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【感想・書評】脳科学は人格を変えられるか?(文春文庫):大学受験に活かせる?

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

成功する練習の法則 最高の成果を引き出す42のルール

 

【感想・書評】脳科学は人格を変えられるか?(文春文庫):大学受験に活かせる?

 

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『脳科学は人格を変えられるか?』の著者

 著者は、オックスフォード大学感情神経科学センター教授のエレーヌ・フォックス先生です。女性です。

 

『脳科学は人格を変えられるか?』の内容

 単行本は2014年発売。2017年に文庫化されたようです。大学の研究に基づき、巻末に、引用した論文がたくさん載っている、ちゃんとした本です。本文の中でも多くの実験が引用されています。題名に「人格」とありますが、主に、悲観と楽観について、多くのページが割かれています。

 

悲観脳と楽観脳と大学受験

 ポジティヴな人とネガティヴな人がいます。まあ、人格の一部ですね。これを変えられるかどうか。
 あまりにも楽観的だと、危険に対して危険を感じないので、最悪の場合、死んでしまう。したがって、ある程度の悲観は、生きるために必要です。しかし、悲観的すぎると、生きづらい。大学受験でも、ネガティヴすぎるがゆえに、うまくいかない人は、ある程度の割合でいるようです。一方、ポジティブすぎるがゆえに、危機感を感じず、大学受験の勉強に身が入らない、という人もいるでしょう。
 本書では、ネガティヴなものに注目する脳の回路を「レイニーブレイン(悲観脳)」、ポジティヴなものに人を向かわせる脳の回路を「サニーブレイン(楽観脳)」と呼んでいます。

 

大学受験も遺伝子のせい?

 大学受験を含め、人間のおおむねのことには、遺伝子が関係することは否定できないでしょう。本書でも、それは否定していません。一方、遺伝子ですべてが決まるわけではありません。本書では、悲観と楽観が生じる要因を
・遺伝子
・どんな出来事を経験するか
・世界をどのように解釈するか
の複雑な絡み合い、としています。

 本書では、遺伝子について解説するために、高校の生物の教科書のような説明もされています。1953年にワトソン、クリックがDNAの二重らせん構造を発見した話から、ヌクレオチドと呼ばれる4つの化学塩基の話。
 また、やはり内容は高校の生物の教科書に出てきますが、「エピジェネティクス」という話も出てきます。仮に、同じ遺伝子を持っていても、環境次第で、遺伝子がオンになったりオフになったりする。それは、RNAポリメラーゼ、メッセンジャーRNA、プロモーター、DNAのメチル化(遺伝子をオフにする)といった、やはり大学入試の生物で出題されそうなメカニズムによって行われます。
 したがって、大学受験なども、すべてを遺伝子のせいにして言い訳をするのは、建設的ではない考え方だと思います。「脳科学で人格を変えられる」という信念で、ありとあらゆる、できる限りの最善を尽くしたいものです。

 

脳が変化する力:大学受験で成績が伸びる原理

 この手の脳科学の本で、有名な話に「ロンドンのタクシー運転手」の話があります。
 ロンドンのタクシー運転手は、レベルが高く、ロンドンの複雑な道を記憶して、試験を突破した人しか、なることができません。ロンドンのタクシー運転手は、脳の海馬(記憶や空間学習能力に関わる)が肥大しているそうです。

 このように、以前考えられていたのとは大きく異なり、近年は、脳はかなり変化することが知られてきています。

 これと同じ原理で、病的にネガティヴすぎる人の脳を、変化させることができるのではないか、という研究が進んでいるようです。物事のポジティヴな面に注目し、ポジティヴだと意識し続けることによって、脳の回路が変化することは、研究で実証されているそうです。その他、似たようなことについて、様々な研究が進み、可能性が生まれているようです。つまり、脳科学で人格を変えられる可能性が示唆されている、ということですね。

 現在の自分を少し超える強度のトレーニングを続けることにより、脳に効果的に神経回路を構築し、より、物事の上達、学校での勉強、大学受験に役立ちそうな文脈で書かれた本に

超一流になるのは才能か努力か?(文藝春秋)

があります。

 

マインドフル瞑想を大学受験に活かす可能性

 本書では、マインドフル瞑想が脳を変化させるかについて、仏教僧の研究などが載っています。やはり、集中したり、気が散るのを防いだりする脳の回路が、たしかに強くなっていたそうです。また、感情のコントロールを助けるいくつかの重要な領域が高密度になっている、つまり、ニューロンが増加していたそうです。そういう人は、当然、大学受験にも強いですよね。さらに、免疫機能にもプラスの改善が見られたそうです。また、本書のテーマである、悲観脳から楽観脳への変化も見られた、つまり、脳科学で人格を変えられる可能性が示唆されたそうです。

 マインドフル瞑想により、脳が変化することにつき、イェール大学医学部精神神経科卒業の医師で、先端脳科学研究に携わり、論文も多数、執筆されている久賀谷亮先生の著書、世界のエリートがやっている最高の休息法(ダイヤモンド社)では、さらに多くの変化が書かれています。

 

『脳科学は人格を変えられるか?』の感想、書評

 上記のように、近年、脳の可塑性(変化できる)について、大学などの研究による科学的根拠に基づき、物事の上達、トレーニングといった面から書かれた本や、マインドフル瞑想といった面から書かれた本があります。
 本書は、脳の可塑性につき、病的にネガティヴな人を改善できないだろうか、というテーマで書かれています。病的にネガティヴで、生きにくさを感じている人は、世界人口の数%程度にはなるとは思うので、この分野がより一層発展すればいいなと思います。
 また、たとえば、大学受験の医学部志望者に「物事ができるようになるということは、脳にそのような神経回路が構築されること」と言っても、ピンと来ない場合があります。本書のような、遺伝、脳の可塑性などの基本的な知識について、正確な知識が世間で広まると、世間一般の人々の物の見方、考え方もかなり変わるのではないかと思います。

 

『脳科学は人格を変えられるか』と大学受験

 大学受験の勉強は長期間に及ぶ膨大な学習であり、忍耐力、集中力、自己コントロールといった資質が求められます。これらの資質は、本書で論じられている通り、脳の機能と密接に関わっています。例えば、前頭前野の発達は自己制御能力と関連することが知られています。大学受験生が計画的に勉強し、誘惑に負けず努力を継続できるかどうかは、脳の発達状態に影響されると言えるでしょう。

 また、ストレス耐性も重要な資質です。大学受験の勉強はストレスフルな状況を伴いますが、扁桃体などの情動に関わる脳部位の反応性の個人差が、ストレス対処能力の差につながることが示唆されています。脳科学の知見を応用し、ストレス軽減のための効果的な方法を見出すことができれば、大学受験生のメンタルヘルス向上に役立つかもしれません。

 さらに、『脳科学は人格を変えられるか?』では、マインドフルネス瞑想によって意図的に人格特性を変容させられる可能性が論じられています。集中力や情動制御、ストレス耐性の向上にマインドフルネスが有効だとすれば、大学受験の勉強に取り入れることで学習効率を高められるかもしれません。

 一方で、本書の知見は大学受験の競争のあり方に警鐘を鳴らしているようにも読めます。遺伝と環境の相互作用で人格の個人差が生じることを考えれば、大学受験の競争に過度に偏重し、狭く限定された能力だけを評価することには問題があるように思われます。多様な人格特性を包摂し、個人の可能性を多面的に評価する大学入試制度のあり方が、脳科学の知見からも支持されるのではないでしょうか。

 また、脳の可塑性は青年期以降も持続することが本書で強調されています。大学受験期の学習によって発達した能力が、その後の人生にどのような影響を及ぼすのか。大学入学後も個々人の成長を支え、可能性を引き出す教育の必要性を、脳科学は示唆しているように思われます。

 このように、『脳科学は人格を変えられるか?』の議論は、大学受験生の資質、理想的な大学入試制度、望ましい大学教育のあり方など、大学受験に関わる様々な問題を考える上で重要な示唆を与えてくれます。大学受験の競争のみならず、人の可能性をいかに育むかという教育の根本的な問いについて、脳科学の知見から洞察を得ることができるでしょう。

 

 

『脳科学は人格を変えられるか』とハイデガー

 ハイデガーにとって、人間の本質は「現存在 (Dasein)」という概念で捉えられます。現存在とは、自らの存在を問うことができる存在者のことであり、世界の中に存在しながら、同時に世界を理解し、自らの可能性に向けて実存する存在です。
 脳科学が人格を変えられるかどうかを考えるためには、まず人格とは何かを考える必要があります。人格とは現存在の在り方そのものと言えるでしょう。つまり、人格とは単に脳の状態によって決定されるものではなく、世界との関わり合いの中で形成される現存在の存在様式なのです。
 たしかに、脳科学の知見によって、脳の働きと人間の行動や思考との関係が明らかになりつつあります。しかし、脳はあくまでも現存在が世界の中で存在するための一つの条件に過ぎません。現存在は脳を持つことによって世界を理解し、自らの可能性を実現していきますが、脳そのものが現存在の在り方を決定しているわけではないのです。
 また、ハイデガーは現存在の本来性 (Eigentlichkeit) と非本来性 (Uneigentlichkeit) という概念を提示しています。本来的な在り方とは、現存在が自らの可能性に向けて決断し、自らの存在を引き受けることです。一方、非本来的な在り方とは、世間一般の価値観に流されて、自らの可能性を忘れてしまうことです。脳科学が人格を変えるということは、現存在を非本来的な在り方へと導く可能性があるということです。
 しかし、大切なのは、現存在がどのような状況に置かれようとも、常に本来的な在り方を選択する可能性を持っているということです。たとえ脳科学によって人格が操作されたとしても、現存在はそれを超えて、自らの存在を問い直し、本来的な在り方を取り戻すことができるのです。
 ハイデガーは技術の問題についても深く考察しています。現代の技術は、存在者を単なる道具として扱い、その本来の在り方を隠蔽してしまう危険性を孕んでいます。脳科学もまた、人間を単なる操作可能な対象として見なす技術の一つになりかねません。しかし、技術の本質は人間の運命に関わる問題であり、我々はその本質を見極めながら、技術と向き合っていく必要があるのです。
 以上のように、脳科学が人格を変えることは可能かもしれませんが、それは現存在の本質を根本的に変えるものではありません。現存在は常に自らの存在を問い直し、本来的な在り方を選び取る可能性を持っているのです。我々は脳科学の知見を活用しながらも、その限界を認識し、現存在の存在論的な意味を見失わないようにしなければなりません。そのためには、技術と人間の関係を根本的に問い直していくことが求められているのではないでしょうか。

 

 

『脳科学は人格を変えられるか』とデリダ

 脳科学の進歩は、私たちの人格のあり方を根底から揺るがすものとなるのでしょうか。脳の働きを操作することで、人格を自在に変えられるようになるのでしょうか。そうした問いは、私たちの存在の根幹に関わる深い問題を孕んでいます。
 確かに、脳科学の知見は日進月歩で深化しています。しかし、だからと言って、脳科学が人格そのものを自在に操れるようになるとは限りません。なぜなら、人格とは脳の働きだけで決まるものではないからです。むしろ人格とは、他者との関係性の中で、絶え間なく構築され続けるものでしょう。
 私たちのアイデンティティは、決して確固たるものではありません。むしろ自己とは、差延の運動の中で生成し続けるものなのです。他者からの呼びかけに応答するたびに、私たちは新たな自己を形作っていきます。
 たとえ脳科学が脳の働きを制御できるようになったとしても、その制御が及ぶのは自己の一部でしかないでしょう。なぜなら、自己とは脳だけで構成されるものではないからです。身体や環境、他者との関係性が織りなす複雑な動態の中で、私たちの人格は形作られているのです。
 むしろ問題は、脳科学が人格を操作可能なものと見なす言説が生み出す効果でしょう。人格を脳の働きに還元する言説は、私たちの自己理解を大きく歪めてしまう恐れがあります。自己を所与のものと見なし、その本質を脳に求めてしまうのです。
 しかし、自己とは所与のものではありません。私たちは、絶え間なく自己を生成し続ける存在なのです。他者からの呼びかけに応答し、葛藤し、揺れ動きながら、新たな自己を紡ぎ出していくのです。そのような自己生成のプロセスを無視して、人格を操作可能なものと見なすことは、私たちの存在を根底から脅かすものと言えるでしょう。
 脳科学は、私たちの人格のあり方を問い直す重要な契機を提供してくれています。しかし同時に、その知見を絶対化することの危うさも示唆しているのです。人格を脳の働きに還元する言説は、脱構築されなければなりません。
 私たちに求められるのは、脳科学の知見を批判的に吟味しつつ、自己と他者の関係性を絶え間なく問い直していくことでしょう。自己を所与のものと見なすのではなく、生成の只中にある存在として捉え直すこと。そうした自己理解の転換こそが、脳科学がもたらす問題に立ち向かうための、最初の一歩となるはずです。
 脳科学の知見を絶対視することなく、自己と他者の関係性を問い続けること。そこにこそ、人格の真の意味を見出していく可能性が開かれているのではないでしょうか。

 

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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【感想・書評】(千代田区立)麹町中学校の型破り校長 非常識な教え(工藤勇一、SB新書)

 

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【感想・書評】(千代田区立)麹町中学校の型破り校長 非常識な教え(工藤勇一、SB新書)

 

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『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』の感想、書評

2019年9月6日発売。SB新書。

 2020年3月まで千代田区立麹町中学校(大学受験塾チーム番町から1.2km)の校長を務められた工藤勇一先生の著書です。
 工藤勇一先生は、山形県鶴岡市生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒業。山形県で中学の数学教諭を5年間務めた後、東京に移ってこられたそうです。その後、学校の現場のみならず、区や都の教育委員会の役職を歴任され、2014年に千代田区立麹町中学校長に就任されました。麹町中では、本書で書かれているような、各種の改革をされました。
 2022年現在は、私立の横浜創英中学・高等学校校長をされています。

 

工藤勇一先生の評判は?

 このキーワードで検索する方が一定数いらっしゃるので、リクエストにお応えしたいと思います。
 当塾には、麹町中で工藤勇一先生と在籍が重なっていた生徒が複数おります。おおむね、評判はいいのではないかと思います。
 ただ、著書や、ネット記事に書かれているようなことは、あまり保護者や生徒に向けては、発信されていなっていなかったようです(笑)。だからか、保護者や生徒には、工藤先生のお考えが、あまり浸透していないようです。
 たとえば、「工藤先生時代は良かった」と言っていた保護者が、工藤先生の教育方針に反するような過保護過干渉な言動をしていた結果、お子さんのほうが、かなりの進学校に行ったにも関わらず、テストで学年最下位に近い点数を取り、当塾に来たものの、親子でおかしな言動をくり返し、一度目の数学のテストで点を取れなかっただけで母親が退塾を決め(子供の方も、中学レベルの内容も、もう一つ理解していなかったし、そもそも、試験範囲でない部分を教えてくれと頼まれたことが多かった
)、退塾時の授業料も滞納した、といったこともありました。

 

宿題はいらない

 そもそも、宿題はなんのために存在するのでしょうか?
 脳科学では「脳は生存に不可欠なこと以外は忘れる」ということになっています。勉強を「生存に不可欠」だと理解していれば、宿題を出さなくても勉強するでしょう。逆に、宿題を出したところで、「生存に不可欠」だと思っていなければ、「単なる作業」となり、内容をマスターできないでしょう。
 また、世界陸上400mハードルで銅メダル2回の為末大さんは、「自分の人生を生きているという感覚」「何かを見てワーッと好奇心が湧いてくる」が一番の才能で、最も後天的に与えにくい、と語っています。先生が細かく範囲を指定した宿題を言われた通りにこなす。「自分の人生をいきているという感覚」とは正反対ですよね。また、人から強制されて勉強しているようでは、本来あるべき好奇心も、だんだん薄れていくでしょう。
 そして、自宅で勉強することを、自分で決めずに、先生が決めてしまうから、「主体性」「自己管理力」「自分の状況を把握する能力」「自分の理解度を把握する能力」といったものが育まれないのではないでしょうか。

 教育がうまくいっていない家庭ほど、表面的に「宿題を出してくれ」と言ってくる傾向があるように思います。逆に、宿題など出さなくても、塾長の生徒は、東大、国立医学部に合格するのに、全く困っていません。
 学校も塾も家庭も、「目的」と「手段」を取り違えている。また、家庭の「子供が机に向かっている」という「表面的な安心感」のニーズを満たすために宿題を出す。そんな「表面的な安心感」を欲するような、非論理的な家庭が、受験という理性が必要な勝負でうまくいくわけがないですよね。

 

わかっていることはやらなくていい

 テスト勉強、受験勉強は「できていないことをできるようにした」時に、成績が上がります。
できていないことにチェックをつけ、そこだけくり返せばいいのです。
 やはり、できていることを宿題に出されるのはムダですよね。

 

社会に適応する力、非認知スキル

 非認知スキルとは、課題発見力、課題解決力、挑戦意欲、といった、ペーパーテストでは計測できない能力のことです。
 『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』では、「社会に出たときにしっかり生きていける力」として、非認知スキルを語っているようです。つまり、非認知スキルとペーパーテストを二項対立的に語っているようです。
 しかし、非認知スキルが学歴に大きく影響することは、ノーベル経済学賞も受賞したヘックマン教授らの研究で明らかになっています。それは、挑戦意欲、自分の状況を把握する力、自分の理解度を把握する力、やり抜く力、といった非認知スキルが高いほうが、ペーパーテストの点数も高くなるのは当然ですよね。
 当塾の非認知スキルの解説ページはこちら。

「学歴」にも大きく影響する「非認知能力」とは?

 大学受験塾チーム番町は、本書の論調とは異なり、仮にペーパーテストで点数を取ることを第一に考えても、非認知スキルを育むことが大切だという考え方です。

 

学びとはカリキュラムをこなすことではない

 早期の英語教育、STEM教育を強制すると、子どもの主体性、意欲を奪うことになりマイナス、というのは、同じ意見です。お子さんに色々なことに触れてもらい、きっかけを作るくらいのことはいいでしょう。しかし、お子さんが、やりたくもないことを強制すると、上記のように「自分の人生を生きている感覚」「何かを見て好奇心がワーッと湧いてくる」といった一番の才能が失われてしまうと思います。
 また、高校生にもなって、塾に親が出てくるような家庭は、だいたい成績が悪いか、仮に最初はよくても、だんだん下がります。

 

一斉授業の非効率さ

 工藤先生は、一斉授業ではなく、ひとりひとりのモチベーションを優先した、個別最適化した授業、常に学び合いながら問題を解決していく双方向の授業を理想と考えているようです。1クラスに何十人もいる中学校では、なかなか難しいですよね。
 大学受験塾チーム番町は個別指導塾です。授業内容も塾生と話し合い、また、塾生との双方向性の授業を行っております。

 

時代遅れ

 塾長も、古文、漢文はほんのちょっと学ぶくらいでよく、大学受験のメイン科目にするのは、いかがなものか、と思います。おそらく、ほとんど、ほとんどの日本人は、古文、漢文を学ぶことにより、新たな付加価値を生み出すことはできないだろうからです。ほんのちょっと学んで、興味を持った人が、大学で学び、研究者に慣ればいいと思います。論語などは、現代語訳で学べばいいと思います。
 ただ、ヨーロッパのエリートなども、以外に、ラテン語など、役に立たなそうな時代遅れなことを学んでいるようです。なんなのでしょうね。

 

縦割りの限界

 工藤先生は、教科ごとの縦割りの限界を感じているようです。
 大学受験塾チーム番町では、塾長がすべての科目を指導しています。したがって、縦割りの弊害がありません。数学で指数関数が出てきたら、「何も対策をしないと、感染症の感染者数は指数関数的に増加するんだよ」と、生物学と絡めた話をすることが出来ます。微積分を学ぶときは、物理の教科書を見せながら、座標を微分すると速度に、速度を微分すると加速度になることや、面積を求めることと物理学と近代文明の関係などの話をすることができます。有機化学でピクリン酸が出てきたら、日本海海戦で日本が完勝した原因の1つであったことを話すことが出来ます。
 また、受験になると、各科目で「時間」という資源の奪い合いが始まります。受験というものは、各科目の総合点で合否が決まるのに、科目間の縦割りで、柔軟に苦手科目の対策をすることは出来ない。
 「いかなる部分最適も全体最適には勝てない」(P.F.ドラッカー)。受験は、全科目の合計点の勝負です。1人の指導者が全科目を指導すれば、全体最適が達成されます。

 

大人の成功体験の押しつけ

 『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』では紙の辞書へのこだわりの話ですが、先生にしろ、保護者にしろ、自分の成功体験を押しつける人がいます。サンプル数1の何の一般性のない話を人に押し付ける。その時点で、その人の知性の欠如が推し量られますね。
 大人は、子供に「勉強しなさい」と言う前に、自分が勉強しなければなりません。たとえば、本書を読むなど。

 

勉強は要領をつかむまでが勝負

 勉強は要領が大切だというのは、そうだと思います。
 ただ、『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』で挙げられている例は、「読むだけで覚えられる」「線を引いたら、もっと覚えられる」と、記憶の方法としては、やや非科学的な方法が語られます。工藤先生自身が、先述の「大人の成功体験の押し付け」をしているのは、残念です。
 現在の脳科学では、答を見ない状態で答えられるようにする「出力法」をすると、脳が「この知識はこんなに使う、生存に不可欠な知識なのか」と判断し、記憶に残りやすいとされます。また、ひたすら復習すると、やはり、生存に不可欠な知識だと判断し、記憶に残りやすいようです。

 

麹町中で配る、手帳を使う

 大阪の普通の公立中学の陸上部で、7年間に13回の日本一を達成された、原田隆史先生という方がいらっしゃいます。原田隆史先生は「成功は作るもの」「成功は技術」とおっしゃいます。そして、その方法を書籍で紹介しています。
 その方法の一つに「日誌」があります。「日記」と「日誌」は異なります。「日記」は「日々の出来事をつれづれなるままに書くもの」。「日誌」は、スケジュール表に予定を書き込み、1日の終りにできたかできなかったかを振り返るためのツールです。1日1日こなすべきことをこなし、1日1日成長することをくり返す。そうすると、何年も後には、大きく成長しています。塾長の過去の生徒にも、毎日日誌を書き、とある上位進学校の下位層から、京大大学院にトップ合格、国家公務員試験総合職で経済産業省に合格、という人もいました。
 麹町中学校では、手帳を、スケジュール管理に使う目的で配っているそうです。また、本書では、学習計画のために手帳を使うことをオススメしています。
 また、日誌や手帳といったものをつけることによって、「自分の状況を把握する」といった「メタ認知能力」を鍛えることができるというのも、同意見です。

 

「ルールを守らせる」に必死な大人

 工藤勇一先生の口ぐせの1つに「目的と手段を履き違えるな」というものがあります。この項でも、問題の本質を見つめることの大切さが述べられます。
 この項では「置き勉」、つまり、学校に教科書を置いていくことの禁止について語られています。工藤勇一先生は若手時代、「置き勉禁止」に疑問を持っておられたそうです。実は、塾長も中学時代、学習委員会に所属しており、「置き勉禁止」を守らせる側でした。しかし、塾長自身も、なぜ置き勉がいけないのか理解できず、「置き勉禁止」に反対していたことがあります。
 また、生徒に対してではなく、先生自身が、ルールを守ること自体が自己目的化するケースも多いようです。たとえば、まずまずの進学校の数学の授業で、教科書を使わず、自作のプリントを作ること自体が自己目的化した結果、教科書と教科書準拠問題集を使った授業のほうが遥かにマシ、というケースは、日本全国で多いのではないでしょうか。

 

どこまで厳しく叱ればよいか

 工藤先生は、これも「何を目的として子供を叱ろうとしているんだっけ?」と冷静に考えることによって解決するとおっしゃいます。
 『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』でも「叱る優先順位を決めれば、叱る頻度が減り、大人も子供も不要なストレスを抱えなくてすむ」としています。他の著書では、一番の優先順位は「命」だろう、としています。
 ただし、工藤先生は、生徒がかかとを潰して上履きを履くことは、別にいいだろう、と思っているようです。しかし私は、そのあたりから、きちんとすることが、全てに通じると考えていて、この件については工藤先生に反対です。上記の原田隆史先生も、同じようにおっしゃるはずです。

 

多数決に頼らない生徒に育てる

 日本国憲法では、直接民主主義を3つの場合に限っています。
・憲法改正の承認の是非を問う国民投票
・最高裁判所裁判官の国民審査制
・地方特別法の住民投票
 これは、憲法学では、単純に多数決で決めるのではなく、選挙で選んだ議員に十分に話し合ってもらい、少数者の人権を尊重するため、とされます。塾長の小・中・高時代の担任の先生で、1人だけ、単純に多数決で決めるのではないことを指導されていた先生がいらっしゃいました。本書でも、少数派の意見を尊重することが述べられています。

 

麹町中の改革、固定担任制をやめる

 麹町中では、クラスの固定担任制をやめました。
 進学校の下位層の生徒に多く見られる特徴の1つは、主体性に欠け、他人のせいにする傾向があることです。「うちの担任は頼りにならない」「今の化学の先生はクラスの他の人からも評判が悪い」。いやいや、それよりも頼りないのは、君自身でしょうと。君自身が成長しなさい。

 

最後の最後は「家族全体の幸せ」

 『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』のこの項で明確に述べられているわけではありませんが、やはり、ここも「目的と手段を履き違えない」ということだと思います。
 そもそも、なぜ勉強するのか、受験をするのか。
 幸せになるための手段だからだと思います。
 勉強をめぐって、受験によって、家庭が不幸になるようなら、本末転倒でしょう。しかし、進学校の下位層、また、入学直後は上位でも、だんだん成績が悪くなっているような家庭は、受験によって不幸になっているようなケースが多いようです。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町(麹町中から1.2km)代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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ラジアンって何?:なぜl=rθ、弧の長さと面積は丸暗記はいらないよ

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

 

ラジアンって何?:なぜl=rθ、弧の長さと面積は丸暗記はいらないよ

 

ラジアンって何?

 ラジアンは、数研出版の数学Ⅱの教科書では、わかりやすく言い換えると、だいたい

「半径1の扇形の中心角を弧の長さで表したもの」

と定義されます。
半径1の円の円周は2πですから、中心角2πラジアン=360°。
両辺を2で割って、πラジアン=180°ということですね。

 さて、「半径1の扇形の中心角を弧の長さで表したもの」をビジュアルで見ると、下の図になります。

ラジアンの定義は、この図で理解、記憶しましょう。

 

ラジアンを使った扇形の弧の長さと面積:なぜl=rθ、公式の丸暗記は不要

 

 教科書には、おそらく、ラジアンの定義のあとに、ラジアンを使って、扇形の弧の長さと面積を求める話が出てくるでしょう。
 半径r、中心角θラジアンの扇形の弧長をl、面積をSとすると、

 l=rθ
 S=(1/2)r2θ=(1/2)rl

 円と扇形の中心角と弧長、面積の比から、導いていると思います。
 しかし、上記の図でラジアンを理解していれば、こんな公式は5秒で導けます。

 扇形の面積は、上図のように、無限に細かく分割すると、三角形の面積の和と考えることができ、
(1/2)✕(底辺の和)✕(高さ)
で求まりますね。

 

度とラジアンを「ドル円換算」のように解説している人に注意!!

 

 上記のように、ラジアンは扇形の中心角、弧長と密接に関係します。このような問題が出た時(実際に旧センター試験で出題されています)、「ドル円換算」のように丸暗記している人は、対応できません!
 ラジアンは、絶対に、上記の定義をビジュアルで把握しましょう!

 

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

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千代田区番町と『坂の上の雲』:秋山好古・真之の下宿と東郷元帥記念公園の近くの塾が語る

 

千代田区番町と『坂の上の雲』:秋山好古・真之の下宿と東郷元帥記念公園の近くの塾が語る

 

 『坂の上の雲』は司馬遼太郎さんの小説です。伊予松山出身の正岡子規、秋山好古(兄、陸軍)、秋山真之(弟、海軍)の3人を主人公に、日清、日露戦争期の日本を描いています。 

 2009~2011年、NHK大河ドラマは11月で終わりになり、12月は『坂の上の雲』を放送していました。

 大学受験塾チーム番町から500mほど、千代田区三番町に、「東郷元帥記念公園」があります。東郷元帥とは、日露戦争の時の連合艦隊の司令長官、つまり、艦隊のトップの東郷平八郎です。記念公園の所に住んでいました。

 秋山真之は、日露戦争の時、東郷平八郎の参謀でした。日本海海戦では、日本は世界が驚愕するほどに完勝します。作戦は主に、秋山真之が立てたようです。ちなみに真之は、大学予備門(現在の東京大学教養学部、つまり1、2年生)、海軍兵学校を通して、試験のヤマを当てる名人と言われたそうです。

 秋山真之の兄の秋山好古は、騎兵という、日本では理解されていなかった概念につき研究し、日本が満州でなんとか6分4分の戦いを保つのに貢献したようです。

 秋山好古は、最初、学校の先生でした。しかし、なぜか陸軍を志し、東京に来ます。陸軍士官学校は、大学受験塾チーム番町から外堀の対岸の、現在の防衛省あたりにありました。

 江戸時代の地図を見ると、大学受験塾チーム番町の近くの文教堂書店あたりに佐久間さんが住んでいたことがわかります。「番町」の由来は、江戸幕府の将軍を警護する「大番組」にあるように、江戸時代、番町のあたりは、旗本(将軍家の直臣で1万石以下)が住んでいました。秋山好古は、陸軍士官学校時代に、この元旗本の佐久間家に下宿していました。そして、かなり後年、佐久間家のお姫様の佐久間多美と結婚します。

 秋山真之も、上京して、共立学校(現在の開成高校)、大学予備門時代に、兄、好古の下、文教堂書店のあたりに下宿していました。真之の大学予備門の同級生に、正岡子規(松山時代から親友だったようです)、夏目漱石がいます。しかし、真之は大学予備門を辞め、海軍兵学校に入ります。

科学と歴史

 高校の有機化学で「ピクリン酸」という物質を習います。

 日露戦争の日本海海戦で、日本は世界が驚愕するほどに完勝した、と先述しました。その要因の1つが砲弾に使った「下瀬火薬」と言われます。この下瀬火薬に使われたのがピクリン酸です。ドラマ『坂の上の雲』では、日本の砲弾は凄まじい火炎を放ちます。

 2008年、慶應大学法学部入試の世界史で「(  )がアンモニアソーダ法を考案したことで、ガラスの原料である炭酸ナトリウムが工業的に安価に製造できるようになった」という問題が、選択式で出題されました。語群から「ソルヴェイ」を選べば正解です。当時、入試の講評を出していた有名予備校のうちの2つは「ソルヴェイは細かすぎる」と書きました。たしかに、どの世界史の教科書にも、ソルヴェイは載っていません。しかし、当時、慶應大学を受けるような高校は、化学で、アンモニアソーダ法、別名ソルベー法は、文理問わず必修だったはずなのです。

 歴史を勉強するにせよ、化学を勉強するにせよ、ガラスが普及すれば、人類の文化が大きく変化するだろう、といったことを想像しましょう。

 たとえば、銅や鉄の製法が載っているのは化学の教科書ですが、世界史では大昔から、鉄器文明の集団が青銅器文明の集団に取って代わった、鉄製の農具の普及により、農業生産が増加し、社会が変容した、といったことが起こっていたわけです。現代においても、似たようなことは起こりつつあるでしょう。

上り坂、下り坂、まさか

 大学受験塾チーム番町と文教堂書店の間の、市ヶ谷駅からの坂は「新坂」と言います。乃木坂(日露戦争の乃木希典大将)、欅坂、日向坂(麻布十番駅近くに本当に存在するのは「ひゅうがざか」と読みます)などに比べると、味気ないな、と思っていました。ところが、幕末、明治初期あたりの当塾周辺の地図を見ると、現在はメインストリートのように思われる新坂がないのです。先述の、秋山兄弟が下宿していた佐久間邸が現在のどのあたりか、を確認するのも、新坂がないため、かなり違和感があります。ああ、新坂は新しい坂なのだなと。

 そう考えると、味気ないと思っていた「新坂」という名前も、味わい深く思えるようになりました。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 東大卒の塾長による個別指導

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大学受験合格への鍵:大村益次郎が示す「戦術」と「戦略」の違い

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

靖国神社に大村益次郎像があるのはなぜ?

花神(司馬遼太郎、新潮文庫)

アームストロング砲(講談社文庫、司馬遼太郎)

番町と幕末のSTEM教育

 

大学受験合格への鍵:大村益次郎が示す「戦術」と「戦略」の違い

 

 大村益次郎については上記リンクから。

 史実かどうかは裏が取れないのですが、司馬遼太郎さんが大村益次郎を描いた小説『花神』(新潮文庫)では、大村益次郎の鳩居堂(最初は千代田区番町。後に麻布の長州判藩邸。)での最終講義は「タクチーキ(tactics、戦術)のみを知ってストラトギー(strategy、戦略)を知らざるものは、ついに国家をあやまつ」というテーマだったとしています。

 軍事では、「戦術」と「戦略」は、はっきり意味が異なります。手元の広辞苑によると、「戦術」は「一個の戦闘における戦闘力の使用法。戦略に従属」。「戦略」は「戦術より広範な作戦計画。各種の戦闘を総合し、戦争を全局的に運用する方法。」としています。

 大学受験を例にします。「戦術」は各科目の勉強法。「戦略」は全体としてどのように合格点を取るか、ということでしょう。大村益次郎によると、英語はこう、数学はこうと言っていても、全体の大局観がないと、受験に落ちますよ、ということでしょうか。

 たとえば、東大の社会は論述が多く、世間では「論述対策」と称した講義が行われています。しかし、私の生徒で東大の社会で困った人は1人もいません。また、東大の英語は、分量の多さと、リスニングのきつさが特徴的です。人の講義をダラダラ聞く時間があったら、最低限の理屈を私に習った上で、多読やリスニングなどの「トレーニング」に当てるべきなのです。数学の勉強をする時間も必要です。

 また、目先の学校のテストで入試で出るような問題で実際に点が取れていないのに、塾、予備校で違うことを扱い、戦力の分散になり、共倒れになる。塾、予備校に通うことにより、逆に成績を下げている人は、非常に多いと思います。

 これらは、「戦術」と「戦略」の違いを理解していないことに起因します。

 受験は、時間や集中力という、限られた資源をどう配分するか、という「戦略」が大切なのです。

 

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大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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千代田区番町と幕末のSTEM教育:大村益次郎の『鳩居堂』と同じ番町の塾が語る

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

花神(司馬遼太郎、新潮文庫)

大学受験合格への鍵:大村益次郎が示す「戦術」と「戦略」の違い

アームストロング砲(講談社文庫、司馬遼太郎)

STEM教育への取り組み

 

千代田区番町と幕末のSTEM教育:大村益次郎の『鳩居堂』と同じ番町の塾が語る

 

 大村益次郎という人を知っていますか?
 靖国神社(千代田区九段、大学受験塾チーム番町から800mほど)に像が立っている人です。幕末には、現在の大村益次郎像より番町側で、数学、物理学、化学、オランダ語などを教える塾を開いていました。

靖国神社に大村益次郎像があるのはなぜ?

 STEM教育とは、Science(科学、理科)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の教育分野を総称したもので、近年言われ始めました。

 さて、明治維新は「薩長土肥」と言われます。薩長はいいとして、土佐も坂本龍馬、板垣退助などが有名です。ところで、肥前佐賀藩は何をしたのでしょうか?

 幕末の佐賀藩の藩主は鍋島直正という人です。西郷隆盛が敬愛していた薩摩藩主、島津斉彬(なりあきら。2018年NHK大河ドラマ『西郷どん』では渡辺謙さん。)とは、母方のいとこです。開明的という面では似た者同士のようです。

 歴史小説家の司馬遼太郎さんには鍋島直正を主人公にした『肥前の妖怪』(『酔って候』文春文庫)、『アームストロング砲』(『アームストロング砲』講談社文庫)という短編があります。司馬遼太郎さんは、作品に取り掛かると神保町から資料が消える、と言われるほど、史実を重視していた人ではありますが、小説家なので、史実ではないかもしれないことはお断りしておきます。たとえば、佐賀藩が作ったとされる「アームストロング砲」が本当にイギリス製と同等の性能だったかは怪しいようです。まあ、史実かどうかわからないことを論争しているのは、大学の歴史の先生も同じわけですが…。

 鍋島直正は佐賀藩で、日本初の製鉄所を作り、西洋式の銃や軍艦の製造をしました。「これらの産業開発のために藩の秀才を選抜して、英語、数学、物理、化学、機械学をまなばせ、かれらに極端な勉学を強いた。」(『アームストロング砲』)

 つまり、STEM教育ですね。英語、数学、物理、化学までは、当塾が授業として行っている科目と同じではないですか!機械学についても、たとえば、当塾のパソコンは、私が秋葉原でパーツを買って自作したものです。

 2020年の日本は新型コロナウイルスで大変なことになっています。天然痘(人類が唯一根絶に成功したウイルス)に対する牛痘法が本格的に日本で普及し始めたのは、鍋島直正の時代の佐賀藩だそうです。

 幕末、薩長土は、西郷隆盛、桂小五郎(木戸孝允)、坂本龍馬など、いわゆる「志士」と言われる人が奔走していましたが、鍋島直正は佐賀藩士に政治活動を禁止していました。そして、大政奉還、鳥羽・伏見の戦いの後、鍋島直正は、薩長土に佐賀藩の軍事力を提供したのでした。

 上野戦争と呼ばれる、東京の上野で新政府軍と旧幕府軍が戦った戦いがあります。このとき、佐賀藩のアームストロング砲(イギリス製?)は、加賀藩邸、つまり、現在の東京大学本郷キャンパスに据えられました。鍋島直正と総司令官、冒頭の大村益次郎の意思により、人ではなく建物に照準を合わせ、不忍池を越えて、旧幕府軍の根拠地である、現在の東京国立博物館のあたりの建物を粉砕し、旧幕府軍により東京が火の海になることもなく、上野戦争は終わったのでした。

 大村益次郎はもともとは長州の村医者。大坂適塾(大阪大学の前身。適塾の先生の緒方洪庵も天然痘に対する牛痘法の普及に名を残しています。)の塾頭として頭角を現します。この頃、物理や化学に興味を持っていたようです。

 そして、本業は長州の村医者のはずですが、なぜか、伊予宇和島藩に行き、砲台や蒸気船を作り、オランダ語の兵書を翻訳し、数学の本を書くことになります。宇和島藩主は伊達宗城(むねなり)という人で、奥さんは鍋島直正の姉妹。鍋島直正、島津斉彬などともに「蘭癖大名」(蘭学に傾倒する大名)と呼ばれます。(姓名からうかがえるように、宇和島藩の藩祖は伊達政宗の長男です。)その後、伊達宗城の参勤交代に伴い、江戸に出てきて、冒頭のように、現在の大村益次郎像より番町側あたりで「鳩居堂」(きゅうきょどう)という塾を開きます。江戸城、現在の皇居の内堀のすぐ近くですね。(ご存じだと思いますが、当塾の近くの大きな水たまりは、江戸城の外堀です。)

 大村益次郎は、この鳩居堂時代に、故郷の長州人、桂小五郎(木戸孝允)に見いだされ、長州藩に出仕するようになったようです。まず、長州藩立の学校の立ち上げに関わりました。ここでの教科も、物理、化学、数学、天文学、兵学といったもので、教科書は、ほとんど、大村益次郎の翻訳だったようです。

 1863年、「八月十八日の政変」が起こり、長州は京都を追われます。長州人の大村益次郎は江戸にいられなくなります。大村益次郎は「塾(麻布の長州藩邸(赤坂の檜町公園)に移っていました。)を閉じるのが、いかにもいやであった」と語ったそうです。司馬遼太郎さんは、大村益次郎は、村医者は家業、なぜか宇和島藩に行き、後年、長州、新政府軍の総司令官になるが、彼の一生で唯一、自分の意思でやった事業が鳩居堂だから、といった描き方をしています。

 長州は京都で暴発して潰走し(禁門の変)、一時は幕府に平身低頭しますが、高杉晋作が80人からの挙兵で長州藩をひっくり返します。この時、真っ先に駆けつけたのが、日本国初代首相、伊藤博文だそうです。幕府の第二次長州征伐、大村益次郎は総司令官、かつ、島根県方面では自ら指揮に出かけ、幕府軍を押し返します。先述のように、兵学については日本最先端。世界の最先端の銃についても、かねてからアンテナを張っていたようです。そして、かつて江戸城の内堀の少し外側で塾を開いていて、二度と江戸に戻ることはないと思っていたであろう彼は、戊辰戦争では江戸城の中に入り、総司令官として、「数学教師が数式を書いて答えを出すよう」(『花神』)に、日本の内戦を短期間で鎮めます。

 司馬遼太郎さんが大村益次郎を描いた『花神』の花神とは、花咲かじいさんのことです。大村益次郎は、STEMによって、日本に革命、新時代という花を咲かせた、といった意味のようです。

 STEM教育というと、なにか、最近のように思われがちですが、150年以上前に、日本の各地であった話なのですね。

 

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大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

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女子学院中学校(市ヶ谷駅600m)入試算数の傾向と対策と勉強法は?:『塾技』で解く合格への道

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 女子学院中から600m 東大卒の塾長による個別指導

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女子学院中学校入試算数の傾向と対策と勉強法は?:『塾技』で解く合格への道

 

女子学院中学校は市ヶ谷駅から600mほどです。

 女子学院中学校は、千代田区一番町にあります。市ヶ谷駅と大学受験塾チーム番町から600mほどです。

 

2020年女子学院中学校 算数

 

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中学入試によく出る技法を100にまとめ、見開きの左ページで技法と例題を解説し、右ページには、その技法を使う入試問題が載っています。
やや解説が簡素なので、はじめてこれらの技法を学ぶ人は、『受験算数の裏ワザテクニック』(文英堂)シリーズ、あたりが、解説が親切でオススメです。
この「塾技」をもとに、2020年女子学院中(千代田区一番町、当塾から600m)入試の算数を分析してみます。

 

大問1

(1)
式の中に□(方程式でいうx)がある「逆算」と言われる問題です。『塾技』2に載っていて、解けます。

(2)
150°の角が与えられているひし形の面積を求める問題です。『塾技』64「三角定規の辺と比」に頂角が150°の二等辺三角形の面積を本問と同じように求める問題が載っていて解けます。

(3)
近年の女子学院に特徴的なゴチャゴチャした平面図形の問題です。平行線の錯角を使う問題は『塾技』27「角度1」に載っています。この右ページ下のチャレンジ問題が2問とも女子学院の問題です。
図形問題全体に言えることですが、入試で合否を分けるレベルの問題を数をこなす、こなすだけでなく解けるようにする、ことが大切です。

(4)
『塾技』15「割合」(というより算数の検定教科書に載っている)を理解して、普通に式を立てれば解けます。

(5)
最小公倍数、『塾技』86「周期算」、『塾技』87「日暦算」を組み合わせれば、難しくなく、解けます。それぞれ、部分的には、よくある話です。

(6)
46°である角を選ぶ問題です。平行線の錯角を使う問題は『塾技』27「角度1」に載っていて解けます。直角三角形の直角以外の2角の和が90°なのは常識ですよね。

 

大問2

(1)
『塾技』68「相似な図形」などで学ぶ、ピラミッド型相似を使えば解けます。正方形の辺の長さが等しいことを使うのがひとひねりですが、まあいいでしょう。

(2)
扇形の周の長さを求める問題です。(1)より簡単に解けます。

 

大問3

素数、逆数、円周率について、用語、用語の意味を答える問題です。算数でも、このような根本からの理解を求める問題は、いい問題だと思います。

 

大問4

扇形とひし形を組み合わせた図形が底面の柱体の辺の上を点が動き、その時間と道のりの関係がグラフになっている問題です。問題文とグラフを読み解き、道のり、速さ、時間の関係を理解していれば、解けます。道のり、速さ、時間の関係については、変な中学入試の教材よりは、小学校の算数の教科書で根本から理解することをオススメします。

 

大問5

4×4マスにマルバツをつける問題です。実際にやってみれば解けます。

(1)マルのついたマスの数と、それらの和を答える問題です。

(2)
AのマスとGのマスに入っている数を答える問題です。

(3)
この表の一番大きい数と一番小さい数を答える問題です。

 

大問6

川の上流と下流をボートで移動する、いわゆる「流水算」と言われる問題です。

(1)
静水でのボートの速さを求める、典型的な問題です。『塾技』25「流水算」に類題が載っていて解けます。

(2)
姉と妹が2回目に出会う時間の問題です。ただし、姉がある時間、さぼって(笑)漕がずに川の流れだけで進んだため、予定時刻と実際の時刻がずれた、という問題です。
もはや、流水算というよりは、2人が出会う「旅人算」の話になります。『塾技』20「旅人算1」に載っています。また、予定時刻と実際の時刻のズレは、「つるかめ算」で考えます。『塾技』7に載っています。
ボートで移動するので、縦軸に道のり、横軸に時刻をとった「ダイヤグラム」を書いて考えたほうがいいでしょう。『塾技』22「ダイヤグラム」、78「ダイヤグラムと相似」を理解しておきましょう。

 

対策と勉強法

女子学院らしく、変に難しい問題は少ないです。大問6の後半は難しめだと思いますが、その他は、『塾技』をマスターして、女子学院で合否を分けるレベルの問題演習をこなし、大問5のような実際にやってみる問題に慣れれば、合格点を十分に上回るでしょう。

 

 

2019年女子学院中学校 算数

 

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やや解説が簡素なので、はじめてこれらの技法を学ぶ人は、『受験算数の裏ワザテクニック』(文英堂)シリーズ、あたりが、解説が親切でオススメです。
この「塾技」をもとに、2019年女子学院中(当塾から600m)入試の算数を分析してみます。

 

大問1

(1)
計算問題です。特にテクニックはなく、ゴリゴリ計算すれば正解できます。答は「134/2019」と、2019年の出題にふさわしくなっています。

(2)
影をつけた部分の面積を求める問題です。
図の図形を三角形と扇形に分けることができれば、考え方は簡単でしょう。あとはがんばって計算しましょう。

(3)
ある数Xの逆数を[X]で表し、それが式の中に登場する問題です。特に難しくなく、ゴリゴリやるだけですが、[A]が式の中にあるので、に入る数を求める(中学以降の方程式に当たる)『塾技』2「逆算」に慣れておくと、より見通しよく解けるでしょう。

(4)
近年の女子学院に特徴的なゴチャゴチャした平面図形の問題です。正三角形→60度。直角二等辺三角形→45度。三角形の合同→対応する角は等しい。などを使います。『塾技』27「角度1」の右ページ下のチャレンジ問題が2問とも女子学院の問題です。下の問題が雰囲気が似ていると思います。加えて『塾技』28、29「角度2」「角度3」の問題も解けるようにしましょう。図形問題全体に言えることですが、入試で合否を分けるレベルの問題を数をこなす、こなすだけでなく解けるようにする、ことが大切です。

(5)
円柱の積み木を乗せる問題です。
相当する割合がわかっている時、もとにする数を求める「相当算」と言われる問題です。『塾技』14「相当算」に似たような問題が載っていて解けます。

 

大問2

半径1cmの円が線に沿ってすべらないように転がる問題です。

(1)
円の中心が動いてできる線の長さを求める、よくある問題です。『塾技』38~40「転がる図形1~3」を理解していれば、解けるでしょう。

(2)
本問は、途中で円の一部を転がります。
円周の長さと中心角の割合を考える問題は『塾技』38~40「転がる図形1~3」にも載っており、それで解けると思います。

 

大問3

4×3マスに1~12の数字が書かれていて、それを切り取って立方体の展開図を作る問題です。

(1)
12の場所を使ってできる展開図の数を求める問題です。中学受験をするなら、立方体の展開図11種類はスラスラ書けるようにしましょう。それで解けます。

(2)
展開図にかかれている数の和が一番小さいものを求める問題です。実際にやってみれば正解できます。

 

大問4

時計の短針と長針が作る角を求める「時計算」と言われる問題です。『塾技』23「時計算」に似たような問題は載っています。ただし、本問は、だいたい何時頃かすら、問題文からわからないので、そこから考えなければならないのが、ひとひねりあるところです。

 

大問5

お菓子を12個入の箱と15個入の箱で売るとき、1個あたりの値段が異なり、売り上げに差が出る問題です。「1個あたりの差」と「全体の差」から個数を求める「差集め算」と言われる問題です。『塾技』5「差集め算」に似たような問題が載っていて解けます。
ただし、本問は、最後、売上を最大にする個数を求める、というひとひねりがあります。まあ、考えればわかるでしょう。

 

大問6

バスケットボール、ドッジボール、サッカー、卓球に出場する人、クラス全体の人数を、与えられた問題文から求める問題です。
バスケのみをA人、ドッジボールのみをB人、などとやっていくと解けます。それほど難しくないですが、入試中の実戦的には、厳しい可能性もあります。

 

対策と勉強法

女子学院らしく、変に難しい問題は少ないです。ただ、上記のように、一部、典型問題よりひとひねりあります。大問6が『塾技』に載っていないし、規則性でもないし、実際にやってみてどうにかなるものでもないので、どうかというところです。その他は、『塾技』をマスターして、女子学院で合否を分けるレベルの問題演習をこなし、大問3のような実際にやってみる問題に慣れれば、合格点を十分に上回るでしょう。

 

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅100m 女子学院中から600m 東大卒の塾長による個別指導

 

 

2018年女子学院中学校 算数

 

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中学入試塾技100算数(文英堂)という参考書が市販されています。
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この「塾技」をもとに、2018年女子学院中(当塾から600m)入試の算数を分析してみます。

 

大問1

(1)
ゴリゴリ計算すれば正解できます。特に必要なテクニックはありません。

(2)
近年の女子学院に特徴的なゴチャゴチャした平面図形の問題です。正五角形の角は108度。二等辺三角形→底角が等しい→頂角も求まる。などを使います。『塾技』27「角度1」の右ページ下のチャレンジ問題が2問とも女子学院の問題です。加えて『塾技』28、29「角度2」「角度3」の問題も解けるようにしましょう。図形問題全体に言えることですが、入試で合否を分けるレベルの問題を数をこなす、こなすだけでなく解けるようにする、ことが大切です。

(3)
仕入れ値に利益を見込んで定価をつける売買の問題です。『塾技』16「売買の問題」に似たような問題が載っていて解けます。ただし、学校の教科書で「割合」をしっかり理解するのが大前提です。

(4)
流れるプールを泳ぐので、「流水算」と言われる問題です。『塾技』25に「流水算」があります。加えて、2人が円形のプールを逆向きに泳いで出会うので、「旅人算」と言われる問題でもあります。『塾技』21「旅人算2」に、円形を2人が逆に周る出会い算が載っています。最後、2人の泳ぐ速さの和と差がわかるので、線分図でそれぞれの速さがわかります。

(5)
影をつけた部分の面積を求める問題です。平行で長さが等しい大変があるので、補助線を引いて平行四辺形を使う、底辺が共通で高さが等しい三角形を使う、に気づくかが全てだと思います。図形問題全体に言えることですが、入試で合否を分けるレベルの問題を数をこなす、こなすだけでなく解けるようにする、ことが大切です。

 

大問2

直方体の上に円柱が載っている問題です。

(1)
直方体の高さを求める問題です。
中に円柱が入っていますが、普通に体積÷底面積で求まります。

(2)
この立体の表面積を求める問題です。
円柱の上面をちょっと下に移動すると、計算しやすいというのは、有名な解き方だと思います。

 

大問3

仕事を終えるのにどれだけの時間がかかるかを求める「仕事算」と言われる問題です。『塾技』10「仕事算」に載っています。
ただ、本問は、仕事が終わる時間がバシッと決まっておらず、「A3台とB2台で仕事をすると、3日間では仕事が残り、4日目に終わります」と、幅のある問題です。したがって、解答も、幅を持って答えることになっています。そのあたりにひとひねりありますが、まあ、解けるでしょう。

 

大問4

約数の問題です。
約数の個数、素因数分解したときの2の個数、3の個数がカードに書かれています。
『塾技』79が「約数」で、約数の個数について考える問題も載っています。このあたりの問題を自分でよく考えながら慣れると、解けるでしょう。

(1)
18の約数の個数、素因数分解したときの2の個数、3の個数を求めるだけなので、簡単に正解できます。

(2)
前半は、約数の個数が2個、つまり、素数の数を求める問題です。後半は、素数のうち、2を素因数に持つものは2だけという話です。偶数の素数は2だけ、というのは、大学入試の整数問題でも有効なことがあります。

(3)
約数の個数が8個で、素因数に2と3を1つずつ持つものを求める問題です。約数の個数の「規則性」のようなものを理解して上で、実際にやってみると正解できます。

(4)
約数の個数が3個である数を求める問題です。これも(3)と同じような考え方で、実際にやってみると正解できます。

 

大問5

余りや不足から全体の差を考え、個数や人数を求める「過不足算」という問題です。『塾技』6「過不足算」に載っていて解けます。
バスに先生が必ず2人乗る問題ですが、それは特に難しくなく、ほぼ『塾技』そのままの問題です。

 

大問6

ジュースの空きびんを6本持っていくと新品のジュース1本と交換してもらえる、という問題です。実際にやってみれば解けます。

 

大問7

食塩水の問題です。『塾技』17「食塩水1」、18「食塩水2」に載っています。

(1)
『塾技』に載っているレベルの典型的な問題で、解けます。

(2)
最後まで行くのは、かなり複雑です。
食塩水の問題のコツは、食塩の質量に注目することです。
『塾技』をていねいにくり返すと、理論上は最後まで行けますが、実戦的には難しいかもしれません。

 

対策と勉強法

さすがに女子学院で、『塾技』の問題そのまま、というよりは、組み合わせる、ひとひねりある、特に『塾技』に載っていないが実際にやってみるとできる、といった問題が多いです。ただし、理不尽に難しいわけではなく、根本から理解している人は、合格点を取れる出題です。
やはり『塾技』をマスターし、根本から理解し、女子学院で合否を分けるレベルの問題に取り組む、という勉強が有効でしょう。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町(女子学院中から600m)代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

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白百合学園中(市ヶ谷駅850m)入試で一番大切なのは算数! 傾向と対策と勉強法は?:『塾技』で解く合格への道

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 白百合中から1.1km 東大卒の塾長による個別指導

開成中学校入試算数 傾向と対策と勉強法は?

女子学院中学校入試算数の傾向と対策と勉強法は?

大妻中学校入試算数 対策と傾向と勉強法は?

 

白百合学園中の入試で一番大切なのは算数! 傾向と対策と勉強法は?:『塾技』で解く合格への道

 

白百合学園中は市ヶ谷駅から850mほどです

 白百合学園中は千代田区九段北にあります。地下鉄市ヶ谷駅から850mほど、大学受験塾チーム番町から1.1kmほどです。

 

白百合学園中の入試で算数が大切なのはなぜ?

 

白百合学園中(千代田区九段北)のサイトでは、入試の各科目の合格者平均点と受験者平均点が発表されています。
以下に、年度別、各科目の
(合格者平均点)ー(受験者平均点)
つまり、「点差のつきやすさ」の目安の表を作ってみます。

  国語 算数 社会 理科
2021 6.0 12.8 4.1 4.6
2020 5.4 15.4 4.6 4.2
2019 5.4 10.8 4.3 4.1
2018 6.7 14.5 4.4 4.6
2017 6.8 20.7 6.3 7.3
2016 6.7 20.3 5.6 4.5
2015 5.8 14.6 6.3 5.0
2014 6.1 18.2 3.6 4.7

算数がずば抜けて、点差がつきやすい科目だということがわかりますね。
白百合中に合格したかったら、
「算数を得意科目にする。その他はそこそこでいい。」
という戦略が大切であることが読み取れます。

 

2023年白百合学園 大学合格実績(現役生のみ)

現役志向がかなり強く、浪人を含めた実績もそれほど変わらないようです。

東大 6名
京大 1名
一橋 3名

国立医学部 4名(防衛医科除く)

慈恵(医) 4名
日本医科(医) 5名
順天堂(医) 7名

 

2020年白百合学園中学校 算数

 

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中学入試塾技100算数(文英堂)という参考書が市販されています。
中学入試によく出る技法を100にまとめ、見開きの左ページで技法と例題を解説し、右ページには、その技法を使う入試問題が載っています。
やや解説が簡素なので、はじめてこれらの技法を学ぶ人は、『受験算数の裏ワザテクニック』(文英堂)シリーズ、あたりが、解説が親切でオススメです。
この「塾技」をもとに、2020年白百合学園中(大学受験塾チーム番町から1.1km)入試の算数を分析してみます。

 

大問1

(1)
小学校の算数の教科書で「割合」「比」の意味を理解していれば、簡単に解けると思います。
逆に、難しめの中学入試を経験したのに、算数の教科書に書いてあるような「割合」「比」の意味を理解していない人もいます。教科書はきちんと読みましょう。

(2)
『塾技』4に「線分図の利用」、『塾技』14に「相当算」、『塾技』55に「倍数算2」という項目があります。左ページで理解し、右ページの問題を解けるようにすれば、本問も解けると思います。

 

大問2

円の周りを円が転がる問題です。
『塾技』37~39に「転がる図形」という項目があります。円の周りを円が転がる話もありますし、通過する部分の面積を求める問題もあります。このあたりを、左ページを理解し、右ページの問題を解けるようにすれば、本問も解けると思います。

 

大問3

(1)
1から2020まで数字を書き並べると、全部で何個の数字が並ぶか、という問題です。
愚直に計算すれば正解できます。
ただ、『塾技』85~93では、規則性を扱っており、このあたりをマスターすると、見通しがいいかもしれません。

(2)
(1)で9の数字はいくつ現れるか、という問題です。
言われれば簡単ですが、初見だと、意外と難しいかもしれません。

(3)
(1)で123という並びはいくつ現れるか、という問題です。
愚直に数え上げれば正解できます。
やはり規則性の問題に慣れておくといいでしょう。

 

大問4

時計のような問題です。

(1)
長針と短針のなす角が初めて90度になるのは何分後か、という問題です。
『塾技』23に「時計算」という項目があり、解けます。
ただし、1分あたり何度開くかを理解すれば簡単なので、初見でも解きたいです。

(2)
普通の時計で言う12時をはさんで、長針が右、短針が左という位置関係で初めて対称になるのは何分後か、という問題です。長針と短針の位置関係に引っかからないようにしましょう。愚直に、『塾技』14~18、52~67あたりの、割合、比の考え方を使って解くのがわかりやすいと思います。ただし、上記『塾技』23の右ページに、長針と短針の位置関係が逆の問題があり、そのように考えることもできなくもないです。『塾技』21「旅人算2」のように考えます。

 

大問5

図形問題です。

(1)
平行線と比の考え方を使います。
『塾技』68~71あたりが基本技法になるでしょう。
ただし、本文は、補助線を引く必要があります。
図形問題全体に言えることですが、合否を分けるレベルの問題演習を多くこなすことが大切です。
数だけではなく、こなした問題は、解けるようにすることです。

(2)
本問のように、延長する補助線を引いて、相似な三角形を自分で作る問題は、『塾技』70「辺の比と相似」に出てきます。
ただし、上記のように、合否を分けるレベルの問題演習が大切でしょう。

(3)
(1)(2)までできれば、意外と出るのではないかと思います。
『塾技』65~74あたりの面積比、相似を駆使します。
くり返しますが、合否を分けるレベルの問題演習が大切でしょう。

 

対策と勉強法

2020年算数の合格者平均点は69.8点です。
合格者の平均ですから、これよりも出来が悪くても合格できます。
上記のように、『塾技』で中学入試によく出る技法を固め、白百合中で合否を分けるレベルの入試問題で『塾技』の技法を使いこなせるようにすれば、十分に上位合格を狙えます。

 

 

2019年白百合学園中学校 算数

 

大問1

(1)
列車の発車時刻の問題です。
基本的な問題で、線分図でも書けば簡単に解けます。

(2)
列車が出会う「旅人算」の問題です。
直線状を出会う旅人算は、『塾技』20に載っています。
左ページを理解し、右ページの問題を解けるようにすれば解けます。

 

大問2

(1)
原価(仕入れ値)、利益などを考える「売買の問題」です。
「売買の問題」は『塾技』16に載っています。
また、割合、もとにする数、くらべる数、を線分図を使って考える「相当算」は、『塾技』14に載っていて、それで解けます。

(2)
(1)と同じように、『塾技』14、16で「相当算」「売買の問題」を学習すると、解けるでしょう。

 

大問3

図形問題です。

(1)
長さの比を求める問題です。
平行線、相似、辺の比を使います。
『塾技』69「平行線と相似」、70「辺の比と相似」、71「辺の比と連比」あたりを学習し、白百合中で合否を分けるレベルの問題に取り組めば、解けるでしょう。

(2)
長さの比を求める問題です。
(1)と同じように、平行線、相似、辺の比を使います。
『塾技』69「平行線と相似」、70「辺の比と相似」、71「辺の比と連比」あたりを学習し、白百合中で合否を分けるレベルの問題に取り組めば、解けるでしょう。

(3)
三角形の面積比を求める問題です。
『塾技』65~67の「面積比」を学習すると解けると思います。

 

大問4

(1)
等差数列の和の問題です。
『塾技』85「数列」に載っていて解けます。

(2)
「ア」の文字の位置は、周期6で循環するので「周期算」を使います。『塾技』86に「周期算」が載っています。(1)でも使った「等差数列の和」も必要です。それで解けます。

(3)
(2)で考えた周期6を理解した上で、基本的に愚直に調べ上げれば正解できます。

 

大問5

三角形が点を中心に回転し、通過する部分の面積の問題です。
類題は、『塾技』37「図形の移動②」に載っています。
小学生は平方根を習っていないので、本問は、円の面積を求めるための円の半径が少しわかりにくいのですが、半径の2乗が正方形の面積からわかる、というのは、上記『塾技』37の右ページに類題が載っていて解けます。

 

対策と勉強法

合格者の平均点は57.8点で、やや低めのようです。
ただし、上記のように、『塾技』を徹底し、白百合中で合否を分けるレベルの問題演習をすれば、満点も狙える出題です。
変に難しい問題に取り組むのではなく、まずは、中学入試によく出る技法を徹底してマスターし、白百合中レベルで合否を分けるレベルの問題演習をしましょう。

 

 

2018年白百合学園中 算数

 

大問1

(1)
中学生以上なら連立方程式で解けそうな「つるかめ算」の問題です。
『塾技』8「つるかめ算②」に、「3量のうち、数量の関係がわかっている2量を平均化する」技を使う、本問の類題が載っていて解けます。

(2)
やりとりの前後で比が異なる「倍数算」と言われる問題です。
本問のように、片方の線分図を何倍かして、もう片方にそろえる問題は、『塾技』55「倍数算②」に載っていて解けます。

 

大問2

本問のように、「6の倍数より5多く、7の倍数より1少ない、200以下の数」といった問題は、『塾技』84「商と余り②」に載っています。本問は、それに加え、バスの条件を考えれば解けます。

 

大問3

池の周りを回る「旅人算」と言われる問題です。『塾技』21「旅人算②」に、池の周りを回る類型の問題が載っています。
同じように考えればいいですが、本問のほうが、3人登場したり、向きを変えたりと、少し複雑です。同じレベルの問題に取り組んでおいたほうが、受験対策としてはいいでしょう。

 

大問4

円すいを底面に平行に切断した図形の展開図の問題です。
本問のような図形で相似を使う問題は、『塾技』75「体積比と相似」に載っています。また、円すいの「側面のおうぎ形の中心角」「底面の半径」「母線」の関係は、『塾技』42「すい体」に証明まで含めて載っています。本問は、それらを使いこなせば解けます。

 

大問5

平面図形です。

(1)
三角形の相似から長さの比を求め、図形の面積比を求めます。『塾技』69「平行線と相似」、70「辺の比と相似」、65「面積比①」あたりを駆使します。
ただし、本文は、図形問題全体に言えることですが、合否を分けるレベルの問題演習を多くこなすことが大切です。数だけではなく、こなした問題は、解けるようにすることです。

(2)
長さの比を求める問題です。本問は、相似と二等辺三角形が見えれば、そう難しくないですが、相似がいわゆる「ピラミッド型」でも「ちょうちょ型」でもなく、また、比というより具体的な長さを求めるので、盲点かもしれません。かなり、図形問題に慣れている必要があると思います。

(3)
長さの比を求める問題です。補助線を引く必要がありますが、ちょっと引くにくいかなと思います。

 

対策と勉強法

合格者の平均点は48.9点とかなり低めでした。
やはり、大問5(2)(3)あたりは、かなり難しいでしょう。
大問3の旅人算も、典型問題に比べ、複雑な出題です。
ただ、受験は、満点を取れなくても合格できるわけですから、合格者が正解しているであろう、簡単な問題から、しっかり正解すれば合格できます。

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 白百合中から1.1km 東大卒の塾長による個別指導

 

 

2017年白百合学園中 算数

 

中学入試塾技100算数(文英堂)という参考書が市販されています。
中学入試によく出る技法を100にまとめ、見開きの左ページで技法と例題を解説し、右ページには、その技法を使う入試問題が載っています。
やや解説が簡素なので、はじめてこれらの技法を学ぶ人は、『受験算数の裏ワザテクニック』(文英堂)シリーズ、あたりが、解説が親切でオススメです。
この「塾技」をもとに、2017年白百合学園中(当塾から1.1km)入試の算数を分析してみます。

 

大問1

おはじきを分けると余りが同じになる、といった問題です。
『塾技』83「商と余り1」の右ページに、似たような問題が載っていて解けます。

 

大問2

(1)
水槽と注水管と排水管が登場する、いわゆるニュートン算と言われる問題です。
ニュートン算は『塾技』11に載っています。
ただし、本問は、注水管と排水管が複数登場し、典型問題よりは複雑になっています。より、線分図を使いこなすなど、根本からの理解が必要となります。

(2)
引き続き、ニュートン算です。
ただし、途中から、2本目の排水管を開くという、さらに複雑な状況になります。
ニュートン算に加え、『塾技』58、59「速さと比」あたりの深い理解が必要です。

 

大問3

長細い直方体を積み重ねて立方体を作る問題です。

(1)
直方体の辺の比を求める問題です。まあ、簡単に解けると思います。
一応、『塾技』57「逆比」を理解しておくと、より、しっくりくると思います。

(2)
立方体の表面をペンキで塗り、直方体の塗られた部分と塗られていない部分の面積比を求める問題です。本問は立体を積み重ねる問題でもあり『塾技』44「積み重ねられた立体1」を理解しておくと、見通しが良くなると思います。

 

大問4

正方形とその中の三角形の面積比が与えられたときに、ある長さを求める問題です。
色々やり方はありそうですが、ゴリゴリ計算すれば解けそうです。

 

大問5

縦軸に距離、横軸に時間をとり、人や電車などが動く様子を表した、いわゆる「ダイヤグラム」が与えられた問題です。
全体として、『塾技』22「ダイヤグラム」、『塾技』78「ダイヤグラムと相似」を理解しておくと、見通しがいいと思います。

(1)
上記『塾技』で解けると思います。

(2)
ダイヤグラムに加え、『塾技』57「逆比」、『塾技』58「速さと比1」を理解していると、解けると思います。

(3)
本問も、ダイヤグラム、速さと比、あたりを理解していると、解けると思います。

 

対策と勉強法

合格者の平均点は、70.8点と、かなり高めです。
一方、受験者平均点との差の20点も、かなり大きく、算数で差がつきやすい出題だったことが読み取れます。
これは、上記のように、根本から理解していれば解けるが、付け焼き刃では歯がたたないような問題が多かったことが原因だったと思います。
上記のように、『塾技』で根本から理解し、白百合で合否を分けるレベルの問題演習をすると、十分に合格点を上回ることができるでしょう。

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町(白百合学園中から1.1km)代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

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【~2020】日本大学医学部数学

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

【2023】 日本大学医学部数学

 

【~2020】日本大学医学部数学

 

2020年日本大学医学部数学

 

大問1

(1)
2つの放物線の共有点は連立するだけで解けます。
共有点を通る直線の方程式は、数学2の教科書の「図形と方程式」に載っている、例の「k倍したものを足す」技法を使うと、時間を短縮できます。

(2)
3つのベン図のこのあたりの要素の個数を求める問題は、Focus Gold(啓林館)あたりには載っていて解けます。

(3)
与式は、数学1の教科書の「因数分解」に載っている「次数の低い文字について整理する」で因数分解できます。また、同じような式は、まさに「三角比」の「どのような三角形か」という問題でFocus Gold(啓林館)あたりには登場します。
あとは、文字を含みますが、3辺と1角がわかっていますから、余弦定理で求まります。

(4)
領域と最大最小の問題で、境界線が直線なので「線形計画法」と呼ばれる問題です。
基本形は教科書にも載っていて、もう少し複雑なものもFocus Gold(啓林館)あたりには載っていて、解けます。

 

大問2

(1)
ベクトルの内積は教科書レベル。ベクトルの大きさは2乗せよ。解けます。

(2)
角度がx/2とxなので、ややとまどうかもしれませんが、xと2xだったら、教科書レベルの倍角の公式を使う問題ですね。解けます。

(3)
与式が方程式x3=-1の虚数解の1つということが見えていれば、見通しもよく、時間を短縮できます。
そうでなくてもゴリゴリ計算すれば正解できます。

(4)
整数問題で「素数」という文言を見たときに、思い浮かべるべきことがいくつかあります。

大学入試数学 整数問題を見たときになにを考えればいいか?

本問は
・その素数をpとする。
 (整数)×(整数)=pと変形できたら、積の組み合わせの可能性は
 (1,p),(p,1),(-1,-p),(-p,-1)
 のみである。
という技法で解決します。
この技法もFocus Gold(啓林館)あたりには載っていて解けます。

 

大問3

確率の問題です。
教科書にも、反復試行のところに「○○がx回だから△△は50-x回」といった問題は載っています。
それを、ほんのちょっとだけ複雑にしただけの問題なので解けます。

 

大問4

微分の問題です。

(1)
微分するだけで正解できます。

(2)
区間1/2≦x≦1でf’(x)<0は(1)の結果の分子からすぐにわかります。

(3)
2020年のセットで、唯一、詰まるとしたら本問でしょう。
ただし、特に数学3の微積分では、前の小問が誘導であることが多いことを踏まえ、与式を素直にp、qが単独になるように変形すると、誘導に乗れ、あっさり解けます。
そのような流れの問題もFocus Gold(啓林館)あたりには載っています。

十分に完答も可能な出題です。

 

大問5

微積分の問題です。

(1)
微分して増減表を書くだけ正解できます。

(2)
変曲点を求めるのも、接線を求めるのも教科書レベルで正解できます。

(3)
この部分の面積を求めるのも、教科書レベルの組み合わせで正解できます。

 

日本大学医学部数学の勉強法と傾向と対策

 上記のように、教科書を理解し、Focus Gold(啓林館)あたりで入試によく出る技法をマスターし、少し入試問題に慣れれば、満点を取れる出題でした。
 「医学部クラス」「医学部予備校」といったところに通っていて、合格点を取れない人は、勉強のしかたを考え直したほうがいいでしょう。

 

 

2019年日本大学医学部数学

 

大問1

(1)
見た目複雑な平方根の計算ですが、素直にやっていくと、a2-b2の形になったり、意外と面倒くさくなく、平方根を習い終えた中学3年生でも正解できます。

(2)
Focus Goldあたりの数学1の最初の方に載っている技法を使う方程式なので、解けます。

(3)
袋から白玉と赤玉を取り出す教科書レベルの問題なので、解けます。

(4)
両辺の底が異なる対数不等式です。底の変換公式を使います。このレベルはFocus Goldあたりには載っており、解けます。

 

大問2

(1)
楕円と直線が異なる2交点を持つ条件という、教科書レベルの問題なので、解けます。

(2)
前半は、数列の第n項までの和Snをnの式で表していて、教科書に載っています。それを求めた後、平方完成して二次関数の最小値に帰着させるだけなので、解けます。

(3)
数3の教科書に載っている、分母がゼロに近づくのに、定数に収束する極限の問題なので、解けます。

(4)
前半は、放物線が囲む面積で、1/6公式であっさり解けます。後半は、その放物線の2交点を通る直線を求める問題ですが、数2の「図形と方程式」に出てくる、一方をk倍して足した式が、2交点を通る図形の方程式を表し、k=-1のとき直線になることを使うと、あっさり解けます。

 

大問3

(1)
ADの長さは三平方の定理をゴリゴリ使えば、中学3年生でも解けます。次の内接円の半径も、三角比のところに載っている、三角形の面積と内接円の半径の関係を使うだけなので解けます。

(2)
円外の点から円に引いた接線の長さは等しい、などを使い、分かっている長さを使ってゴリゴリやれば解けます。

(3)
言われれば全く難しくありませんが、実戦的にはちょっと難しいかもしれません。

 

大問4

(1)
曲線の接線の方程式を求める、関数が少し複雑なだけで、教科書レベルの問題なので解けます。

(2)
問題文の曲線と直線の交点をすべて求める問題です。連立した方程式が無理方程式になるので、2乗する時に同値性が崩れますが、その扱いも教科書に載っており、解けます。

(3)
(2)の曲線と直線の囲む面積を求める問題です。どちらが上かわからないですが、上に凸、下に凸を調べるために曲線を2回微分するのは教科書レベルなので解けます。

 

大問5

(1)
1辺2角が与えられているので正弦定理、というのは、教科書にも書いてあるので、式がやや複雑ですが、解けます。

(2)
cosθをxで表し、その最大値を求める問題です。ベクトルでcosθを求める問題は教科書にも載っているので、計算がやや複雑ですが、解けます。後半は有名角で合成できない三角関数の最大値の話になり、Focus Goldに載っており、解けます。2018年に引き続き、よく出ますね。

(3)
ベクトルを使って面積を求めるのは教科書にも載っているので解けます。その後の最小値は、言われれば全く難しくありませんが、あまり見ない置き換えなので、類題の経験があったかどうかでしょう。ただ、本問が解けなくても、他の問題を解き切れば、十分、他の受験生に差をつけることができるでしょう。

 

日本大学医学部数学の勉強法と傾向と対策

日大医学部は、近年、Focus Goldあたりを勉強していれば、満点近くも狙えるような出題のことが多いです。合格点に足りない場合、医学部対策うんぬん以前に、教科書をしっかり理解して、ひたすらFocus Gold本文の問題を解けるようにしましょう。

 

2018年日本大学医学部数学

 

大問1

(1)
2次関数にa、bが含まれ、定義域、値域が与えられ、a、bを定める問題です。解き方だけなら、高校入試でも出題されそなので正解できます。Focus Goldあたりにも、似たような問題は載っています。

(2)
実数係数a、bを含む3次方程式の1解が与えられている時、a、bを定める問題です。教科書に載っており、解けます。

(3)
立方体の辺の内分点を3頂点とする三角形の面積を求める問題です。三平方の定理を使うだけで、高校入試でも出題されそうなので、解けます。

(4)
さいころを3回投げて作った3桁の自然数が、4の倍数になる確率、4の倍数かつ9の倍数になる確率を求める問題です。丁寧に数え上げるだけで、(倍数の判定法さえ知っていれば)やはり、高校入試でも出題されそうな問題で、解けます。

 

大問2

(1)
円上の点をθで媒介変数表示して有名角で合成できない三角関数の最大値に帰着させれば解けます。部分部分の技法は、教科書やFocus Goldあたりに載っています。

(2)
Focus Goldあたりに類題が載っている指数方程式なので、解けます。

(3)
ベクトルを使うと楽です。Focus Goldあたりには、角の二等分線の性質を使うベクトルの問題が載っていますし、「垂線」を引くのだから、内積0を使えば解けます。

(4)
表現はやや珍しいですが、つまり、Focus Goldあたりに載っている、分数型の漸化式であり、しかも、逆数を取るところまで親切に誘導がついており、解けます。

 

大問3

(1)
楕円上の点Pを含む3点を3頂点とする三角形の面積の最大値の問題です。大問2(1)と同様に、θで媒介変数表示して、有名角で合成できない三角関数の最大値に帰着させます。大問2(1)と同様に、部分部分の技法は、教科書やFocus Goldあたりに載おり、解けます。

(2)
楕円外の点から楕円に引いた接線を求める問題です。似たような問題は、教科書、Focus Goldあたりのいたるところに載っており、解けます。

(3)
点Pが楕円上を1周する時、三角形ABPの周および内部は通る領域の面積を求める問題です。(2)の接線は本問の誘導になります。領域を面積が求まりそうに分割すれば解けます。楕円の問題で、円との拡大・縮小関係を使うのは頻出です。

 

大問4

(1)
放物線とその接線が直交するときのy座標が常に定数であることを示す問題です。素直に接線を求め、直交条件を使い、y座標を求めに行けば、示せます。

(2)
接点と接線の交点を3頂点とする三角形の面積を求める問題です。大問3(1)と同様に、3点の座標が与えられている場合、1点を原点になるように平行移動し、教科書などに載っている公式を使うと、楽で、解けます。しかし、本年は、似たような技法を使う問題が多いですね。

(3)
(2)の三角形の最小値を求める問題です。(1)、(2)を使うと、明らかに相加相乗平均を使う形になり、解けます。

 

大問5

(1)
空間座標で、原点から、三角形ABCが定める平面におろした垂線の足の座標を求める問題です。ほぼ同じ問題は、Focus Goldあたりの空間ベクトルに載っており、解けます。

(2)
上記三角形ABCの辺および内部をZ軸回りに1回転させてできる立体を、平面z=aで切った切り口の面積を求める問題です。これは、Focus Goldあたりの積分の体積に載っている、切り口が、回転半径の最短距離を内周、最長距離を外周とする、ドーナツ型の図形になります。類題が有名なので、解けます。

(3)
(2)をすこしいじった式を積分するだけで、解けます。

 

日本大学医学部数学の勉強法と傾向と対策

 日大医学部は、近年、Focus Goldあたりを勉強していれば、満点も狙えるような出題のことが多いです。合格点に足りない場合、医学部対策うんぬん以前に、教科書をしっかり理解して、ひたすらFocus Gold本文の問題を解けるようにしましょう。

 

 

2017年日本大学医学部数学

 

大問1

(1)
2次方程式の解と係数の関係と対称式の融合問題で、Focus Goldあたりには類題が載っているので解けます。

(2)
連立不等式の一方が、教科書レベルの絶対値つき不等式であるだけなので、解けます。

(3)
内接四角形の1辺の長さを求める問題です。この余弦定理を2回使うのは、Focus Goldあたりには類題が載っているので解けます。

(4)
3直線が1点で交わるようにmの値を定める問題です。Focus Goldあたりには類題が載っているので解けます。

 

大問2

(1)
重複を含む数字から選んで整数を作る、5の倍数になる場合の数の問題です。Focus Goldあたりには類題が載っているので解けます。

(2)
誘導にある、sinx+cosx=tと置く三角関数の最大最小は、Focus Goldあたりには類題が載っています。その後は3次関数の最小値に帰着されるので、解けます。

(3)
ほぼ教科書レベルの指数方程式なので、解けます。最後の解に対数が含まれるのは、教科書を超えますが、Focus Goldあたりには載っています。

(4)
数列の和SnについてSn+1ーSn=an+1になる、といったことは教科書やFocus Goldあたりには載っています。それに加えFocus Goldあたりの漸化式を理解していれば、何をすればよいかわかり、解けます。

 

大問3

2円の上を点が動く問題です。

(1)
動点の距離の最小値と、その時の動点の座標を求める問題です。
記述式ではないので、2円の中心を結ぶ線分上に動点が来る場合があることを確かめればいいでしょう。あとは簡単に解けます。

(2)
初めて(1)の状態になるのは何秒後かという問題です。
これも記述式ではないので、力技で求められます。

(3)
解説を読めば難しくありませんが、図形的考察が必要で、実戦的には大変でしょうし、解けなくても合格できるでしょう。

 

大問4

(1)
sin3の定積分です。教科書に載っていて解けます。

(2)
問題文がかなりゴチャゴチャしていますが、n=1の場合なので、まだ行けるでしょう。置換積分と(1)の結論を使えば解けます。

(3)
かなりゴチャゴチャしていますが、(2)と同じように置換すれば、意外と解けます。

(4)
単なる無限級数の問題で、ここまでくれば簡単に解けます。

 

大問5

(1)
媒介変数表示された曲線の長さを求める問題です。それ自体は教科書に載っていますが、最後、半角の公式を使って、長さを求められる形にするのがポイントでしょう。

(2)
このような「転がる」問題は、Focus Gold(啓林館)などには載っていて、本問はそれよりは簡単に解けます。

(3)
媒介変数表示された曲線のグラフを書く問題です。
似たような設定で、四行の増減表を書く問題は、Focus Gold(啓林館)などには載っていて解けます。
(3)まで完答しましょう。

 

日本大学医学部数学の勉強法と傾向と対策

 日本大学医学部は、近年、Focus Goldあたりを勉強していれば、満点近くも狙えるような出題のことが多いです。合格点に足りない場合、医学部対策うんぬん以前に、教科書をしっかり理解して、ひたすらFocus Gold本文の問題を解けるようにしましょう。
 2017年も、大問3(3)以外は、Focus Goldのマスターで解ける問題でした。

 

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

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大学受験合格のカギは人間的成長:藤沢秀行名誉棋聖と野村克也監督の共通点

 

大学受験塾チーム番町 市ヶ谷駅66m 東大卒の塾長による個別指導

藤沢秀行の名言と伝説

 

大学受験合格のカギは人間的成長:藤沢秀行名誉棋聖と野村克也監督の共通点

 

野村克也さんの指導理念「人間的成長なくして技術的進歩なし」

 2020年2月11日、元プロ野球選手、監督の野村克也さんが亡くなりました。ご冥福をお祈り申し上げます。

 野村克也さんは「人間的成長なくして技術的進歩なし」と強調していました。人間的成長なくして大学受験合格なし、ということですね。

 野村監督は、当塾から3kmほどの神宮球場が本拠地のヤクルトスワローズの監督時代の90~98年、弱いチームの代名詞だったヤクルトを率いて、9年間で4度のセ・リーグ優勝、3度の日本一に輝きました。それのみならず、プロ野球の監督は人材難で、チーム生え抜きの選手が監督にならないことも多いですが、野村監督のあとのヤクルトは、ほぼ、野村監督の弟子のヤクルト生え抜きの人が監督を務めています。監督業のみならず、弟子の古田敦也さんはプロ野球選手会長、宮本慎也さんは日本代表キャプテン、稲葉篤紀さんは現日本代表監督を務めています。選手のみならず、人の上に立つ人材を育てていた、ということでしょう。

 野村監督は川上哲治監督という人を見習ったそうです。川上監督は、当塾から2.3kmほどの東京ドーム(旧後楽園球場)が本拠地の読売ジャイアンツを率いて、1965~74年、9年連続でセ・リーグ優勝、日本一に輝きました。ミーティングでは人間教育を重視し、たとえば、選手に「履物をきちんとそろえて脱げ」と指導していたそうです。履物の件は、当塾の「塾生心得」にもありますね。

 

藤沢秀行さんの指導理念「人間がするものは人間を高めなければダメ」

 囲碁の故藤沢秀行名誉棋聖についてはこちら

成績の落ちない勉強法

 大学受験塾チーム番町と同じ千代田区五番町には、囲碁の日本棋院があります。秀行先生は、いろいろとデタラメな人ですが、「囲碁は人間が打つものだから、人間を高めなければダメなんだ」と公言していました。これはイロハのイだそうです。大学受験も人間がうけるものだから、人間を高めなければダメだ、ということですね。

 さて、秀行先生は、プロ棋士にも誰彼かまわず囲碁を教えていました。50代の時、新設された序列1位の「棋聖」位を6連覇し、名誉棋聖の称号を受けます。毎年の防衛戦は、自分が囲碁の面倒を見て、家でご飯をご馳走していた人達が挑戦してくる、自分の生活と名誉を脅かしに来る、ということになりました。7年目に、子供の頃から面倒を見た趙治勲名誉名人に棋聖位を奪われます。周りからはバカ呼ばわりされたそうですが、秀行先生は「己を磨くためにライバルを育てているんだ」と言い放ったそうです。

 秀行先生には藤沢一就八段というプロ棋士のお子さんがいます。トーナメントプロとしてはそこまででもないようですが、弟子がたくさんプロ棋士になっているようです。上野愛咲美三段(18)は現在、女流の5つのタイトルのうち2つを持っているようです。

 藤沢一就八段には藤沢里菜四段(21)という娘さんがいます。藤沢里菜四段は、現在、女流の5つのタイトルのうち3つを持っているようです。藤沢一就八段の弟子と娘で女流のタイトルを全部持っているということですね。すでに、この2人のタイトル戦が行われ、上野三段が藤沢里菜四段からタイトルを奪取しているようです。弟子が娘のタイトルを奪いに来るあたり、秀行先生に似ていますね(笑)。

 余談ですが、藤沢里菜四段は、昨年、NHK杯というテレビ棋戦で、かつて秀行先生から棋聖位を奪取した趙治勲名誉名人に勝ったそうです。公共の電波でおじいさんの敵討ちをしたということですね。

 

「人間的成長なくして大学受験合格なし」の根拠

 さて、「人間的成長なくして大学受験合格なし」には、科学的根拠はあるのでしょうか?

 フロイト(1856-1939)という、世界史や倫理の教科書にも載っている、心理学者、精神科医がいます。世間受けするからか夢判断が有名ですが、著書『精神分析入門』は、第2部「夢」の前に、第1部「錯誤行為」があります。錯誤は間違いという意味ですね。第1部「錯誤行為」では「忘却」についても考察されています。高校のテストや大学受験で点数を取れないのは、勉強した内容を「忘れる」からです。また、特に数学のテストでは、計算間違い、「錯誤」で失点することがあります。フロイトの言う「無意識」がどこまで科学的なのかはわかりませんが、人として成長するにつれて「無意識」も高みに向かう、ということはあるのかもしれません。いずれにせよ、世界史や倫理の教科書に載るような人が、錯誤、忘却について考察していたことは事実です。

 東大の脳科学の池谷裕二教授は、論文をたくさん引用した、ちゃんとした著書の中で「脳は生きるのに不可欠な情報以外は忘れる」と述べています。人と成長するにつれて責任感を持つようになり、大学受験の勉強を「生きるのに不可欠だ」と思うようになる、といったことはあるのかもしれません。

 私の現在の結論は、このあたりなのですが、どうなのでしょう?

 

この記事を書いた人

大学受験塾チーム番町代表。東大卒。
指導した塾生の進学先は、東大、京大、国立医学部など。
指導した塾生の大学卒業後の進路は、医師、国家公務員総合職(キャリア官僚)、研究者など。学会(日本解剖学会、セラミックス協会など)でアカデミックな賞を受賞した人も複数おります。
40人クラスの33位での入塾から、東大模試全国14位になった塾生もいました。

 

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