知識を学び、条文を理解するためには、法律用語の理解、法的概念の理解、条文の背景や目的の理解、そして裁判例の学習が必要です。これらを通じて、法律の仕組みとそれが個々の状況にどのように適用されるかを理解することができます。

 

事例を活用した法学の学習

 事例を用いた法学の学習は、理論的な知識を現実の状況に適用する力を育てる非常に効果的な方法です。それは以下のような方法で行われます。

ケース法(ケーススタディ)

 この方法は、特にアメリカの法学教育で広く使用されています。実際の裁判例を詳細に分析することで、法律の適用と解釈を深く理解します。各ケースでは、争点、事実、法律の適用、そして裁判所の結論について学びます。また、同じ法律が時間とともにどのように変わったか、異なる裁判所や裁判官が同じ事例にどのように対処したかについても学びます。

問題解決の練習

 実際の問題を模したシナリオを用いて、法律を適用して解決策を見つける方法を学びます。これには模擬裁判が含まれることもあります。これは、法律を適用するための思考プロセスを強化し、法的な問題解決のスキルを育てます。

比較法研究

 異なる法域や国の法律や裁判例を比較することで、法律の適用と理解を深めます。これは、似たような問題に対する異なるアプローチを理解し、法律の柔軟性と適応性を学ぶのに役立ちます。

 事例を用いた学習は、法律の規範的な内容だけでなく、法律が実際に適用されるプロセスとその結果を理解するのに役立ちます。また、実際の問題を解決するために法律をどのように使用するかを学ぶことで、法的な思考や判断力を養うことができます。このようにして、法学の学習は、単なる理論的な知識から現実の応用へと移行することができます。

 

法学学習の効果的なアプローチと勉強法

基本概念の理解

 法学はその性質上、専門的な言葉や概念が多く使用されます。初めてこれらに触れると混乱するかもしれません。そこで、まずは基本概念の理解から始めることをお勧めします。これには、法律の基本原則、権利と義務、契約、財産権などが含まれます。

法律条文の読解

 法律の条文を直接読むことは、その法律が何を規定しているのかを理解する上で欠かせません。条文は専門的な表現が多く、最初は難しいかもしれませんが、それらを理解することで法律の深い理解につながります。

ケーススタディ

 先述した通り、実際の裁判例を分析することは法学の学習に非常に有効です。法律の条文がどのように解釈・適用されるかを学ぶのに役立ちます。

ビジュアル化

 法律の概念や理論は抽象的で複雑なため、それらを視覚的に理解するために図表やグラフを活用すると有効です。

定期的な復習

 法学の学習は大量の情報を吸収しなければならないため、定期的な復習が重要です。知識を定着させるためには、短期間での詰め込み学習よりも定期的な復習が効果的です。

ディスカッション

 法学の学習は、独学だけでなく他の人々とのディスカッションによっても大いに助けられます。法律問題についての議論を通じて、自分の理解や意見を深めることができます。

模擬試験の活用

 法学の学習では、模擬試験や問題集を活用することも有効です。それによって学習の進捗を確認し、自分の弱点を見つけることができます。

 これらのアプローチと勉強法を組み合わせて使用することで、法学の理解を深め、法律の理論と実践を結びつける能力を養うことができます。

 

おわりに

 法学の学習は初学者にとって挑戦的ですが、適切なアプローチと勉強法を身に着けることで、効果的に学習を進めることができます。初学者向けの専門性の高い勉強法を紹介しましたが、自分に合った方法を見つけながら着実に学習を進めてください。おすすめの法学入門書籍も紹介しましたので、ぜひ参考にしてみてください。頑張って学習を進め、法学の世界を探求しましょう!